右房粘液腫の1治験例を経験した.症例は43歳男子.労作時息切れ,体重減少を主訴として来院.10年前に三尖弁閉鎖不全症と診断されていたが,来院時三尖弁狭窄様の前収縮期雑音を聴取し,胸部X線像にて三尖弁口付近に線状石灰化像を認めた.心エコー図にて右房内巨大腫瘍を認め,心臓CT,右房造影にてこれを確認,右房粘液腫の診断にて手術施行,9×7×6cm,185gの広茎型右房粘液腫を摘出,経過は順調である.
右房粘液腫は,現在まで本邦では本症例を含めて19例の報告があり,最近診断技術の進歩により,症例数が増加しつつある.右心不全症状,心電図上の右房負荷,体位による心音の変化などの異常が多くに見られるが,診断の決め手は画像診断であり,心エコー図は最も有用な手段として多くの症例の診断に利用されており,心臓CTなどの新しい検査法も今後の発達が期待される.
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