色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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92 巻, 7 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
技術論文
  • 長谷川 孝, 小畑 輝
    2019 年 92 巻 7 号 p. 189-194
    発行日: 2019/07/20
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    オーダーメード仕様の商品展示用ディスプレイへの植毛加工は,既存の大量生産ラインによる植毛が困難であるため,手持ち式ポータブル植毛装置が使用されている。本装置で高品質な植毛を行うためには,装置と被植毛品との間の最適な距離(最適植毛距離)の決定が重要となる。しかしながら,これを現場で行うには作業者に熟練した技術ノウハウが要求される。本研究では,商品展示用ディスプレイ向け植毛品として球体,円柱および円錐を選択した。熟練技術ノウハウに乏しくても,当該植毛品において最適植毛距離を決定できるようにするため,3D対応の静電場シミュレーションを活用した。シミュレーション結果から最適植毛距離を決定し,植毛実験によって結果の妥当性を確認した。

解説
  • 桑折 道済
    2019 年 92 巻 7 号 p. 195-199
    発行日: 2019/07/20
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    自然界の鮮やかな構造発色においては,ヒトの髪の毛の黒色成分として知られるメラニンが重要な役割を担っている。たとえば孔雀の羽毛の発色は,顆粒状のメラニンが形成する規則正しい微細構造由来の構造色である。光吸収能のあるメラニンが,微細構造を構築するとともに散乱光を適切に吸収し,視認性の高い構造発色が達成されている。筆者らは,バイオミメティクス的観点からの構造色材料の作製を目指し,メラニンの模倣体としてポリドーパミンに着目している。本稿では,ポリドーパミンを素材とする人工メラニン粒子を用いる構造色材料に関して,筆者らの最近の研究を中心に概説する。

環境対応車の技術講座(第7講)
  • 秋本 順二
    2019 年 92 巻 7 号 p. 200-204
    発行日: 2019/07/20
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    リチウムイオン電池は,携帯型電子機器用の電源として実用化されてから約30年が経過した。かつては新型電池として登場した蓄電池であるが,今日では,車載用途での普及・展開が期待され,低炭素社会実現においては必須の電源技術となっている。電池技術を支えてきた重要な部材が正極であり,最初に使用されていたリチウムコバルト酸化物は,今日でも重要な正極活物質である。一方,コバルト代替,あるいは高容量化のために次々と新規正極材料が開発され,今日では,多くのバリエーションがラインアップされている。正極材料の基礎物性から,歴史的な材料開発の経緯について紹介する。

分散・インク講座(第4講)
  • 米澤 徹, 松原 正樹
    2019 年 92 巻 7 号 p. 205-209
    発行日: 2019/07/20
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル フリー

    次世代プリンテッドエレクトロニクス技術の早期実現には,インク中で安定に分散し低温で焼結可能な金属微粒子の開発が急務である。そのような金属微粒子の調製には,分散媒中で強く凝集することなく安定に高濃度分散可能な表面デザインの下で,サイズや形態がよく制御された単分散な微粒子を合成することが必須となる。さらに,長期的な分散安定性の付与にはバインダーの添加やインク化に先立つ微粉化などの前処理も重要となってくる。われわれは低コストで基板上での耐マイグレーション性の高い銅に着目し,銅微粒子の表面保護と微粉化により低温焼結可能で長期安定な銅微粒子インクを開発した。

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