マイクロカプセルが初めて実用化されて以来,今日では工業分野から食品,医療分野に至るまでさまざまな分野で応用例が報告されている。マイクロカプセル化技術はミクロの物質を包む「包装」技術であるが,従来素材の問題点を解決するだけでなく,新たな機能を付与している。本稿では,工業分野で利用されているマイクロカプセルについて製法と機能について述べた後,記録・表示分野の中から事例を挙げて紹介する。
異方性貴金属ナノ粒子であるパラジウム被覆金ナノロッドは,可視域でフラットな分光特性を示して黒色を呈する。本稿では,パラジウム被覆金ナノロッドの分光特性に着目し,イムノクロマト方式の検査キットの黒色呈色材として応用した例を述べる。
近年,環境負荷低減を目的にUV硬化型樹脂の塗料への展開が進んでいる。UV硬化型材料を使いこなすためには,主材料となる反応性材料はもちろんのこと,UV硬化に必要な開始剤,光源の選択が重要である。本稿では,UV硬化型樹脂を使ううえでのポイントを整理したうえ,最近とくに注目されているLED光源に対応した新規アクリレートについて言及する。
顔料は,インキ,塗料,プラスチック等身の回りのあらゆるものの着色に用いられている。そして,顔料は固体粒子からなるため,色材としてその性能を発揮するには,「分散」が鍵となる。本講座では,顔料分散に初めて携わる初心者の方を対象とし,顔料粒子の特性,顔料分散における「ぬれ」,「機械的解砕」,「分散安定化」からなる三つの過程の基礎的な考え方を説明する。そして最後に,一般的に用いられている分散性向上のための顔料表面処理について例を挙げ紹介する。