神経眼科
Online ISSN : 2188-2002
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31 巻, 3 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
特集
  • 後関 利明
    2014 年 31 巻 3 号 p. 297
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/12/17
    ジャーナル 認証あり
  • 若杉 安希乃
    2014 年 31 巻 3 号 p. 298-305
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/12/17
    ジャーナル 認証あり
    漢方薬の処方決定は,本来,漢方医学的診断によって「証(しょう)」が決まり,証に随って行われる.そのため,西洋医学の診断名における疾患を対象に漢方薬を選択することは,本来の漢方治療とは言えない.漢方医学においてもエビデンスが必要とされ,漢方薬を病名投与した臨床研究が増加している.眼科疾患に対して漢方治療を実践するための試み,および眼科検査の活用の可能性について紹介し,漢方治療が眼科領域に定着することを願う.
  • 岡田 純
    2014 年 31 巻 3 号 p. 306-312
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/12/17
    ジャーナル 認証あり
    生物学的製剤はこの10年で目覚ましい発展をとげ,特に関節リウマチの分野では寛解やDrug-free も期待できるところまできた.一部の,自己免疫疾患では,一定の効果は得られるものの,完全寛解まで誘導できるものは,まだない.それだけ,自己免疫疾患は,多因子疾患で,免疫異常も多義にわたっている可能性もある.従来の免疫抑制薬も,使用法が改善され,副作用の軽減化がはかられた.一方,Mycophenolate mofetilのような新しいより副作用の少ない免疫抑制薬も登場し,特に多発性硬化症の分野では新しい機序の免疫抑制薬が開発され,MSの治療戦略を変えつつある.このように,免疫抑制薬,生物学的製剤の近年の発達は目覚ましい.神経眼科関連の自己免疫疾患を中心に,これら薬剤の特徴,各疾患における使用法を述べる.
  • 後関 利明
    2014 年 31 巻 3 号 p. 313-319
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/12/17
    ジャーナル 認証あり
    電子付録
    ボツリヌス毒素は,嫌気性グラム陽性桿菌であるボツリヌス菌(Clostridium botulinum)によって産生される神経毒素で,既存の毒素のなかで最強の毒であることが知られている.医学治療でのボツリヌス毒素の使用は1977年米国のDr.Scottによる斜視への使用が最初である.眼科領域では,片側顔面痙攣や眼瞼痙攣で使用が盛んである.本稿では当院での片側顔面痙攣,眼瞼痙攣での使用成績,筆者が実践している投与方法について触れさせていただいた.また,これからの治療ではあるが斜視や流涙症への使用などについてもご紹介させていただいた.より多くの人にボツリヌス療法を理解していただき,明日からの臨床に役立てていただければと思う.
  • 津田 浩昌
    2014 年 31 巻 3 号 p. 320-325
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/12/17
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    薬剤による眼科領域の副作用は,視神経症,網膜症,眼球運動障害,眼瞼攣縮,眼圧上昇,緑内障,白内障,眼炎症,瞳孔異常など,きわめて多岐にわたる.本稿では,臨床の現場で使用頻度が高く,視覚系障害に注意すべき薬剤について概説した.抗不整脈薬のamiodaroneは,全例に角膜への色素沈着がみられるが,稀に視神経障害を起こす.Digitalis投与中は,患者が光視症や黄視症を自覚することが多い.抗菌剤では,metronidazole,ciprofloxacin,linezoridoで視神経障害が起こりうる.さらにciprofloxacinには,posterior reversible encephalopathy syndrome(PRES),pseudotumor cerebriの副作用も報告されている.抗結核薬では,ethambutolとisoniazidに中毒性視神経症,rifabutinにはぶどう膜炎の副作用がある.抗てんかん薬のtopiramateは,副作用として隅角閉塞性緑内障,近視,視神経障害,卵黄様黄斑症,脈絡膜剥離が報告されている.抗ヒトtumor nectosis factor-alfa モノクローナル抗体の副作用として,infliximabは網膜症,視神経炎,視交叉障害があり,adalimumabとetanerceptには視神経炎がある.Interferon alfaの副作用としては,網膜症の頻度が高く,その他に結膜下出血,眼圧上昇,網膜剥離,虚血性視神経症が報告されている.抗がん剤では,白金製剤の頸動脈内投与に伴い,急性発症の中毒性視神経症が起こりうる.Vincristineの副作用には,視神経症,動眼神経麻痺,外転神経麻痺,全外眼筋麻痺が報告されている.Tamoxifenの副作用には,黄斑症と視神経症の既報告がある.また,FOLFOX療法に伴い,両眼性の虚血性視神経症が起きた症例が報告されている.勃起不全治療薬のphosphodiesterase-5 inhibitorには,稀な副作用として非動脈炎性前部虚血性視神経症があることを,事前に患者へ告知しておくべきである.Visphosphonate製剤の副作用には,ぶどう膜炎を主とした眼炎症の他に,視神経障害が報告されている.免疫抑制剤では,fingolimodは黄斑浮腫が用量依存性に起こりうる.CyclosporineにはPRES,視神経症,TacrolimusはPRES,視神経症,黄斑症が,副作用としてそれぞれ報告されている.上述の薬剤を使用する際には,視覚系の副作用に留意する必要がある.
症例短報
  • 青松 圭一, 中尾 雄三, 浦瀬 文明
    2014 年 31 巻 3 号 p. 326-330
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/12/17
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    症例は近医からの紹介で51歳女性の保育士.視力低下,眼痛,羞明の症状出現の前に,手足の関節痛,頬部の発赤の伝染性紅斑を疑わせる症状があった.両側視神経乳頭浮腫を認め,眼窩部MRIではSTIR 法にて両側視神経の腫大と高輝度信号を認めた.血清学的検査では抗ヒトパルボウイルスB19IgM抗体価の上昇が確認された.治療はステロイドパルス療法を1クール施行.治療前の視力右眼(0.7),左眼(0.3),中心フリッカー値両眼13Hzは,治療後視力右眼(1.2),左眼(1.2),中心フリッカー値右眼37Hz,左眼35Hzまで回復した.発症約3か月後には抗ヒトパルボウイルスB19IgM 抗体価の低下を確認できた.視神経症(炎)の原因疾患の一つとしてヒトパルボウイルスB19感染症も鑑別にあげるべきと考える.
  • 飯島 綾, 石川 均, 後関 利明, 清水 公也, 金井 昭文
    2014 年 31 巻 3 号 p. 331-335
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/12/17
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    うっ血乳頭を合併した脳脊髄液減少症の1例を経験した.症例は60歳男性.自転車で転倒した後より,頭痛・めまい・吐気・耳鳴りが出現した.脳神経外科で画像上,慢性硬膜下血腫を認め,臨床症状からは脳脊髄液減少症の診断となり,硬膜外自家血注入を施行した.頭痛・めまい・吐気などの症状は改善したが,治療後1か月後に「焦点が合わない,歪む」との主訴で眼科を受診した.初診時両眼のうっ血乳頭を認めた.経過観察のみで徐々に乳頭腫脹および網膜出血は改善したが,硬膜外自家血注入は脳圧を上昇させる可能性も指摘されているため,今後,硬膜外自家血注入療法の際には,前後での眼科の診察が必要であると考えられた.
  • 細木安希子 , 奥 英弘, 戸成 匡宏, 奥野 高司, 池田 恒彦
    2014 年 31 巻 3 号 p. 336-340
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/12/17
    ジャーナル 認証あり
    可逆性白質脳症(PRES)は,後頭葉白質を中心に一過性の脳浮腫を来す疾患群である.原因としては,高血圧や抗がん剤および免疫抑制剤の使用が多い.症例は55歳男性.上顎癌に対するシスプラチン+5-フルオロウラシルの化学療法中に腎障害と高血圧が出現した.その後突然,両眼の矯正視力が0.02まで低下し,中心視野を含む右同名半盲様所見を認めた.頭部MRIで,両側後頭葉を中心にFLAIR高信号域を認め,PRESが指摘された.PRESに対しての降圧や電解質補正,脳浮腫治療の後,視力と視野,画像所見は著明に改善した.本症例におけるPRES発症の原因として,高血圧,抗がん剤による血管透過性亢進の関与が考えられた.
話題
入門シリーズ103
臨床と研究の接点
  • 堀口 浩史
    2014 年 31 巻 3 号 p. 350-356
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/12/17
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    明所視において光を神経信号に変換できるのは,網膜の視細胞層にある3種類の錐体のみと考えられてきたが,21世紀に入ってから神経節細胞内に新たな視色素であるメラノプシンが発見された.メラノプシンは持続的な瞳孔収縮と概日周期の調整に関与しており,視覚に関与しないnon-visual pigmentとして考えられてきた.しかし,正常のヒトにおいても,メラノプシンが視覚に寄与している可能性が高いことが判明してきた.本稿ではメラノプシン研究の歴史と非視覚・視覚への関与について述べる.
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海外文献
Asian Section
  • Nancy Chen, Tzu-Lun Huang, Rong-Kung Tsai
    2014 年 31 巻 3 号 p. 377-381
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/12/17
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    Glaucoma is one of the most common worldwide ophthalmologic diseases that cause loss of vision. Glaucoma is a neurodegenerative disease characterized by the loss of retinal ganglion cells and their axons. It has been suggested that intraocular pressure(IOP)is merely one of the many risk factors for this disease. Current treatment options for this disease have been limited to the reduction of IOP; however, it is clear that the disease continues to progress in many patients despite the effective lowering of IOP. The search for neuroprotective strategies is ongoing, and numerous experimental studies have suggested that several pathologic processes are involved in the pathogenesis of glaucoma and have proposed new treatment strategies. In this review, we summarize the recent development of neuroprotection in glaucoma and discuss the differences between preclinical studies and human clinical trials.
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