色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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93 巻, 6 号
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―小特集 環境調和型印刷およびインキの最近の動向―
解説
  • -PLと印刷インキの動向-
    西 秀樹
    2020 年 93 巻 6 号 p. 170-174
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/07/03
    ジャーナル 認証あり

    日本では改正食品衛生法が2020年6月1日に施行され,国による樹脂のPLが制定される。しかし,PLは完成まで後1~2年かかる見込みであり,印刷インキの審議は今後の課題となっている。印刷インキに関しては,EUの審議が続行中であり,今後の動きが注目される。

  • ~印刷物を評価するための新照明とその条件~
    三木 昌彦
    2020 年 93 巻 6 号 p. 175-181
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/07/03
    ジャーナル 認証あり

    一般的な業界で色評価用光源と言えばD65光源が主流だが,筆者が属する印刷,グラフィック業界ではD50光源が使われている。 これまでD50色評価用蛍光ランプ(以下AAA蛍光ランプ)は,印刷物を観察,評価ができる標準的な照明だった。ここではまずそのAAA蛍光ランプとはどのような照明だったかを振り返り,印刷物を観察するうえで推奨される規格と照らし合わせながら問題点を探る。次に2000年代頭から次世代照明として登場してきているLEDランプだが,一般的なLEDランプと各種高演色LEDランプでの仕組みに触れる。そしてAAA蛍光ランプと,超高演色と形容するLEDランプとで見え方に相違があるとの問題を解決すべく,日本印刷学会が各種LEDランプの評価試験や数値分析をし,今年2月にその中間報告を行ったため,その概要をまとめた。さらには今後,新評価基準として検討されそうな項目をいくつか挙げておくので,読者の方々にもそれらの評価方法について各種議論していただきたい。

  • 藪野 通夫, 菅原 良
    2020 年 93 巻 6 号 p. 182-188
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/07/03
    ジャーナル 認証あり

    私たちが日常的に見かける印刷物と言われるものは多数ある。たとえば新聞,雑誌,食料品・化粧品パッケージ,飲料缶等がある。近年は,情報IT化の流れの中,スマートフォン,タブレットなど電子端末の普及による印刷物の需要減という大変厳しい環境下にあるが,軟包装,パッケージ,ラベルなどの付加価値を付与する印刷分野は,堅調に推移し,印刷は今もなお,豊かな商品経済を支えており,重要な役割を担っている。このため印刷インキにおける環境対応に関しては,従来の安全衛生面の対応に加えて,地球規模での環境保護・資源保護も重要になってきている。全世界的に環境意識が高まる中,持続的な開発目標(以下「SDGs」)が掲げられて,印刷インキも,環境負荷低減に向け各種環境ガイドラインに適合した環境対応インキが開発されてきている。植物油に加え,ロジン変性フェノール樹脂中のロジンや,脂肪酸エステル中の植物由来の脂肪酸など,天然素材由来素材が多く含まれている印刷インキは,SDGsに大いに貢献できると確信しており,再評価されつつある。

    ここでは,世界的な環境意識の変化に対応した環境調和型インキ・印刷物の取り組みについて解説する。

最新評価分析講座(第2講)
  • ~ポリマーの共重合体の組成分布解析~
    香川 信之
    2020 年 93 巻 6 号 p. 189-193
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/07/03
    ジャーナル 認証あり

    ポリマーの共重合体の構造解析にとって,分子量とともに組成解析が重要であるが,とくに最近では,従来から行われてきた平均組成解析だけでなく,組成分布,すなわち組成の分子量依存性解析の重要性が増加している。共重合体の組成分布解析のためには,溶媒グラジエントHPLCであるGPECが有効である。さらにGPECとSECを組み合わせた二次元HPLCを用いることによって,共重合体の詳細な組成分布解析が可能となる。本講座では,GPECや二次元HPLCを用いた共重合体の組成分布解析について解説する。

研究論文
  • 上坂 敏之, 八木 繁幸, 前田 壮志
    2020 年 93 巻 6 号 p. 194-201
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/07/03
    ジャーナル フリー
    電子付録

    2-(2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール誘導体は,ヒドロキシ基とベンゾトリアゾール基内の窒素原子が分子内水素結合を形成して励起状態分子内プロトン移動(ESIPT)に起因した無輻射失活により蛍光を示さないことが知られており,紫外線吸収剤として広く用いられている。われわれは,誘導体の5位に,アミノ基,モノブチルアミノ基,ジメチルアミノ基が導入された化合物を合成し,これらの誘導体はESIPTが可能な分子構造でありながら,蛍光を示すことを見いだした。分子内水素結合を阻害する溶媒中において,これらの誘導体は電子吸収スペクトルに大きな変化がないことから,分子内水素結合が比較的弱く,ESIPTの効率が低いことが示唆された。また,5位に導入された置換基の電子供与性が高いほど蛍光が増強したことから,これらの置換基の電子供与性により励起状態におけるベンゾトリアゾール基のプロトン受容性が低下してESIPTが抑制され,蛍光が発現することが示唆された。

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