患児は,9歳の女児1歳6ヵ月時,黄色腫の出現に気付く.3歳時,東大皮虜科受診,家族性高リポタンパク血症(Type II a型)の診断を受けた.その後,食事療法を行っていた.
4歳時,偶然,心雑音を指摘された.大動脈弁狭窄の診断で当科外来にて経過観察中,意識消失発作が運動時に出現するようになり,9歳時,入院精査を施行した.上行大動脈で115/65mmHg,左室で215mmHgと,100mmHgの圧差を認め,左室造影で大動脈弁上狭窄と診断した.同時に施行した選択的冠動脈造影では,異常所見はみられなかった.手術を施行し,大動脈狭窄部拡大術を行い,同時に大動脈壁の生検を行い.大動脈壁への脂肪沈着を認めた.
本症例では,経過・手術所見・病理所見から,大動脈弁上狭窄の発生・症状増悪に,家族性高リポタンパク血症(Type II a型)が深く関与していると考えられる.
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