心臓
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14 巻, 12 号
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  • 栗原 正, 成田 充啓, 村野 謙一, 宇佐美 暢久
    1982 年 14 巻 12 号 p. 1457-1465
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    健常10例,虚血性心疾患(IHD)25例に,段階的運動負荷multi-gate法心プールイメージングを行い, 運動時の左心機能の変化を観察,本法のIHD診断および心予備能評価における有用性を検討した.健常例では,運動時に,左室拡張終期容積(LVEDV)は不変,収縮終期容積(LVESV)は減少(p<0.01)し,左室駆出率(LVEF)は上昇した(P<0.01).IHDでは,LVEDV,LVESVともに増加(P<0.01),LVEFは有意の変化を示さなかった.IHDのうち,労作性狭心症8例では,LVEDV,LVESVはともに増加( P<0.01),LVEFは低下( P<0.01) した.心筋梗塞17例中10例(Group I)はLVEFは増加ないし不変であり,7例(Group II)では低下した.Group I,Group IIともにLVEDVは増加(P<0.05)したが,LVESVはGroup Iでは不変,Group IIでは有意に増加( P<0.01) した.IHDでは心予備能の低下があり, 運動時には,Frank-Starling mechanismにより代償が行われていると考えられた.平衡時運動負荷multi-gate法心プールイメージングは,IHDの診断および心予備能の評価にすぐれた方法と考えられた.
  • 新谷 冨士雄, 渡辺 真司, 稲木 一元, 田中 政
    1982 年 14 巻 12 号 p. 1466-1472
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心係数(心拍出量/体表面積)の男女差有無を検討するために,正常な男女349例の安静時心拍出量(二色式虚血法によるイヤピース法)を測定し,次の結論を得た.
    1)体表面積と心拍出量の関係は女では直線性,男では体表面積の大きい領域を除いて直線性で,両直線は平行し,女の方が約0.4l上方に位置した.
    2)体表面積とヘマトクリットの関係は体表面積と心拍出量の関係と類似であったが,女の方が男より3-4,%低い位置にあった.
    3)体表面積と毎分赤血球容積(心拍出量とヘマトクリットの積)の関係は直線性で,男女が完全に重複し,このことから同一体表面積当たりの酸素供給能は男女とも変わらないことが示唆された.以上により女の心係数はヘマトクリットが少ない分だけ男のそれより多いと結論された.
  • 河村 剛史, 柴田 仁太郎, 和田 寿郎
    1982 年 14 巻 12 号 p. 1473-1479
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    雑種成犬9頭にて実験的左脚前技ブロック,右脚本幹ブロックを作成し,心表面マッピング,スカラー心電図,ベクトル心電図(McFee法)を用いて検討した.実験は2群に分け,I群(4頭)は左脚前技ブロック,次いで右脚本幹ブロックを作成し,II群(5頭)は逆の順序でブロックを作成した.
    左脚前枝ブロックではQRS軸の変化はなく,右脚本幹ブロックではQRS軸は上方に偏位した.イヌでは左脚前枝の支配領域である左室前基部心表面は最終興奮領域であり,左脚前枝ブロックにより興奮伝播遅延が起こっても興奮伝播の方向は変わらないためにQRS軸は変化しない.また,右脚ブロックにて左室心尖部の最早期興奮部位から右室へ興奮伝播するために興奮の方向が逆になり,QRS軸が大きく偏位したと考えられた.
    QRS軸の偏位には心臓全体の興奮伝播の方向性が重要である.
  • 門間 和夫, 高尾 篤良, 安藤 正彦, 中沢 誠, 里見 元義, 全 勇
    1982 年 14 巻 12 号 p. 1480-1488
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    太い側副動脈を伴うVSD+PA22例の肺血管造影所見を検討した.動脈管を合併しない18例の中心肺動脈の発達程度はさまざまで,完全に左右肺動脈分枝に接続して低形成の軽い場合より,左右の肺の小部分にのみ接続し低形成が高度の場合まで,広いスペクトラムを形成した.中心肺動脈造影率は造影法により大差あり,太い側副動脈の選択的造影を徹底して行った8例中7例に造影されたのに反し,大動脈造影のみでは17%のみ中心肺動脈が造影された.中心肺動脈に接続するのは側副動脈の1本のみで,両血管間は直径3~4mmの血管により肺門部付近で接続していた.太い側副動脈の起始部は90%までが下行大動脈の気管分岐高ないしその2椎体下方であった.4例に動脈管が合併していたが,動脈管と太い側副動脈は互いに連絡せず別々の肺区域に血流を送っていた.
  • 大村 三恵子, 二俣 秀夫, 上尾 友美恵, 滝沢 裕子, 吉田 均, 舟橋 隆, 元田 憲, 松原 藤継
    1982 年 14 巻 12 号 p. 1489-1494
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    小児の心室中隔欠損症(VSD)におけるベクトル心電図(VCG)P環と血行動態諸量とを対比し,非観血的検査法であるP環解析による血行動態推定の臨床的有用性について検討した.
    対象は合併奇形のないVSDの患児43名で,VCGのP環諸量11項目とP環の形態を前面図,側面図で垂直位,水平面図のmax.P-V<0.1mVのものをA型,側面図,水平面図でmax.P-Vの方向が後方にあるものをB型,側面図,水平面図で前後に幅広くmax.P-Vの方向が決めにくいものをC型,側面図,水平面図でほとんどが前方に位置し,前面図で左軸のものをD型の4型に分類して,右心カテーテル成績と比較した.
    P環諸量11項目のうち水平面最大Pベクトルの大きさが,最も血行動態諸量と強い相関を示し,肺動脈平均圧とr=0.602,右室収縮期圧とr=0.556,左右短絡率とr=0.414,Qp/Qsとr=0.306,Rp/Rsとr=0.319といずれも有意な相関を認めた.また形態的分析では,A型の血行動態諸量は他の3型に比し有意に小さく,B型は肺動脈収縮期圧,左右短絡率,Qp/QsがA型に比し有意に大きく,C型は肺動脈平均圧,肺動脈収縮期圧,Rp/RsがA型に比し有意に大きく,D型はRp/Rsを除くすベての血行動態諸量がA型に比し有意に大きかった.以上より,P環の定量的,形態的分析は,小児VSDの病態把握に有用であると考えられる.
  • 長島 道夫, 伊藤 明一, 篠田 晋, 鈴木 彦之
    1982 年 14 巻 12 号 p. 1495-1500
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    His束心電図記録下に早期心房刺激を試み,房室伝導のgap現象について検討を加えた.Gap現象は200例中12例(6%)に観察された.Damatoらの分類に従うと,房室結節での伝導遅延によりHis-Purkinje系でのブロックが消失するI型が6例に,His-Purkinje系近位部での伝導遅延によりHis-Purkinje系遠位部での伝導が可能となるII型が4例に,His束内での伝導遅延の結果His-Purkinje系でのブロックが消失するIII型が1例に,房室結節近位部での伝導遅延により房室結節遠位部での伝導が可能となるIV型が5例に認められた.このうちI型とII型の両型を示したものが1例,I型とIV型の両型を有したものが3例であった.房室結節の伝導遅延が関与するI,IV型8例中6例は,房室結節重複伝導路の所見を示し,房室結節重複伝導路の存在がgap現象の発現に大きく関与していると考えられた.
  • 小野 真康, 曽根 克彦, 國峯 陽一, 田代 雅彦, 竹内 東光, 深沢 信博
    1982 年 14 巻 12 号 p. 1501-1506
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    大動脈弓離断症は,全先天性疾患中0.175%とまれで,平均生存日数が10日間と予後不良な疾患である.最近われわれは,1歳半検診にて,発育不良・多呼吸を指摘され,他病院にて先天性心疾患の診断で観察されていた1歳9カ月の男児の本症を経験した.本例は,心臓カテーテル検査・心血管造影法により,修正大血管転換を合併し,動脈管開存・心室中隔欠損・左側房室弁閉鎖不全を有する大動脈弓離断症(鷲尾の分類type I-A)と診断した.本症は種々の心奇形を合併するが,修正大血管転換を合併したものの報告は少なく,本邦では学会報告が1例あるのみである.また外国においても,調べ得た文献上では3例に過ぎない.本症例は,大動脈弓離断症を考える上で,貴重な症例と思われたので,当院で経験した大動脈弓離断症の5症例を報告するとともに,本邦における本症の合併心奇形の集計を行い,若干の検討を加えた.
  • 疣贅検出に断層エコー法が有用であった例
    松下 重人, 池田 孝之, 久保田 幸次, 村上 哲夫, 北村 隆, 堀川 清弘, 広正 修一, 伊藤 誠, 高田 重男, 土屋 和弘, 岩 ...
    1982 年 14 巻 12 号 p. 1507-1512
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Hancock弁( 僧帽弁位置) に疣贅を伴った感染性心内膜炎の1例を経験し,その疣贅検出に心断層エコーが有用であったので報告する.症例は31歳の女性で, 2 4 歳の時にリウマチ性僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症のために Hancock弁による僧帽弁置換術を受けた. 弁置換後6年9カ月に発熱, 血液培養によりα-連鎖球菌を検出し, 感染性心内膜炎と診断された.Mモード心エコーでは, Hancock弁尖の肥厚硬化,多層所見がみられたが, massエコーは検出できなかった.一方, 心断層エコーでは弁尖に付着したmassエコーが検出され,同エコーは疣贅によるものと思われた.手術時所見は心断層エコー所見と一致し,左室側に付着した疣贅と弁尖の変性肥厚がみられた. 感染性心内膜炎の疣贅検出には,心断層エコーはMモード心エコーに比べて有用であり,特に人工弁では,この疣贅の検出に高率を示すとされており,本症例もこれを支持するものであった.
  • 山村 至, 越野 健, 山村 真由美, 宮保 進, 布田 伸一, 多賀 邦章, 元田 憲
    1982 年 14 巻 12 号 p. 1513-1519
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    近年ウイルス学的診断技術の進歩により,多数のウイルスが心筋炎を起こしうると考えられている.そのうちでもコクサッキーB群がウイルス性心筋炎をきたす最も頻度の高い原因と考えられている.われわれは頻度としては少ないが,臨床症状,胸部X線写真,心電図,ペアウイルス抗体価の4倍の上昇より,パラインフルエンザウイルス心筋炎が最も疑われた1症例を経験したので臨床所見と経過を記載した.この際心筋生検,201Tl心筋スキャンを施行し,臨床的には経過は良好であったが心筋生検の組織所見でかなりの心筋の変性を認め,急性期を過ぎた時点での201Tl心筋スキャンで,なお異常所見を得た.その後201Tl心筋スキャンは正常化している.心筋炎からうっ血型心筋症への移行も唱えられている点を考えると,心筋炎の予後,follow upの点でこれらの2つの検査が有用であると思われたので文献的考察を併せて行い報告する.
  • 奥村 健二, 小川 宏一, 水谷 恵次, 加藤 忠之, 大嶋 桂太
    1982 年 14 巻 12 号 p. 1520-1525
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    患者は72歳の男性.心不全で入院,ジギタリス投与後血清カリウム値が6.2,9.6,7.5,7.1mEq/lと異常な高値を示したにもかかわらず心電図所見が一致せず,ジギタリスを中止すると正常値に戻ったのでこの高カリウム血症を検討し生体内でのジギタリスに対する赤血球内ナトリウム,カリウムの変動についても調べた.この患者の血液は赤血球,血小板の機能異常はほとんど認められなかったが,健康者に比べて採血後に37℃以下の保存では急激な高カリウム血症になり,それがジギタリスにより増強され,走査電顕で採血後に赤血球が形態学的変化をきたすことより赤血球内より漏出したカリウムのための偽高カリウム血症であると考えた.これは赤血球膜のNa,Kイオンの受動輸送あるいはNa-K ATPaseの機能異常と関係があるものと思われた.ジギタリス剤服用の患者の血清カリウム値には注意する必要がある.
  • 新生児心筋虚血との関連
    木村 昭彦, 吉岡 史夫, 加藤 裕久, 永田 和人, 橋本 武夫, 松永 伸二
    1982 年 14 巻 12 号 p. 1526-1530
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    最近,胎児循環から新生児循環に至る cardiovasculertransitionsの異常としてpersistent fetal circulation とmycardial ischemiaは注目を集めている.今回,われわれは,2度仮死,呼吸障害を主訴に,当科入院となり,心電図により心筋虚血を疑うST-Tの変化,断層心エコー図にて三尖弁逸脱,心臓カテーテル検査にて著明な三尖弁逆流を認め,三尖弁閉鎖不全を伴ったmyocardialischemia of the newbornと診断し,剖検にて右室乳頭筋の虚血と断裂を認めた症例を経験したので,病態生理,病理学的考察を加えて報告する.
  • 川崎 建市, 関 克美, 飯野 智也, 細田 瑳一, 斎藤 建
    1982 年 14 巻 12 号 p. 1533-1545
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 飯 村攻, 東海林 哲郎, 吉田 茂夫, 佐藤 良二, 野原 邦彦, 工藤 靖夫, 石山 直志
    1982 年 14 巻 12 号 p. 1546-1560
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 上野 光, 三島 修一, 栗山 煕
    1982 年 14 巻 12 号 p. 1561-1569
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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