神経眼科
Online ISSN : 2188-2002
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36 巻 , 1 号
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巻頭言
特集
  • 原 直人
    2019 年 36 巻 1 号 p. 3-4
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/04/23
    ジャーナル 認証あり
  • 板東 武彦
    2019 年 36 巻 1 号 p. 5-11
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/04/23
    ジャーナル 認証あり

     仮想空間作業は人間能力に新しい次元を開く可能性がある.実際,技術的進歩により仮想空間は手近なものとなり,ゲームのみでなく仮想空間技術を導入した職場も出てきた.これに伴い仮想空間作業が広範囲の人たちに及び,VR酔い対策を含め生体安全面での考慮が喫緊の課題となった.VR酔いはインタラクティブな仮想空間体験で起こる症状に力点を置く表現である.本稿では,VR酔いの要因,検査法,またその原因に関するミスマッチ仮説を解説し,さらにVR酔い症状と自律神経機能との関わりについて述べた.また脳発達過程での視覚経験の重要性について概説し,年齢制限の必要性について強調した.

  • 畑田 豊彦
    2019 年 36 巻 1 号 p. 12-21
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/04/23
    ジャーナル 認証あり

    近年,VR用として様々な装用型ディスプレイ(HMD)が開発されている.しかし,自然な3次元空間の再現には新しい課題も出てきた.ここでは,高臨場感ディスプレイ,特に,3次元ディスプレイについて,視覚特性から,以下のような項目について検討した.
    1)視覚機能から見た超高精細ディスプレイと解像度(副尺視力),画面切り替え周波数(安定融合周波数)の関係,2)高臨場感ディスプレイと視野の関係,3)従来の2眼式立体ディスプレイの不自然さ(書割り効果や運動視差情報の欠如などによる空間知覚歪),4)表示空間に適した3次元表示方式

  • 氏家 弘裕, 渡邊 洋
    2019 年 36 巻 1 号 p. 22-29
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/04/23
    ジャーナル 認証あり

     最近のヘッドマウントディスプレイの普及によりバーチャルリアリティ(VR)がより身近なものになる一方,VR環境での映像酔いをいかに抑えるかが注目されている.映像酔いの発生機序について必ずしも明確でないが,その原因仮説として感覚不一致説が比較的よく受け入れられている.これに対し映像酔いに関連してしばしば議論される視覚誘導性自己運動感覚では,視覚前庭感覚不一致説により,映像酔いとは生じやすい条件が必ずしも一致しない.映像酔いの計測手法には,主に主観評価を中心とする心理的計測手法と自律神経活動に関する生理的計測手法とがあり,こうした計測手法により映像酔いの誘導要因である視覚運動の性質についても,特定の速度帯域や回転軸の影響が明らかにされつつある.国際標準化機構(ISO)の人間工学分野では,映像酔いの影響要因に関して影響度の尺度化を行い,これを基に映像酔いを軽減するための人間工学的指針の作成が試みられている.

  • 福原 和伸, 樋口 貴広
    2019 年 36 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/04/23
    ジャーナル 認証あり

    最近,バーチャルリアリティ(VR)は,プロスポーツチームにおけるトレーニングに導入されるなど,スポーツ選手の運動パフォーマンス改善を支援する新規のツールとして注目を集めている.さらにVRは,スポーツ心理学の研究領域においても,対戦相手の動きやボールの軌道を手がかりに将来起こる事象(例えば,打球コースなど)を予測するという,スポーツ選手特有の予測能力を検討する評価ツールとして利用されている.本稿では,VR技術を活用することで明らかとなった,ラグビーやテニスの熟練した予測を支える視覚情報の特徴について解説する.さらにVRを活用した野球の打撃トレーニングの研究知見を通して,VRトレーニングとその将来の方向性について議論する.

  • 岡 真一郎, 池田 拓郎, 吉田 誠也, 近藤 遥奈, 筒井 友美, 田中 晴菜, 後藤 和彦, 光武 翼, 後藤 純信
    2019 年 36 巻 1 号 p. 36-43
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/04/23
    ジャーナル 認証あり

    バーチャルリアリティ(VR)を用いたニューロリハビリテーションの基盤研究として,2つの実験を行った.実験1では,右頭頂葉と視運動性眼振(OKN)および立位姿勢制御の関連機構について検討した.右頭頂葉の一過性機能抑制には,経頭蓋直流電流刺激の陰極刺激を使用し,OKNと身体動揺を計測した.その結果,右頭頂葉の感覚情報処理は視運動性眼振および開眼時立位姿勢制御と関連していることが示された.実験2として,完全没入型のスマートフォン用ヘッドマウントディスプレイ(S-HMD)を使用し,視運動刺激(OKS)がバランス能力に与える影響について検討した.その結果,OKS後は静止立位および左右片脚立位の開閉眼条件での姿勢制御機能が向上した.運動先行型の脳機能を賦活するニューロリハビリテーションは,リハビリテーションの効果を高める可能性を有することが示された.民生用HMDは,VRによるニューロリハビリテーションを臨床現場へ広く普及させるためのデバイスとしてのポテンシャルを秘めている.今後,HMDを用いたニューロリハビリテーションの推進を期待する.

原著
  • 伊藤 香織, 原 直人, 後藤 純信
    2019 年 36 巻 1 号 p. 44-53
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/04/23
    ジャーナル 認証あり

    視覚処理過程のひずみで生じる錯視感の生起要因について,健常者を対象に錯視図のタイプとその図の構成要素の変化に着目し,心理物理学的に錯視感の生起要因について検討した.健常成人30名を対象とし,Müller-Lyer,Hering,Ebbinghaus ,Kanizsaの三角形の錯視図を用い,これらの図の視覚要素として傾き,大きさ,コントラスト,角度,の刺激を変化させ,錯視感の相違を検討した.その結果,Müller-Lyer,Hering,Ebbinghausでは,錯視現象の出現と消失に,傾きや大きさ,角度の変化が関与していた.Kanizsaの三角形では,コントラストの違いでは錯視生起に差が生じず,角度変化により錯視生起に変化がみられた.よって,健常者の錯視生起には,コントラスト変化よりも,図形の傾き,大きさ,角度が影響することが分かった.

症例報告
  • 原 雄時, 鈴木 利根, 町田 繁樹
    2019 年 36 巻 1 号 p. 54-59
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/04/23
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     視神経脊髄炎関連疾患(neuromyelitis optica spectrum disorder: NMOSD)により同名半盲を生じた小児の1例を報告する.症例は12歳男児,視力低下を主訴に当院眼科を紹介受診した.視力は両眼ともに(1.2),瞳孔反応は正常でRAPD陰性,視神経乳頭に異常は認めなかった.視野検査では左同名半盲がみられた.OCTでGCCは同名半盲と一致して菲薄化していた.頭部MRIではFLAIRで視床下部から第Ⅲ脳室周囲に連続した高信号の病変を認めた.血液検査及び髄液検査では異常はなかった.抗AQP4抗体陽性,抗MOG抗体陰性,抗NMDAR抗体陰性で,以上よりNMOSDの診断となった.小児科に入院しメチルプレドニゾロン1,000 mg/日を3日間開始し,計2クール行った.その後,現在までプレドニゾロン25 mg/日を内服継続中である.MRIで病変は縮小傾向で,視野検査で左同名半盲は残存しているが,改善を認めている.NMOSDは中年女性の発症が多いが,本症例は12歳の男児例で,右後頭葉病変によると思われる左同名半盲をきたした.

  • 福田 美穂, 木村 亜紀子, 増田 明子, 岡本 真奈, 三村 治, 五味 文
    2019 年 36 巻 1 号 p. 60-65
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/04/23
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     肥厚性硬膜炎は,激しい頭痛を呈することが多く,炎症が視路に及ぶと視力低下をきたす.今回,慢性の頭痛と両耳側半盲で発症した肥厚性硬膜炎の1例を経験した.症例は56歳女性.1年前から慢性の頭痛があり,1か月前から両眼の視力低下と視野欠損,数日前から頭痛が増悪し,当科初診となった.十数年来の関節リウマチ(RA)は免疫抑制剤内服にて経過良好であり,リウマトイド因子以外の自己抗体は陰性であった.視力は右(0.4),左(0.6),右眼の中等度散瞳と上転制限を認め,静的視野検査で両耳側半盲を認めた.造影MRIでは,頭蓋底に沿って硬膜の肥厚と増強効果を認め,炎症は右海綿静脈洞,下垂体へと進展し,下垂体腫大も認めた.肥厚性硬膜炎と診断し,ステロイドミニパルスを行い,視力は速やかに両眼(1.2)に改善した.2か月後に右眼の上転障害が,4か月後には両耳側半盲も改善した.長期に亘る免疫抑制剤や鎮痛剤の使用により激痛がマスクされ,慢性頭痛の経過をたどり,炎症が下垂体にまで進展し,視交叉を圧迫し両耳側半盲で発症したと考えた.RAを基礎疾患とする肥厚性硬膜炎の報告は比較的稀であり,非典型的な経過をみた症例であった.

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  • Erwin Palisoc, Ken Asakawa, Shigekazu Uga, Kimiyo Mashimo, Hitoshi Ish ...
    2019 年 36 巻 1 号 p. 95-105
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/04/23
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    Purpose: To investigate the functional and morphologic changes that occur in ethambutol(EMB)-induced ocular toxicity in rabbit models and concomitantly evaluate the role of zinc(Zn)in EMB toxicity.
    Method: Eight eyes of four pigmented rabbits were used. EMB was orally administered to all rabbits at 110-180 mg/kg/day for 20 weeks. Two of these rabbits were also given Zn supplementation at a dose of 8 mg/kg/day. As functional evaluations, infrared pupillography and electroretinography were examined. All the EMB-treated rabbits were euthanized and the globes including the optic nerves were harvested. Histopathologic examination of harvested tissues was subsequently done by both electron and light microscope.
    Results: In none of the rabbits, any significant change was observed in functional evaluations of outer retina. Histopathologically, an observable decrease in the small type of retinal ganglion cells, vacuolar degeneration of many axons in the inner retina, and also demyelination in the optic nerve were noted. On the other hand, in rabbits given EMB with Zn supplementation, only the outer retina was affected with patches of choroidal depigmentation and damage to the retinal pigment epithelium.
    Conclusion: These results suggest that the inner retina and optic nerve were markedly damaged in rabbits with EMB-induced toxic neuroretinopathy. However, those given Zn supplementation were minimally affected by the toxic doses of EMB. Zn may be used as a prophylactic medication to avoid the occurrence of ocular toxicity.

  • Nusanti S, Laksmita YA, Sidik M
    2019 年 36 巻 1 号 p. 106-111
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/04/23
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    Purpose: To report a case in which a woman developed an optic disc abnormality that was related to breast malignancy.
    Case Presentation: A 35-year-old woman presented with a complaint of sudden blurred vision in her right eye(RE). She had a history of Sjögren syndrome and recurrent dyspnea. Visual acuity in her RE was only slightly reduced, but the visual field defect was prominent. Funduscopy was significant for a blunted optic nerve head margin with surrounding whitish lesion. Autoimmune optic neuropathy was initially suspected due to her history of Sjögren syndrome; therefore, an oral steroid was administered. During subsequent follow-up, the fundus abnormality became more visible and expanded to the retinal background, accompanied by a worsening visual field. Systemic evaluation revealed a breast malignancy, and the patient was diagnosed with malignancy-related optic neuropathy.
    Conclusion: Optic nerve abnormality due to malignancy remains among the most challenging diseases in diagnosis. In this case, the patient presented with a history of autoimmune disease and no known oncologic history. Evaluation of such patients should include a comprehensive systemic survey in order to find clues for the etiology, including the possibility of malignancy and metastatic disease.

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