神経眼科
Online ISSN : 2188-2002
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33 巻, 1 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
巻頭言
特集
  • 三村 治
    2016 年 33 巻 1 号 p. 2
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/30
    ジャーナル 認証あり
  • 植木 智志
    2016 年 33 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/30
    ジャーナル 認証あり
    本稿は「麻痺性斜視の診断」と題して「第71回日本弱視斜視学会総会のミニシンポジウム1 麻痺性斜視―診断と治療の進歩」で講演した内容をまとめたものである.麻痺性斜視の診断は,動眼神経,滑車神経,外転神経の脳神経麻痺の診断であり,それぞれの脳神経麻痺の原因検索をしなければならない.原因となり得る疾患とそれらの年代別の頻度を理解することが重要であり,またそれぞれの脳神経の解剖学的特徴を理解することが重要である.さらに動眼神経麻痺の原因となり得る脳動脈瘤,外転神経麻痺の原因となり得る脳腫瘍は患者の生命を脅かし得る疾患であり,どのテキストでも強調されている最重要事項である.これらの麻痺性斜視の診断についての基本となる事項を分かりやすく述べ理解してもらうことが本稿の目的である.麻痺性斜視の診断の応用編となる事項として,瞳孔散大を呈さない脳動脈瘤による動眼神経麻痺,両側滑車神経麻痺,軽度の外転神経麻痺と区別が困難な後天共同性内斜視,複合脳神経麻痺についても述べる.
  • 宮本 和明
    2016 年 33 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/30
    ジャーナル 認証あり
    麻痺性斜視の中には自然治癒傾向が強いものがあり,その経過と予後を把握することは,麻痺性斜視の診療に重要である.麻痺性斜視には,眼運動神経麻痺と筋原性のものがある.眼運動神経麻痺の主な原因に,血管性,脳動脈瘤,頭部外傷,腫瘍,先天性(代償不全)があるが,原因ごとに予後が異なる.血管性は自然治癒傾向が強く,発症から数カ月のオーダーで徐々に回復し,6カ月後にはほぼ9割が完全に回復する.脳動脈瘤や腫瘍など,器質的疾患が原因のものの回復は不良である.筋原性のものは,治療が奏効し,外眼筋腫大等の所見が消失すれば,第一眼位での複視の自覚は改善することが多い.
  • 後関 利明
    2016 年 33 巻 1 号 p. 16-22
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/30
    ジャーナル 認証あり
    電子付録
    麻痺性斜視の非観血的治療には,プリズム療法,遮閉療法,ボツリヌス療法が挙げられる.観血的治療は手術器具,麻酔方法など,様々な要因で施行できる施設に限りがある.一方,非観血的治療はどの施設でも施行は可能である.また,症状が固定するまでの期間,観血的治療施行までに待機時間,観血的治療では治療が困難な小角度の眼位異常,観血性治療後の微調整にも有効な治療である.
  • 根岸 貴志
    2016 年 33 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/30
    ジャーナル 認証あり
    麻痺性斜視に対する手術法は数多いが,いずれも麻痺筋の収縮運動を取り戻せないことに治療の困難と限界がある.手術の目標は,両眼単一視野の移動と拡大による複視の軽減および,整容的治癒となる.外転神経麻痺は水平方向の単筋麻痺で,近年では切腱・筋分割を行わない西田法が評価されている.滑車神経麻痺は,単筋麻痺だが上下斜視と外方回旋を来し,遷延すると病態が複雑化するため適切な術式選択が必要である.動眼神経麻痺は最大4外眼筋麻痺がおきて治療が困難である.外直筋の後転・切腱・切除の効果は一時的で,近年提唱の骨膜固定も長期予後は不明である.それぞれの術式の特徴を挙げ選択例を示す.
症例短報
  • 西川 優子, 奥 英弘, 戸成 匡宏, 菅澤 淳, 池田 恒彦
    2016 年 33 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/30
    ジャーナル 認証あり
    抗MOG抗体強陽性であったchronic relapsing inflammatory optic neuropathy(CRION)の1例を報告する.症例は38歳男性,2014年3月に右眼視神経炎と診断され,ステロイドパルス療法で視機能は回復した.その後2015年2月までに,左眼に4回有痛性視神経炎の再発を認め,いずれもステロイドパルス療法で軽快した.プレドニゾロン持続投与(最大用量30mg/日)により,その後の再発は抑制されている.本症例はその臨床経過から,典型的なCRIONと考えられた.抗AQP-4抗体は陰性であったが,抗MOG抗体が9192倍と強陽性であった.本症例は,CRIONの原因として抗MOG抗体の関与を示唆している.またCRIONでは長期の免疫抑制が必要とされ,ステロイドパルス療法は慎重に行う必要があると考えられた.
  • 森 優, 山上 明子, 井上 賢治, 若倉 雅登
    2016 年 33 巻 1 号 p. 32-36
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/30
    ジャーナル 認証あり
    背景:副腎ステロイド薬(以下ステロイド)に反応良好な再発性視神経炎の症例で,涙腺腫大をきたしIgG4眼関連疾患の合併を認めた症例を経験した.
    症例:複数回の視神経炎再発に対しステロイド加療の既往がある80歳男性.右眼視力低下を主訴に受診.右眼視力は(0.9),限界フリッカ値は低下し相対的求心路瞳孔障害が陽性であり,右眼視神経乳頭発赤を認めた.magnetic resonance imaging(以下MRI)では眼窩内占拠性病変はなかった.右眼視神経炎再発と診断し,ステロイドパルス療法施行.治療開始直後から症状・所見共に改善した.1年後に右)眼瞼腫脹を主訴に再診.視力低下・眼球運動障害はなかったが,MRIで両側涙腺の腫大と均一な造影効果を認めた.血液検査でIgG4は著明な高値を示し,IgG4関連症候群と診断した.
    結論:ステロイドへの反応良好な再発性視神経炎の発症にIgG4関連眼疾患が関与していた可能性があった.眼窩内占拠性病変が検出されない場合でも再発する視神経炎ではIgG4を測定する必要がある.
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