四国医学雑誌
Online ISSN : 2758-3279
Print ISSN : 0037-3699
79 巻, 1.2 号
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  • 東 桃代
    原稿種別: 特集
    2023 年79 巻1.2 号 p. 3-6
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/03
    ジャーナル フリー

     2022年の冬季ではCOVID-19とインフルエンザ同時流行が懸念されるなか,これからの入院・外来診療の逼迫を想定した対応の準備がなされている。これまでCOVID-19の終息への切り札として期待されたmRNAワクチンは自然免疫にも匹敵する液性免疫,細胞性免疫を誘導し高いワクチン効果が示されてきた。mRNAワクチン接種における重症化予防効果は明らかである1)(図1)。しかしCOVID-19流行初期は,重症呼吸不全がワクチン未接種者の40代,50代にもみられ,時には30代も重症病態を呈し,集中治療管理やハイレベルな人工呼吸器管理が必要とされた。医療現場は,一気に逼迫し危機感をもって対応にあたってきた(図2)。

     しかし変異を繰り返す毎に,ワクチン接種だけではパンデミックを終わらせるには不十分であることも理解されつつある。その理由として①免疫回避現象,②免疫力低下などが挙げられる。またウイルスの感染力は大きく増大し,有症状の初発患者から速やかに隔離したとしても,同じ空間の患者に高率に感染して病院や高齢者施設等で感染制御するのは非常に困難を極める。

     こういった現状を踏まえると世界的にもパンデミックを抑制するのは極めて難しいと思われる。しかし重症化率や死亡率が低下するにともない,5類感染症への移行が議論されている。われわれ医療従事者で重要なことは,COVID-19の効果的な感染対策や診療で得た多くの教訓やエビデンスを共有することであろう。

     COVID-19流行初期から最近までユニバーサルマスクのエビデンスは多く出されてきた2)。最近の報告では,マスク着用の義務をやめた地域では,それ以降の15週間で,マスク着用を継続した学校と比較して感染者が1000人あたり44.9件増え,これはこの期間の対象地区で発生した新型コロナウイルス感染者の約3割に相当するというものであった2)。これからも,有症状者においては,双方マスクをして飛沫感染防止に個人個人のレベルで注意し感染拡大を防止する意識の継続は非常に重要であろう。しかしパーテーションやビニルカーテンなど,新たなアイテムも登場し,新たな食事習慣もできた。

     これまでさまざまな感染症,特にインフルエンザでもアウトブレイクは毎年のように散発してきたが,これだけ多くの感染対策を現場の医療従事者やスタッフに依頼したことはない。おそらく今後,徳島大学病院・感染制御部で行ってきた感染対策を中長期的に見直すことも今後必要となってくることが予想される。

     重要なCOVID-19感染防止のポイントは“①:有症状者をいかに早く発見するか” “②:エアゾル発生手技と咳症状診療ではN95を装着” “③:入院前の健康観察の徹底”の3つと考える。しかし,これらの項目はCOVID-19流行前から結核を含む多くの呼吸器感染症のアウトブレイクを防止するために基本的重要項目であった。医療介護保険施設などのクラスター介入の経験や,自院での経験も踏まえながら思うところは,この新型コロナウイルス感染症は,ある条件を満たせば高率に感染する病原体ではあるが,過度に恐れることはなくなった5類感染症といえる。同室患者がCOVID-19に罹患し,さらにエアゾル発生手技を実施していれば同室内では高率に感染する。認知症等で協力がなかなか得られない施設ではクラスターの阻止はさらに,困難を極める。しかし,入院適応のある患者は,5類感染症として多くの医療機関で患者を受け入れ,また入院適応がなければ各施設で感染対策を行いながら患者の観察を行っていくなど平時の状況に,一日でも早く着地することが求められている。これまでのノウハウを培ってきた実践的知識や感染対策の技術を行政機関・保健所や施設間で十分に情報共有することが重要となる。

  • 鎌村 好孝
    原稿種別: 特集
    2023 年79 巻1.2 号 p. 7-12
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/03
    ジャーナル フリー

    2020年2月25日に,徳島県内初の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)陽性者が確認されて以降,この3年間で累計16万人を超える陽性者が報告されてきた。徳島県としては,2020年4月1日に,「徳島県新型コロナウイルス感染症入院調整本部」を設置し,入院対応する重点医療機関等への入院調整や,宿泊療養施設への入所,自宅療養等への調整を行い,県医師会・県看護協会・県薬剤師会等含めた関係機関の協力のもと,3年以上にわたり,「オール徳島」で対応してきたところである。このたび,2023年2月12日の第266回徳島医学会「合同シンポジウム『COVID-19の現状と対策』」において発表した概要について報告する。

  • 大藤 純
    原稿種別: 特集
    2023 年79 巻1.2 号 p. 13-23
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/03
    ジャーナル フリー

     2019年に中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)は,瞬く間に世界中に蔓延した。世界各国で,多数の重症患者が発生し,医療体制は崩壊し,600万人を超える犠牲者を生み出した。本邦でも,第4波から第5波までは,国民へのワクチンが十分に普及しておらず,全国的に重症患者数が急増した。本邦のICUに準ずる病床数は,人口10万人あたり13.5床(米国35床,ドイツ29床程度,2020年当時)と世界的にも少なく,医療は逼迫した1)。徳島大学病院でも,多くの人工呼吸管理を要する重症COVID-19患者を受け入れ,COVID-19流行の度に病床は満床状態となった。第4波から第5波にかけての患者の多くは,肥満,高血圧,糖尿病などの基礎疾患を有した働き盛りの中高年男性であった。当時,普段は健康に生活していた患者がsevere acute respiratory syndrome coronavirus 2:SARS-CoV2感染を契機に重症の急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome : ARDS)を発症し,連日搬送されてくる現状を目の当たりにすると,とても季節性インフルエンザ感染症と同程度の重症化リスクとは思えなかった。

     搬送された患者の多くは重度の低酸素血症と努力呼吸を呈していた。陰圧室という隔離空間で,感染防護服(personal protective equipment : PPE)を着用した状態での気管挿管やルート確保,高度な医療機器を用いた呼吸・循環管理は困難を極めた。筋弛緩薬併用下での肺リクルートメント手技,低用量換気や中等度以上のpositive end-expiratory pressure : PEEPを用いた肺保護戦略,1日16時間以上にも及ぶ腹臥位療法を連日実施することで,致死的低酸素血症を回避した。エアロゾル発生を最小限とする挿管・抜管手技,多臓器障害患者での体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation : ECMO)や持続的腎代替療法(continuous renal replacement therapy : CRRT),二次感染症や遷延する肺線維症への対応など,多くのタスクを実施し,救命に繋げることができた。また,陰圧室内外での医療安全を支える設備面の充実,重症患者管理ができる医療従事者の育成や多職種連携を強化することもできた。

     本稿では,重症COVID-19の動向と徳島大学病院での重症COVID-19診療への取り組み,およびCOVID-19関連ARDSに対する人工呼吸管理について紹介する。

  • 大串 文隆
    原稿種別: 特集
    2023 年79 巻1.2 号 p. 25-32
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/03
    ジャーナル フリー

    2019年12月に中国で新型コロナ感染症(COVID-19)患者が発生してから,またたく間に世界的大流行へと拡大し,現在世界では,6億人以上のCOVID-19の感染が確認され600万人以上が死亡している1)。また,わが国においても2000万人以上の感染が確認され4万人以上の死亡が報告されている2)。コロナウイルスも変異を繰り返しα株からデルタ株,そしてオミクロン株,その亜系統と高い感染性を有するウイルスに変化し3)この間新規感染者数は増減を繰り返しながら大きな波を形成し現在は第8波に入ったといわれている。COVID-19の症状はインフルエンザのような発熱,咳,痰,倦怠感などの感冒様症状以外にも嗅覚障害,味覚障害,消化器症状,耳鳴り,脱毛など多様な症状を呈することが分かってきた。また,COVID-19の感染者の大半は回復するが急性期を過ぎた後も症状が遷延する,もしくは新たな症状が出現するなど罹患した一部の患者さんにさまざまな罹患後症状をみとめることも明らかになってきた。これらの症状は「遷延する症状(persistent symptoms,prolonged symptoms)」,「遅発症(late-onset symptom)」,「後遺症(sequelqae)」あるいは「Long COVIDコロナ後遺症,新型コロナ罹患後症状」などさまざまな呼び名がもちいられている。この項ではコロナ後遺症の現状と当院で開設しているコロナ後遺症外来の状況と課題について報告する。

  • 仁木 真理子, 久保 宜明
    原稿種別: 特集
    2023 年79 巻1.2 号 p. 33-36
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/03
    ジャーナル フリー

    Coronavirus disease 2019(COVID-19)は2019年12月に中国に端を発した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症であり,主に呼吸器症状を引き起こすが,それに付随して多彩な皮膚症状を呈することが報告されている。多彩な皮膚症状や皮膚疾患として現れる後遺症に関しては,一定の傾向がみられるが,皮疹とCOVID-19の正確な関係はいまだ不明である。

  • 船本 雅文, 池田 康将
    原稿種別: 特集
    2023 年79 巻1.2 号 p. 37-42
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/03
    ジャーナル フリー

    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は呼吸器障害に加えて,心血管,肺,神経系の慢性的な多系統の合併症を発症し,多臓器損傷に至る。特に,急性心筋障害,不整脈,急性冠症候群,静脈血栓塞栓症などの心血管合併症は致死的であり,高血圧,糖尿病,冠動脈疾患などの既存の心血管併存疾患は,感染症の重症度,予後不良および死亡率の上昇に関連している。COVID-19による心血管疾患臓器傷害に対して適切に対処する必要があることから,新しい治療法や治療薬の開発が必要である。COVID-19に対する有効な薬剤やワクチンの研究開発が進められる中,日本伝統の和漢医薬品である漢方薬の可能性が注目されている。本稿では,COVID-19の心血管合併症に焦点を当ててその病態生理と漢方薬による支持療法について概説する。

  • 添木 武
    原稿種別: 総説
    2023 年79 巻1.2 号 p. 43-52
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/03
    ジャーナル フリー

    心房細動は比較的起こりやすい不整脈で加齢に伴い増加し,日本国内に潜在的な人も含め100万人以上の患者がいると推定されている1)。心房細動では,心房に350~600回/分の不規則な電気の渦(小さなリエントリー)が生じ,この電気信号の何割かが心室に到達し不規則に興奮するため脈が乱れるようになる。心房細動の有病率は年齢が進むにつれて上昇し,脳卒中,心不全,心筋梗塞などの発症に関与している。心房細動のリスク因子としては,加齢,高血圧,心不全,冠動脈疾患,心臓弁膜症,肥満,糖尿病,慢性腎臓病などが知られている2,3)。また,心房細動が発症した場合の治療法としては,①脳梗塞予防のための抗凝固療法,②症状を改善し心不全などを予防するために脈を正常のリズムに戻すリズムコントロール,③心拍数をコントロールしていくレートコントロールなどが中心となる。さらに,リズムコントロールについては,薬物療法に加えカテーテルアブレーションによる治療が急速に進化している。しかしながら,慢性炎症を基盤とした心房細動の病態については不明な点がまだ多く残されている。著者らは,慢性炎症としての心房細動の発症に着目し研究を重ねることによってその病態解明と新しい診断・治療法の開発を目指しており,本稿においてその概略を紹介したい。また,並行して,カテーテルアブレーションによる心房細動治療に取り組んでおり,その紹介とともに心不全合併心房細動との関連について解説したい。

  • ~自身の逆流性食道炎の研究から~
    曽我部 正弘
    原稿種別: 総説
    2023 年79 巻1.2 号 p. 53-66
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/03
    ジャーナル フリー

     胃食道逆流症(Gastroesophageal Reflux Disease:以下,GERD と略)は胃食道逆流により引き起こされる食道粘膜傷害と煩わしい症状のいずれかまたは両者を引き起こす疾患と定義されている1)。GERDは内視鏡的に食道粘膜傷害を認める「びらん性GERD」と内視鏡的に粘膜傷害を認めず症状のみを認める「非びらん性GERD」に分類される。前者は一般的に逆流性食道炎(Reflux Esophagitis)として,後者はNERD(Non-Erosive Reflux Disease)として広く知られている。

     逆流性食道炎を含むGERDの罹患者数は日本や欧米などの先進国では1970~1990年代頃にかけて急激に増加し,経済成長の著しい発展途上国においても近年増加傾向にある2-4)。本邦における逆流性食道炎を含むGERD罹患者数は約1,000~1,500万人で,成人の5人に1人がGERD罹患者と考えられている。逆流性食道炎は粘膜傷害の程度によりロサンゼルス分類(以下,LA分類と略)を用いてgrade Aからgrade Dに分類される5)(重症度:D > C > B > A)(図1)。食道粘膜傷害の主な原因は胃酸の胃食道逆流による食道内への過剰な胃酸曝露であり,その要因は食道裂孔ヘルニアの存在や肥満による腹腔内圧の上昇に伴う下部食道括約筋圧の低下や胃内の空気を排出する際の一過性の下部食道括約筋弛緩であり,食事や喫煙などの生活習慣などが,これらの要因に影響を及ぼしていると考えられている6-14)。また最近では,食道腺癌発症機序の一つに,逆流性食道炎→バレット食道→食道腺癌の経路が明らかとなり,欧米では最近30年間においてHelicobacter pylori(以下,H. pyloriと略)感染率の低下とともにバレット食道からの食道腺癌発生率が数倍になっていることが報告されている15)(図2)。本邦においても肥満者の増加に加え,生活習慣の欧米化やH. pylori非感染者の増加に伴い逆流性食道炎罹患者が増えていることから,今後GERD症状に悩まされる罹患者が増えるだけではなく,バレット食道からの食道腺癌患者の増加に繋がる可能性が懸念されており,食道腺癌発症の観点からも逆流性食道炎の予防は極めて重要な課題である。そこで本稿では,著者らがこれまで行ってきた逆流性食道炎に関する幾つかの研究について紹介させていただく。

  • 新家 崇義
    原稿種別: 総説
    2023 年79 巻1.2 号 p. 67-72
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/03
    ジャーナル フリー

     わが国でのCT装置の普及率は先進国と比較しても高く,日常診療において多くの肺病変が検出され,肺癌を念頭に精密検査や経過観察が行われている。本邦での原発性肺癌の罹患率は年々増加傾向であり,2018年には約12万3000人が新たに肺癌と診断されている1)。そのような中で,肺癌としては非典型的なCT像を呈するため良悪性の診断に難渋する肺結節や,病期診断に苦慮する肺癌症例にしばしば遭遇する。その他,肺癌治療後の再発評価や治療効果判定においても,CT画像での評価が難しい症例もしばしば経験される。

     2002年4月より,肺癌診療でもF-18フルオロデオキシグルコース(fluorodeoxyglucose,以下FDG)を用いた保険診療が行われている。PET/CT(Positron Emission Tomography/Computed Tomography)検査は,骨シンチグラフィなどシンチグラフィ検査と同様の機能イメージングのひとつであり,FDGなど投与された放射性医薬品の性質に基づき機能・代謝評価が行える。その点がCTで得られる形態画像と大きく異なり,高分解能CTとはお互いを補完しながら発展を遂げてきた。PET診断用放射線性薬剤として代表的なF-18 FDGはブドウ糖を陽電子放出核種であるF-18で標識した放射線医薬品であり,ブドウ糖輸送担体により促通拡散として細胞膜を通過して糖代謝の亢進した細胞内に取り込まれる。このような集積機序を利用してF-18 FDGを用いた腫瘍診断が行われている。

     2005年10月徳島県で初めて徳島大学病院高度画像診断センターにPET/CT装置2台が導入され,現時点では徳島県内4施設でPET/CT検査が行われている。本稿ではFDG-PETの肺癌診療での有用性を中心に,PET診断の基礎から,開発研究が進んでいる新たな撮影法や撮影機器,ポストF-18 FDGの放射性腫瘍イメージングまで概説する。

  • 𦚰野 修
    原稿種別: 総説
    2023 年79 巻1.2 号 p. 73-78
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/03
    ジャーナル フリー

    近年,糖尿病性腎症に対する新たな治療戦略としてSGLT2阻害薬が脚光を浴びている。本薬剤は今まで腎臓病領域では不可能であった,透析,腎不全の進行,腎臓による死亡などのハードエンドポイントを抑制した薬剤である。この治療薬の開発とともに,糖尿病性腎症における尿細管の意義が注目されてきた。本稿では私の進めてきた尿細管を中心とした糖尿病性腎症の病態生理に関する研究とともにさらに昨年より糖尿病性腎症に使われるようになったミネラルコルチコイド受容体拮抗薬とそれにかかわる私の研究を述べる。

  • 杉本 沙紀, 今井 芳枝, 上田 伊佐子, 近藤 和也, 高開 登茂子, 長谷 奈生己, 板東 孝枝, 髙橋 亜希, 井上 勇太, 森 裕香 ...
    原稿種別: 研究論文
    2023 年79 巻1.2 号 p. 79-90
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/03
    ジャーナル フリー

    急性期病院で治療を受ける認知症高齢がん患者に対する看護実践とその関連要因を明らかにすることを目的とした。2021年5月~7月に認知症高齢がん患者の看護経験を有する400名に無記名自記式質問紙調査を行った。急性期病院で治療を受ける認知症高齢がん患者に対する看護実践を構成する因子は「患者が自分の状態の安全を管理できないところを配慮する」「患者の日常性を維持させていくための工夫をする」が生成された。重回帰分析の結果,急性期病院で治療を受ける認知症高齢がん患者に対する看護実践には,「看護師経験年数」「認知症高齢がん患者の看護経験年数」「認知症に関する勉強会・研修会参加」[認知症に関する知識状況],[認知症看護実践],[看護師としての倫理的行動力]が関連していた。

  • Yoshie Imai, Yoshie Murakami, Yuko Takeda, Yuko Kawasaki, Megumi Kishi ...
    原稿種別: research-article
    2023 年79 巻1.2 号 p. 91-102
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/03
    ジャーナル フリー

    Background :

    Retinoblastoma (RB) occurs at a very young age. Since the disease is diagnosed at an early age, the family is responsible for the care of the childʼs disease acceptance.

    Objective : This study aims to explore the parenting process of children with RB toward disease acceptance.

    Methods : Parents of eleven children with RB living in Japan were interviewed, and the data were analyzed using the Modified Grounded Theory Approach of Kinoshita (M-GTA).

    Results : There were twenty-one concepts representing the process of parenting a child with RB while guiding him or her toward disease acceptance, and nineteen of them were classified into

    ten categories based on semantic similarities. The two other concepts showed similar interpretability to categories. These categories and concepts were summarized into two core categories :

    “Helping the child develop a positive mindset to define the disease as a part of him/herself” and

    “Paving the way in advance for the child to live comfortably when his or her living space expands”.

    Conclusions : In a cyclical framework of parenting, consisting of two core categories described

    in Results, the parents coordinated these two approaches while maintaining balance by “Avoiding saying anything that does not need to be said” and established their process of parenting a child

    with RB while guiding him or her toward disease acceptance, according to their household situation. The results suggest the necessity of recognizing that in childhood-onset cancers, such as RB,

    and diseases involving genetic issues, problems tend to occur not only during the treatment period but also at the time of life events and providing support from a comprehensive perspective.

  • 河北 貴子, 加藤 剛志, 門田 友里, 白河 綾, 木内 理世, 吉田 加奈子, 岩佐 武
    原稿種別: 研究論文
    2023 年79 巻1.2 号 p. 103-108
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/03
    ジャーナル フリー

     新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により医学生の臨床実習は大きく変化し,院内での実習が制限されることとなった。少しでも学生実習を有意義なものにするために腹腔鏡シミュレーターによる医学教育を導入した。本実習の有用性について学生のアンケートを行い,理解度の評価や今後の課題について検討した。院内実習が可能であった学生に腹腔鏡シミュレーター(Lap MentorTM)を用いた実習を導入し,実習後に腹腔鏡手術の知識,手術手順,手技の上達,骨盤内の解剖の理解度,産婦人科手術に興味を持てるようになったか,腹腔鏡実習で何が良かったかなどの項目についてアンケート調査を行った。腹腔鏡手術の知識については理解が深まったが100%であった。手術手順について理解できたは91%,手技の上達は91%,骨盤内の解剖の理解度は97%などであった。Lap MentorTMでの実習は,骨盤内画像を見ながら手術手技を経験することが可能であり,手術や産婦人科に興味を持たせる手段として有用であった。

     近年,COVID-19の流行によりわれわれの生活スタイルは大きく変化した。教育の現場でも多くがオンライン授業となり,動画を含めたさまざまな教材が導入されるようになった。座学においては,オンライン授業の導入もスムーズではあったが,臨床実習への応用においては困難な面も多い。外科系診療科において術野での体験は,実際の解剖を目にする場であり,その後の診療選択にも大きく貢献するが,地域の感染状況によっては術野に入ることが制限され,院内での実習が制限されることとなった。そのような状況において少しでも学生に実体験として腹腔鏡手術に触れ,実習を有意義なものにするために,2021年度は腹腔鏡シミュレーターによる医学教育を導入した。当院では5年時に約6名の学生が産婦人科にローテイトで実習に来る。実習の際に,腹腔鏡トレーニングボックス,Lap MentorTMを用いた手術手技の実習を取り入れた。本実習の有用性について学生のアンケートを行い,理解度や満足度について評価した。

  • 倉石 佳奈, 監崎 孝一郎, 藤本 啓介, 久保 尊子, 澤田 徹, 法村 尚子, 三浦 一真
    原稿種別: 症例報告
    2023 年79 巻1.2 号 p. 109-116
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/03
    ジャーナル フリー

     症例は60歳代女性。7年前より徐々に増大する右頸部腫瘤と右甲状腺腫瘍を認めた。画像検査所見から甲状腺癌+頸部リンパ節転移の可能性が否定できなかったため,確定診断と根治治療を目的に,甲状腺右葉切除術+右頸部腫瘤切除術+D1uniを施行した。右甲状腺腫瘍はfollicular adenoma,頸部腫瘤は神経鞘腫と診断された。

     神経鞘腫は神経鞘のSchwann細胞から発生する良性腫瘍で,頭頸部全体に発生頻度が高く,25~45%が頭頸部に発生する。迷走神経,腕神経叢,交感神経の刺激症状を呈することが特徴であるが,本症例のように無痛性の頸部腫瘤のみを呈する例も多い。穿刺吸引細胞診で診断できる症例もあるが,十分な検体が得られないことも多く,術前に診断される症例は約半数である。

     前頸部腫瘤の鑑別診断は悪性リンパ腫,悪性腫瘍の頸部リンパ節転移,顎下腺腫瘍,結核性リンパ節転移などが挙げられる。本症例では,甲状腺癌の頸部リンパ節転移が鑑別に挙げられたが,組織学的検査では甲状腺,頸部腫瘤ともに悪性腫瘍は検出されず,甲状腺濾胞腺腫と頸部神経鞘腫が独立して発生した症例と考えられた。

     頸部神経鞘腫と甲状腺腫瘍を合併し,術前に甲状腺癌リンパ節転移を疑われた症例を経験したため報告する。

  • 法村 尚子, 監崎 孝一郎, 藤本 啓介, 久保 尊子, 澤田 徹, 橋本 新一郎, 紺谷 桂一, 三浦 一真, 寒川 睦子, 矢島 俊樹
    原稿種別: 症例報告
    2023 年79 巻1.2 号 p. 117-122
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/03
    ジャーナル フリー

     症例は80歳代女性。既往歴に拡張型心筋症あり。4年前に心不全を発症したが治療により病状は安定していた。1年前より無症状の甲状腺腫瘍と潜在性甲状腺機能亢進症のため当院内科にて経過観察を行っていた。バセドウ病関連自己抗体のTSAb,TRAbは正常範囲であった。超音波検査,造影CTで甲状腺両葉に多数の充実性結節を認め,99mTc甲状腺シンチグラフィで甲状腺両葉に複数のhot noduleを認めたため中毒性多結節性甲状腺腫と診断した。高齢であること,無症状であることから経過観察が行われていたが,甲状腺機能の軽度悪化を認め,拡張型心筋症に伴う心不全の既往があることを考慮して甲状腺全摘術を行った。切除組織の病理検査では,最大径2mmの複数個の腺腫様甲状腺腫を認めた。偶発的に2mm大の乳頭癌1個も認めた。術後,甲状腺ホルモンは速やかに正常化し,現在2年経過した。

     本症例は高齢患者で拡張型心筋症の既往もあったため,速やかに甲状腺機能制御が可能な外科的治療が必要と考えられた。

     甲状腺腫瘍の中で,甲状腺ホルモンを産生・分泌する結節があり,autonomously functioning thyroid nodule(AFTN)と称する。ヨード不足があまりないわが国では比較的まれな病態である。AFTNは甲状腺結節病変の0.7%,甲状腺中毒症の0.3%を占めると報告されている1,2)。結節が複数ある場合はToxic multinodular goiter(TMNG)と称される。今回,心不全の既往を有する高齢のTMNG症例に対して甲状腺全摘術を行ったので報告する。

  • 吉本 奈央, 森岡 久尚, 笹 聡一朗, 門田 宗之, 津田 恵, 西 京子, 岩田 貴
    原稿種別: その他
    2023 年79 巻1.2 号 p. 123-128
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/03
    ジャーナル フリー

    徳島大学病院2年目研修医として国立保健医療科学院の研修でフィリピンの海外研修を経験したので報告する。国立保健医療科学院は,保健・医療・福祉に関する教育・調査及び研究を行う機関で,専門課程Ⅲ地域保健臨床研修専攻科で2ヵ月間研修した。厚生労働省・千葉県庁・国立感染症研究所などでの院外研修に加え,フィリピン(マニラ)での1週間の海外研修は,主にフィリピン大学,Philippine General Hospital,郊外ヘルスセンターやWHO西太平洋事務局で蚊媒介性感染症や,人畜共通感染症,寄生虫感染症について講義・研修を受けた。日本と大きく乖離しているフィリピンの生活環境の衛生面が原因で狂犬病や寄生虫感染症が猛威を振るっていることは実際の視察で理解できた。海外の医療現場で医療制度について学ぶことで,日本の医療制度のメリットや,今後目指すべき方向性などをさまざまな視点から改めて深く考えることができた。

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