小児期心疾患の左室機能評価については,従来,容積分析がその中心であり,左室圧に基づく報告は少ない.本稿では,micromanometerを用いて,104例の小児心疾患の左室圧を記録分析した.対象は,正常左室17例,動脈管開存6例,左室圧負荷群14例,心房中隔欠損22例心筋疾患10例,その他35例で,7群に分けて検討した.正常例を,4歳以下と5歳以上の2群に大別してみると心拍数,左室収縮期圧およびnegative peak dP/dtに差が認められた.左室拡張末期圧,peak dP/dt,Vpm,TP Vmax index,DP Vmax indexの小児の正常値は,それぞれ6±2mmHg,1670±180mmHg/sec,1.50±O.16ML/sec,1.73±0.17ML/sec,2.77±O.15ML/sec,であった.疾患群では,左室圧負荷群で,Vpmが約半数に低下していたが,DP Vmax indexは,ほとんどが正常域にあった,心房中隔欠損では,dP/dtが種々の値をとり,また,DPVmax indexが半数以上に低下していた.心筋疾患およびチアノーゼ群心疾患では,peak dP/dtおよびcontractility indexのすべてが低下していた.
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