心臓
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11 巻, 12 号
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  • 高周波誘導型R波トリガー単発刺激装置
    三崎 拓郎, 桜井 潤司, 渡辺 洋宇, 近田 伸一, 岩 喬
    1979 年 11 巻 12 号 p. 1281-1283
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    re-entryによる頻拍治療のペースメーカーとして,新たに高周波誘導型R波トリガー単発刺激装置を開発し,臨床に応用満足する結果をえた.このベースメーカーでは胸部誘導心電図のR波をトリガーとし任意の遅延時間を体外より設定後,高周波誘導装置を介し心房あるいは心室を単発刺激する方法を採用した.特徴として(1) 単発刺激装置であるため細動発生の危険がない,他の単発刺激装置に比べ有利な点として(2) 小型であるため携帯できる,(3) 患者自身の意志で行いうる.(4) 遅延時間を体外より設定できる.(5) 頻回刺激方式に切替えることができるなどがあげられる.
  • 石部 義孝, 横田 充弘, 稲垣 春夫, 山内 一信, 谷村 英彦, 渡辺 佳彦, 外畑 巌, 安井 昭二
    1979 年 11 巻 12 号 p. 1284-1290
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    健常成人男子25名を対象とし,深呼気および深吸気相に一致したP環を小型電子計算機を用いて8心拍加算平均し,深呼吸によるP環諸量21項目の変化を検討した.
    深吸気時の最大左方成分は深呼気時に比し,平均16.1%,水平而最大ベクトルの大きさは17.9%有意に減少した前額面最大ベクトルの方向は4.8度有意に垂直方向へ近づいた.空間最大ベクトルの仰角は4.3度有意に減少した.また,ポーラベクトルの大きさは13.2%有意に減少した.
    以上の成績より,P環の詳細な分析には呼吸変化を考慮する必要があり,特に努力性呼吸を伴う運動負荷時には,一定の呼吸時相のP環か,加算平均法によるP環の分析が望ましいと考えられた.
  • 心血行動態および腎血流量に対する影響
    佐藤 良智, 松沢 秀郎, 山崎 芳彦, 吉野 武, 飯塚 亮, 赤沼 侃史, 江口 昭治
    1979 年 11 巻 12 号 p. 1291-1302
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    成人開心術後症例10例を対象として,Adrenaline,Dobutamine,Dopamine投与時の循環動態指標と,局所熱希釈法にて腎血流量(RBF)を測定しそれぞれの薬剤の心および腎血行動態に対する作用について検討した.AdrenaliRe投与では,心係数(C.I,),一回拍出係数(S.L)は0.02μg/kg/分より有意に増加し,全末稍血管抵抗も0.04μg/kg//分より有意に低下したが,RBFは変動せず,腎への血流分配率は0.04μg/kg/分以上で有意に減少した(P<O.05).Dobutamineでは,C.I.は2μg/kg//分より段階的に増加したが,心拍数増加の影響も反映した.この間の動脈圧への影響は少なかった.RBFも2μg/kg/分より有意に増加したが血流分配率には変動はなかった.Dopamineでは,C.I.,S.I.は4.0μg/kg/分以上より増加したが,RBFはC.I.の変化に先行して2.0~2.5μg/kg/分で15.5%増加し(P<0.05),16~20μg/kg/分では44.8%の増加を認めた(P<O.005).腎血管抵抗も少量投与より有意に低下し,腎血管床への作用は特異的であった.
  • 色素希釈法と心内圧波形分析の比較
    家坂 義人, 鯵坂 隆一, 飯泉 智弘, 丹羽 明博, 藤原 秀臣, 谷口 興一, 武内 重五郎, 山田 崇之
    1979 年 11 巻 12 号 p. 1303-1308
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    僧帽弁逆流は心血管造影法以外に,色素希釈法および左房圧または肺動脈楔入圧波形分析によって評価されるが,それぞれ問題点を有する.そこで開心術を施行した僧帽弁閉鎖不全例(MI)および閉鎖不全兼狭窄例(MSI)において,術前に得られた色素希釈曲線および左房圧または肺動脈楔入圧波形から,それぞれ逆流指標を求め,術中に観察した弁口の形状および面積と比較し,両指標の有用性について検討を試みた.成績は両指標間に差異があり,色素希釈法による逆流指標はMIがMSIより逆流が少ないことを示し,弁口の面積および形状から推定される逆流量と一致しない結果が得られた.したがって僧帽弁逆流の定性的評価には,色素希釈曲線より左房圧波形による逆流指標の方がより妥当であると考えられる.
  • 上田 憲, 斉藤 彰博, 中野 博行
    1979 年 11 巻 12 号 p. 1309-1314
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    新生児期,乳児期の先天性心疾患児に対する心カテーテル検査,心血管撮影において,逆行性大動脈撮影の必要な場合がみられる.しかし患児が小さいため,逆行性動脈カテーテル検査は容易ではなく,動脈閉塞の危険も大きい.
    今回われわれは,そのような症例8例に対して,新しい試みとして,橈骨動脈を経皮的に穿刺し,末梢より造影剤を逆行性に注入し,大動脈撮影を行った.その結果,良好な大動脈撮影象が得られ,大動脈縮窄,動脈管開存,右鎖骨下動脈起始異常,上行大動脈低形成などが診断可能であった.また本法は,手技も比較的容易でかつ安全でもあり,検査後は術中術後の血液ガス,血圧のモニタリングにも利用できるという利点もある.以上より,橈骨動脈注入による大動脈撮影は,通常の心血管撮影の補助手段として,臨床上きわめて有用と思われた.
  • 原田 潤太, 小林 はる美, 山岸 二郎, 多田 信平, 新井 達太
    1979 年 11 巻 12 号 p. 1315-1321
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心エコー,心血管造影で診断のついた僧帽弁膜疾患14例で,心電図と同期させない心拍非同期法で心臓のCTを行った.心房中隔は14例中11例(79%)で心室中隔は14例中12例(86%)で明確に認められ,左心耳,右心耳は全例に認められた.左心房内血栓はCTにより僧帽弁狭窄症3例,僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症1例の計4例で認められた.このうち2例は肺動脈造影を行い,肺動脈造影左房造影期で左心房内血栓は指摘できなかったが,手術にて確認された.また,心エコーにより左心房内血栓を明確に指摘できたものは2例,血栓が疑われたもの1例,血栓を指摘できなかったもの1例であった.CTにより左心房内血栓は大きさ,形,付着部位,血栓内石灰化の有無などの情報を明確にできた.
  • 臨床的特徴
    遠藤 真弘, 井上 康夫, 和田 寿郎, 関口 守衛
    1979 年 11 巻 12 号 p. 1322-1331
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    選択的冠状動脈造影例の1,750件から虚血性心疾患は1,000例で,このうち75%以上の狭窄を有する左冠状動脈主幹部障害は24例(2.4%)にみられた.その臨床的特徴は(1)胸痛発作は96%の症例で認め42%はunstableな状態を示した.(2)発作中の心電図で,最大ST降下が3mm以上に及ぶものが症例の54%にみられた.(3)発作中の心電図で21%の症例に電気軸が一過性に変化した.(4)非発作中の心電図で,25%の症例II,III,aVFでsmallqとSTの固定上昇を認めた.(5)本症は高率にrisk factorを合併する.(6)過去,6年間に24例申,8例を失ったがいずれも内科療法群にみられた.(7)造影所見上,左冠状動脈主幹部が完全閉塞を示しても,右冠状動脈がほぼ正常で,著明な側副血行路を与えている2症例はいずれも心筋梗塞への移行もなく造影時より3年,6年の長期生存を得ている.
  • 牧 隆敏, 宮沢 要一朗, 柴田 利満, 横山 修三, 原口 寿夫, 新村 一郎, 松本 昭彦, 佐藤 順, 近藤 治郎
    1979 年 11 巻 12 号 p. 1332-1341
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    過去6年間に当院小児科に1歳未満で入院加療した141名の重症先天性心疾患児につき治療i成績を中心に検討した.141名中左右短絡群62名,右左短絡群72名,その他7名であった.疾患別頻度は心室中隔欠損,Fallot四徴,大血管転換,大動脈縮窄複合の順であった.年度別死亡率では,内科的治療・外科的治療と漸減傾向がみられた.
    左右短絡群では内科的治療による死亡率は42.8%であるが,1976年以後死亡例はなく,外科的治療による死亡率は19.5%であった.右左短絡群では,内科的治療の死亡率73.5%,外科的治療の死亡率60.5%であった.心室中隔欠損,大動脈縮窄複合,Fallot四徴,大血管転換,総肺静脈還流異常につき手術成績を中心に検討した.
    人工呼吸器使用群は23名で,内科的治療による生存例はなく,より積極的な人工呼吸管理と早期の手術の必要性が痛感された.
  • 松井 忍, 村上 暎二, 竹越 襄, 平丸 義武, 原 重樹, 村上 英徳, 北野 英一, 升谷 一宏, 嵯峨 孝, 野村 正幸, 藤田 静 ...
    1979 年 11 巻 12 号 p. 1342-1350
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    NYHA-IIIあるいはIVのうっ血性心不全症例10例にdobutamine(DOB)を投与し,本剤の心不全治療における有用性について検討した.その結果DOB(1~3μg/kg/min)投与後30分では心係数は2.91±O.435l/min/m2から3.47±O.597へと有意に増大し(p<0.01),全末梢血管抵抗係数は2331±479.3dyne:sec・cm'5・m2から1956±486.8へと有意に低下した(p<0.01).
    DOB(同量)投与後24時間では心係数に有意な変化は認められなかったが,全末稍血管抵抗係数は2331±497.3dyne・sec・cm 5・rc2から2075±307.0へと有意に低下した(p<O.02).しかし投与後30分に比しその効果は幾分低下しているようであった.DOB長期投与例では投与開始時や増量時に血圧上昇,心拍出量増大,尿量増加などの血行力学的改善が認められた.
    一方,急激な減量では逾圧下降,心拍出量低下などが認められ,DOBの離脱には長時間をかけ徐々に減量していくのが望ましいと考えられた.陳旧性心筋梗塞症の1例で2nglkg/minから4μg/kg/minへの増量で急性左心不全の発生をみた.それゆえ虚血性心疾患による心不全症例では少量より投与を開始し血行動態をモニターしながら増量していく必要があると考えられた.副作用としては1例に心室性期外収縮の増加をみた.
  • 南都 伸介, 杉井 道夫, 谷浦 光一, 山岸 正湘, 児玉 和久, 深川 導子, 王子 亘由, 葛谷 恒彦, 三嶋 正芳, 福島 正勝
    1979 年 11 巻 12 号 p. 1351-1357
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は66歳の男性で,過去に2回心筋梗塞を有する労作性狭心症の患者である.
    CAG所見では,RCAの2番に100%狭窄があり,3番へ側副血行を出していた.またLCAの5番に50%狭窄,LADの6番に100%狭窄を認め,LCXにも11番に75%,13番に99%の狭窄を認めた.一方本例では,臨床上証明の困難な,大動脈より直接分枝するseparatedconusartery(通常RCAよりconusbranchとして分枝する)を認め篇れがLAD6番と9番,およびRCAの4PD,4AVに側副血行を出していた.本例は三枝病変を有しなから,三枝の内二枝がseparated conus arteryをdonor vesselとして側副血行を受けており,この側副血行が在存しなけれぽ本例の予後は非常に不良であったと推測された,また特に本例のような場合,Conusarteryの選択的造影が,きわめて重要であることが示唆された.
  • 松本 芳彬, 宮田 捷信, 椎名 明, 土谷 正雄, 川崎 建市, 松本 陽子, 冨田 忠孝, 柳沼 淑夫, 細田 瑳一
    1979 年 11 巻 12 号 p. 1358-1364
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は51歳男,夜間胸痛発作を主訴に入院.夜間発作時,II,III,aVF誘導でSTは上昇し,発作はNitreglycerine舌下で速やかに消失した.冠動脈造影像では右優位型を呈し,右冠動脈主幹部中央の25~50%の器質的狭窄以外異常を認めない.異型狭心症と診断し,Diltiazem投与にて発作は軽減した.約5ヵ月後,勤務先で胸部圧迫感を覚え,Nitroglycerine舌下で寛解するも再度,冷汗,嘔吐を伴う胸部絞扼感が出現し再入院.心電図,血清酵素所見および左室造影矇から下壁梗塞と診断した.本例では(1)梗塞発症前に異型狭心症と診断され,冠動脈の有意の器質的狭窄を欠き,狭心発作の原因として冠痙攣が示唆されている.(2)梗塞発症直前にNitroglycerine有効の胸部圧迫感があり,梗塞発症8時間後から記録されたHolter型テープ心電計で下雖側誘導で無症候性のST上昇発作の頻発をみた.(3)梗塞発症前後の冠動脈造影像の比較でまったく差をみなかったことから冠痙攣による梗塞発症の可能性が高いと考えられた.
  • 種田 陽一, 北條 泰男, 前原 光夫, 稲垣 和代, 根来 真, 安井 正之
    1979 年 11 巻 12 号 p. 1365-1370
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は5歳9ヵ月の女児,2ヵ月時,非交通性水頭症の診断のもとにV-Pシャントを行ったが,9ヵ月時,シャントのチューブの閉塞をきたし,1歳時,V-Aシャントに変更した.最近になって左前胸部膨隆,手足の太鼓ばち指が出現したため,心電図,胸部X線写真をとったところ,右室肥大が認められ,入院となった.心臓カテーテル,アンギオグラフィーでは短絡性心疾患はなく,主肺動脈圧は64/38と中等度の肺高血圧症を認めた.99mTc-MAAによる肺シンチグラムでも左下葉に血流の少ない部分が認められたので,V-Aシャントからの肺血栓・塞栓症による肺高血圧症と考え,本院脳外科で,V-Aシャントを除去,V-Pシャソトに再度変更した.V-Aシャント後の肺血栓・塞栓症による肺高血圧症の報告は本邦では少ないが,本症は無症状で徐々に進行するため,見落されることがかなり多いのではないかと考えられる.
  • 山田 哲司, 小林 弘明, 麻柄 達夫, 村北 和宏, 横井 克己, 渡辺 洋宇, 岩 喬
    1979 年 11 巻 12 号 p. 1371-1377
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Scimitar症候群は欧米では140例以上報告があるが本邦では剖検例を含め19例報告されているにすぎず,そのうち手術施行の報告は4例をかぞえるにすぎない,今回著者らはScimitarsignのある右肺静脈還流異常症2例,内1例は3症候を伴うscimitar症候群を経験し,いずれも手術を施行し治癒せしめたので報告し,若干の文献的考察を加えた.
  • 小川 邦泰, 星野 修一, 原田 昌範, 黒沢 博身, 今井 康晴, 和田 寿郎, 安藤 正彦, 門間 和夫, 高尾 篤良
    1979 年 11 巻 12 号 p. 1378-1384
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    内臓逆位,肺動脈弁閉鎖症,VSD,ASD,PDAを伴ういわゆるIDDタイプの修正大血管転換症に対し,Rastelli手術を施行した.症例は15歳の男子で,チアノーゼおよび太鼓ばち指を認めた.PDAを切離ASDを直接閉鎖し,VSDは経大動脈的にpatch閉鎖した.肺動脈弁閉鎖症に対しては,静脈側心室が形態学的左室であるため,その心機能に最も影響の少ない心尖部に,径22mmのHancock conduitを吻合した.術前PO256mmHgは術後79mmHgと上昇し,また術前後ともに刺激伝導障害を認めなかった.術後心カテーテル検査で,Hancock弁およびconduitと肺動脈吻合部に,各10mmHg,32mmHgの圧差を認めた.患者は現在順調に日常生活を送っている.
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