色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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90 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
研究論文
  • 小林 弘明, 森田 晃一, 山下 勝也, 片岡 泰弘
    2017 年 90 巻 1 号 p. 4-10
    発行日: 2017/01/20
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー

    溶融Zn合金めっき鋼板に塗装を施すことによって,耐食性の向上や意匠性の改善が可能となる。近年,さまざまな溶融Zn合金めっき鋼板が開発されており,これらの材料における塗膜下腐食挙動は明確になっていない。そこで,本研究では塗装した溶融Zn合金めっき鋼板を用いて,腐食促進試験にともなう塗膜下腐食挙動を調査した。とくに各種溶融Zn合金めっき鋼板におけるめっき層の組成比と元素分布に着目した。母材は,溶融Zn-5%Al-1%Mg合金めっき鋼板,溶融60%Zn-40%Sn合金めっき鋼板と溶融Znめっき鋼板を用いた。評価は,外観観察,腐食電位の測定,SEM-EDX分析とX線回折によって実施した。結果,塗装した溶融Zn合金めっき鋼板の耐食性は,各めっき層における添加元素の種類や分布状態に大きく影響される可能性が高いことがわかった。

技術論文
  • 長谷川 孝, 宇井 剛, 殿谷 保雄
    2017 年 90 巻 1 号 p. 11-14
    発行日: 2017/01/20
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー

    本研究では,商品展示用ディスプレイの植毛装置に,現在の手持ち式ポータブル植毛装置の代替として,吹付ガン式植毛装置の転用を試みた。本論文では,吹付ガン式植毛装置を用いて商品展示用ディスプレイを想定した二種類のサンプルを試作し,当該装置で植毛可能であることを確認した。また種々の吹付条件において植毛量を比較評価し,植毛面積が広い複雑形状において効率良く植毛するための吹付方法を検討した。その結果,以下のことがわかった。吹付距離を20 cm以下にして植毛する場合には,水平面上に置いた試験片と吹付ガンのなす角(吹付角度)が大きくなるにつれて植毛量は増加する。したがって植毛面が水平面にある場合,鉛直方向からの植毛が効果的である。吹付距離を30 cm程度離して植毛する場合には,吹付角度に関係なく植毛される。複雑形状においても,エアによる吹付けによって細部まで植毛されることが期待できる。

総説
  • 酒井 宗寿, 中島 章
    2017 年 90 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2017/01/20
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー

    撥水性には表面(界面)エネルギーバランスやその限界をあらわす熱力学的指標である“静的撥水性”と,時間の概念をともなう速度論的指標である“動的撥水性”に大別され,近年,動的撥水性に関する研究が増加している。動的撥水性はこれまで静的に設置した水滴の移動速度などで評価されてきたが,液体と固体の間で実際に起こる濡れの状況は多岐にわたり,必ずしもこのような計測方法が最適とは限らない事例が散見する。また動的撥水性における液滴の挙動は,流体力学的な解析を必要とする場合が多く,材料や表面・界面の化学とソフトマター物理の融合が進展している。さらに,撥水性多孔質固体と低表面エネルギー液体を組み合わせた新たな撥水部材が提案されており,このような部材では従前の固体と水との相互作用だけでは記述できない特異的な動的挙動が得られる。本稿では固体表面の動的撥水性に関するこれらの最近のトピックスに焦点を当て,筆者らの検討内容を交えて紹介する。

  • Avinash BHADANI, Sukhprit SINGH, Raman KAMBOJ, Vinay CHAUHAN
    2017 年 90 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 2017/01/20
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー

    本稿では,さまざまな親水基(ピリジニウム,イミダゾリウム,ピロリジニウム,ピペリジニウム,モルフォリニウム)を有する数種の新規カチオン性ジェミニ界面活性剤の合成と物性に関する筆者らの研究をまとめた。筆者らは,数種のジェミニ界面活性剤の合成に際して, 次の三つの基本手法を利用した。(1)位置選択的両ブロモ化に続く4級アンモニウム化,(2)位置選択的エポキシ開環反応に続く4級アンモニウム化,(3)アルキル化に続く4級アンモニウム化。これらのカチオン界面活性剤溶液の表面物性と物理化学特性を調べ,従来の市販カチオン界面活性剤と比較して優れた物性を示すことを確認した。

界面活性剤講座(第10講)
色材に関するレギュレーション講座(第3講)
  • 田嶋 晴彦
    2017 年 90 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2017/01/20
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー

    胆管がん事案など最近の化学物質による労働災害の状況を踏まえ,労働災害を未然防止する仕組みを強化するため,労働安全衛生法の一部を改正する法律(平成26年法律第82号)により,平成28年6月1日より化学物質を製造・流通もしくは使用するすべての事業者に化学物質のリスクアセスメントが義務付けられることとなった。しかし多くの企業にとって化学物質のリスクアセスメントは未経験であり,改正法の完全履行には困難が予想される。そこで本稿では,2015年9月18日に公示された「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」1)(以下「指針」と略記)などの厚生労働省資料を手掛かりとして,企業のとるべき対応とコントロール・バンディング,ECETOC TRA等のITツールによるリスクアセスメントの実際について解説する。

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