色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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88 巻, 12 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
特集/多様な可視化の世界
解説
  • 金 誠培, 藤井 理香
    2015 年 88 巻 12 号 p. 407-411
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/03/20
    ジャーナル フリー
    最近20年間,生体および生細胞内分子現象のイメージング技術は著しい発展を遂げてきた。この発展をけん引した背景には優秀な発光標識(蛍光タンパク質と生物発光酵素)の樹立があり産業的な用途を拡大している。蛍光タンパク質はカメラやレーザーなどの光学系技術と融合し,今日においては単一分子イメージングも可能な技術的進歩を遂げている。一方,ホタルルシフェラーゼに代表される生物発光酵素は,抗体の発光団,生体の生物発光イメージング(BLI)や各種バイオアッセイのレポータータンパク質としてバイオ産業全般に利用されている。このように蛍光タンパク質と生物発光酵素を用いた生体内分子イベントのイメージングは,特異的かつ定量的にできる点で,従来の生体イメージング技術であるMRI,PET,CT,Ultrasoundなどとは大きく区別される。これら従来技術は,非特異的な分子現象(例:核スピン,放射線,音響)に基づいており,いずれも物理的,定性的,低感度である。本総説では,生物発光酵素を基盤とした最近の分子イメージング技術の進歩と研究成果を簡略にレビューする。
  • 勝田 雄治, 江川 麻里子
    2015 年 88 巻 12 号 p. 412-415
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/03/20
    ジャーナル フリー
    「角層バリア機能」と「角層水分量」が高い状態にあることが美容分野において美しい皮膚の要件とされている。通常これらの皮膚パラメーターは数値データとして機器測定するが,これらの測定方法では点での測定に限られており,可視化して二次元で観察することができない。近年,「角層バリア機能」はフルオレセイン塗布した皮膚を蛍光マイクロスコープで観察することにより,また「角層水分量」は近赤外(NIR)カメラにより可視化することができるようになった。これらの可視化技術により二次元での皮膚計測が可能になり,皮膚状態をより詳細に把握することが可能になった。
総説
  • 小倉 俊一郎
    2015 年 88 巻 12 号 p. 416-418
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/03/20
    ジャーナル フリー
    わが国における死因の第一位は悪性腫瘍(がん)によるものであり,日本人は3人から2人に1人が生涯のうちがんに罹患すると言われている。がんに対する治療と診断は急務をなすが,新たな治療法・診断法の一つとして光増感剤を使ったがんの光線力学治療ならびに光線力学診断が臨床で用いられるようになってきた。本項ではこれらの基礎と応用を概観し,新しい試みについて筆者らの研究を中心に紹介する。
  • 燈明 泰成
    2015 年 88 巻 12 号 p. 419-423
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/03/20
    ジャーナル フリー
    超音波により製品内部の「欠陥」や,物質の「物性」を可視化・評価することができる。これは不連続界面で超音波が反射することと,超音波の伝搬速度が物質の弾性に関連することによる。本稿では,はじめに超音波によりきわめて薄い欠陥が検出できることを示す。 また検査対象の水非接触下において内部を可視化できるドライコンタクト超音波法を紹介する。さらに高分子フィルムの熱劣化にともなう物性変化を超音波により捉えた事例を紹介する。
  • 大竹 淑恵
    2015 年 88 巻 12 号 p. 424-427
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/03/20
    ジャーナル フリー
    中性子線による計測利用は大強度大型施設によりこれまで行われています。理研では,実用化,産業利用等を目指した加速器駆動小型中性子源システムを開発しています。理研小型中性子源システムRANSを利用した中性子イメージング実験では,中性子線の特徴である金属に対する高い透過能と水素感度が高いことを利用し,塗膜下鋼材内部腐食と関係する時間を追った水の動きの可視化に成功しました。高速中性子線は数十センチのコンクリートを透過することができます。RANSによるインフラ非破壊観察技術開発と構造解析技術の取組みを紹介します。
  • 山崎 良, 加藤 三樹矢, 村手 宏輔, 今山 和樹, 川瀬 晃道
    2015 年 88 巻 12 号 p. 428-433
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/03/20
    ジャーナル フリー
    テラヘルツ波の特性を利用した非破壊検査がセキュリティ分野などにおいて期待されている。とくに,光注入型テラヘルツ波パラメトリック発生器(is-TPG)はテラヘルツ波を高出力発生かつ高感度検出可能なシステムであるため,郵便物内の規制薬物・爆発物の非破壊検出・分光イメージングに応用できる可能性がある。本研究では,郵便物に隠匿された薬物などの非破壊検出に適したテラヘルツ波分光技術を見いだすため,is-TPGとテラヘルツ波時間領域分光法を用いて規制薬物が隠匿された郵便物を模して作製した三種類の糖類試薬を遮蔽物越しに透過分光を行った。さらに,is-TPGの分光イメージングシステムを用いて,従来の技術では困難であった厚手の封筒内部の試薬の分光イメージングを行った。その結果,厚手の郵便物内の試薬検出においては,is-TPGによる分光または分光イメージングが有効であることが示された。
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