東京都養育院付属病院における連続剖検2,000例中より見いだされた僧帽弁腱索,乳頭筋の先天性異常13例について,臨床病理学的に検討を加えた.
先天性腱索異常は,後交連部腱索欠如4例,後交連部腱索低形成1例,腱索の左房面付着1例であり,乳頭筋前尖接合,すなわち,乳頭筋が腱索を介することなく直接前尖に付着するものは7例であった.かかる症例のうち,僧帽弁閉鎖不全が5例存在した.先天性腱索異常によるものは,6例中4例で66.7%であり,内訳は,後交連部腱索欠如2例,後交連部腱索低形成1例,腱索の左房面付着1例であった.乳頭筋前尖接合によるものは,7例中1例で,14.3%であった.
先天性僧帽弁閉鎖不全としては,心内膜床欠損症に伴う弁尖の裂隙などがあるが,僧帽弁腱索,乳頭筋の先天性異常に注目し,先天性腱索異常に僧帽弁閉鎖不全の合併が高率であることを指摘した.
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