心臓
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13 巻, 12 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 安谷 屋均, 沢登 徹
    1981 年 13 巻 12 号 p. 1471-1478
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    摘出した家兎の右心房標本を用いて微小電極法により洞結節歩調取り細胞間の調律決定に関する機序について検討した,洞結節のほぼ中央部に割を入れ,早いリズムと遅いリズムを有する細胞群とに分け,おのおの微小電極を挿入し各活動電位間の脈拍間隔の影響をみた.その結果一部の特有のリズムの変化は,他の部分の活動電位の電気緊張効果により影響を受けていると考えられる.これを証明するために,洞結節に細胞外閾値下脱分極矩形波刺激を活動電位の拡張期緩徐脱分極の各時相に与えてみた.刺激を拡張期緩徐脱分極の早期に与えると,脈拍間隔は延長し,後期に与えると短縮した.以上の事から,洞結節部特有のリズムの生成は,洞結節歩調取り細胞間の各活動電位の電気緊張効果により相互間のリズムの促進あるいは減少などがみられる.またこのような相互作用により洞頻脈とか洞徐脈などの不整脈が極端に進行しない事が考えられる.
  • 7 症例についての分析
    傅 尭箕, 水野 明, 進藤 剛毅, 高山 鉄郎, 小塚 裕, 三枝 正裕, 十字 猛夫, 三宅 和彦, 三木 敏行, 尾本 恵市
    1981 年 13 巻 12 号 p. 1479-1487
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    われわれは過去15年間に7例の房室ブロックの患者に遺伝性家族性素因を認め,7例の属する4家系について臨床検査,心電図検査,血液型,白血球抗原型(HLA),赤血球酵素型,血清蛋白型について検索し本症の遺伝学的分析を行った.
    4家系44例中28例(63.6%)に洞停止,洞徐脈,完全または不完全房室ブロック,右脚ブロックと左軸変位,上室性頻脈,心房細動等が見られた.家系分析により,家族性心臓ブロックは常染色体優性型の遺伝型式をもつことが判明したが,伴性遺伝は認められなかった.
    赤血球酵素型分析では家族性心臓ブロック群は正常対照者群との間に明らかな統計的有意差は見られなかった.HLA抗原出現頻度の調査では,家族性心臓ブロック発症に関与する遺伝子が,ヒト第6染色体のMHC領域にコードされているかどうかの結論を得ることはでぎなかった.
  • 山田 重信, 西村 昌雄, 渡部 良夫
    1981 年 13 巻 12 号 p. 1488-1495
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    正常(95%O2+5%CO2)および低酸素(95%N2+5%CO2)灌流下のイヌPurkinje線維にDisopyramid phosphate(D)を5μ9/mlの濃度で作用させ,細胞膜活動電位の変化を検討した.Dは正常酸素濃度下で活動電位振幅と最大脱分極速度を減少させ,プラトー電位を低くした.80%再分極迄の活動電位持続時間は対照時短いものを延長,長いものを短縮して,そのばらつきを減少させた.低酸素下でもDは活動電位の振幅と脱分極速度を同様に減少,低酸素で短縮する不応期を延長させる傾向を示した.最大拡張期電位は低酸素やD単独ではほとんど不変で,両者の合併では有意に減少した.有効不応期の延長度は活動電位持続時間の延長度をわずかに上回った.この結果虚血心でのDの抗不整脈効果は,(1)伝導抑制による一方向ブロックの両方向ブロックへの変換,(2)活動電位持続時間の均一化による受攻性低下によることが示唆され,また抗不整脈剤の電気生理学的作用検討上,本実験法の有用なことが示された.
  • 稲垣 春夫, 横田 充弘, 石部 義孝, 外畑 巌
    1981 年 13 巻 12 号 p. 1496-1503
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心拍数増加に伴うP波形態の変化を解明する目的で,安静時,atropine投与後および運動負荷後のFrank法ベクトル心電図P環を定量的に分析した.健常対象21名中8名において,心拍数増加に伴って突然著しいP波形態変化が観察された.その特徴は下方成分の増大(安静時:0.093mV,atropine投与後:0.151mV,運動負荷後:0.157mV)および初期前方成分の増大を伴う「蟹ばさ後み」状水平面P環であった,他の13例のP環諸量は,安静時とatropine投与後の平均値に有意差を認めなかった.運動負荷後のP環に特徴的な変化は,後方成分の増大(安静時0.024mV,atropine投与後0.042mV,運動負荷後0.063mV)であった.洞頻脈時に観察されるP波下方成分の著明な増大は,自律神経系緊張の変動による心房興奮伝導の変化に基づいており,後方成分の増大は,呼吸,血行動態などの変化による心房負荷量の増加に基づいていると考えられた.
  • 八巻 重雄, 鈴木 康之, 石沢 栄次, 佐藤 尚, 横山 和則, 田所 正路, 東郷 孝男, 香川 謙, 堀内 藤吾, 佐藤 哲雄, 石原 ...
    1981 年 13 巻 12 号 p. 1504-1511
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    両側の肺高血圧症を有する1歳の孤立性右肺動脈大動脈起始症の根治手術成功例に対し,両側の生検肺に組織計測を行った結果,本症に特有と思われる肺血管の組織所見を認めた.すなわち,右肺小動脈の中膜肥厚は軽度であったが,内膜病変は高度であり,完全大血管転位症と酷似した所見を得た.他方,左肺は肺小動脈の内膜病変は軽度であったが,中膜に著しい肥厚を認め,肺静脈中膜の肥厚も存在し,僧帽弁狭窄症に類似した所見を示した.
    右肺小動脈中膜は左肺より薄く,完全大血管転位症のように肥厚が抑制されていると思われるが,その原因としては右肺動脈血の高酸素血症と肺血流量増加が考えられた.しかし,心カテーテル検査で求めた肺血流量は左・右肺で等しく,かつ高酸素血症が認められない左肺で中膜肥厚が顕著にみられたことから中膜肥厚抑制の原因は高酸素血症と考えられた.また,左肺高血圧症の成因としては,両側の肺血流量増大による左房圧の上昇が主因と考えられた.
  • 延吉 正清, 伊藤 幸義, 野坂 秀行, 高地 恭二, 西村 健司, 服部 隆一, 中村 展昭, 和田 泰三, 大重 太真男, 本井 知已, ...
    1981 年 13 巻 12 号 p. 1512-1520
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    昭和49年7月より昭和55年7月まで,Sones法にて冠動脈造影および左室造影を3,000例に行い,次のような合併症を経験した.冠動脈造影の重症合併症として死亡1例(0.03%),心室細動1例(0.03%),心室性頻拍症2例(0.06%),心筋内注入(0.03%),造影剤ショック4例(0.13%),急性左心不全1例(0.03%)を経験した.そのうちわけは,冠動脈造影時の重症合併症,心室細動1例(0.03%),10秒以上の心停止2例(0.06%),造影剤ショック3例(0.1%),急性左心不全1例(0.03%),重症狭心発作3例(0.1%)経験した.軽症合併症としてatropineを必要とする徐脈68例(2.3%),nor-adrenalinを必要とする低血圧78例(2.6%),狭心発作49例(1.6%),心房細動6例(0.2%),上室性頻拍症5例(0.2%),2度房室ブロック2例(0.06%)を経験した.左室造影時の重症合併症として心室性頻拍症2例(0.06%),心筋内注入1例(0.03%)造影剤ショック1例(0.03%),一過性脳血栓症2例(0.06%),atropineを必要とした低血生13例(0.4%)および狭心発作9例(0.3%)であった.死亡例の1例は,Sonesカテーテル挿入中,腕頭動脈の穿孔を起こし数時間後に死亡した.また,3,000例中893例において,冠動脈造影時ergonoivne負荷を施行した.21例に重症合併症を認めたが死亡例はなかった.
  • 佐藤 重夫, 北村 惣一郎, 大西 健二, 広瀬 一, 中埜 粛, 松田 暉, 島崎 靖久, 奥田 彰洋, 前田 世礼, 中谷 武嗣, 川島 ...
    1981 年 13 巻 12 号 p. 1521-1528
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    昭和42年から昭和54年12月までに,教室で根治手術を施行した,部分肺静脈還流異常症例は23例である.このうち,術後再建した肺静脈ならびに上大静脈の狭窄・閉塞などの合併症を起こしやすい,上大静脈への異常還流症例9例につき,手術々式別に検討した.初期の5例(group1)では,心膜パッチにて上大静脈内で血流を2分する方法を取った.これに対し最近(昭和52年3月以後)の4例(group2)では,心膜パッチを使用せずに,Chartrandの方法に従った.group2のFallot四徴症合併例1例を術後腎不全にて失った以外,全例術後経過は順調であった.group1,2の症例に,術後おのおの平均3年1カ月・平均9カ月目に,肺シンチグラムを施行した.group1では,5例中2例に右上肺野の血流欠損を認めた.一方group2の生存例3例には,これを認めなかった.本症の術後経過についてさらに長期の観察を要するが,現時点での肺静脈還流状態よりみた遠隔成績では,Chartrand法がよりすぐれていると考えられた.
  • 川村 邦明, 福島 彬裕, 中道 篤郎, 鎌田 弘行, 盛 勇三, 小野寺 康午, 松本 一仁
    1981 年 13 巻 12 号 p. 1529-1535
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は27歳男子,昭和51年7月より誘因なく動悸を訴え,某医にて頻拍と診断されたが,頻回に発作性頻拍をきたすようになり, 同年11月25日当科へ入院した. 入院時心電図で右脚ブロックと心室期外収縮がみられ,胸部X線写真では両側肺門部リンパ節腫脹と網状陰影が肺野にみられた.入院後上室性頻拍が頻発したが,次第に上室性か心室性かの区別の困難な頻拍発作がみられるようになり,Adams-Stokes症候群も呈するようになった.体外ペーシング,D.C.カウンターショックを含む抗不整脈療法を試みたが頻拍発作は頻発した.ステロイド剤の投与で一時的に頻拍発作は軽減した.しかし,12月19日心室細動をきたして死亡した.剖検で心筋に著明なサルコイドーシスの病変がみられ,Fatal myocardial sarcoidosis(FMS)と診断された.FMSは種々の不整脈を呈することが知られているが,刺激伝導障害を呈するものが多く,本症例のように頻拍を主体とした症例は比較的頻度が少ないので報告した.
  • 戸塚 武和, 牧 隆敏, 宮沢 要一朗, 柴田 利満, 横山 修三, 原口 寿夫, 新村 一郎, 松本 明彦, 佐藤 順, 近藤 治郎, 三 ...
    1981 年 13 巻 12 号 p. 1536-1541
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    [症例]3歳男児.咳嗽,発熱を主訴として来院.胸部X線にて縦隔洞の異常陰影を指摘された.縦隔腫瘍を疑われて開胸.心膜腔に原発する腫瘍で,病理学的には横紋筋肉腫と思われた.その後,放射線療法,強力な化学療法を施行したが,術後7カ月目より,一旦縮小していた縦隔洞異常陰影は徐々に拡大し,術後11カ月目に呼吸不全で死亡した.
    使用した化学療法剤の総量はActinomycin D6.25mg,Adriamycin 186mg,VCR 15.5mg,CTX 1,030mgであった.
    剖検にて腫瘍はほとんど完全に心臓,および大血管起始部を覆っており,両側肺門部,右室壁の一部に侵潤が見られた.肉眼的には,心膜腔原発腫瘍と判断され,組織学的には横紋筋肉腫と診断された.なお,最後まで心不全,不整脈など循環動態への影響はなかった.
  • 工藤 典重, 広川 恵一, 野宮 順一, 五味 春人
    1981 年 13 巻 12 号 p. 1542-1549
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    われわれは末端肥大症に合併した心不全の1症例を,成長ホルモン分泌抑制薬,ブロモクリプチンで治療を試み,この間血中成長ホルモン測定,心エコー図,必臓カテーテル検査にて経過を追うことができたので報告する.著明な臨床症状,胸部写真の改善にもかかわらず,成長ホルモンは長期高値を示した.心エコー図の経過では僧帽弁の振幅,拡張期後退速度,左房径の改善がみられたが,左室径の拡大は改善されず,駆出分画はかえって低下した.心臓カテーテル検査では,心内圧の改善がみられたが,やはり駆出分画は低下した.心筋生検所見では,心筋の肥大,核の変性,心筋線維の配列の乱れ,間質結合織の増殖がみられた.
  • 佐地 勉, 有本 潔, 松尾 準雄, 矢部 喜正, 山崎 純一, 森下 健
    1981 年 13 巻 12 号 p. 1550-1557
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    11歳女児,全身倦怠感,腹痛,感冒様症状にて発症.入院時には軽度の浮腫,動悸,息切れなどの心不全症状を呈した.心尖部にgradeII度の汎収縮期雑音を聴取,心膜摩擦音も聴取した.胸部X線上CTR62%,肺うっ血がみられ,心電図では低電位,q波,不完全右脚ブロック,ST・Tの変化を認めた.GOT,GPT,LDHの上昇がみられ,ペアー血清ではCoxsackie B5ウイルス抗体価は4倍以下から32倍と上昇がみられた.心不全症状はDigitalis,利尿剤により改善がみられた.3カ月後に施行した心カテーテル検査においては冠動脈に閉塞,狭窄像を認めず,左心室のEF低下.EDVの増加と前側壁の限局性収縮期膨隆(focal systolic bulging)を認めた.201Thallium imagescanで同部に陰影欠損を認めた.右室側心内膜心筋生検において,心筋炎の残存に加え,心筋の肥大,変性,構築異常などを認めた.ウイルス性心筋炎の心障害について,文献的考察を加え報告する.
  • 山田 幸雄, 五十嵐 勝朗, 差波 司, 康井 制洋, 石橋 貢
    1981 年 13 巻 12 号 p. 1558-1562
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は12カ月の男児で主訴がチアノーゼ,低酸素発作だった.聴診にて第3肋間胸骨左縁にLevineIV度の収縮期雑音,第2肋間胸骨左縁にLevine II度の拡張期雑音を認め,II音は単一であった.胸部単純X線写真にて左第2弓の陥凹,心尖部の挙上が認められ,肺血管陰影は減弱していた. 心電図では右軸偏位右室肥大を呈した.心臓カテーテルおよび心血管造影にてFallot 五徴+ 動脈管開存と診断した.さらに選択的冠状動脈造影にてsingle coronary arery(Smith II型,Sharbaugh & WhiteのType 2a)と診断した.本例は術前に選択的冠状動脈造影を施行し異常冠状動脈を診断し手術術式の適応にも大ぎな影響を与えたので報告する.
  • 藤原 節子, 上村 茂, 家永 信彦, 根来 博之, 小池 通夫, 宮本 一雄, 前田 次郎, 鈴木 淑男
    1981 年 13 巻 12 号 p. 1563-1570
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性白血病で,その生存中に白血病性心膜炎の症状が臨床的に明らかになることはきわめてまれである.最近,心膜液貯留による心タンポナーデ症状で発症した小児急性リンパ性白血病を,心膜穿刺,心膜ドレナージと化学療法で寛解に至らしめた1例を経験し,報告する.症例は10歳男子で,咳,腹痛を主訴として来院した.肝腫大と心拡大があり,断層心エコー図で心膜液貯留を認め,中心静脈圧は24cmH2Oと上昇していた.i基礎疾患は末梢血液像,骨髄所見からNull cell型の急性リンパ性白血病と診断した.心膜穿刺で360mlの血性心膜液を排出し,以後穿刺1回,ドレナージ1回を化学療法と並行して行い,3週間後には中心静脈圧,断層心エコー図とも改善しえた.穿刺液の細菌培養は陰性であり,心膜生検では白血病細胞の漫潤による心膜炎と診断された.現在までの16例の文献をまとめ治療について考察した.
  • 村田 啓, 外山 比南子, 田渕 博己, 飯尾 正宏
    1981 年 13 巻 12 号 p. 1573-1580
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 小西 得司, 洞山 典久, 浜田 正行, 中野 赳, 竹沢 英郎, 前田 寿登, 中川 毅, 山口 信夫
    1981 年 13 巻 12 号 p. 1581-1590
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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