心臓
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15 巻, 1 号
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  • 千葉 茂俊
    1983 年 15 巻 1 号 p. 3-15
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    AdenosineやATPの冠循環に及ぼす作用についてはよく知られているが, 他の心臓作用すなわち調律, 伝導および収縮性に及ぼす作用について全体的にまとまったものは少ない.著者らはこれまでに生体位イヌ洞結節および房室結節動脈灌流標本,摘出イヌ心房筋および心室筋標本を使ってプリソ作動性物質の直接心臓作用について薬理学的分析を行ってきている.ここではイヌ以外の動物においてもこれまでに報告されているものと比較させながら, 調律, 収縮, 伝導, 循環およびその他に分けて述べてみることにする.
  • 低酸素下のイヌPurkinje線維を用いた実験的研究
    西村 昌雄, 渡部 良夫
    1983 年 15 巻 1 号 p. 16-23
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Bretylium tosylateのイヌPurkinje線維に及ぼす電気生理学的作用を微小電極法により検討した. 正常酸素濃度下で本剤2 0 m g / L は活動電位持続時間と有効不応期を延長したが, 最大拡張期電位, 活動電位立ちしがり相および膜反応性曲線には影響を与えなかった.低酸素濃度灌流により活動電位振幅,最大拡張期電位,最大脱分極速度,活動電位持続時間はすべて減少したが,bretyliumはこうした低酸素の効果に拮抗,活動電位各指標をほぼ対照値に復帰させた. Reserpine 前処置標本で見られた同様な低酸素効象はbretyliumにより影響されなかった.以上より低酸素下あるいは病的な心筋でのbretyliumの抗不整脈作用は,膜の過分極による活動電位立ち上がり相(および伝導速度)の改善と,有効不応期の延長に基づくものと考えられた. Bretylium の過分極作用がreserpine前処置標本で発現しないことから,過分極は本剤のcatecholamine 遊離作用によると結論された.
  • 坂井 誠, 上田 慶二, 松下 哲, 桑島 巌, 村上 元孝
    1983 年 15 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    老年者慢性心不全16例(NYHA II 4,III 12例)にhydralazine(H)初回30mg経口投与の前後と90mg/日3日間投与後に血行動態,循環血漿量(TPV),血漿レニン活性(PRA),血漿norpinephrine濃度(NE),血中aldosterone濃度(Ald)を測定し,Hの血行力学的効果と神経体液性因子の関連について検討した.成績:初回量投与後,末梢血管抵抗低下率(ΔSVR)≧30%の9例(I群)では心係数増加率(ΔCI)は+47%と著明であったが,ΔSVR<30%の7例(II群)ではΔCIは+22.6%とI群にに比し小であった(p<0.01).H投与前のN E はI I 群にて高値( I 群0.17±0.02v s II群0 .53±0.15mg/ml,p<0.05)であった.3日間連続投与後,I群では初回投与時に比し投与前値に対するΔCIの減少,ΔSVRの減少傾向とともにNE,PRA,TPVは増加した.一方,II群ではΔCI,ΔSVRの増大傾向を示したが,PRAのみ増加した.
    以上より,Hの血行力学的効果は投与前NE値に関連し,継続投与に際する効果もまた神経体液性因子により修飾されると考えられた.
  • 多施設統一プロトコールによる検討
    神原 啓文, 中野 赳, 鶴羽 義明, 弘田 雄三, 斉藤 宗靖, 籠島 忠, 延吉 正清, 河合 忠一
    1983 年 15 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞および他の心疾患に伴う心不全88例にnitroglycerin軟膏(NGO)の心窩部塗布を行い,血行動態の変化を調べた.
    NGO塗布後,収縮期血圧(p<0.001),double product(心拍×収縮期血圧,p<0.001),肺動脈楔入圧(p<0.001)および全末梢血管抵抗(p<0.001)は有意に低下した.これらの血行動態の変化は塗布後15~60分で始まり, その効果は2 ~6 時間持続した.
    以上より,nitroglycerin軟膏は急性心筋梗塞および他の心疾患に伴う心不全に有効と判定することがでぎる.
  • 片岡 一, 清水 孝彦, 木村 幹史, 鶴田 満浩, 井上 純一, 慶田 喜秀, 松下 哲, 上田 慶二, 杉浦 昌也
    1983 年 15 巻 1 号 p. 40-46
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    東京都養育院付属病院における連続剖検2,000例中より見いだされた僧帽弁腱索,乳頭筋の先天性異常13例について,臨床病理学的に検討を加えた.
    先天性腱索異常は,後交連部腱索欠如4例,後交連部腱索低形成1例,腱索の左房面付着1例であり,乳頭筋前尖接合,すなわち,乳頭筋が腱索を介することなく直接前尖に付着するものは7例であった.かかる症例のうち,僧帽弁閉鎖不全が5例存在した.先天性腱索異常によるものは,6例中4例で66.7%であり,内訳は,後交連部腱索欠如2例,後交連部腱索低形成1例,腱索の左房面付着1例であった.乳頭筋前尖接合によるものは,7例中1例で,14.3%であった.
    先天性僧帽弁閉鎖不全としては,心内膜床欠損症に伴う弁尖の裂隙などがあるが,僧帽弁腱索,乳頭筋の先天性異常に注目し,先天性腱索異常に僧帽弁閉鎖不全の合併が高率であることを指摘した.
  • 金沢 宏, 松川 哲之助, 横沢 忠夫, 佐藤 良智, 宮村 治男, 吉井 新平, 江口 昭治
    1983 年 15 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    無脾症候群21例の経験からその予後規定因子と外科治療について検討した.
    早期発症例では肺動脈閉鎖あるいは狭窄と総肺静脈還流異常の程度がその予後に大きく関与していると考えられ,前者に対しては体肺動脈短絡術が,後者の肺静脈閉塞機転に対してはその解除が必要と考えられたが,両者の関与の診断にはPGE1投与による病態推移の把握が有用と考えられた.
    晩期発症例では共通房室弁閉鎖不全による心不全が問題となった.
    診断および治療技術の進歩とともに,本症候群に対しても将来心内修復手術の可能性が増加すると考えられる.従って姑息手術であっても積極的な外科治療の対象にすべきものと考えられた.
  • 牧 隆敏, 安藤 正彦, 高尾 篤良
    1983 年 15 巻 1 号 p. 53-60
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    過去17年間に臨床,心カテーテル,心血管造影,剖検所見より肺高血圧と診断した25例の三尖弁閉鎖を経験した.内訳はI型12例,II型11例,III型2例で,1カ月~17年間の経過観察を行い検討を加えた.肺動脈圧を測定したのは16例で,収縮期圧で40~130mmHg(13例が80mmHg以上)であった.
    予後の上からI型では,(i)乳児期心不全が強く肺動脈絞扼術施行が必要であった群,(ii)心不全で発症するが経過観察中次第に肺血流減少をきたす群,(iii)心不全軽く経過観察中に肺血管床閉塞へ進行する群,の3群に分けられた.II型では,(i)大動脈縮窄ないし大動脈離断を合併する群と,(ii)合併しない群,の2群に分けられた.予後は大血管転換を合併するII,III型特にII-(i),III型が悪かった.剖検例については肺動脈の肺高血圧性病変について検討した.
  • 多施設共同研究の集計
    高野 照夫, 木村 栄一
    1983 年 15 巻 1 号 p. 61-70
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    全国2 7 施設において急性心筋梗塞および弁膜症などに伴う急性心不全1 6 3 例を対象とし, nitroglycerin 軟膏心窩部塗布の血行動態に及ぼす影響と,同時に臨床的効果を検討した.1回塗布(急性効果)による血行動態の観察では,肺毛細管圧,中心静脈圧,平均血圧,doubleproduct,金末梢血管抵抗が有意に低下した.その効果は,塗布後15分から始まりおよそ6時間持続した.連続塗布(慢性効果)による観察でも,血行動態の変化は1回塗布使用時とほぼ同様であった.1回塗布ではKillip分類,NYHA機能分類でも重症度が有意の改善を示した.また主治医による臨床的総合判定の評価は,1回塗布において79.1%,連続塗布において82.4%の症例に改善がみられた.
    以上より,nitoglycerin軟膏は各種心疾患に伴う心不全に対し有効な薬剤であると判定された.
  • 望月 茂, 小池 透, 浦 恭章, 関 浩, 仁木 偉瑳夫
    1983 年 15 巻 1 号 p. 71-77
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    脳血管障害に伴う心電図変化としては,QT延長,大きな上向きまたは下向きのT波,ST上昇または下降,大きなU波,上室性不整脈などが知られている.また,脳血管障害にしばしば肺水腫を合併することも以前より知られている.最近われわれはくも膜下出血で多彩な心電図変化を示し,その経過中に肺水腫を合併し,死後の剖検にて心臓の器質的変化を認めた興味深い1例を経験した.その症例は発症と同時に心電図上STの著明な上昇を認め,その後幅広く大きいT波,QT延長,巨大U波,巨大陰性T波など多彩な心電図変化を示した.再出血にて死亡したが,剖検にて視床下部の変性,壊死,および小さいレベルではあるが心筋細胞の脱落と線維による置換を認めた.視床下部の障害に基づく交感神経刺激がカテコールアミンの過剰分泌を惹起し,心筋の器質的変化をもたらした可能性も考えられる.
  • 圓谷 智夫, 岡田 英吉, 所沢 剛, 前多 治雄, 菅原 真砂子
    1983 年 15 巻 1 号 p. 78-84
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    乳幼児の肥大型閉塞性心筋症(HOCM)はまれな心疾患である.生後40日目に心不全で死亡したHOCM心の病理学的所見について詳述した.心重量33g,両心室ことに左心室の著しい肥大,心室中隔肥厚(心室中隔厚/左室後壁厚は2.0),左心室流出路心内膜の著明な肥厚,両心室流出路狭小化を認めた.組織学的には心室中隔肥厚部に心筋線維束の斜め,あるいは直交する配列異常,心筋線維の渦状配列等錯綜配列が見られた.また異常配列心筋束間,心筋線維間に不規則に広がる線維化,ならびにその線維化巣内の小動脈枝の中膜肥厚,内弾力板の重複化,それに伴う内膜筋増生が認められた.最も特徴的な変化は左右心室心外膜下の血管周囲に広がる線維化で自由壁の心室中隔接合部に最も著明であった.これらの線維化はその分布,広がりよりHOCMに随伴した二次的変化と推定され,心筋線維配列異常による心筋収縮異常が胎生早期より作用していたことを示唆するものと考えた.
  • 瀬川 裕, 田巻 健治, 金矢 光紀, 渡辺 立夫, 吉田 司, 松岡 昭治
    1983 年 15 巻 1 号 p. 85-90
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    労作時の軽度の息苦しさを主訴とした30歳男子例で来院時の胸部X線写真にて心陰影の拡大と右下肺野のスリガラス様陰影を認めた.心エコー検査にて心のう液貯留を確認,心のう穿刺にてやや赤みがかった乳白色の液体を採取した.これは中性脂肪に富み乳び液であった.右下肺野の異常陰影は出没したが炎症所見を欠き,気管支造影や経気管支生検等ではその原因を明らかにすることができなかった.しかしリソパ管造影にて胸管と心のう内との異常交通のほかに胸管から右下肺野に広がる網目状の異常リンパ路が証明され,これが異常陰影の原因と考えられた.本例には胸部外傷や手術の既往がなく他にも原因と思われる疾患はなく,さらに骨盤部および腹部のリンパ管が異常に発達していることなどより先天性のリンパ系異常が主因と考えられprimary chylopericardiumとした.本例は世界で46例目,本邦では10例目の症例である.手術は行わずに定期検査にて経過を見ている.
  • 大野 友彦, 玉置 信彦, 元木 賢三, 山本 勝広, 関 勝忠
    1983 年 15 巻 1 号 p. 91-96
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例:63歳女性.昭和55年2月,急に起坐呼吸状態となり入院.心尖部に収縮期雑音を聴取.胸部X線検査にて心拡大,ECG上完全右脚ブロック,左脚前枝ブロックを認めた.UCG上左心系および僧帽弁輪の拡大,僧帽弁前尖後退速度の低下を認め,相対的僧帽弁閉鎖不全と思われた.強心剤・利尿剤などの投与により症状改善し退院した.同年11月,症状悪化のため再入院したが,徐々に心不全状態は悪化し,昭和56年3月死亡した.全経過1年2カ月.剖検では,心は500gで,手拳の2倍となり,左室の拡大著明であった.心室中隔,左室前壁,前乳頭筋などに著明な線維性肉芽組織の形成があり,リンパ球とともに少数の多核巨細胞の浸潤をみた.縦隔リンパ節では,線維化および心と同様の巨細胞の浸潤をみた.いずれの臓器にも類上皮細胞肉芽腫は認めす,リゾチームに対する酵素抗体法では,巨細胞は陰姓であり,本例はサルコイドーシスとは区別されると考えられる.
  • 豊田 博史, 泉 裕之, 滝川 逸朗, 岡田 知雄, 宇佐美 等, 原田 研介
    1983 年 15 巻 1 号 p. 97-101
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    肺動脈弁狭窄に伴う先天性心房粗動は,初めての症例と思われるので報告する.
    在胎36週6日,出生時体重3,000g,生直後より心不全症状を認め,日齢2に心電図で心房粗動と診断した.日齢16で当院に入院した.入院時,胸部X線写真で心拡大を認め, 心電図で3 9 0~4 2 0 / 分の鋸歯状F 波および2 : 1から3:1の房室ブロックを伴う先天性心房粗動と診断した.直ちにジギタリス剤の投与を開始し,心不全症状の改善を認めた.日齢22ごろより,心雑音を聴取するようになった. 日齢4 4 に退院となった. 生後4 カ月で洞調律へ復帰し, 1 歳2 カ月でジギタリス剤を中止した. 1 歳6カ月に心臓カテーテル法および心血管造影法を行い,肺動脈弁狭窄を確認した.心房粗動の再発もなく,5歳の現在まで順調に経過している.
  • 遠藤 政夫
    1983 年 15 巻 1 号 p. 103-118
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 木津 明
    1983 年 15 巻 1 号 p. 119-128
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 家森 幸男
    1983 年 15 巻 1 号 p. 129-138
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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