心臓
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14 巻, 4 号
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  • 中沢 誠, 金谷 真弓, 高尾 篤良, 今井 康晴, 本多 正知, 高梨 吉則, 黒沢 博身, 中江 世明
    1982 年 14 巻 4 号 p. 447-455
    発行日: 1982/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Fallot四徴症心内修復術後58例を対象に左右心室容積特性を検討した,有意の残存短絡があればRVEFの低下とRVEDPの上昇傾向があり,右室不全を示し,また,肺動脈楔入圧も高く左室不全をも疑わせた.手術時年齢については,7歳以上手術例の左右心室容積は正常以下で,両心室の拍出量も減少する傾向があった.有意の残存短絡のない31例において右室機能をさらに詳細に検討した.この中で右室を流出部(RVO)と洞部(RVS)に分けた.RVEDVの増大はRVOの増加によっており,またRVOの大きい群でRVEFが低下していた.RVSEFは正常ないし正常以上であったが,RVOの機能低下に対しては充分代償していなかった.心室切開による手術でも洞部心筋の温存が右室機能の著しい低下を防ぎうることが示された.
  • 西川 俊郎, 丹羽 公一郎, 高見沢 邦夫, 中沢 誠, 安藤 正彦, 門間 和夫, 高尾 篤良, 森本 紳一郎, 関口 守衛
    1982 年 14 巻 4 号 p. 456-461
    発行日: 1982/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    不整脈,伝導障害を主徴とした患児24例に,主として右室から心内膜心筋生検を施行し,19例に異常を認め.不整脈は第2度および第3度房室ブロック(AVB), た心室性期外収縮(PVC),洞不全症候群(SSS),不完全左脚ブロック(ILBBB)などであった.組織異常は,AVBの7/11例,PVCの1/7例に心筋肥大,心筋配列異常,変性,間質線維化増加など比較的強い変化を認め,AVBの2/11例,PVCの4/7例,SSSの3/3例に間質線維化増加がみられた.これらの組織所見の中には心筋炎後遺症と考えられたものがあった.従来の肥大型や拡張型に該当しない不整脈伝導障害を主徴とする心筋症の存在が考えられた.
  • 西村 健司, 野坂 秀行, 高山 幸男, 高地 恭二, 服部 隆一, 中村 展招, 須沢 俊, 斎藤 太郎, 佐藤 信, 吉崎 哲世, 延吉 ...
    1982 年 14 巻 4 号 p. 462-471
    発行日: 1982/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    狭心症自然発作中に冠動脈造影を施行しえた15例において,冠動脈造影所見,心電図変化,ergonovine maleate(EM)による狭心発作誘発試験成績につき検討した.
    15例は全例狭心症状を有し,1例に心筋梗塞の既往を認めた.Master二段階試験は3例で陽性であり,うち2例でST上昇を認めた.自然発作時,8例で右冠動脈に,4例で左冠動脈に,3例では両者に高度の冠スパズムが認められた.発作中の心電図では,当該冠動脈の灌流領域に一致して3例でST変化が認められ,冠スパズムが高度な場合にはST上昇を,冠スパズムが比較的軽度な場合や,良好な側副血行路が出現した例ではST低下を示した.T変化のみを示した2例は,高度器質的狭窄例であった.EM試験は6例に施行し,5例で陽性であった.うち3例では自然発作と同様の発作が誘発されたが,他の2例ではEMは必ずしも自然発作を再現せず,異なった冠スパズム像,心電図変化を呈した.
  • 発症ごく早期の危険な病態の検討
    早崎 和也, 川守田 英夫, 井上 康夫, 本田 喬, 井上 啓造, 関口 守衛, 松永 光史, 緒方 明, 本田 俊弘, 菊池 洋, 広沢 ...
    1982 年 14 巻 4 号 p. 472-481
    発行日: 1982/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞で入院した416例中,意識消失した66例をもとに,発症早期の危険な病態を検討した.その結果従来からいわれている心室細動,心破裂,心原性ショック以外に致死的になりうるものとして,1)突然の心~心室停止,と,2)acute mechanical failureがあげられた.突然の心停止は下壁梗塞に多く,発症とほぼ同時に起き,その原因として,迷走神経の過剰反応と洞房もしくは房室結節の虚血が考えられた.acute mechanicalfailureは広範囲梗塞,もしくは陳旧性梗塞に加えての新たな虚血によって生じるもので,急激な心収縮の低下に伴い,血液駆出が激減することが考えられた.
  • 冠攣縮軽減と冠血栓融解について
    延吉 正清, 野坂 秀行, 伊藤 幸義, 高地 恭二, 加藤 達治, 中村 展招, 服部 隆一, 西村 健司
    1982 年 14 巻 4 号 p. 482-492
    発行日: 1982/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞発症12時以内に冠動脈造影を施行した25例(男性20例,女性5例)に閉塞冠動脈にISDNを5~10mg冠動脈内またはバルサルバ洞注入とUrokinase24,000~108,000単位閉塞冠動脈内注入を行い,その後,慢性期に冠動脈造影を行い次の結果を得た.
    1)急性期の責任冠動脈完全閉塞は.21例(84%)で,造影遅延を認める99%狭窄が4例(16%)であった.2)ISDN注入により完全閉塞が99%狭窄,または,99%狭窄が90%狭窄以下になったものは,25例中9例(36%)であった.3)慢性期に冠動脈造影を施行した22例中完全閉塞は4例(18%)で,1度の再疎通は4例(18%),2度4例(18%),3度以上10例(46%)であった.4)ergonovine負荷を施行した18例中9例(50%)に陽性が認められた.5)慢性期におけるergonovine負荷を施行した例のうち急性期ISDNの効果があったものの陽性率は7例中5例で効果のなかったものの陽性率は11例中4例であった.急性期にISDNの効果のあったものが慢性期においてergonovine陽性率が高かった.
  • 鷹津 文麿, 平井 真理, 平山 治雄, 木下 淳, 大杉 順一, 石川 宏靖, 長屋 昭夫
    1982 年 14 巻 4 号 p. 494-500
    発行日: 1982/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    第二斜位左室造影において心室中隔側に時として明瞭に観察される二重陰影の意義を検討した.主要冠動脈の一枝にのみ病変を有する120例のasynergyの存在部位を観察し,以下の結論を得た.1)心室中隔側の外側の輪郭は前下行枝によって灌流される部分の心室中隔により形成される.2)心室中隔側の内側の輪郭は右冠動脈または回旋枝により灌流される後室間溝近傍の心室中隔および左室横隔面の心筋により形成される.3)心室中隔の二重陰影の観察により左心機能をより詳細に把握することが可能と思われる.
  • 左室流出路障害の可能性について
    全 勇, 安藤 正彦, 門間 和夫, 高尾 篤良, 金田 良夫, 今井 三喜
    1982 年 14 巻 4 号 p. 501-505
    発行日: 1982/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    22歳の多脾症患者に剖検にて,下大静脈・奇静脈結合,単心房,膜様部心室中隔欠損,左室内異常筋束に,accessorymitral valveを合併していたことを確認した.心カテ,アンギオにて,Goose neck signありと判断し完全型心内膜床欠損症と誤認していた.本症例のように房室弁の過剰組織は流出路障害の原因となり,重要な鑑別疾患と思われた.文献的考察を含め報告したが,本症例のように過剰弁組織が一葉の弁構造を保っている例はきわめてまれであった.
  • 西崎 進, 正岡 佳子, 時岡 正明, 三河内 弘, 西崎 良知
    1982 年 14 巻 4 号 p. 506-511
    発行日: 1982/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    ECUMは血液透析患者の体内水分貯溜を是正するため現在常用されている方法であるが,著者らはうっ血性心不全末期状態にある患者1例にこれを使用し好結果が得られた.
    患者はうっ血型心筋症の56歳の男性で,昭和53年よりジギタリス剤,利尿剤,血管拡張剤にて加療を行ってきたが,全身浮腫および肺うっ血が進行してコントロール不能となったためECUMを採用した.
    ECUMは1回6時間で約4lの水分除去を行い,隔日に計4回行ったところ,肺うっ血および全身浮腫は消退し,自覚症状も著明に改善し,その後はまた,前出の3剤で維持可能となった.ECUM施行中に血行動態の観察を行ったが,心拍出量にはほとんど影響なく,Wedge圧,PA圧,RA圧を下げることができた.
    症例を選択すれば非常に有効な心不全末期の治療法となる可能性があるので報告した.
  • 西野 哲男, 金森 勝士, 坂本 三哉, 安田 寿一
    1982 年 14 巻 4 号 p. 512-517
    発行日: 1982/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例53歳,男性.10年前の健診時,心拡大(54%)と多源性心室性期外収縮を指摘されたが,自覚症なく放置.昭和54年6月頃より,運動時息切れ,動悸出現し,以後急速に増悪傾向を示し,同年8月17日当科入院.入院時著明な心不全症状を呈し胸部X線にて心拡大(67%),肺うっ血を認め,心電図では,V1~V4はQS型を呈し,多源性心室性期外収縮を認めた.心エコーでは弁に異常認めず,左室内腔の拡大と中隔および左室後壁の運動低下が著明で,うっ血型心筋症のパターンを呈した.入院後,心不全の治療行うも,7日目に心室細動にて死亡.剖検では,心重量700g,組織像では,心筋細胞の脱落,変性,間質組織の線維化を認めた.死後の冠動脈造影では,左右冠動脈はともに右冠状動脈洞より派生し,加えて回旋枝は右冠動脈より分枝していたが,組織学的には冠動脈のアテローム硬化はなく,内腔狭窄,閉塞も認められなかった.
  • 安野 雅夫, 川村 修, 渡辺 健, 小野寺 知哉, 松村 忠範
    1982 年 14 巻 4 号 p. 518-523
    発行日: 1982/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は66歳女子と45歳男子で心および肺疾患の既往はなかった.ともに前胸部痛と一過性意識消失を主訴として来院し,急性下壁梗塞の疑いにてCCUに入院した.心電図ではIII,aVFにQ波がみられ非特異的なST-Tの変化を伴っていた.心筋酵素の上昇はなくTl-201による心筋シンチグラムでは,左室には欠損はなく,右室の拡張が著明で右室へのTl-201のuptakeの増加を認めた.臨床症状とこのTl-201心筋シンチグラムの所見から急性心筋梗塞は否定され,肺塞栓症が強く疑われた.肺血流シンチグラムおよび肺動脈造影にて肺塞栓症の確定診断が得られた.肺塞栓症は臨床診断が非常に困難でCCUにおいては心筋梗塞との鑑別が常に問題となる.Tl-201心筋シンチグラムはこの鑑別に有力で左室に欠損がなく右室負荷の所見がみられたならば,肺塞栓症を強く疑いさらに検索をすすめることが重要と思われる.
  • 渡部 良夫, 岸 久博
    1982 年 14 巻 4 号 p. 524-530
    発行日: 1982/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    13年余にわたる観察により,右室すなわち右脚分布領域起源の心室期外収縮の頻発と,これが間入性となることによって生じた間歇的右脚ブロックとが,徐々に恒久的右脚ブロックに進展し,心室内伝導系の漸進的な病変が臨床所見から示唆された1例を報告,変行伝導と間歇的脚ブロックの鑑別,期外収縮の成因などにつき考察を加えた.
  • 早川 正徳, 猪尾 力, 横田 慶之, 松本 幸平, 川西 秀夫, 郭 鴻圖, 熊木 知行, 高橋 秀平, 小林 克也, 前田 和美, 福崎 ...
    1982 年 14 巻 4 号 p. 531-537
    発行日: 1982/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は女性.初診時29歳で僧帽弁閉鎖不全による心雑音を聴き心胸比62%,心電図にてIII,aVF,右側胸部誘導にQ波を認め,以後心不全のため入退院を繰り返した.39歳時心エコー法により重複僧帽弁口症,顔面紅斑部位の皮膚生検所見よりsarcoidosisが疑われた.40歳時心不全死したが剖検では心重量560gで僧帽弁付着部は本来の房室間溝より左室内に偏在しており,前後尖間の本来の僧帽弁口の他に前尖の左室壁に接する半円周の中央1/2が離開して副弁口を形成していた.また肺動脈弁直下の右室流出路と左房の間に小交通口を認めた.組織学的に左室自由壁,心室中隔,右室自由壁に散在性に限局性の線維化と,巨細胞,類上皮細胞,リンパ球よりなる肉芽腫性病変を認めた.本例では心断層エコー図上僧帽弁前尖の前後に2つの僧帽弁口が開口するという特異な所見がみられ,さらに僧帽弁のEbstein様奇形・左房右室交通症・心sarcoidosisを合併しておりまれな症例と思われた.
  • 本郷 実, 大久保 信一, 山田 博美, 松岡 健, 雨宮 浩, 太田 久彦, 草間 昌三, 渡辺 正秀
    1982 年 14 巻 4 号 p. 538-545
    発行日: 1982/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心電図上巨大陰性T波,左側胸部誘導高電位差を示したhypereosinophilic syndromeの1例を経験したので報告する.症例:47歳男.主訴:皮膚掻痒感,全身リンパ節腫脹.1950年ごろからしばしば激しい皮膚掻痒感,全身リンパ節腫脹が出現,末梢血の高度の好酸球増多と心電図異常を指摘され,1979年当科入院.脈拍72,整血圧132/80mmHg,心尖部にLevine II度の収縮期駆出性雑音を聴取する.末梢血の白血球数22,800,好酸球64%.Ph1染色体,寄生虫は陰性で,IgE22,900U/ml.リンパ節生検で好酸球性壊死性リンパ節炎の組織像を得た.胸部X線ではCTR50%,心電図でV4,V5の陰性T波は16mm,12mmで,RV5=38mm,RV6=28mm,心エコー図で,左室後壁の肥大,および異常構造物による左室心尖部内腔の著しい狭小化を認める.Hardyらの提唱したhypereosinophilic syndromeで,左室心尖部内腔の閉塞をきたし,巨大陰性T波,左側胸部誘導高電位差を示した例の報告はこれまでになく,きわめてまれな症例と考えられる.
  • 加藤 孝和, 前田 知行, 池田 識道, 渡部 高久, 佐々木 嘉彦, 川原 孝司
    1982 年 14 巻 4 号 p. 546-552
    発行日: 1982/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    交代性脚ブロックの1 例を経験したのでヒス束心電図所見を中心に報告する.71歳女,主訴は失神発作.心電図所見:1)1:1房室伝導,右脚ブロック,PQ 0.18秒,2)2:1房室伝導,右脚ブロック,PQ 0.18秒の時と0.29秒の時の2通り,3)2:1房室伝導,左脚ブロック,PQ 0.18秒,4)完全房室ブロック,左脚ブロック型心室補充収縮(33/分)の他,5)2:1房室伝導で右脚ブロック,左脚ブロック,補充収縮が交代性に出現する記録も認めた.その際,右脚ブロック心拍はPQ 0.25秒,左脚ブロック心拍はPQ 0.19秒であった.ヒス束心電図所見:2:1房室伝導,左脚ブロックの時,PA20,AH100,HV70msecでHVブロックであった.2:1房室伝導,右脚ブロックの時,PA20,AH100,HV130msecでHVブロックであった.交代性脚ブロックの時,右脚ブロック心拍はPA20,AH100,HV70msecで,左脚ブロック心拍はPA20,AHI00,HV130msecでHVブロックであった.以上よりブロック部位局在につき考察した.
  • A “sick” sinus model
    小西 與承
    1982 年 14 巻 4 号 p. 555-565
    発行日: 1982/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 入沢 宏, 野間 昭典, 国分 真一郎
    1982 年 14 巻 4 号 p. 566-577
    発行日: 1982/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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