心臓
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11 巻, 2 号
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  • 伊藤 明一, 篠田 晋, 長島 道夫
    1979 年 11 巻 2 号 p. 137-145
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    副伝導路の関与する発作性上室性頻拍(PSVT)の霜気生理学的診断法について解説した.24例(18例はWPW症候群)で以下の1項目以上の所見が認められ,そのPSVTは正常房室伝導路を正伝導路,副伝導路を逆伝鴻路とする興奮旋回路を有すると診断された.(1)高頻度心室刺激時逆伝導時間が著変を示さず,心室刺激時の心拐興奮様式がPSVT時と同一である.(2)PSVT中にKe搬束の存在する側の心室で脚ブロックが起こるとき漣伝導時間が延長する.(3)PSVT時に試みる早期心室鄭激が正伝導に影響を与えず心房捕捉を示す.(4)奇異性琢期心房捕捉がみられる.(5)心房の多部位で電位を記録t逆伝導時の心房興奮様式をみると,左房あるいは右房低位外側部の電位がHis束心電図のA波に先行している(6)atmpine投与前後で誘発しえたPSVTを比較すると,薬物投与後A-H,R-R間隔は短縮し,H-V,V-A間隔は不変である.種々の方法によりPSVTの機序を鑑別することは,その治療を考える上で重要であり.潅在性WPW症候群の診断をも可能にする.
  • 生理的収縮の機的と反応性収縮能の発達
    門間 和夫, 上村 茂
    1979 年 11 巻 2 号 p. 146-152
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    モルモット胎仔を用いて呼吸開始に伴う生理的動脈管収縮の機序と胎生期動脈管の反応性収縮の発達について研究した.Gestation age 0.9(1.0=68日)以上の成熟仔の動脈管は100%酸素呼吸により強く収縮したが,0.9以下の未熟仔の動脈管の100%酸素呼吸に対する反応は様々で概して収縮不良であった.ノルアドレナリンの動脈管収縮作用も未熟仔で弱かったが,アセチールコリンに対しては未熟仔の動脈管も強い収縮反応を示した.成熟仔における100%酸素呼吸による動脈管収縮はアトロピンやフェノキシペンザミンにより阻止されなかった。胎仔および母親に対するインドメサシンまたはアセチルサリチル酸投与には胎仔動脈管収縮作用はほとんど認められず,羊・家兎・鼠とは異なる反応を示した。
  • 僑田 悦, 吉谷 直大, 田崎 武信
    1979 年 11 巻 2 号 p. 153-162
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    慢性の心房粗動の患者の胸壁上の各点より同時記録した4誘導心電図のF波を多重時系列とみなし作成したスペクトル行列の主成分分析から,F波起電源は1個であり,右房内に存在し,これが右房を下行し,左房を上行する旋回する興奮波を送り出していることを.心電図の各誘導部位における位相差から明らかにした.
    ヒトの心房粗動のF波の成因については,現在興奮旋回説が優勢であり,本論文の成績もこれに一致するが,ここで採用した数学的手法は,さらに起電源の存在とその存在部位,mother circus ringに加えてdaughtey waveの存在をも示唆する.
    誘導部位によって位相差を異にする多重時系列の数学的取扱いについて詳細に解説し,さらにわれわれの考案したスペクトルの平滑法を紹介した.
  • 島崎 靖久, 川島 康生, 森 透, 北村 惣一郎, 中埜 粛, 大山 朝賢, 友国 隆, 八木原 俊克, 別府 慎太郎, 横田 侃児
    1979 年 11 巻 2 号 p. 163-170
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心血管造影法による右心室容量測定は,その形態が複雑なために遅れていたが,最近左室容量と同様な方法で求める試みがなされてきている.著者らは可変シリコンゴムを用いて右室腔鋳型を作成し,これの2方向撮影像からarea-legth法およびSimpson法則により鋳型容量を算出した.実際の鋳型の容量は水置換法にて求めた.造影像からの計測値との間にはアンギオカットフィルムではarea-length法で実測値(Vt)=0.828×計測値(Vc)+0.159(ml),Simpson法則でVt=0.856×Vc+2.520(ml),いずれもr=0.995の相関を得た.シネ撮影では鋳型を角度を変えて検討した.どの角度においてもarea-length法でVt=0.759×Vc-0.193(ml)(r=0.984),Simpso難法則でVt=0.758×Vc+1.520(ml)(r=0.980)を得た.これらの一方向撮影像だけからでは相関は悪く,2方向撮影像の必要性を示した.右室容量の経時的変化は左室のそれとよく類似していた.
  • 4手術症例の検討
    河村 岡史, 大沢 幹夫, 森川 哲夫, 小助川 克次, 臼田 多佳夫, 徳安 良紀, 本田 喬, 猪俣 和二
    1979 年 11 巻 2 号 p. 171-178
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    僧帽弁閉鎖不全症3例,僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症1例に対して,東京女子医大心研で開発されたHexible ring(川副リング)による弁輪縫縮術を行った.本法は,拡大した弁輪を弁輪全周にわたって縫縮するために,縫合部の緊張を全周に分散でき,従来の弁輪縫続術にみられた弁輪部組織あるいは縫合糸の断裂による僧帽弁閉鎖不全の再発を防止できる安定した術式である.川副リングは弁輪拡大が少ない前尖側をrigidに,弁輪拡大のある両交連部および後尖側をflexible ringにしてあり,弁輪縫縮のみならず弁輪部機能の温存をも期待したものである.術後8カ月-2年11カ月の現在,全例とも正常生活に復帰しており,術後の左室造影で1例にごくわずかな逆流が認められた以外,逆流は完全に消失し,心内圧も全例が正常範囲内に回復しており,満足な結果を得た.弁輪拡大が主体となった僧帽弁閉鎖不全症の修復に際して本法は大いに適応があると思われる.
  • 若年心筋梗塞患者における家族性高コレステロール血症の重要性について
    亀谷 富夫, 多々見 良三, 上田 良成, 上田 幸生, 羽場 利博, 小泉 順二, 伊藤 清吾, 太田 正之, 宮元 進, 馬渕 宏, 元 ...
    1979 年 11 巻 2 号 p. 179-185
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞患者109例のrisk factorにつき検討した.1)男女比は5:1と男に多く,平均発症年齢は男57.0歳女59.3歳であった.2)特に40歳以下の男性では家族性高コレステロール血症(FHC)とcombined hyperlilpidemiaが75%を占めた.3)高コレステロール血症(240mg/dl以上)の頻度は男22.4%.女25.0%であり,FHCは6.4%に認められた.4)高トリグリセライド血症(160mg/dl以上)は男20.9%,女21.3%に認められた.5)糖尿病は37.1%に認められた.6)15本/日以上の喫煙は男では58.1%を占めたが女では1例も認めなかった.7)肥満は男34.9%,女43.7%に認められた.8)高血圧の頻度は男32.6%,女62.5%であった.以上より,心筋梗塞のrisk factorは欧米に比べ高コレステロール血症の頻度は少なく高血圧の頻度は高かつた.しかし,40歳以下の若年男性では血清コレステロールの関与が非常に大きく,特にFHCはrisk factorとして重要であった.
  • 1歳4カ月の-期的根治手術成功例を中心に
    小須賀 健一, 熊手 宗隆, 押領司 篤茂, 田尻 敏行, 下河辺 知久, 相良 泰至, 赤川 治夫, 石野 哲哉, 畑島 陽, 豊増 弘幸 ...
    1979 年 11 巻 2 号 p. 186-193
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    生直後より高度の心不全でその80%が1カ月以内に死亡するといわれる大動脈弓離断症を外科的に修復する機会は少ない.最近5年間に3例経験し,1歳4カ月女児の心室中隔欠損と動脈管開存症と肺高血圧を合併するA型大動脈弓離断症に,テフロン人工血管で大動脈弓を再建連絡し,1期的に心室中隔欠損および動脈管を閉鎖し救命し得た。9カ月後の心カテーテル検査でも圧較差は認めない.
    この疾患の生後3カ月以内の新生児期での診断は容易ではない.上行大動脈が細くまっすぐに上行する場合にはこの疾患を念頭におき,逆行性大動脈造影が不可欠である,手術法に関しては,直接吻合と,代用血管による再建の二法があるが,いかに大きな血管吻合径が得られるかが最も重要である.最近では新生児または乳児期に,心奇形を修復する機会が増加しているが,成長の問題が1つの合併症ともなり,この疾患でも,遠隔期での大動脈間の圧較差を生ずれぽ,再手術を考慮せねぽならない.
  • 佐藤 雄一, 森 克彦, 上村 茂, 高尾 篤良, 橋本 明政, 高梨 吉則, 保浦 賢三, 吉田 実夫
    1979 年 11 巻 2 号 p. 194-199
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    患児は,9歳の女児1歳6ヵ月時,黄色腫の出現に気付く.3歳時,東大皮虜科受診,家族性高リポタンパク血症(Type II a型)の診断を受けた.その後,食事療法を行っていた.
    4歳時,偶然,心雑音を指摘された.大動脈弁狭窄の診断で当科外来にて経過観察中,意識消失発作が運動時に出現するようになり,9歳時,入院精査を施行した.上行大動脈で115/65mmHg,左室で215mmHgと,100mmHgの圧差を認め,左室造影で大動脈弁上狭窄と診断した.同時に施行した選択的冠動脈造影では,異常所見はみられなかった.手術を施行し,大動脈狭窄部拡大術を行い,同時に大動脈壁の生検を行い.大動脈壁への脂肪沈着を認めた.
    本症例では,経過・手術所見・病理所見から,大動脈弁上狭窄の発生・症状増悪に,家族性高リポタンパク血症(Type II a型)が深く関与していると考えられる.
  • とくにGortex代用血管使用例を中心に
    森川 哲夫, 大沢 幹夫, 鈴木 孝一, 判治 康彦, 吉沢 邦重, 柴田 隆, 小川 次郎, 石井 潔, 河村 剛史, 今井 康晴
    1979 年 11 巻 2 号 p. 200-207
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖症はきわめてまれな先天性心疾患である.その自然予後は不良であり,大部分の症例が新生児,乳児期に死亡する.しかもその外科治療は成績不良であり,術式も定まつていない.
    今回われわれは2例の本症を経験した.症例1は生後55日,体重2900g右室および流出路の発育が著しく悪かったため,Gortex代用血管にて上行大動脈主肺脈バイパス術を作成した.
    症例2は生後72日,体重4530gであった,症例1に比して右室内腔の発育が良好であったため,肺動脈弁切除術を行った.
    術後3カ月および1カ月現在,良好な結果を得たので,新生児,乳児期の本症に対する外科治療について文献的考察を加えて報告した.
  • 飯田 良直, 西谷 泰, 石井 潔, 斎藤 恒雄, 神田 史大, 横山 宏
    1979 年 11 巻 2 号 p. 208-213
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心臓種瘍はまれな疾患であるが,大血管に発生する腫瘍はそれよりもっと少ない.われわれはきわめて珍しい肺動脈肉腫を経験したが,このような症例は国内外のものを合わせても50例に満たない.
    診断は右心系の血管撮影と肺スキャンによるが,肺塞栓症との鑑別はきわめて難しい.
    手術は腫瘍を肺動脈壁とともに切除し,その部の血管再建術をすることが望ましいが,成否は早期発見にかかっている.
    当症例は診断を確定するための心カテーテル検査施行中に状態が悪化し,引き続き緊急手術を行ったが,救うことができなかったものである.
    肺動脈肉腫の症状,臨床所見,診断法,治療法について文献的考察を加え報告した.
  • 野田 英行, 小松 行雄, 広江 道昭, 楠元 雅子, 木全 心一, 関口 守衛, 広沢 弘七郎
    1979 年 11 巻 2 号 p. 214-220
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    38歳男性,肥大型心筋症にMarfan症候群でしばしぽみられるannulo-acrtic ectasia(AAE)に類似した大動脈弁輪・上行大動脈の拡張を合併した症例を経験した,心基部でaortic ejection clickとそれに続く収縮期駆出性雑音を聴取し,それらは亜硝酸アミルとイソプロテレノールで増強した.心エコー図では僧帽弁の収縮期前方運動と非対称性心室中隔肥厚を認めた.左心カテーテルでは左室内圧較差を認めなかったが,左室アンギオでは左室自由壁の肥厚と内腔の狭小化を示した.心内膜心筋生検では肥大型心筋症をうかがわせる心筋の錯綜配列をみた,上行大動脈造影で大動脈弁輪から上行大動脈にわたる著明な拡張像を得た.心エコー図でも大動脈の拡張を認めたが,前壁と後壁の動きは正常に近かった.本例は肥大型心筋症にAAEを合併したまれなる症例であり,これら両病態の組み合わせが生じうることを示す意義ある症例と思われる
  • 動物実験と臨床経験
    冨田 忠孝, 細田 瑳一
    1979 年 11 巻 2 号 p. 221-229
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 杉浦 昌也, 上田 慶二, 大川 眞一郎
    1979 年 11 巻 2 号 p. 230-238
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 11 巻 2 号 p. 239-
    発行日: 1979年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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