神経眼科
Online ISSN : 2188-2002
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34 巻 , 4 号
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特集
  • 清澤 源弘
    2017 年 34 巻 4 号 p. 403-404
    発行日: 2017/12/25
    公開日: 2018/01/29
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  • 鈴木 幸久, 清澤 源弘, 若倉 雅登, 石井 賢二
    2017 年 34 巻 4 号 p. 405-410
    発行日: 2017/12/25
    公開日: 2018/01/29
    ジャーナル 認証あり
    眼瞼痙攣は,眼輪筋の間欠性または持続性の不随意な過度の収縮により開瞼困難をきたす疾患である.局所性ジストニアの一型であり,病因についてはまだ解明されていないが,脳の機能的異常が原因と考えられている.眼瞼痙攣患者の自覚症状の訴えは,「まぶしい」,「眼を開けていられない」など多様で,特に初期では眼輪筋の異常収縮がみられないことも多い.眼瞼痙攣と鑑別を要する疾患として,ドライアイ,眼瞼ミオキミア,片側顔面痙攣,開瞼失行症などが挙げられるが,これらの疾患は眼瞼痙攣に合併することもある.診断は,問診,視診,既往歴などから総合的に判断するが,特に明らかな眼輪筋の異常収縮がみられない症例に対しては,速瞬,軽瞬,強瞬などの誘発試験を用いると有用である.また,薬剤性眼瞼痙攣も存在するためベンゾジアゼピン系薬などの服薬歴の聴取も必要である.ポジトロン断層法と18F-フルオロデオキシグルコースを用いて本態性眼瞼痙攣患者21例,薬剤(ベンゾジアゼピン系)性眼瞼痙攣患者21例,ベンゾジアゼピン系薬を使用している健常人24例の脳糖代謝を測定した.本態性および薬剤性眼瞼痙攣群では,健常群63例と比較して両側視床の糖代謝亢進がみられ,薬剤使用健常人においても視床の糖代謝亢進がみられた.眼瞼痙攣では,基底核-視床-大脳皮質回路の賦活化によって視床の糖代謝亢進がおこっており,それが病因の一つになっていると推測した.
  • 清澤 源弘, 小町 祐子, 髙橋 真美
    2017 年 34 巻 4 号 p. 411-420
    発行日: 2017/12/25
    公開日: 2018/01/29
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    眼瞼痙攣治療を成功させる10のヒントやコツをまとめた.
    1)痙攣の状態の把握には「自己評価表(若倉表)」を用いる.原発性眼瞼痙攣でも薬剤性眼瞼痙攣でも多くが陽性を示す.瞬目テストは患者に「軽瞬」「速瞬」「強瞬」をさせる.治療歴の聴取もおこなう.
    2)涙液の質と量の評価.ドライアイ症例には点眼治療とプラグ挿入が有効.
    3)MRI画像診断:眼瞼痙攣は基本的に正常.片側顔面痙攣では血管圧迫がよく見つかる.
    4)「眩しさ」「痛み」への治療として遮光眼鏡を処方.
    5)眼輪筋へのボトックス投与.重症度と反応を診て,量を増減.副作用を十分説明する.
    6)内服薬の併用,Clonazepam(リボトリール®)などの内服薬を投与する場合もある.「抑肝散加陳皮半夏」や「抑肝散」投与も可能.
    7)症状を軽減する知覚トリックを利用する方法で,クラッチ眼鏡も有効.
    8)最終手段として眼輪筋切除術がある.
    9)医療者側からの積極的な働きかけが有効.「眼瞼・顔面けいれん友の会」の紹介や,「目と心の健康相談室」の利用もすすめる.
    10)患者のニーズを把握するよう努めることが肝要.原点に戻り苦痛を除く工夫を怠らない.
  • 若倉 雅登, 山上 明子, 岩佐 真弓
    2017 年 34 巻 4 号 p. 421-428
    発行日: 2017/12/25
    公開日: 2018/01/29
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    眼球や第一次視覚野までの経路が正常だとしても,例えば何らかの原因で開瞼が不能であればその機能を利用できない.我々はこうした症例を,医学的分類というより,当該患者が何に不都合を感じているかという観点から「眼球使用困難症候群」と名づけた.
    この症候群は,そうした不都合を有する病態に広く用いたいと考えるが,同症候群の命名のきっかけになった最重症の8症例を提示し,それらの臨床的特徴を明らかにする.8例に共通するのは,微細な光に過敏に反応し,眼球の激痛や高度の羞明に常時悩まされている点である.
    8例はいずれも,暗い部屋でも閉瞼するだけでなく,アイマスクや遮光眼鏡の使用は日々の生活で常に必需であった.大半の症例はジストニアのような動的異常よりも感覚異常のほうが目立った.一部の症例は,線維筋痛症を含む身体痛,舌痛症,顎関節症や抑鬱を合併していた.また,向精神薬の連用や離脱,頭頸部外傷や何らかの脳症などが契機となって発症していた.
    このように,全例眼瞼痙攣の最重症例と類似点があるが,完全に一致するかは今後の問題である.
    眼瞼痙攣は神経科学では局所ジストニアとして理解されているが,本質は,眼球使用ができないことにある.それゆえ,眼球使用困難症候群の一部を成すものとして扱い,特に高度なものは視覚障害者として扱うのが妥当であることを主張する.
    今回提示した8例以外にも,眼球使用困難症候群はさまざまな場合があると考えられ,症候発現に関する因子も種々であろう.
    日常生活において高度の不都合があるにもかかわらず,日本の現今の障害者福祉法では,視力のみ及び視野でしか評価しないために,視覚障害として認定されない.このように,眼球使用困難症候群では福祉的救済が必要であるにもかかわらず,法的にこのような障害が想定されていないことが問題点であることを,臨床医学の立場から指摘した.
原著
  • 三村 治, 木村 亜紀子, 一色 佳彦
    2017 年 34 巻 4 号 p. 429-434
    発行日: 2017/12/25
    公開日: 2018/01/29
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    背景:A型ボツリヌス毒素は眼瞼痙攣患者の治療の第一選択であるが,患者の約10%には十分な効果が得られない.上眼瞼の手術はこのような患者の追加治療である.
    目的:難治性眼瞼痙攣患者に対する眼輪筋切除術とMüller筋縫縮術の併用の有効性を検証する.
    方法:眼瞼痙攣に対して上眼瞼手術を行い,対象基準を満たした患者を診療録から後ろ向きに抽出した.BTX-A注射の頻度と毒素量を術前術後で比較し,再手術の頻度と初回と2回目の手術の間隔を評価した.有意差検定にはStudent’s t-test(p<0.01)を用いた.
    結果:2002年から2016年までの間に63例126眼に眼輪筋切除術とMüller筋縫縮術を併施していた.BTX-A注射間隔は術前が12.6±3.9週で,術後は16.8±7.5週であった(p<0.001).術後も平均BTX-A注射量に変化はなかった.7例の患者が再手術を必要とし,初回から再手術までの期間は平均3.2年であった.
    結論:Müller筋縫縮術を併施した眼輪筋切除術は難治性眼瞼痙攣へのBTX-Aの効果を増強させる.しかし,患者の10%は平均約3年で再手術を必要とする.上眼瞼手術はBTX-Aの注射間隔を延長させることに限定的な効果があり,手術はBTX-A注射を補完するものとみなすべきである.
  • 大北 陽一, 木村 亜紀子, 増田 明子, 笠井 一郎, 三村 治
    2017 年 34 巻 4 号 p. 435-442
    発行日: 2017/12/25
    公開日: 2018/01/29
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    目的:眼鏡型ウェアラブル端末による映像視聴前後の視機能と眼疲労への影響を検討する.
    対象と方法:対象は眼疾患のない健常成人10名(平均29.8歳:23~42歳:男女比3:7)とした.眼鏡型ウェアラブル端末は,単眼シースルーディスプレイ(コニカミノルタ社)を使用し,以下に示す2つの実験を行った.
    実験1として,液晶ディスプレイの背景輝度200 cd/m2に対して,映像の投影輝度200 cd/m2・400 cd/m2・800 cd/m2に設定した静止画15分間と200 cd/m2に設定した動画1時間を視聴させた.
    実験2として,液晶ディスプレイの背景輝度400 cd/m2に対して,映像の投影輝度400 cd/m2・800 cd/m2・1,600 cd/m2に設定した静止画15分間を視聴させた.
    視機能は,他覚的等価球面屈折値と調節微動高周波成分出現頻度,実用視力を評価し,加えて眼疲労の自覚症状をアンケートにより実施した.
    結果:実験1・2のいずれの映像視聴前後においても統計学的に有意な変化は認められず,自覚症状も動画にて疲労度のスコアが高くなったが,有意差は認められなかった.
    結論:本実験より,眼鏡型ウェアラブル端末による映像視聴は,視機能に影響せず,眼疲労も生じにくいことが明らかとなった.15分間の静止画と1時間の動画の範囲であるならば,安全な装置であることが示唆された.
症例報告
  • 後藤 克聡, 竹上 亜也加, 荒木 俊介, 三木 淳司, 水川 憲一, 瀧澤 剛, 山下 力, 春石 和子, 家木 良彰, 桐生 純一
    2017 年 34 巻 4 号 p. 443-448
    発行日: 2017/12/25
    公開日: 2018/01/29
    ジャーナル 認証あり
    両眼開放視野検査が診断の一助となった片眼性機能性耳側半盲の1例を報告する.症例は16歳,男性.1か月前からの右眼の耳側視野障害を主訴に近医を受診.外傷や精神的ストレスの既往はなかった.Goldmann視野検査(GP)で右眼の耳側半盲がみられたが,他の眼科的所見に異常はみられず,頭部磁気共鳴画像・頭部磁気共鳴血管造影でも異常はなかった.右眼耳側半盲の原因が不明であったため,精査目的で当科紹介受診となった.当科初診時,矯正視力は両眼とも1.5,限界フリッカ値は両眼とも43 Hz,相対的瞳孔求心路障害は陰性,前眼部,中間透光体,眼底に異常はみられなかった.GPでは,左眼は正常,右眼は垂直経線で分割された耳側半盲を呈した.光干渉断層計,多局所網膜電図においても右眼の半盲部位に一致する異常はみられなかった.しかし,GPによる両眼開放視野検査では,右眼片眼視野と同様の右半側視野欠損を示し,器質的疾患でみられる所見とは矛盾する結果であった.以上の所見から,右眼の機能性耳側半盲と診断された.片眼性耳側半盲がみられた場合,器質的疾患と機能性視覚障害との鑑別が必要であり,本症例では片眼視野と両眼開放視野の比較が診断の一助となった.
  • 松野 裕樹, 山田 裕子, 井上 結香子, 金森 章泰, 中村 誠
    2017 年 34 巻 4 号 p. 449-454
    発行日: 2017/12/25
    公開日: 2018/01/29
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    小児の神経線維腫症2型(NF2)に合併した視神経鞘髄膜腫に対し,強度変調放射線治療(IMRT)を施行した一例を報告する.症例は12歳女児.結膜炎で近医受診した際に,右視神経乳頭腫脹を指摘された.矯正視力は左右とも1.5で,Goldmann視野検査(GP)で右眼マリオット盲点の拡大を認めた.頭部造影MRIで,右視神経鞘髄膜腫,両聴神経鞘腫が疑われ,NF2と診断された.6か月後に右眼GPが悪化し,IMRTに至った.視神経乳頭腫脹は改善し,治療1年6か月後も,視力やGPの悪化を認めない.視神経萎縮進行の有無や晩期合併症に注意を要するが,小児NF2に伴う視神経鞘髄膜腫に対しIMRTは短期的に有効と考えられた.
  • 柊山 友里恵, 菅澤 淳, 奥 英弘, 池田 恒彦, 黒岩 敏彦
    2017 年 34 巻 4 号 p. 455-460
    発行日: 2017/12/25
    公開日: 2018/01/29
    ジャーナル 認証あり
    症例は62歳女性.約1年前から左眼の視力低下を自覚.初診時矯正視力は右眼1.0,左眼30 cm指数弁(矯正不能),左眼の相対的瞳孔求心路障害(relative afferent pupillary defect:RAPD)陽性で両眼神経乳頭は萎縮していた.Goldmann視野検査では右眼は耳側半盲様,左眼は中心部および鼻下側の視野欠損を認めた.頭部単純MRI及び脳血管造影にてトルコ鞍上部に左内頚動脈由来の直径約21 mmの大型動脈瘤を認め,視交叉部を下方より圧排していた.ステントアシスト下コイリング術を施行するも動脈瘤の縮小は乏しく,術後の視機能改善は得られなかった.視力予後に影響する因子として,物理的圧迫の状態の他に圧迫されていた期間,微小循環障害,視神経栄養血管の虚血性障害等の関与が考えられた.
入門シリーズ110
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