色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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89 巻, 12 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
研究論文
  • 河野 芳海, 大岡 奈奈, 柴田 雅史, 福原 長寿, 冨田 靖正, 前田 康久
    2016 年 89 巻 12 号 p. 414-419
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー

    種々の無機ホスト材料に組み入れることにより,天然色素の安定性が改善される。本研究では,疎水性の強い植物由来色素をハイドロタルサイト層間に取り込むことを目指した。複合化に先立ち,ハイドロタルサイト層間を疎水化するためアニオン性界面活性剤で修飾を行った。この有機修飾ハイドロタルサイトと粉末状の色素とを単に混合するだけで,疎水性相互作用により色素分子は層間空間に取り込まれた。複合化された色素は可視光照射に対しての安定性が改善された。一方,親水性の色素は,疎水性色素とよく似た分子構造であっても複合化による安定性改善効果はわずかであった。

解説
  • 三浦 浩司, 田邊 弘之, 野田 美恵
    2016 年 89 巻 12 号 p. 420-424
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー

    ショ糖脂肪酸エステルは,食品添加物,医薬品添加物としても古くから知られており,とくに,食品用乳化剤では,国際機関(FAO/WHO食品添加物専門家合同委員会)などにおいてその安全性が高く評価されている。いうまでもなく,安全で,さまざまな市場での使用実績に裏打ちされた高い実用性は,化粧品市場にも有用な側面をもち,ここでは,高機能性に応える化粧品用原料として,ショ糖脂肪酸エステルの応用例を示す。

  • 佐賀 佳央
    2016 年 89 巻 12 号 p. 425-429
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー

    光合成は自然界の優れた太陽光エネルギー変換システムであり,このシステムにとって可視光領域に強い吸収を有する色素分子は重要な役割を果たしている。これらの光合成色素は,タンパク質への結合や色素分子間相互作用によって秩序だった色素集積構造を形成し,太陽光エネルギーの捕集・伝達や,電荷分離・電子伝達の高効率化を実現している。本稿では,このような光合成システムとそこで機能している光合成色素について概説する。

  • 小山 匡子, 福原 寛央
    2016 年 89 巻 12 号 p. 430-434
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー

    植物由来のグリセリンと脂肪酸から得られるポリグリセリン脂肪酸エステル(PGFE)は,親水部のポリグリセリンの製造方法の違いにより構造が異なっている。脱水縮合法で得られる従来のPGFEは多くの環状化合物を含むため,PGFE/水の相図では等方性溶液(Ⅰ相)領域は狭い。これに対し,開環重合法で得られるPGFEは環状化合物が少なく,従来のPGFEと比較してより広いⅠ相領域が観察される。同様の現象はPGFE/水/油系でも見られ,環状化合物が少ないPGFEを用いた相図ではⅠ相領域が広い。すなわち高い可溶化力が求められる化粧品処方に応用が可能である。たとえば手や顔が濡れた状態でも使用できるクレンジングオイルの処方に適している。その他の応用例として,PGFEの身体洗浄量としての利用,縮合リシノレイン酸ポリグリセリルの顔料分散効果について解説する。

  • 芦田 章
    2016 年 89 巻 12 号 p. 435-439
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー

    植物の生育に必要な光の反応作用スペクトルから人間が感じる光の色とどのように異なるのかについて,植物の生命維持と生育に関係する光合成において光量子の数と光量子のエネルギーを用いて科学的に論じられ,人間は色に対する反応が心理物理量である比視感度,明るさにルクス(lx)を用いて論じられる。それらの数学的関係を示し,植物が色材として考える場合に役立てた。植物の生育について色の効果を色材によるものとする考え方を論じ,また植物を生きた色材としてとらえる場合には植物工場のスタイルで生育管理することで季節に関係なく利用できる。エネルギーの観点から地球環境問題も関係することから植物工場技術が地球温暖化対策の一翼を担う可能性を指摘した。

解説
  • 東條 孝
    2016 年 89 巻 12 号 p. 440-444
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー

    われわれの生活や文化に彩りを与える色材としてのオフセットインキにおける環境対応については,従来の安全衛生面主体から地球規模での環境保護・資源保護重視へとさらなる対応を求められるようになってきている。このような背景の下,環境負荷低減に向け各種環境ガイドラインに適合した環境対応インキとして,アロマフリーインキ,植物油(大豆油)インキ,Non-VOCインキが開発されてきている。とりわけ,天然物由来素材である植物油は,地球環境保全的側面からVOC・CO2削減や枯渇資源保護に関してきわめて有用な素材であり,さらに廃植物油を回収・精製した再生植物油は,地産地消で循環型社会を実現する数少ない素材である。ここでは,オフセット印刷業界を取り巻く環境の変化に対応した環境調和型インキの進化・真価について解説する。

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