背景:副腎ステロイド薬(以下ステロイド)に反応良好な再発性視神経炎の症例で,涙腺腫大をきたしIgG4眼関連疾患の合併を認めた症例を経験した.
症例:複数回の視神経炎再発に対しステロイド加療の既往がある80歳男性.右眼視力低下を主訴に受診.右眼視力は(0.9),限界フリッカ値は低下し相対的求心路瞳孔障害が陽性であり,右眼視神経乳頭発赤を認めた.magnetic resonance imaging(以下MRI)では眼窩内占拠性病変はなかった.右眼視神経炎再発と診断し,ステロイドパルス療法施行.治療開始直後から症状・所見共に改善した.1年後に右)眼瞼腫脹を主訴に再診.視力低下・眼球運動障害はなかったが,MRIで両側涙腺の腫大と均一な造影効果を認めた.血液検査でIgG4は著明な高値を示し,IgG4関連症候群と診断した.
結論:ステロイドへの反応良好な再発性視神経炎の発症にIgG4関連眼疾患が関与していた可能性があった.眼窩内占拠性病変が検出されない場合でも再発する視神経炎ではIgG4を測定する必要がある.
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