心臓
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15 巻, 10 号
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  • 川西 秀夫, 猪尾 力, 早川 正徳, 郭 鴻圖, 熊木 知行, 横田 慶之, 松本 幸平, 藤谷 和大, 福崎 恒
    1983 年 15 巻 10 号 p. 1051-1057
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    近年肥大型心筋症(HCM)の内科的治療法の1つとしてCa++拮抗剤の効果が検討されつつある.著者らはHCM15例(閉塞性7例,非閉塞性8例)に対してverapamil 10mgを静注し,血行動態面よりその急性効果を検討した.心エコー検査では拡張末期左室短径はほとんど変化なく,収縮末期左室短径はわずかに拡大傾向,左室駆出率はわずかに低下傾向を示した.左室等容弛緩時間は有意に短縮し〔前86±24msec(平均±標準偏差),5分後73±19msec,p<0.005〕,収縮期僧帽弁前方運動の程度は明らかに軽減した.心拍数は明らかな変化を示さなかったが,収縮期血圧は有意に降下した(前118±16mmHg, 5分後105±15mmHg, p<0.001) 閉塞性7例中心カテを施行した3例では左室内圧較差は平均37mmHgから20mmHgに減少した.心拍出量,左室拡張末期圧の変化は全体では明瞭でなかったが,症例により心拍出量が著明に増大する例,左室拡張末期圧が著明に上昇する例があった.
  • 門屋 誠, 小西 與承, 松田 博子, 玉村 年健, 河合 忠一
    1983 年 15 巻 10 号 p. 1058-1064
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    冠動脈拡張剤Trapidilの家兎摘出心筋自動能に対する作用を微小電極法を用いて電気生理学的に検討した.1×10-5g/mlのTrapidilは単独では洞結節自動頻度に対して明らかな作用を示さなかったが,Isoproterenol投与により亢進した自動頻度(対照値の114.1±8.6%)は,より一層亢進された(118.7±9.2%,p<0.02).これはβ-拮抗剤Atenolol追加により完全に抑制された(93.2±12.7%). また1×10-4g/mlのTrapidilは単独で有意な亢進作用を示した(122.5±6.1%,p<0.005).一方房室結節の自動頻度には一定の作用を示さなかったが,その有効不応期を有意に短縮させた(137.8±46.1msecより101.9±34.1msec, p<0.01).以上よりTrapidilは陽性変周期作用を有することが確認され,それはphosphodiesterase活性抑制を介して細胞内cyclic AMPを上昇させることにより作用を示すことが支持された.
  • 松村 順, 藤山 増昭, 古田 陽一郎, 田辺 章弘, 長田 浩司, 板家 研一, 池田 秀夫, 戸嶋 裕徳
    1983 年 15 巻 10 号 p. 1065-1074
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    徐脈性不整脈患者32例(完全房室ブロック,洞機能不全症候群各々16例)を対象に,坐位自転車ergometerによるsymptom-limited多段階運動負荷を施行し,最大負荷時の心拍数反応の臨床的意義について検討した.完全房室ブロックは最大運動時心拍数10/min以上のC-I群,10/min以下のC-II群に,洞機能不全例は心拍増加70/min以上のS-I群,70/min以下のS-II群に分類し比較した.C-I,S-I群は若年で女性が多く,日常自覚症状に乏しい例が多かった.C-II,S-II群はAdams-Stokes発作等の症状を有する例が多く,運動負荷によりAdams-Stokes発作を除く日常の訴えに近い状況が得られ,高度の徐脈を誘発した例もあった.しかしHis束心電図,洞結節回復時間,安静時最大休止時間,安静時心機能指標との相関はなかった. 結果的にC-II, S-II群にPace-maker植え込み例が多くみられた.すなわち運動負荷試験は迷走神経抑制下での心拍数を観察でき,危険性も少なく,症状の推定および日常活動能力の定量的評価が可能と考えられた.
  • 友常 一洋, 内海 仁司, 内田 博, 脇屋 義彦, 桜井 秀彦, 加納 達二, 北村 和夫
    1983 年 15 巻 10 号 p. 1075-1082
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    陳旧性心筋梗塞339例中その責任冠状動脈に50%以上の器質的狭窄病変を持たない症例を12例(3.5%)経験した.男10例,女2例で平均年齢は45歳と比較的若年であった.梗塞前に狭心症を有するものは6例でうち4例は安静時であった.梗塞後に狭心症を有するものは3例で全例とも安静時であった.冠危険因子の検討では喫煙が最も多く,冠危険因子0ないし1個を有するものが6例と半数を占める一方,3個を有するものも4例みられた.12例中1例は僧帽弁狭窄症を有し,冠状動脈塞栓症が原因と推定された.左心機能は比較的良好なものが多かった.冠状動脈造影では責任冠状動脈が全く正常所見を呈したものは2例で,残り10例では壁不整,スパズムなど何らかの壁異常を有しており, 過去に起こったvascular accidentとくにスパズムと血栓の融解の可能性が示唆された.
  • 西崎 良知, 三河内 弘, 時岡 正明, 西崎 進
    1983 年 15 巻 10 号 p. 1083-1089
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性下壁梗塞は一般的に予後は良いとされているがShahらは前胸壁での心電図ST低下により下壁梗塞は2つのsubsetに分けられ,ST低下のある群は心不全の頻度,死亡率などに差を認めると報告している.今回われわれもShahらの分類に従って下壁梗塞を分けて検討したところ,前胸部誘導にST低下を認める群に死亡合併症としての心不全が多い傾向が認められ,また血清酵素にも差が認められることがわかった.さらに前胸部誘導の中でもV1にST低下のある群とない群に分けるとその差はさらに明らかになり,統計学的にも差を認めた.以上より急性下壁梗塞の中でも前胸部誘導に変化の認められる群については,充分な監視とともに心不全に対する配慮が必要と考えられる.
  • 妊娠・分娩経過と家系調査
    吉岡 二郎, 本間 達二, 小口 寿夫, 竹内 健太郎, 田村 泰夫, 平林 秀光, 佐々木 康之, 川 茂幸, 原 卓史, 門野 聡, 古 ...
    1983 年 15 巻 10 号 p. 1090-1096
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Jervell and Lange-Nielsen 症候群の1妊婦例を報告した.患者は30歳,初回妊娠で,発作により患者および児を失う危険を考慮し,妊娠第23週より入院させ管理した.妊娠第29週より前胸部痛を訴えたが,心電図では心室性期外収縮の散発を認めるのみで,期外収縮はキシロカインで消失した.以後,胸痛が頻回となり,妊娠第34週帝王切開で女児を分娩した.手術は左星状神経節ブロック後脊椎麻醉下に行い,術中・術後順調に経過した.Diphenylhydatoin, propranololを投与したが, QTcに改善は認めなかった.両親はいとこ結婚で,本例・児を含めて調べ得た縁者8名中,QTc延長を5名に,QTcが正常上限の者2名,Jervell and Lange-Nielsen症候群1名であった.すなわち,QTc延長が高率に認められるのに対して,明らかな聴力障害は本例のみであった.従来報告されている家系も考え合わせ,心病変と聴力障害が2つの変異遺伝子により遺伝していることも考慮されるべきと考えられた.
  • 全 勇, 依藤 寿, 高橋 良明, 安藤 正彦, 門間 和夫, 高尾 篤良, 今井 三喜
    1983 年 15 巻 10 号 p. 1097-1102
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    われわれはFallot四微症に孤立型の僧帽弁前尖のcleftと,前乳頭筋の著しい低形成と前尖の異常腱索挿入によるdouble orificeとparachute mitral valveを合併した1例を経験した.心電図でQRS電水軸は-160°,ベクトル心電図で前額面にて,反時計回転が認められたが,特異な形態のために超音波断層検査では,僧帽弁のcleftは検出できなかった.Fallot四徴症に対する心内修復術を行ったが,術後,左房圧は上昇し,低拍出量症候群のため死亡した.
    剖検にて上記診断を確定したが.従来の報告の孤立型cleftとは異なり,洞部中隔のscoop outが認められ,その部位が瘤状膜様組織でカバーされていること,cleftの方向が心室中隔を越え,三尖弁中隔尖に向いていることなどより,心内膜床欠損症の形態学的特徴を,備えたcleftと思われた.以上の点について文献学的考察を含め,報告する.
  • 水野 杏一, 新谷 繁治, 荒川 宏, 渋谷 利雄, 里村 公生, 栗田 明, 細野 清士, 井上 順一郎, 飯田 守
    1983 年 15 巻 10 号 p. 1103-1107
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    経末梢血管摘出法は中心静脈栄養カテーテルやガイドワイヤー等の医原性心血管内異物の除去の際,最初に選ばれる.
    経末梢血管摘出法には,loopsnare法,鉗子法,尿路結石バスケット法,hook法等がある.自験例や文献例をもとにして,各方法の使いやすさや危険度,異物が存在している位置,異物の材質,free endの有無を考慮して,選択の目安を作成した.
    各方法はそれぞれ長所短所があるので,1つの方法で,すべての心血管内異物を摘出できるとは限らない.それゆえ,少なくとも2つ以上の摘出方法を修得しておれば,異物摘出の際,合併症等を起こすことなく,大部分の異物を摘出できるものと思われた.
  • 1治験例および文献的考察
    志村 雅彦, 笹川 修, 野木 修, 津村 圭, 小森 忠光, 藤井 暁, 和田 正久
    1983 年 15 巻 10 号 p. 1108-1114
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    右房粘液腫の1治験例を経験した.症例は43歳男子.労作時息切れ,体重減少を主訴として来院.10年前に三尖弁閉鎖不全症と診断されていたが,来院時三尖弁狭窄様の前収縮期雑音を聴取し,胸部X線像にて三尖弁口付近に線状石灰化像を認めた.心エコー図にて右房内巨大腫瘍を認め,心臓CT,右房造影にてこれを確認,右房粘液腫の診断にて手術施行,9×7×6cm,185gの広茎型右房粘液腫を摘出,経過は順調である.
    右房粘液腫は,現在まで本邦では本症例を含めて19例の報告があり,最近診断技術の進歩により,症例数が増加しつつある.右心不全症状,心電図上の右房負荷,体位による心音の変化などの異常が多くに見られるが,診断の決め手は画像診断であり,心エコー図は最も有用な手段として多くの症例の診断に利用されており,心臓CTなどの新しい検査法も今後の発達が期待される.
  • 外山 比南子, 村田 啓, 間島 寧興
    1983 年 15 巻 10 号 p. 1117-1123
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 杉下 靖郎, 鰺坂 隆一, 松田 光生, 飯田 要, 伊藤 巌, 武田 徹, 大島 統男, 秋貞 雅祥, 小関 迪
    1983 年 15 巻 10 号 p. 1124-1132
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 小西 得司, 牧野 克俊, 市川 毅彦, 二神 康夫, 浜田 正行, 中野 赳, 竹沢 英郎, 前田 寿登
    1983 年 15 巻 10 号 p. 1133-1141
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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