心臓
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10 巻, 8 号
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  • 岡島 光治
    1978 年 10 巻 8 号 p. 773-782
    発行日: 1978/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    コンピュータによる心電図診断が実用化し,実地臨床に普及しはじめた時期にあたり,その発展経過,現状,将来像を解説した.
    ハードウェア(機器)については別稿にゆづり,ソフトウェア,特に診断プログラムについて述べ,かつ,研究目的のものでなく,臨床実用目的のものに力点を置いて説明した.
    区分点認識,波形診断,調律診断につき,その概略とともに,現在の問題点,今後の解決方向にふれた.診断論理における決定論的手法と,確率論的手法の得失もあげた
    心電図自動診断の精度,信頼度,実用性についても,見解を述べるとともに,最近のトピックスとして,時系列比較診断,データ・ベース,ネットワーク・サービスについてふれた.
  • 加藤 和三, 飯沼 宏之, 高橋 宣光
    1978 年 10 巻 8 号 p. 783-790
    発行日: 1978/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    イヌ61頭において交感神経刺激(星状神経節,心室神経)によるST-T変化を観察した.右側神経刺激直後,左室前壁に一過性のST下降・T陰転出現,刺激開始数十秒後,前壁に著明なST下降・T陽転が生じ数分持続した.左室後壁ではそれらの対側性変化として初期の一過性ST上昇および後期の薯明なST上昇・T陰転が生じた.左側神経刺激では以上と対照的に左室後壁に一過性のST下降をみ,続いて著明なST下降・T陽転が生じ,同時に前壁に対側性変化を伴った.いずれの場合にも変化は星状神経節刺激の場合より心室神経刺激の場合一層著しかった.以上の変化は神経切断およびβ-ブロッカーにより阻止されたことから刺激された神経支配域心筋に発するカテコラミンの作用によると思われる.さらにD-C増幅による記録から初期変化は真のST下降,後期変化はTQ線の上昇によるみかけのST下降であることが知られた.
  • 定滑車重量負荷法による
    藤原 秀臣, 谷口 興一, 飯泉 智弘, 丹羽 明博, 鯵坂 隆一, 家坂 義人, 新富 芳明, 武内 重五郎
    1978 年 10 巻 8 号 p. 791-797
    発行日: 1978/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    運動負荷試験は心機能評価にひろく用いられており,大別して等尺性負荷法と動的負荷法がある.一般にhand-grip法による等尺性負荷法は心因反応やバルサルバ現象が起こりやすく,段階的負荷漸増法の実施は困難であるとされている.そこでわれわれはこの等尺性負荷法の欠点を補うべく定滑車重量負荷法を考案し,安全かつ有効に段階的負荷漸増法を実施し,健常人の循環諸指漂を検討した.その結果,心拍数,血圧,Katz係数は負荷後半に増加が著明であり,動的負荷とは異なったパターンを呈した.心係数と酸素摂取量は同じ傾向を呈し,負荷後半での増加は顕著ではなかった.
  • 無位相フィルタによるオンラインリアルタイム自動分析法
    清水 芳雄, 礒山 正玄, 猪岡 英二, 滝島 任, 高橋 幸郎, 松尾 正之
    1978 年 10 巻 8 号 p. 798-805
    発行日: 1978/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    運動負荷心電図は,虚血性心疾患の診断上きわめて有用であるが,運動時の心電図は,低周波雑音が多く,とくにSTレベルの計測は困難であった.著者らは,この点を改善し,かつオンラインリアルタイムで自動的にSTレベル,心拍数を計測し,X-Y表示する計測装置を試作した.
    低周波雑音除去のため,オンラインリアルタイムで作動する無位相フィルタを考案した.このフィルタの遮断周波数はO.8Hzまで可能であり,これにより低周波雑音の大部分は除去され,安定した負荷心電図の記録が可能であった.本フィルタは,従来用いられてきた線形一次CRフィルタ,あるいは計算機処理で用いられる直線近似法によるものより,非常にすぐれたものといえる.
    さらに,本装置を用い,心拍数をX軸に,STレベルを任意の3点で,Y1,Y2,Y3軸にとりX-Y表示を試みたが,そのパターンの分析は,臨床上きわめて有用と思われた.
  • Micromanometerによる104例の検討
    中野 博行, 斉藤 彰博, 上田 憲
    1978 年 10 巻 8 号 p. 806-814
    発行日: 1978/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    小児期心疾患の左室機能評価については,従来,容積分析がその中心であり,左室圧に基づく報告は少ない.本稿では,micromanometerを用いて,104例の小児心疾患の左室圧を記録分析した.対象は,正常左室17例,動脈管開存6例,左室圧負荷群14例,心房中隔欠損22例心筋疾患10例,その他35例で,7群に分けて検討した.正常例を,4歳以下と5歳以上の2群に大別してみると心拍数,左室収縮期圧およびnegative peak dP/dtに差が認められた.左室拡張末期圧,peak dP/dt,Vpm,TP Vmax index,DP Vmax indexの小児の正常値は,それぞれ6±2mmHg,1670±180mmHg/sec,1.50±O.16ML/sec,1.73±0.17ML/sec,2.77±O.15ML/sec,であった.疾患群では,左室圧負荷群で,Vpmが約半数に低下していたが,DP Vmax indexは,ほとんどが正常域にあった,心房中隔欠損では,dP/dtが種々の値をとり,また,DPVmax indexが半数以上に低下していた.心筋疾患およびチアノーゼ群心疾患では,peak dP/dtおよびcontractility indexのすべてが低下していた.
  • 赤坂 忠義, 伊藤 健二, 高口 直明, 大川 恭矩, 相馬 民太郎
    1978 年 10 巻 8 号 p. 815-821
    発行日: 1978/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心臓カテーテル,心血管造影法により確認された6例の大動脈弁上狭窄症を経験し,うち2例に手術,治験を得た.8歳男児と6歳女児の2例で,いずれも軽度の知能発育遅延と特異な顔貌(Elfin face)を有した.術前検査では2例ともに限局性,砂時計型の狭窄で左室大動脈間に収縮期圧較差それぞれ144,80mmHgを認めた.手術は2例ともに,狭窄部縦切開後,無冠尖へ向け切開延長し,パッチ縫着により拡大を計ったものである.1例目は左冠動脈持続灌流で,2例目は心筋局所冷却法で心筋保護に対処した.術後検査で,狭窄解除は良好である.
    他の4例は内科的に経過観察中であるが,狭窄部の形態は全例とも,限局性砂時計型で,V-AIndexは0.55以下を呈した.臨床症状として全例にElfin faceと知能発育遅延を認め,またヘルニアと歯の成長障害を6例中5例に認めている.幸いにも合併心奇形に重篤なものはみられていない.
  • 河村 剛史, 森川 哲夫, 小助川 克次, 臼田 多佳夫, 大沢 幹夫
    1978 年 10 巻 8 号 p. 822-826
    発行日: 1978/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    3歳7ヵ月の女児で巨大な筋性部心室中隔欠損に膜性部小欠損を合併した症例を経験した.筋性部中隔欠損の診断には術前の左室造影が重要で,術中においては色素液左室注入による欠損孔の部位判定法が有用である.
    本症例はPp/Ps=O.96,Rp/Rs=0.75の重症肺高血圧症を合併しており,術前の肺生検ではHeath-EdwardsII度の血管病変を示していた.手術を施行したが,術後右心不全が存続し,5ヵ月目に死亡した.剖検にて判明した肺気腫病変が術後右心不全の管理をさらに困難なものにしていたと思われた.重症肺高血圧症を合併した心室中隔欠損の手術成績の評価と予後の判定にさいし,肺血管病変とともに肺胞壁の変化も重視されなくてはならないことが示唆された貴重な症例であった.従来の手術適応の他に術前の肺生検の必要性もあわせて強調した.
  • 青柳 成明, 友成 一英, 水沼 孝義, 田尻 敏行, 星野 芳弘, 御木 高志, 赤須 巌, 大石 喜六, 古賀 道弘
    1978 年 10 巻 8 号 p. 827-832
    発行日: 1978/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    先天性冠動脈痩は,まれな疾患である.
    教室では,巨大な冠動脈瘤を伴う先天性冠動脈痩を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は,32歳男性で,右冠動脈が右室に開口するもので,右冠動脈は,基部より著明に拡張し,巨大な2個の冠動脈瘤を形成していた.
    体外循環下に,Symbasらの方法に従い,冠動脈瘤に縦切開を加え,その末端に存在した痩孔を閉鎖すると同時に,動脈瘤壁を一部切除し,Teflon patchにてaneurysmorrhaphyを行った.術後,心雑音は消失した.また,心電図上,心筋虚血を思わせる所見は見られなかった.しかし,経動脈的に痩孔閉鎖を行った症例に,冠動脈の閉塞をきたしたという報告もあり,今後,充分な経過観察が必要と考えている.
  • 高原 善治, 中村 常太郎, 相楽 恒俊, 松本 博雄, 瀬崎 登志彰, 勝田 貞雄, 小林 晴夫, 遠藤 毅, 加部 恒雄, 斉藤 学, ...
    1978 年 10 巻 8 号 p. 833-838
    発行日: 1978/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    単心房症は大静脈系還流異常を伴う例が多い.最近われわれは,二重下大静脈および左上大静脈左房内還流を伴った単心房症の1手術治験例を得た.手術所見では僧帽弁および三尖弁に亀裂を認め,心内膜床欠損症の1型と考えられた.また右上大静脈は痕跡的であり,左上大静脈は直接左房内に還流しており,冠状静脈洞は欠損し小孔となって左房側に開口していた.一方左右の大腿静脈から同時に造影を行い,二重下大静脈を認めた.総腸骨静脈において左右静脈の吻合を認めたが,腎レベルでの吻合は認められず,左下大静脈は半奇静脈に接合していた.これら静脈還流異常の発生学的考察を中心に報告する.
  • 里見 元義, 藤田 幸子, 浅井 利夫, 草川 三治, 松原 修, 梶田 昭, 安藤 正彦
    1978 年 10 巻 8 号 p. 839-843
    発行日: 1978/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    l-oopで,僧帽弁閉鎖,三尖弁両室挿入を伴い.大きな左心室を有する症例を経験したので報告する.d-loopの本症は,数例の報告例があるが,l-loopでは,調べ得た範囲では,最初の報告例と思われる.本症例の剖検所見と対比させながら,このようなめずらしい心奇型がきたされる形態形成について考察した.また,将来,心内修復の可能性がある所から,本症の正確な診断の重要性について言及した.
  • 中津 忠則, 岡田 隆滋, 湯浅 安人, 植田 秀信, 中野 修身, 幸地 佑, 宮尾 益英, 加藤 逸夫, 開発 展之, 杉本 友則
    1978 年 10 巻 8 号 p. 844-848
    発行日: 1978/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は1ヵ月の女児で,三尖弁閉鎖症,大動脈のKinking,Tortuosity,Loopingを伴うLeft-sidedcervical aortic archと言参断された.生後2ヵ月時,直径約3mmのWaterston吻合術を施行したが,4ヵ月時心不全にて死亡した.
    Cervicgl aortic archは,まれな疾患であり,現在まで文献的に約16例の報告がみられるにすぎない.また大動脈のLoopingはきわめて珍しいことである.著者らは本症例を若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 木川 和彦, 沢山 俊民, 鼠尾 祥三, 津田 司
    1978 年 10 巻 8 号 p. 849-854
    発行日: 1978/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Accelerated idioventricular rhythm(AIVR)は急性心筋梗塞及びジギタリス中毒を除けば,非常にまれな不整脈とされているが,我々は15歳の女子高校生でたまたま学校検診で心電図異常を指摘された一例を経験した.症例は全く無症状で特別な原因疾患を認めず,薬剤服用の既往はない.心電図は,房室解離,融合収縮および先行する洞収縮よりも長い連結期をかいして始まるAIVRが洞調律と互いに移行し合い,各種負荷試験や26時間のHolter monitoringで洞拍数が増加することによってAIVRは消失し,洞拍数が減少すると再びその出現をみ,その心拍数の変動幅が47/分~91/分であることを観察した.現在4ヵ月半の経過観察で全く変化なく,良性な補充収縮機序を有する不整脈と思われる.
  • 水上 茂樹
    1978 年 10 巻 8 号 p. 857-863
    発行日: 1978/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • -特にミオシンについて
    矢崎 義雄, 上田 清悟
    1978 年 10 巻 8 号 p. 864-872
    発行日: 1978/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 山下 哲
    1978 年 10 巻 8 号 p. 873-880
    発行日: 1978/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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