年報 信用格付研究
Online ISSN : 2758-2884
Print ISSN : 2758-7193
最新号
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  • ―関西電力の事例―
    垣口 裕則
    2024 年 2 巻 p. 1-7
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/07/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
     東日本大震災までは、大手電力会社は、同一のものとして捉えられ、格付け上も大きな差異はないものとされていた。震災以降、徐々にレーティングに差が出てくるようになったが、今後、その傾向がさらに強まると考える。 原子力発電所の再稼動状況は、信用力の源泉ともいえるフリーキャッシュフローの創出力に大きく影響する。またCO2削減量にも関係する。再稼動の状況が大きく異なる中、信用格付けにおいては、個社ごとに評価する必要性がより高まってきている。発行体と格付会社との綿密なコミュニケーションを通じて、それぞれの電力会社に適正な格付けが付与されることが、多様な投資家が参加し、健全かつ活性化した資本市場の形成に資する。
  • 柴田 宏樹
    2024 年 2 巻 p. 8-28
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/07/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
     2020年から2022年においてCOVID-19により世界経済が大きく悪化する中で、グローバルでのクレジット/信用格付け評価に与えた影響を検証し、その特徴を振り返ることは、今後の日本のクレジット分析においても有用であろう。S&Pグローバル・レーティングが集計したグローバルの5,000社以上の事業会社や金融機関、日本の事業会社約80社を対象に、それらの主要な財務指標や格付け・アウトルック変更のデータや資料を用いて、1. COVID-19発生前・後における、S&Pグロ-バル・レーティングのグローバルの企業の格付動向、2. S&Pの事業会社の格付け分析の枠組みとマクロ環境・ストレスの格付け評価上で重視した点の紹介、3. 日本での事業会社格付けへの影響に関して、実際のデータを検証しその考察を進めた。
  • 殿村 成信
    2024 年 2 巻 p. 29-36
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/07/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
     本稿は、㈱日本格付研究所のアナリストが電力業界の視座を示すとともに、コロナ禍前後で実際に行った格付アクションの経緯を記したものである。格付アナリストの関心事は、将来キャッシュフローの「安定性とその見わたしやすさ」がどの程度あり、どう変わっていくのかにある。規制業種である電力業界は、エネルギー政策や制度の枠組みの安定度とその変化といった定性的要素を強く反映する必要がある。個々の電力事業者の行動は、他の業界に比べて規制や制度運営ルールの制約を受ける。そのため格付は自ずと定量的評価よりも定性的評価の重要性が高くなる。しかし東日本大震災以降、いくつかの大きなリスクイベントを経る中で、電力業界の格付の構成要素としての電気事業制度は、かつてほど大きな位置を占めなくなっている。今後は、個別事業者の財務基盤の充実度が問われ始めてくる。
  • 黒沢 義孝
    2024 年 2 巻 p. 37-46
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/07/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
     日本で1985年に格付会社がスタートして約40年になる。当初、格付制度の導入に消極的であった日本の大手銀行は、格付け制度の導入が現実のものになると格付会社の主要株主になり多くのアナリストを派遣して日本的色彩の強い格付会社をスタートさせた。現在、日系2社/米系3社の格付会社が活動しているが、日本企業の中・長期資金調達(残高ベース)は銀行8割、社債2割の状況にあり、社債の格付けを行う格付会社の情報が「情報の非対称性の除去」等にどの程度の役割を果たしているか等についての実証分析も少ない状況にある。
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