心臓
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12 巻, 2 号
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  • 心内圧およびACGによるVce測定時の問題点
    幸地 佑, 湯浅 安人, 佐藤 登, 田中 幸博
    1980 年 12 巻 2 号 p. 113-119
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    試作したlevel shifterを用いて電気的にfloatしているACGのbase lineをclamp し,analog演算でそのnormalized velocity(dA/dt/A)を求めて心機能を評価することを試み,動物実験でその有用性と問題点を検討した.
    Millar catheter-tip micromanometerを用いて心内圧を記録した場合,ACG同様その0-levelが動揺してVce計測に大きな誤差を生ずる危険性があった.そこでACG,心内圧ともに心室収縮波の立ち上がり点を0として,developed pressureに近い値でnormalizeするとmaxdA/dt/A とmax dP/dt/P,および(peak dA/dt)/A と(peak dP/dt)/Pは正の相関を示した.若干の問題点と制約は残しながらも0-levelの設定を慎重に行えば,心尖拍動のnormalized velocityが心機能の評価に用いうることがわかった.
  • 松尾 修三, 奥 保彦, 橋場 邦武
    1980 年 12 巻 2 号 p. 120-127
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    ドプラカテーテル血流速度計を用いて,心房中隔欠損症10例で,欠損孔部での左→右短絡血流速度波の記録を行った.
    この波形は,収縮末期より拡張早期にピークをもつS波と,拡張中期にピークをもつD波,拡張末期のA波よりなり,症例によっては,収縮初期に右→左短絡血流速度波が記録された.また,波形は呼吸で変動し,呼気時に増大し吸気時に減少がみられた.これらの波形のS波とA波の高さの比(S/A比)と,左→右短絡率との関係では,S/A比が小であるほど短絡率は大となる傾向がみられた.また,S/A比と左房圧A,V波との間には,一定の関係はみられなかった.対照として記録した卵円孔開存の5症例で,開存部の血流速度波は,ほぼ0に近く,一定の波形はえられなかった.
  • 浅野 浩, 島田 悦男, 倉沢 忠弘, 加藤 正一, 山根 至二
    1980 年 12 巻 2 号 p. 128-135
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Carotid Sinus Reflexによって洞結節自動能が著明に抑制される症例が存在することは周知の事実であるが,これがReflex自体の障害によるものか,あるいは,洞結節自体の内因性の病変によるものかの鑑別は困難である.
    Cardioinhibitory Carotid Sinus Hypersensitivityを示す8症例について,電気生理学的諸検査および,他の受容器を介した反射に対する応答などを用いてこの鑑別を試みた.Carotid Sinus Reflexに障害が内因していると考えられる症例(B群)は,SNRTが正常,頸動脈洞反射はVasodepresser効果を伴い,Valsalva Test正常,他方,洞結節自体に内因した障害を示すと考えられる症例(A群)は,SNRTが延長,Valsalva Testに異常反応,頸洞脈反射ではVasodepresser効果を伴っていないなどの特徴を示した.この結果CardioinhibitoryCarotid Sinus Hypersensitivityを示す症例で,B群は一次性,A群は二次性と考えられ,また,二次性としたA群は,Sick Sinus Syndromeの特殊な病型と考えられた.
  • 吉松 修一, 鈴木 雅紹, 周防 正行, 槇野 征一郎, 横山 達郎
    1980 年 12 巻 2 号 p. 136-141
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    小児循環血液量に関する報告は,いまだ少なし.われわれは小児循環血液量予測式を求める試みを行った.過去に報告された,循環血液量予測式の検討も行った.対象は,心臓カテーテル検査および心血管造影を行い,心内短絡なく,圧負荷,容積負荷など循環動態に異常を認めなかった3-15歳までの症例で(64例)ある.131I標識ヒト血清アルブミンを用い1点採血法により,循環血液量を測定し,年齢,身長,体重,体表面積を説明変数として(重)回帰分析を行い,いくつかの循環血液量予測式を求めた.この中で,体表面積による単回帰式,身長,体重による重回帰式が,実測値の予測値からのばらつきが小さい点(9.2-10.0%)で優れていたが,両者に優劣はつけ難い.臨床的には体表面積・単回帰式が手軽で使いやすいと考える.
  • 幸治 隆一, 須川 正宏, 中村 正之, 竹沢 英郎
    1980 年 12 巻 2 号 p. 142-149
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞症52例に発作直後より7日間は連日,および30病日に非観血的にSTIを測定した.Q-S2C時間は全経過で有意差はなかったが,3病日を中心にLVETcは短縮,PEPcは延長した.特に経過中に死亡した症例ではその傾向が強く,PEP/LVETは発作直後より生存例に比べ有意に高値で,特に第3病日には極端に高値を示した.そして経過中にS3の出現した群と,S3(-)群とを比較するとS3(+)群が有意にPEP/LVETの高値を示した.また,今回の心筋梗塞が初発である群と,再発である群との間では,再発群に,梗塞部位別では広範囲なものほど,また,年齢別では高齢者ほどPEP/LVETは高値を示す傾向があった.そして心筋梗塞発作後のSTIに大きな影響を与えるcatecholamineの測定を行ったところ,第1病日には著明に高値を示したが,第3病日には正常値の上界にまで下降していた.すなわちこの時期にはcatecholamineの影響も少なく,最も低拍出状態になったのではないかと考えている.
  • 林 秀晴, 熊田 卓, 大場 みどり, 深谷 哲昭, 大久保 満, 佐々 寛己, 丹羽 豊郎, 松井 永二
    1980 年 12 巻 2 号 p. 150-157
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    慢性不応性心不全患者12例にhydralazine 1回50mg1日3回計150mgを12週間内服投与し,以下の結果を得た.投与を続行した9例中7例で臨床症状の改善を認め,血行力学的作用の最大効果では,心拍数は-12.7%(P<0.05)と有意の減少を,末梢静脈圧は-22.2%と低下の傾向をSV,EF,mVCFは上昇の傾向を認めたが,平均血圧には変動がなかった.経時変化では,心拍数は4週間後で有意の減少を,末梢静脈圧は8,12週間後で低下の傾向を,ET/PEPは2週間後で有意の上昇を認めた.またdouble productは-20.1%(P<0.05)と有意の低下を認めた.血漿レニン活性は2週間後で+26.5%(P<0.05)と有意の上昇を,遊離脂肪酸は-22.2%と低下の傾向を,血清Kは-7.0%(P<0.05)と有意の低下を認めた.以上より,hydralazineは,長期投与によっても心仕事量を減少させて心不全症状を軽減させ,慢性不応性心不全の長期療法として有用と考えられるが,血漿レニン活性の上昇に関して今後検討を要すると考えられる.
  • 診断と外科治療に関する考察
    大澤 幹夫, 山本 紀章, 森川 哲夫, 石井 潔, 入沢 彰仁, 川村 修
    1980 年 12 巻 2 号 p. 158-164
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    従来は静脈洞型心房中隔欠損症の術前診断は困難であった.補助診断的な意義があるといわれていた胸部XPや心電図の変化にも,相関をえられない場合が多い.本症の欠損孔の解剖から,大伏在静脈ルートからのカテーテルは,右房の高位から右肺静脈へ挿入されることがあっても,左肺静脈へは入れにくい.一方,肺動脈ACGのlevogram初期像には大変診断的な特徴がある.これらを組み合せれば,本症は確実に診断される.それゆえ心房中隔欠損症類似の臨床像を示す疾患群では肺動脈からのACGをroutineの検査に採用すべきであろう.
    修復は,共通静脈幹が拡大しているので,原則的にはconduit patch形成でよいが,高位の上大静脈へ肺静脈が還流している場合は,有茎の自家組織による形成修復が望ましい.また,左上大静脈遺残を合併した場合の特殊な修復法についても予備的な見解をのべてある.
  • 安井 久喬, 瀬々 顕, 上野 安孝, 角 秀秋, 安藤 広美, 松井 完治, 田中 二和, 竹田 泰雄, 徳永 皓一, 本田 悳, 砂川 ...
    1980 年 12 巻 2 号 p. 165-172
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    動脈管ホルマリン固定術7例の経験を報告した.適応のなかった1例を除きすべての症例に良好な初期成績を得た.遠隔成績では,3例の動脈管が長期開存したが,他の2例において動脈管が術後1-2カ月で閉塞,短絡手術を必要とし,その長期成績は不安定であった.外科手術面では本法は非常に簡単容易であり,手術侵襲も従来の短絡手術に比しきわめて低く,術後合併症も認められなかった.以上より,新生児,乳児早期のPDA依存性肺血流減少型の心疾患患者,とくに肺動脈低形成型の重症例,Hypoxia,acidosisの強いpoor riskの患者に対しては,短絡手術と同様につねに考慮さるべき有用な手術法と考えられる.
  • 重広 世紀子, 茂在 省一, 酒井 天栄, 矢端 幸夫, 露崎 輝夫, 木川田 隆一, 古田 晶子, 桑尾 定仁
    1980 年 12 巻 2 号 p. 173-179
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は45歳男性で,昭47年軽度心不全症状にて受診し,特発性心筋症と診断された.昭52年12月呼吸困難にて来院.入院時血圧106/70mmHg,脈拍80/分,不整,黄疸(+),チアノーゼ(+),静脈圧230mmH2O,心拡大(+)肺野湿性ラ音(+),肝三横指触知,下肢浮腫(+)で両室不心全症状と肝機能不全状態を呈していた.検査成績は心電図で心房細動心室性期外収縮および胸部誘導にてQS型T,Bil 2.4mg/dl,GOT8575単位,GTP 1985単位,LDH19100単位,A1-P 17単位,BUN 16mg/dl,Cr 1.7mg/dl.入院後,心不全に対する治療で静脈圧の正常化,下肢の浮腫の消失,呼吸困難の軽快をみたが,T.Bilが徐々に37mgまで上昇し,腹水の出現,高度の精神障害などの急性肝不全を呈し,約40日の経過で死亡剖検にて,特発性心筋症(線維症型)と肝の中心壊死を伴った循環不全の所見があった.急性肝不全の原因としてショックを伴わない心不全の症例は過去外国における2例の報告しかみあたらない.
  • 特に7ヵ月後Leriche症候群に対しY字型人工血管移植術を行った症例
    堀越 茂樹, 金子 俊昌, 久米 弘洋, 松井 道彦, 中西 成元, 鈴木 茂, 丸山 浩一, 小机 敏昭, 松井 正治, 杉田 洋一, 中 ...
    1980 年 12 巻 2 号 p. 180-186
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    弁膜疾患と虚血性心疾患に対する同時手術は増加しつっあり,さらに合併せる閉塞性動脈硬化症に対する手術をも必要とする症例は,弁膜症に対する手術適応年齢の高齢化とともに近年増加の傾向にある.本邦においてはリウマチ,梅毒などの炎症が基盤となって発生した僧帽弁膜症に対するMVRとA-C bypassの同時手術の文献による報告は見当らない.われわれは,僧帽弁弁尖および前後の乳頭筋に石灰化がみられたリウマチ性僧帽弁膜症の症例にMVRとA-C bypass手術を同時に行い,さらに7カ月後発症したLeriche症候群に対し血栓内膜別除とY字型代用血管によるバイパス移植術を行い成功したので,このような高齢者に対する術前の充分な全身的血管系の検索が必要かつ重要であることを強調すると同時に,弁膜症と冠動脈疾患の合併頻度,同時手術の必要性,手術方法などについて文献的考察を加えて報告する.
  • 三羽 啓史, 三浦 克弥, 岩井 雄司, 小林 正明, 志場 正光
    1980 年 12 巻 2 号 p. 187-193
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    検査時は主として1:1伝導を示した房室結節内病変の疑われる症例で,ヒス束近辺より高頻度ペーシングを行うことにより,ペーシング終了後高度房室ブロックを誘発し得た. 同じ刺激条件で行った右房ペーシングでは終了後の自発心拍は1:1伝導を示し房室伝導への影響はみられなかった.
    症例は68歳,女性.アダムス・ストークス発作の疑いで入院.入院後は長時間モニターでも高度房室ブロックは出現せず.ヒス束近辺より15秒間高頻度刺激を行ったところ,ぺーシング停止後の自発心拍の房室伝導障害が出現した.刺激頻度176/分で第1度房室ブロックが,188/分以上では高度房室ブロックが誘発された.房室伝導への影響は刺激頻度と刺激時間が関与するものと思われた.
    また,本症例はHV時間が10msecと短く,心房ペーシングでもHV時間はほぼ一定に保たれ,Mahaim線維による心室早期興奮もあるものと思われる.
  • 吉田 哲也, 藤沢 由樹, 宮崎 正章, 武内 克郎, 石戸谷 武, 大須賀 洋
    1980 年 12 巻 2 号 p. 194-199
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    呼吸困難,チアノーゼを主訴として入院し,生後3カ月時および1歳4カ月時に心臓カテーテル検査および心血管造影を施行し,姑息的手術を行ったが術後5日目に死亡,剖検にてきわめてまれな症例であることが判明した.
    心房中隔には卵円孔開存が認められたが,腹部内臓の錯位はなく,脾臓も正常に存在し,内臓心房正位であった.左右両心室は上下配列を示し,下側にはhypoplasticな解剖学的左心室が存在し,右房と交通していた.この右房側に存在する房室弁は3弁よりなり,その内の1つは完全に心室中隔を乗り越え,上側の解剖学的右心室に開口しており,Straddling Mitral Valveと診断された.両大血管はともに解剖学的右心室より起始する両大血管右室起始症で.大動脈は肺動脈の右前方より起始するD-型を示していた.さらに左肺動脈は右肺動脈より分岐し,気管と食道の間を通って左肺に至るVascular Slingが認められた.
  • 永沼 万寿喜, 吉武 克宏, 小池 一行, 常本 実, 太田 喜義, 島田 宗洋, 松尾 準雄, 大島 正浩, 有村 章, 小林 宗光
    1980 年 12 巻 2 号 p. 200-206
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    2歳7カ月女児,完全型心内膜床欠損に合併した左房内異常隔壁(三心房心)の心断層エコー図,Mモードエコー図所見について報告する.
    患児は異常隔壁の開窓が大きな心房中隔欠損口と通じており,臨床的に肺静脈のうっ血症状を呈さなかったが,心内膜床欠損根治手術後肺浮腫で死亡し,剖検の結果,三心房心が判明した.
    先天性心奇型に合併した三心房心は,アンジオにても診断困難なことが多く,本症の診断に心エコー図が重要である.そこで術前のMモードエコー図,心断層エコー図を検討の結果,心断層エコー図で容易に診断が可能であったことを経験した.しかしMモードエコー図ではビームの方向により必ずしも左房内異常エコーとして描出されないことも経験した.また心内膜床欠損の診断も心断層エコー図(four chamber view)にて容易であることを述べた.
    左房内異常エコーの鑑別には,Mモードエコー図,心断層エコー図,コントラスト法の併用などが重要であると思われた.とくに冠静脈洞の同定や全肺静脈還流異常症の診断には,コントラスト法は必須である.
  • 酒井 圭輔, 久保田 宏, 村上 忠司, 黒田 広, 〓丸 博幸, 清水 隆, 佐竹 良夫, 近藤 満, 宮田 喜彦, 大宜見 義夫
    1980 年 12 巻 2 号 p. 207-213
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    生後1カ月目より先天性心疾患の診断で他の病院で経過観察をされていた1歳5カ月の男児に肺動脈および左心室造影を施行した.PDAに心室中隔欠損を合併する大動脈弓離断症(Celoria and PattonのType A)と診断された.昭和53年10月4日表面冷却体外循環併用超低体温法を用いて一期的根治手術を行った.胸骨を横断した左開胸を用い,大動脈弓再建は,上行大動脈と肺動脈片付き動脈管で端側吻合を行った.心室中隔欠損はパッチで閉鎖した.術後一時完全房室ブロックとなった以外は順調な術後経過をとった.術後36日目の大動脈造影では,吻合部はよく開存していた.外来でフォロー中であるが,発育は順調である.
  • 高柳 寛, 真島 三郎
    1980 年 12 巻 2 号 p. 216-223
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 水谷 哲郎, 前川 起至央, 横山 光宏
    1980 年 12 巻 2 号 p. 224-234
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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