心臓
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16 巻, 12 号
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  • 谷 正人, 半田 俊之介, 大西 祥平, 野間 重孝, 小島 昌治, 宮崎 利久, 桜井 謙治, 吉野 秀朗, 永田 雅良, 山崎 元, 毛 ...
    1984 年 16 巻 12 号 p. 1231-1239
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    近年従来の左室造影(c-LVG)に代わり,手技が簡便でより安全な経静脈的なDSAによる左室機能評価法が普及してきた.しかし経静脈法は多量の造影剤を要する反面,解像力が劣り,原理的にも弁膜疾患の逆流判定はできない.著者らは,少量の造影剤の直接注入で行うDSAによる左室造影(DSALVG),大動脈造影(DSA-AOG)を試み,従来の方法と比較した.DSA-LVGではc-LVGに比べ左室の収縮および拡張期の機能の低下は軽度であった.DSA-LVGで得られる左室容量,駆出率はc-LVGによる値と良く相関した.DSA-LVGまたはDSA-AOGによる僧帽弁閉鎖不全症や大動脈弁閉鎖不全症の弁口逆流重症度の評価はc-LVGまたは従来の大動脈造影による判定とよく一致した.以上から少量の造影剤を使用するDSA-LVGおよびDSA-AOGは,心機能や腎機能の低下した例でも安全に行うことができ,各種の負荷前後で繰り返し造影を行う際にも有用な方法と考えられた.
  • 戸枝 哲郎, 星野 由美子, 村田 実, 木村 道夫, 山添 優, 荒井 裕, 柴田 昭
    1984 年 16 巻 12 号 p. 1240-1246
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心筋症の拡張期流入における心房収縮の関与(atrial contribution)を知るため,肥大型心筋症10例,拡張型心筋症10例,対照群10例において,右房・右室ペーシングを施行しながら大動脈圧波形を記録し,その後左室造影を行った.ペーシング中の駆出時間(ET)の変動から,(max ET-minET)/maxET×100(%)にて求めたatrial contributionと左室造影のarea-length法より求めたatrial contributionとの間に高い正の相関があった.対照群に比し,拡張型心筋症のatrial contributionは著明に大きく,左室拡張末期容積の増大とともに,一回拍出量を維持していると考えられた.一方,肥大型心筋症では拡張早期の流入障害を心房収縮によって代償するため,atrial contributionは大きくなっていると考えられた. 以上より, 心筋症のatrial contributionはどちらも大きく,これらの疾患が心房細動になった場合の血行動態の悪化はよく知られており,心房収縮が心拍出量の維持に大切であると考えられた.
  • Holter心電図および誘発試験による検討
    伊藤 宏, 新田 政男, 家坂 義人, 谷口 興一, 武内 重五郎
    1984 年 16 巻 12 号 p. 1247-1253
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    筋電位によるover sensing,すなわちmyopotential inhibition(以下MPI)は,unipolarVVI pacemaker植込みの合併症として知られている.著者らはunipolar VVI pacemaker植込み患者26例に対し,24時間Holter心電図と大胸筋運動による誘発試験を行い,MPIの発生頻度を検討した.誘発試験は,(1)等尺性拝み運動,(2)植込み上肢の引き運動, (3)植込み上肢の押し運動, (4)歯みがき様律動運動,(5)手拍子様律動運動の5種類を行った.その結果,Holter心電図では12/22例(55%),誘発試験では14/20例(70%)にMPIの発現を認めた.日常生活ないしは,Holter心電図施行中にめまいなどの自覚症状を訴えたのは1例のみで,本症例は誘発試験においても,同様の症状が誘発された.以上,MPIは日常の動作において比較的高頻度に誘発され,その診断にはHolter心電図および誘発試験が有用である.
  • その有用性と問題点
    西田 博, 遠藤 真弘, 林 久恵, 小柳 仁
    1984 年 16 巻 12 号 p. 1254-1260
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    sequential graft(SG)を設置した58例の臨床的検討を行った.病変枝数は約2/3の症例が3枝病変で,ひとりあたり2.64本のバイパスを設置した.手術成績は,手術死亡1例(1.7%),perioperativemyocardial infarction2例(3.4%)で,遠隔成績は,遠隔死亡,狭心症・心筋梗塞の発生のいずれも皆無であった.SG例では,individual graft(IG)例に比し,3本バイパス例で,平均約20分の有意な人工心肺時間の短縮効果が得られた.大動脈遮断時間はSG,IG間に有意差を認めなかった.グラフト流量はS G 例は平均126.0±62.6ml/minとIG例の平均73.7±45.4ml/minに対し有意に高値で,IG例の2倍の約85%の流量であった.また近位部のみの流量は遠位部のみのそれに比し有意に高値を示した.術後約1カ月のSGの開存率は,92.7%と良好でdistal run off 1.5mm 以下の小血管に対しても87.9%の開存率を得た.以上より,SGは,“短時間に多数の良好なバイパスを設置する”と言う,A-Cバイパス術の理想を満たす有力な一手段であるが,SGの設置に際しては,適応の選択,手技の熟練,適切なグラフトの走行(kink, torsion の防止,run off不良側を側々吻合とする),長さの設定および吻合が必要である.また3個以上の末梢吻合をおく,“All in one”graftの乱用は避け,適応も厳密にし,術後急性期には低血圧の防止が重要である.
  • 楠目 修, 浜重 直久, 土居 義典, 米沢 嘉啓, 小澤 利男
    1984 年 16 巻 12 号 p. 1261-1267
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は51歳男性.1年前より労作時前胸部痛があり,1月前より頻度増強し安静時痛も加わり57年10月22日当科に入院した.安静時心電図はほぼ正常だが,早期発作時にはV1~5のST上昇を示し異型狭心症と診断した.軽快後の負荷心電図ではST低下を示した.冠動脈造影では,右冠動脈の左バルサルバ洞起始がみられ,前下行枝近位部の不整像を示したが有意の狭窄は認めなかった.nifedipine nitrateの投与により発作消失し11月29日退院したが,12月6日朝,TNG無効の前胸部激痛のため再入院,心電図・酵素値などより前壁心筋梗塞と診断した.1月半後の冠動脈造影では,前下行枝の完全閉塞を示し,前壁中隔のakinesisを伴っていた.冠動脈起始異常と心筋梗塞・突然死の合併はしばしば報告されその因果関係が注目されているが,右冠動脈の左バルサルバ洞起始での前壁領域の異型狭心症,心筋梗塞の報告はみられず,むしろ冠奇形と冠攣縮に伴う血栓性閉塞の偶発的な合併と推定した.
  • 稲岡 正己, 佐々木 昭彦, 塚本 勝, 杉木 健司, 安倍 十三夫, 小松 作蔵
    1984 年 16 巻 12 号 p. 1268-1274
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    最近,われわれは2例の58歳,女性の先天性バルサルバ洞動脈瘤破裂を経験し,外科治療に成功したので,その診断,治療法について報告する.
    症例1は,軽度の大動脈弁閉鎖不全を合併し,右冠動脈洞から右室流出路へ破裂した拇指頭大の動脈瘤で,これに対し大動脈側から破裂口のパッチ閉鎖と右室側から瘤切除および開口部の直接閉鎖を施行した.症例2は,術前不整脈を伴い,無冠動脈洞から右房へ破裂した動脈瘤で,大動脈側および右房側からそれぞれ直接閉鎖を施行した.術後は,2症例とも自覚症状の改善および心胸郭比の縮小が得られ,症例2では不整脈は消失した.
    術前の非侵襲的診断法として,症例1では断層心エコー図法が,症例2ではパルスドップラー心エコー図法が有用であった.
  • 加納 右一郎, 熊沢 正継, 前田 尚武, 小村 明夫, 北村 政美, 杉浦 武, 新谷 宇一郎
    1984 年 16 巻 12 号 p. 1275-1280
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    総肺静脈還流異常症は予後不良で1歳未満に死亡する例が多い.今回われわれは成人まで比較的無症状に経過した症例を経験した.
    患者は38歳女性.体動時呼吸困難にて当科に入院した.身長141cm,体重34.5kg,軽度のチアノーゼと太鼓撥状指を認め,聴診上,胸骨左縁第2肋間にLevine4度の駆出性収縮期雑音とII音の固定性分裂を認めた.心電図は右軸偏位,完全右脚ブロックと右室肥大の所見を呈した.胸部X線像では典型的な8の字型を示した.心血行動態学的検査では,左右肺静脈は左房の後方で共通肺静脈幹を形成し,左房には還流せず,垂直静脈・左無名静脈を経て上大静脈に還流するsupracardiac typeのDarling分類Iaであった.肺静脈圧63/9(26)と中等度に上昇していたが,左右両心房間に圧差はなく,したがって心房中隔の欠損口が大きく,肺静脈系の還流障害もないことから十分な左室拍出量と動脈血酸素飽和度が保たれ,38歳まで比較的無症状のまま生存し得たものと考えられた.
  • 水谷 匡宏, 勝賀 瀬貴, 佐久間 研二
    1984 年 16 巻 12 号 p. 1281-1286
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    disopyramide静注薬によると思われる低血糖発作の1例を経験した.症例は77歳女性.家族歴,既往歴に糖尿病はない.慢性腎不全,慢性心不全,貧血および慢性DICのため昭和58年11月21日当科に入院した.入院時息切れ,発作性夜間呼吸困難,全身の浮腫が出現していたが,入院第2日より人工透析を開始し約1週間でこれら症状は軽快した.またDICに対してはgabexate mesilate(FOY(R))の投与により臨床検査成績の改善を認めたが,入院第18日に起きた発作性心房細動の治療にdisopyramide静注薬を2日間にわたり総量680mg使用したところ,心電図上洞調律の回復を認めたものの,入院第20日の早朝より突然傾眠が出現し,血糖値を測定したところ18mg/dlであった. 直ちにブドウ糖投与を行い,意識は清明となった.disopyramideによる低血糖発作と考え投与を中止したところ,その後は低血糖発作を認めなかった.これまでdisopyramideによると思われる低血糖発作は経口薬によるものが報告されているが,静注薬によるものは今回の症例が本邦において最初と思われる.この静注薬は数年前より一般に使用可能となった抗不整脈薬であるが,経口薬以上に重篤な患者を対象に使用される場合が多いため,意識低下時には低血糖発作による可能性も考慮しながら注意深く使用しなければならないと考える.
  • 山田 正篤
    1984 年 16 巻 12 号 p. 1289-1294
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 室田 誠逸
    1984 年 16 巻 12 号 p. 1295-1301
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 重信 弘毅
    1984 年 16 巻 12 号 p. 1302-1308
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 野間 昭典
    1984 年 16 巻 12 号 p. 1309-1313
    発行日: 1984/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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