年報 信用格付研究
Online ISSN : 2758-2884
Print ISSN : 2758-7193
最新号
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  • 香月 康伸
    2026 年4 巻 p. 1-9
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/06/13
    研究報告書・技術報告書 フリー
    第2期トランプ政権の誕生以降、金融市場のボラティリティが上昇するなか、ESGの分野にもその影響が生じている。本稿では、トランプ政権の政策が単なる反ESGではなく、「反グローバリゼーション」の文脈のなか位置づけられる状況を整理する。トランプ政権の第1期と第2期の違いとして、政権の背後に見られる政治思想を整理し、バンス副大統領を結節点として政策に直結しているとの仮説を検討する。その影響が最も顕著なのが、欧州の政策的優先順位の見直しであり、その結果として、「防衛は責任投資である」とのESGのアイデンティティに関わる動きに発展している現状を確認する。 ESGインテグレーションが信用格付や投資判断で定着しているなか、外部環境の変化にどう対応すべきなのか。ESG普及の原点の1つとなった2015年の「ホライズンの悲劇」演説に立ち返り、「ESGは政治的な色彩を帯びたイデオロギーの問題ではなく、成長のために乗り越える現在および将来のリスク」との今日的解釈を提示する。
  • 長期金利の行方と日銀正常化の影響
    愛宕 信康
    2026 年4 巻 p. 10-21
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/06/13
    研究報告書・技術報告書 フリー
    財政規律の緩みやインフレに対する懸念が強まると、長期金利が上昇し警告を発する債券市場を「債券自警団」と呼ぶことがあるが、日本でそれが復活する兆しが伺われる。10年金利は今のところ想定される決定要因で概ね説明可能だが、海外投資家の売買比率が高い超長期の金利は財政リスクへの懸念で押し上げられている側面があり、それが10年以下の金利に伝播するリスクに注意が必要である。より長期の視点では、日本銀行が正常化の一環として進めている長期国債保有残高の圧縮が、長期金利に上昇圧力として作用する可能性がある。筆者の試算によれば、国債現存額が過去10年と同じ伸びを維持した場合、やがて需給バランスが崩れ、10年金利は2050年に8%超まで上昇する。日銀のバランスシートの正常化は、わが国財政の持続可能性や日銀が中央銀行としてどうあるべきかという極めて重要な論点を含んでいる。
  • グローバリゼーションの反転がもたらすESGインテグレーションとソブリン評価への影響をどう考えるか
    押田 俊輔
    2026 年4 巻 p. 22-37
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/06/13
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿は、2010年以降に顕在化したグローバリゼーションの反転(覇権主義の台頭、地経学的分断、経済安全保障、制裁・輸出規制等)が、企業信用分析に与える影響をミクロ(ESGインテグレーション)とマクロ(ソブリン分析)の双方から検討するものである。まず、北米を中心にESGの「語られ方」は大きく変容したが、気候変動・人的資本・ガバナンス等、経済的尺度との結び付きが明確な要素は、企業価値と中長期の信用力に対し依然として本質的な重要性を持つことを示す。次いで、格付手法の枠組みと関連指標を踏まえ、ソブリン評価における経済力(とりわけ一人当たりGDP)の説明力は依然として高い一方、民主化の進展度との一貫した関係は限定的である。両者を統合すると、格付の水準は一人当たりGDPによりアンカーされる一方、格付の変更は財政・対外・流動性・イベント等によるという2重構造が観察され、結果としてソブリン信用評価の予見性が低下している可能性を示唆する。格付変更要因の多極化により、債券投資家はESG要素に基づくミクロ分析の深化により「企業個別のサステナビリティ」を見極める必要性とローカルな制度・地政文脈を織り込む「国家レベルの制度・地経学的不確実性」というマクロ的状況を見極める必要性の二層のリスク管理を並走させた信用分析の設計の必要性が高まっている。
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