神経眼科
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特集
  • 野倉 一也, 島田 佳明
    2021 年 38 巻 2 号 p. 115-116
    発行日: 2021/06/25
    公開日: 2021/06/22
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  • 田中 惠子
    2021 年 38 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 2021/06/25
    公開日: 2021/06/22
    ジャーナル 認証あり

     自己免疫機序による視神経炎は,抗aquaporin(AQP)4抗体および抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体の発見により,多発性硬化症に加え,少なくとも3つの異なる機序を有する炎症性視神経炎の存在が明らかになった.3者とも臨床的特徴,疾患経過,治療反応性,病態などが異なるため,急性・亜急性経過の視神経炎では,適切な抗体診断と,視神経を含んだ中枢神経系のMRI検査が必須になった.特に,抗AQP4抗体陽性視神経炎は,重篤な視機能障害を呈し,再発性で治療への反応が不良であることが多く,積極的かつ長期の継続治療が必要である.抗MOG抗体陽性視神経炎は,同様に重篤な視機能障害を呈するが,ステロイド治療に対する反応が良好で回復が期待できる.しかしながら,再発性であるため,治療の継続が必要になることが多い.最近,抗AQP4抗体陽性群については,補体C5拮抗薬やIL-6受容体阻害薬など,病態を踏まえた新規治療薬の使用が可能になっており,再発予防効果が期待されている.

  • 鈴木 康夫
    2021 年 38 巻 2 号 p. 124-132
    発行日: 2021/06/25
    公開日: 2021/06/22
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     眼球運動異常をやさしく評価するためのポイントをまとめた.

     ポイント1.正常眼球運動の5分類を知る.

     眼球運動は,両眼が同じ向きに動く4種類の共同性眼球運動と両眼が逆向きに動く非共同性眼球運動に分類される.

     分類の異なる眼球運動は,その発現信号,制御信号が眼球運動中枢の異なった神経回路で作成される.

     ポイント2.眼球運動末梢(脳神経核Ⅲ,Ⅳ,Ⅵとその神経・外眼筋)は,眼球運動の種類を区別しないので,最終共通経路と呼ばれる.

     眼窩軟組織には粘弾性があり,眼位は眼窩の弾性抵抗に拮抗する外眼筋持続収縮で保たれる.哺乳類の外眼筋の作用方向は半規管の適刺激方向にほぼ一致する.

     ポイント3.眼球運動中枢のしくみ(脳内の配置と機能)を理解し,異常眼球運動を種類と方向別に評価することで,局在診断が可能となる.

     ポイント4.非共同性眼球運動の輻湊信号は,中脳網様体から直接両側の動眼神経内直筋副核に投射するので,核間ニューロンを経由しない.輻湊障害で生じる複視は,水平眼位,固視眼依存性を示さない.

     ポイント5.頭部が自由に動かせる際の眼の動きは,視線運動であり,眼球運動+頭部運動である.複視や眼振がある患者が,正面視時に代償頭位をとることは稀ではない.

     甲状腺眼症では,垂直複視を伴う上転制限があっても,上方視に伴う自然な顎上げによって,複視を自覚していない事がある.

  • 城倉 健
    2021 年 38 巻 2 号 p. 133-140
    発行日: 2021/06/25
    公開日: 2021/06/22
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     前庭由来の眼球運動の水平成分は,外側半規管から同側前庭神経核に入り,そこから交差して対側の外転神経核に至る経路が担い,眼球を対側に偏倚させる作用を持つ.前庭神経核は小脳から抑制性の制御を受けている.従って,前庭神経核の直接障害や脱抑制により,眼球は患側や健側に偏倚する.回旋成分は,前および後半規管から同側前庭神経核に入り,そこから交差して滑車神経核や動眼神経核に至る経路が担い,眼球を対側回線偏倚させる作用を持つ.従って,この経路の交差前や交差後の障害により,眼球は患側向きや健側向きに回旋偏倚する.垂直成分は,上眼瞼方向が前半規管,下眼瞼方向が後半規管からの経路に由来する.後半規管の前庭系路は,例外的に小脳からの抑制制御を受けない.こうした神経経路の直接障害や脱抑制により,上眼瞼方向や下眼瞼方向への眼球偏倚が生じる.耳石器前庭系の眼球偏倚への関与については,まだ不明な点が多い.

  • 高橋 真有
    2021 年 38 巻 2 号 p. 141-149
    発行日: 2021/06/25
    公開日: 2021/06/22
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     眼球運動系は,前庭動眼反射(VOR)系に代表される反射運動系と,サッケードに代表される随意性眼球運動系から成っている.VOR系は,各三半規管の刺激によって,刺激半規管と同じ平面で眼球運動が起こることから,三半規管の三次元座標系を用いていると考えられる.随意運動系では,昔からの臨床報告例で知られる脳幹の水平注視麻痺やParinaud症候で知られる中脳病変による垂直注視麻痺の症例で,水平系と垂直系の乖離が起こることから,水平・垂直の二次元座標が用いられていると考えられてきた.VOR系の中枢神経回路は詳細に明らかにされてきたが,サッケード系,特に垂直サッケード系の中枢神経回路は複雑で解析が難しく,中脳での神経回路の解析結果は研究者によって一致を見ていない.我々は,上丘から垂直サッケード系の中脳での回路を細胞内記録・染色法で明らかにし,二次元デカルト座標ではなくVORと同じ三半規管座標系を用いていることを明らかにした.水平サッケード系の左右のシステムで相反抑制があると同じように,垂直系では一側の上向き回旋系と対側の下向き回旋系の間に相反抑制が存在した.

  • 中馬越 清隆
    2021 年 38 巻 2 号 p. 150-156
    発行日: 2021/06/25
    公開日: 2021/06/22
    ジャーナル 認証あり

     脳神経内科の日常臨床において,見落としがちな眼球運動の所見が診断の鍵になることがある.神経眼科相談医としてのアプローチが有効であった4事例を紹介する.眼痛が主訴の多発性硬化症症例では,受診時に特徴的な眼球運動障害や三叉神経麻痺の合併を認めた.眼球運動障害をもとに三叉神経病変の詳細な部位診断(三叉神経根の橋への入行部病変)へつなげることができた.慢性めまい症例では特徴的なオプソクローヌスを認めた.特徴的な眼球運動障害と抗グルタミン酸受容体抗体 δ2から脳炎の診断治療に至った.Primary position upbeat nystagmusを合併したWernicke脳症の症例とdownbeat nystagmusと注視眼振を合併したランバート・イートン症候群の症例では,眼球運動の診察が他科での治療に効果的に働いた.神経眼科診察が他科との連携に有効になることもあり,神経眼科相談医としての役割を求められる現場は案外多いということを実感するだろう.

  • 小出 玲爾
    2021 年 38 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 2021/06/25
    公開日: 2021/06/22
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     眼球運動障害を呈した症例5例を提示する.典型的な症例も比較的稀な症例も含むように構成した.将来,同様な症例にあたった時の一助になれば幸いである.

原著
  • 山上 明子, 岩佐 真弓, 井上 賢治, 若倉 雅登, 龍井 苑子, 石川 均, 高橋 浩一
    2021 年 38 巻 2 号 p. 162-171
    発行日: 2021/06/25
    公開日: 2021/06/22
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     脳脊髄液減少症と診断された28例(男性13例,女性15例)の自覚症状,眼所見,調節力を検討した.また視力・視野障害のない症例に輸液治療施行前後で近見時瞳孔反応と調節をTriIRISとARK-1を用い測定し比較検討した.

     眼科的な自覚症状は眼痛71.4%,ピントが合わない60.7%,単眼複視42.9%,両眼複視35.7%,視力低下 28.5%,羞明25.0%,視野異常7.1%であった.

     視力低下例では眼内に異常所見がなく,視野異常例では半数で求心性視野狭窄を呈した.調節力は75.0%で年齢に比し低下傾向を示した.輸液治療施行前のTriIRISを用いた検査では輻湊時の視標への追従が悪い,瞬目が多いなど近見視に伴う輻湊や縮瞳にノイズが多かったが,輸液治療後は全例見え方の改善を自覚し,一部の症例でTriIRISでの輻湊時視標への追従の改善,瞬目の減少がみられたが,ARK-1の結果では調節微動および瞳孔径に差がなかった.脳脊髄液減少症に対する輸液治療後の見え方の改善は輻湊系の機能の改善を示唆している可能性がある.

症例報告
  • 明石 麻里, 下園 正剛, 井上 学
    2021 年 38 巻 2 号 p. 172-178
    発行日: 2021/06/25
    公開日: 2021/06/22
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     緑内障性視神経症の後期,特に,最終期の患者は,すでに視神経乳頭蒼白で視機能も悪く,所見の変化を検出しづらい.緑内障性視神経症の後期,特に最終期の患者にMRI撮影を行うことが神経サルコイドーシスの診断に有用であった症例を経験したため報告する.

     症例は48歳男性.皮膚サルコイドーシスにて当院皮膚科通院中であり,当科では虹彩炎の既往と緑内障で経過観察されていたが,3日前より急激な右眼視力低下を自覚し受診した.視神経乳頭は以前と同様に蒼白であったが,6か月前の最終受診日と比較し,右眼の視力低下(0.02から指数弁)および限界フリッカ値(CFF)の低下(17 Hzから0 Hz)を認めたため,視神経炎の可能性を考え頭部造影MRIを施行した.両視神経炎を思わせる腫大の他,髄膜に沿って橋,シルビウス裂,中脳などに多発性の結節性病変を認めたため,神経サルコイドーシスと診断し,ステロイドパルス1,000 mgを3日間行った.視力やCFFに改善はみられなかったが,ゴールドマン視野では若干の改善を認めた.後期の緑内障性視神経症患者に今までと違う急な経過を生じた際には,頭部造影MRIを撮影することで新規の病変が見つかることがあり,有用であると考えられる.

  • 小町 祐子, 石川 弘, 清澤 源弘
    2021 年 38 巻 2 号 p. 179-183
    発行日: 2021/06/25
    公開日: 2021/06/22
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     我々は,複視と羞明を訴えた外傷性視交叉症候群(traumatic chiasmal syndrome: TCS)の1例を経験したので報告する.症例は40代男性.前頭部外傷による頭蓋底骨折にて両耳側半盲を発症した.4年後,運転時の複視と羞明を主訴に当院初診となった.視力は右(0.6),左(1.2).動的,静的視野ともに両耳側半盲を認めた.頭部画像にて下垂体部の異常を認めず,両耳側半盲は前交通動脈細枝の攣縮による視交叉部の虚血が原因と推察された.眼球運動には著明な制限を認めず近見は斜位を保っていたことから,複視は両耳側半盲よる融像不全に起因するhemifield slide現象と推定した.また,羞明は視交叉上核近傍の障害による羞明と考えられた.複視と羞明については融像訓練と遮光眼鏡の併用により,多少の改善がみられた.TCSに複視を訴え,さらに羞明を来した極めて稀な症例であった.

  • 青山 祐里香, 藤田 あさひ, 森 貴幸, 相原 一, 澤村 裕正
    2021 年 38 巻 2 号 p. 184-188
    発行日: 2021/06/25
    公開日: 2021/06/22
    ジャーナル 認証あり

     小児の埋没型乳頭ドルーゼンはその発生頻度が少なく,検鏡的所見からも乳頭浮腫と鑑別困難なことが多い.今回,視神経乳頭ドルーゼンに非器質性視覚障害を合併し診断に苦慮した一例を報告する.症例は9歳女児,右眼の見づらさを訴え前医受診.右眼の視神経乳頭の発赤腫脹を指摘された.眼窩部痛及び右眼視力低下の悪化を認め当院紹介受診した.当院受診時,右眼矯正視力は(0.8),RAPDは瞬目多く判定困難であった.眼底検査にて右眼視神経乳頭腫脹,蛍光眼底造影検査で乳頭部過蛍光を認めた.動的視野検査にて中心視野に及ぶマリオット盲点の拡大を認めた.頭部・眼窩部の造影磁気共鳴画像では異常所見を認めなかった.視神経炎を疑いステロイドパルス療法を施行したところ,視野は正常化したものの視力回復は乏しく,乳頭所見は不変であった.超音波検査にて乳頭部に高輝度像を認め埋没型乳頭ドルーゼンの存在が考えられた.その後,動的視野検査にてらせん状視野障害が認められ今回の視力障害に非器質性要素があった可能性が示唆された.小児では器質的障害が疑われる場合にも非器質性障害も念頭に置くべきと考えられた.

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