心臓
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12 巻, 12 号
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  • ウサギ摘出心における実験的研究
    渡部 良夫
    1980 年 12 巻 12 号 p. 1381-1388
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    定頻度駆動のウサギ摘出灌流心で,細胞外Ca,K,Na濃度の変化が房室伝導に及ぼす影響をHis束電位記録により調べた.対照灌流液のCa,K,Na濃度は2.4,4.5,144.8mMで,低Ca濃度(0.8mM)はA-H時間を有意に延長,高Ca(4.8~7.2mM)はこれを一層高度に延長ししばしば結節内伝導杜絶を生じた.心房内興奮伝播過程は高Caで変化した.高Caによる結節内伝導抑制は高K(7.5mM)で拮抗された.Verapamil(0.5~1mg/L)は第2度結節内ブロックを生じ,この時Na濃度を172mMに増すと1:1伝導にもどったが,高Caにはこうした拮抗作用はなかった.高Naによる結節内伝導改善はverapamilとtetrodotoxin(10mg/L)併用時にも見られた.これらは(1)房室結節伝導に至適Ca濃度が存在すること,(2)高K濃度は高Caによる結節内伝導抑制を改善すること,(3)結節内伝導に対するCa拮抗剤の効果は高Naで逆転されることを示す.房室結節伝導における緩徐なNa電流の関与と,Ca濃度の二相性作用の機序についても考察した.
  • 左室壁運動解析について
    宮本 篤, 小林 毅, 松村 尚哉, 安藤 譲二, 坂本 三哉, 安田 寿一, 古舘 正従
    1980 年 12 巻 12 号 p. 1389-1395
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    特発性心筋症の左室機能を非侵襲的に評価することを的とした.対象は特発性心筋症25例,健常者5例で目ある.方法はRAOとLAOでRI心血管造影を行い,各方向の左室壁運動をcomputerで自動描画させ,各区域の%短縮率や左室容積曲線などを定量的に検討した.
    成績:健常群およびHCM群の左室壁運動ではいずれも均等な収縮がみられた.各区域の%短縮率は健常群では心尖部を除いて45±5%(m±SD)であったが,HCM群ではRAO,LAOいずれにおいても健常群より良好であった.HOCM群ではhyperkineticな壁運動と左室内腔の狭小化が著明にみられた.特にRAOでみた後下壁部の%短縮率は60-80%と大であった.CCM群では左室全周にわたる%短縮率の低下(25±13%),左室駆出率の低下,拡張終期容積の増大が著明であった.
    以上より本法は各方向から繰り返して左室壁運動を観察可能であり,特発性心筋症の病態の推移を把握する上で有益な方法と思われる.
  • 特に手術および術後遠隔成績について
    松倉 裕美, 安田 慶秀, 横田 旻, 太田 里美, 川上 敏晃, 黒島 振重郎, 田辺 達三, 杉江 三郎
    1980 年 12 巻 12 号 p. 1396-1403
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    最近14年間に手術治療を行ったVSD+AI 15例,バルサルバ洞動脈瘤破裂12例について,手術成績および術後約6年におよぶ遠隔成績を比較検討した.
    VSD+AIは平均13歳で手術を施行し,I型VSDが73.3%を占めていた.VSD閉鎖49例,VSD閉鎖+弁形成2例,VSD閉鎖+大動脈弁置換4例を施行し,直接死1例,早期死2例,晩期死1例があった.8例にAIの遺残・再発をみたが.6年後AI雑音の消失をみた例があつた.
    バ洞瘤破裂は平均25歳で手術し,直接縫合4例,瘤切除+直接縫合4例,瘤切除+パッチ閉鎖4例であった.早期死はないが,晩期死が1例あった.6例にAIの遺残・術後発生をみたが瘤再発は認めなかった.
    問題となるAIの処理については大動脈切開下の直視下診断による慎重な判定が重要である.両疾患の成績比較からVSD+AIはバ洞瘤破裂より重篤な疾患と考えられた.
  • 坂東 重信, 佐藤 浩充, 相 原令, 仁木 敏晴, 森 博愛
    1980 年 12 巻 12 号 p. 1404-1410
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    特発性心筋症30例について刺激伝導系の電気生理学的検討を行い,本症における伝導障害および突然死について考察した.
    最大洞結節回復時間の異常は30例中5例(16.7%),洞房伝導時間の異常は24例中5例(20.8%)にみられたが,著明な延長例は認められなかった.心房内伝導障害の頻度は少なく,房室結節以下,特にHis-Purkinje系の伝導障害を高率に認め,病型別ではうっ血型心筋症群に高率に認められた.
    本研究の対象とした30例中6例(20.0%)が経過観察中に死亡し,内5例は突然死であった.これらの突然死例のHis束心電図には,全例に何らかの伝導障害所見を認めた.
  • 吉武 克宏, 永沼 万寿喜, 小池 一行, 高良 吉広
    1980 年 12 巻 12 号 p. 1411-1417
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    幼若乳児で発症する動脈管開存症は非定型的心雑音を呈すことが多く臨床診断は必ずしも容易でない.カテーテルが動脈管を通過した場合でも他の心疾患の合併は否定できずしばしば左心カテーテルを要す.著者らは右心カテーテル検査時にアンジオ用バルーン・カテーテルを用い動脈管開存症と他の心疾患合併症例との鑑別を試みた.カテーテルが動脈管を通過した16例の乳幼児を対象とした.カテーテルが動脈管を通過した所でバルーンを膨らませ手前に引き抜き動脈管を閉塞した.動脈管開存単独例はこの時心雑音の消失を見た.この状態で造影を行いそのlate phaseで左→右短絡のないことを確認した.他の心疾患合併例は必ず心雑音が残り血液サンプリングの結果と合わせ合併心疾患を推定し,不安なくその確定診断のため次のStepに移り得た.このように動脈管開存症と他の心疾患合併症例との鑑別にはバルーン・カテーテルの使用はきわめて有用であり簡便な方法として推奨したい.
  • 剖検例における形態診断と外科治療の考察
    田所 正路, 石沢 栄次, 鈴木 康之, 毛利 平, 堀内 藤吾, 福田 守邦, 巴 朝夫, 小山 田恵, 石川 茂弘, 垣畑 秀光, 定方 ...
    1980 年 12 巻 12 号 p. 1418-1427
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    房室弁両室挿入症はきわめてまれな発生異常で,その発生機序は総房室口が右方(心球)へ移動する発生過程の早期停止または過剰偏位と考えられており,複雑心奇形に合併することが多い.われわれはこれまで剖検により6例で本症を確認している.その内訳は単心室2例,TGA 1例,Taussig-Bing Heart 2例,修正大血管転位症1例である.本症の診断は困難でありこれらのうち術前に診断のついた症例はなかったが,1例でUCGにて本症を疑った.また剖検後の心血管造影所見の再検討により4例に本症を疑うべき所見が得られている.基本疾患に複雑心奇形を持ち外科治療のきわめて困難な場合が多い.2例に根治手術を施行し,3例に姑息手術を施行した.三尖弁両室挿入を合併したTGAや僧帽弁両室挿入を合併したTaussig-Bing Heartに対してはそれぞれの弁置換も考慮する必要があるが,幼少時期の根治手術は容易ではないので待期的手術の重要性も強調したい.
  • 純型大動脈弁閉鎖不全症との比較
    重信 雅春, 鈴木 芳英, 佐藤 純一, 定金 省二, 野村 修一, 前田 直俊, 原 史人, 紀 幸一, 吉田 英生, 妹尾 嘉昌, 寺本 ...
    1980 年 12 巻 12 号 p. 1428-1433
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    8例のannuloaortic ectasia(An)と16例の純型大動脈弁閉鎖不全症(AI)との臨床症状,アンギオ所見,血行動態を比較することにより,An群の血行動態の特異性を知る目的で,本研究を行った.
    An群はAI群より術前よりすでに重篤な左心不全を示す症例が多く,術後にも突然死する症例がみられた.したがって,手術が成功しても,その後充分なfollow-upが必要である.An群には手術の絶対的適応があるが,その予後はAI群に比して非常に悪い.
    An群の自然歴はかんばしくないので,左心不全をきたす前に早期の手術を考慮する必要があると考える.収縮終期偏心率が0.72,拡張終期偏心率が0.66以下のものは全例死亡しており,An群において偏心率を測定することは,手術の予後を知る上で有用と思われる.
  • 山里 有男, 伴 敏彦, 安永 敏美, 坂田 隆造, 西脇 登, 広瀬 瑞夫
    1980 年 12 巻 12 号 p. 1434-1439
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    大動脈-左室トンネルの診断を受けていた5800g,10カ月の男児が,左無気肺,心不全をきたし緊急入院し,超低体温循環遮断下に開心術を施行した.術中所見は大動脈交連部で大動脈壁より離開した特殊な形の大動脈閉鎖不全症であり,膜性部中隔瘤も認められた.弁交連をフェルト付針糸で大動脈壁に縫着し中隔瘤を切除した.術後消失した大動脈逆流音が再び聴取されるようになり,1週間後再手術を行った.縫着した大動脈弁は完全に離開してあり,大動脈弁輪が14mmと小さく弁置換は行えなかったので,大動脈弁口をパッチで閉鎖したのち14mmのハンコック弁付人工血管による左室心尖-大動脈間の左室流出路形成を行ったが低心拍出症で失なった.
    左室心尖-大動脈バイパス手術はその手技も容易であり,先天性大動脈狭窄症や弁輪にまで強度の石灰化をきたした大動脈狭窄症などにも本手術法は有用であると考える.
  • 鈴木 文男, 佐竹 修太, 比江嶋 一昌, 坂本 保己
    1980 年 12 巻 12 号 p. 1440-1445
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    WPW症候群における発作性“上室”性頻拍の発生様式としては,心房において早期に興奮が発生した際,不応期にある副伝導路(ケント束タイプ)上の伝導はブロックされ,したがってインパルスは房室結節を下行し,副伝導路を逆行するリエントリーによる場合が大多数であるが,われわれはこのような様式とは異なる頻拍の発生を経験した.症例は頻拍歴のある34歳の女性で,心電図はA型WPW症候群を呈する.基本刺激周期600msecで心房ペーシング中,連結期320msecにて心房早期刺激を与えたところ,別個の異常な心房興奮がまず発生し,そのインパルスが房室結節を下行し副伝導路を逆行して''上室''性頻拍へ移行した.この別個の異常な心房興奮の発生機序は不明であったが,かかる頻拍の発生様式はまれと考えられるので報告した.
  • 有馬 新一, 東 万里, 宮本 真理, 有山 尊郎, 鹿島 友義, 田中 弘允
    1980 年 12 巻 12 号 p. 1446-1450
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    高血圧を有するPseudoxanthoma elasticum(PXE)の1例の血管病変と高血圧の成因との関連について文献的検討を加えて考察した.
    症例は17歳の女子.3歳ごろより運動時の呼吸困難と胸部圧迫感を訴え,6歳ごろより高血圧を指摘されていた.頸部,腋窩,下腹部に黄褐色の丘疹と過伸展などを認め,組織学的に弾性線維の増殖と断裂,弾性線維へのカルシウム沈着を認めた.また眼底には放射状の色素線条(Angioid streaks)を認めた.血管造影にて脾動脈の狭細,腎・脾・上腸間膜動脈の分枝における多発性の血管の結節状の拡張が認められた.血漿レニン活性は軽度の上昇と左右差を示し,本例における高血圧の成因に腎血管の変化が関与していることが示唆された.
    また心電図負荷試験で著明なST低下とT波の逆転を認め,冠動脈病変の存在も推測された.
  • 樗木 等, 都筑 康夫, 佐藤 禎二, 津田 淳一
    1980 年 12 巻 12 号 p. 1451-1457
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    先天性心疾患のうちで,左室右房交通症は比較的まれな心奇形とされているが,心室中隔欠損症を合併した症例はさらに少ないとされている.また術前に診断されないことも多い.われわれは,最近,心臓カテーテルおよび左室造影にて確定診断した症例の根治術を経験した.
    症例は5歳男児で,主訴は心拡大および心雑音である.心雑音は,胸骨左縁第IV-V肋間から心窩部にかけてのLevine IV/VI度の粗い収縮期雑音を,および胸骨右縁第III~IV時間にてIII/VI度の同様な収縮期雑音を聴取した.右心カテーテルで,右房および右室で有意の酸素飽和度の上昇を認めた.左室造影で,右房および右室に向かう2条のshunt jet重を認めた.術前診断は左室右房交通症兼心室中隔欠損症であった.術中,右房下部および右室前壁の2ケ所にスリルを感じ,心内にて診断を確かめた.左室右房交通症をパッチ縫合,心室中隔欠損症を直接縫合にて閉鎖した.
  • 井内 和幸, 浦岡 忠夫, 神保 正樹, 秋山 真, 余川 茂, 寺田 康人, 杉本 恒明, 渡部 秀人
    1980 年 12 巻 12 号 p. 1458-1461
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は31歳,男.昭和54年4月ごろより安静時胸部圧迫感あり,精査のため当科入院.脈拍60/分,整,左橈骨,上腕.頸動脈拍動は微弱.血圧は上肢で右110/64,左96/64mmHg.頸部血管雑音は聴取せず.胸・腹部に異常ない.眼底の左動脈径は細く,血圧低下あり.胸部X線写真上.右大動脈弓,左頸肋.心電図上は不完全右脚ブロックで, 運動負荷試験陰性. 頸動脈波の立ち上がりは左で40msec遅延.心臓カテーテル検査で圧,血液ガスに異常はない.大動脈造影で右大動脈弓から右総頸動脈,右鎖骨下動脈のみが分岐.左総頸動脈,左鎖骨下動脈は大動脈からは分岐せず, 遅れて描出され, 各枝は細く,左鎖骨下動脈末梢へは左頸動脈,椎骨動脈からの盗流を認めた. 肺動脈造影で左動脈管遣残あり. 冠動脈は正常だった.
    以上,左側subclavian steal現象を合併した右大動脈弓症候群と診断した.同様の症例は調べえた範囲では4例の報告しかない.
  • 木田 修, 中川 進, 諸冨 康行, 田仲 謙次郎, 島田 雅已, 大滝 幸哉
    1980 年 12 巻 12 号 p. 1463-1467
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は,リウマチ性大動脈弁閉鎖不全症を基礎疾患として持つ20歳女性で,発熱・紫斑・浮腫を主訴として入院した.血液培養によりグラム陰性小球桿菌を分離したため,亜急性細菌性心内膜炎と診断し,cefazorin・gentamicinを主とする化学療法を行った.分離菌は通性嫌気性・非運動性で,catalase・硝酸塩還元が陽性,oxidase・indole・ureaseが陰性であり,glucose・rcaltose・mannitolで発酵がみられたため,Actinobacillus actinomycetemcomitansと同定された.Actinobacillus actinomycetemcomitansは,1912年Klingerにより初めて分離同定されて以来,その報告例はきわめてまれであるので,文献的考察を加えて報告する.
  • 横山 正義, 中江 世明, 石井 潔, 石原 和明, 秋山 一也, 和田 寿郎, 全 勇, 高尾 篤良
    1980 年 12 巻 12 号 p. 1468-1474
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    ペースメーカー刺激電流のパルス幅が広いと,afterpotentialが大となり,デマンドペースメーカーが偽抑制をうけることがある.プログラマブルペースメーカーを植込んだ7歳女児にて,脈拍が遅くなったが,その原因はafter-potentialによる偽抑制であった.刺激パルス幅を狭くすると偽抑制は消失した.またこの現象は,手術後3日間だけ認められ,その後は完全に消失した.
  • 小川 和朗, 山本 厚太
    1980 年 12 巻 12 号 p. 1475-1483
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 加藤 敬太郎
    1980 年 12 巻 12 号 p. 1484-1489
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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