色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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94 巻, 6 号
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研究論文
  • Xueliang Deng, 桑 静, 會澤 純雄, 森 克仁, 平原 英俊
    2021 年 94 巻 6 号 p. 149-157
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル 認証あり

    金属とポリマーの接着,複合化は,幅広い産業に使用されている。複合材料の特性および耐久性を得るため,界面の接合および接着メカニズムを解明するのが重要である。本研究は,トリアジン系シランカップリング剤を使用し,アルミニウム(Al)とポリジメチルシロキサン(PDMS)を表面処理し,加熱加圧により金属とポリマーの界面化学結合を形成した。五種類の厚みを変えたPDMSシートおよびAl/PDMS複合体を引っ張り試験,結合強度試験,膨潤実験,および動的粘弾性の分析を行い,接合界面の特性および分子運動を検討した。Al/PDMSの界面は,化学結合により,膨潤度が低下し,転移温度が高温になる傾向がある。金属との化学結合が界面付近のゴム分子運動を束縛することを明らかにした。この研究により,金属-ポリマー複合材料,金属の耐腐食コーティングの応用に期待される。

―小特集 生分解性素材の最前線―
解説
解説
  • -セルロースナノファイバーを活かしたクルマづくり-
    臼杵 有光
    2021 年 94 巻 6 号 p. 169-174
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル 認証あり

    セルロースナノファイバー(CNF)は,高強度,低熱膨張,低密度などの特徴をもつバイオ材料であり,植物などのさまざまなセルロース源から製造される。CNFはカーボンニュートラルで再生可能な素材であり,それを樹脂中に分散させることにより,樹脂が補強される。その技術をおもに利用することにより2016年10月からナノセルロースヴィークル(NCV)プロジェクトを実施した。ここでは自動車の軽量化により,排出される二酸化炭素(CO2)の削減につながり,地球温暖化対策への貢献を目的とした。国内の大学や研究機関,自動車メーカーなど22の機関が協力して実施した。東京モーターショー2019では,CNFを使用したコンセプトカーを展示し,国内外にそのポテンシャルを発信した。実際は13個のCNF部品を搭載し,かつ塗装に関しても新規な色を開発した。その評価結果では,CNFベースの材料を使用することで,自動車部品の軽量化に有利であることが実証できた。

総説
  • 四方 俊幸
    2021 年 94 巻 6 号 p. 175-182
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/07/03
    ジャーナル 認証あり

    再生可能な素材としてきわめて有望な植物由来の生物資源であるセルロースから長さと幅がよく制御されたナノメートルオーダーで棒状の形態を有するセルロースナノ粒子が得られる。このセルロースナノ粒子をショ糖の60 wt%水溶液に分散させた懸濁液が示す粘弾性挙動を詳細に検討すると,DoiとEdwardsによって提案された単分散な棒状粒子の懸濁液についての理論的な予測によってよく説明される挙動が見いだされた。この理論は,粒子の長さに分布をもつ多分散性の懸濁液に適用できるように修正することが可能であった。セルロースナノ粒子の懸濁液試料は,ひずみを与えることで生じる棒状粒子が被る配向エントロピーの減少が,弾性の起源であることを明瞭に示すモデル系として振る舞うのである。

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