色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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89 巻, 11 号
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研究論文
解説
  • 鈴木 清
    2016 年 89 巻 11 号 p. 389-394
    発行日: 2016/11/20
    公開日: 2017/02/20
    ジャーナル フリー

    ミニエマルション重合は機能性物質を含有する高分子微粒子の調製に有効である。その簡便化のため,温度による転相現象を利用した乳化によってミニエマルションを調製し,重合した。転相温度で重合を行うことで,平均径40 nm以下の高分子微粒子を調製できた。水への溶解度がきわめて低い物質が含有されることを確認するため,蛍光物質であるピレンをモノマーに溶解させ,水,界面活性剤および開始剤を加えて転相温度で重合を行った。重合後にピレンを加えた場合よりも,重合前にピレンを加えておいた場合に,得られる高分子微粒子内にピレンが多く含有されていた。転相温度で重合することが,水に不溶性の物質を含有する微小高分子粒子を調製するのに有効である。

総説
  • 谷口 竜王
    2016 年 89 巻 11 号 p. 395-398
    発行日: 2016/11/20
    公開日: 2017/02/20
    ジャーナル フリー

    高分子微粒子は,塗料,接着剤,電子素子,そして体外診断薬などさまざまな分野で利用される重要な分散材料である。優れた技術的側面だけでなく,経済性などの観点から,高分子微粒子は乳化重合などの手法で製造されてきた。不均一相ラジカル重合の進展とともに,表面官能基や制御された構造を有するコア-シェル型高分子微粒子が開発されてきた。近年では,リビングラジカル重合による高分子微粒子の表面修飾も検討されている。本稿では,原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)による高分子微粒子表面からのグラフト重合に関するいくつかの研究報告を紹介する。また,転相温度(Phase Inversion Temperature:PIT)乳化法により得られるoil-in-water(O/W)型エマルションモノマー油滴の重合による高分子微粒子合成についても述べる。

界面活性剤講座(第9講)
色材に関するレギュレーション講座(第2講)
  • 岸本 充生
    2016 年 89 巻 11 号 p. 403-408
    発行日: 2016/11/20
    公開日: 2017/02/20
    ジャーナル フリー

    ナノマテリアルの安全性の問題が指摘されて以来10年以上経過したが,ナノマテリアルに適した規制枠組みはまだ模索中である。欧州では規制上の定義を定めて,該当する場合には,ナノ表示やリスク評価を求める傾向がある。米国では外形的な定義を定めずに,サイズに起因した機能性の有無で判断し,既存の法規制枠組みをケースバイケースで適用する傾向がある。日本では国内の法規制対応の動きは鈍いものの,国際的なコンセンサスの形成に注力している。本稿では,ナノマテリアルの法規制を検討するうえでの背景を第1節に簡潔にまとめたうえで,第2節では国内,第3節では米国,第4節では欧州における法規制動向をまとめた。

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