心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
16 巻, 11 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • GenSiniのscoring systemを利用して
    渡部 真司, 尾崎 行男, 上床 正, 大杉 順一, 鷹津 文麿, 石川 宏靖, 長屋 昭夫
    1984 年 16 巻 11 号 p. 1111-1114
    発行日: 1984/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    冠動脈造影上主要冠動脈に75%以上の狭窄を有する872例について,耐糖能異常と,冠動脈造影,左室造影との対比および他のリスクファクターとの関連を検討した.冠動脈病変の重症度の評価にあたっては,Gensiniのscoring systemを利用した.結果,日本糖尿病学会のブドウ糖負荷試験の判定区分にて糖尿病型を呈する群は,正常型を呈する群より有意に高率に多枝病変をもち造影上側副血行を多く認めた.かつ有意に高率に高中性脂肪血症および高血圧を合併していた.また梗塞発症時の胸痛の認識は有意に低率であった.ブドウ糖負荷試験上最多数を占めた境界型を呈する群は,おおむね糖尿病型を呈する群と,正常型を呈する群の中間的性格を示していたが,いわゆるoxyhyperglycemia型を呈する群は正常者の群に近かった.
  • 1枝病変心筋梗塞症例を中心とした負荷心筋シンチグラムと臨床像の対比
    斉藤 宗靖, 住吉 徹哉, 石川 賢二, 土師 一夫, 深見 健一, 平盛 勝彦, 西村 恒彦, 上原 敏勇, 林田 孝平
    1984 年 16 巻 11 号 p. 1115-1124
    発行日: 1984/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    冠動脈左室造影および負荷心筋シンチグラムを施行した心筋梗塞患者(1枝病変84例,LADを含む2枝病変56例),梗塞のない1枝病変狭心症患者28例および健常者18例を対象に,シンチグラム上の欠損および再分布の程度と臨床所見の対比を行い,梗塞後狭心症における梗塞部虚血の意義を検討した.狭心症を有する1枝病変梗塞例(n=30)は,狭心症のない例(n=54)に比べ,梗塞部の欠損が軽く,再分布が大であり,また臨床的には,左室収縮異常が軽度で,かつ当該領域灌流血管に90%以上の高度狭窄を有する症例が多く,これらの所見は,梗塞のない1枝病変狭心症例に類似していた.2枝病変梗塞症例においても,狭心症を有する群は,有しない群に比べ,梗塞部再分布が有意に大であった.以上より,梗塞後狭心症の1つの機序として,梗塞部虚血の役割は重要であると考えられた.
  • 秋場 伴晴, 芳川 正流, 木野田 昌彦, 大滝 晋介, 佐藤 哲雄
    1984 年 16 巻 11 号 p. 1125-1131
    発行日: 1984/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心室中隔欠損症65例の左室(LV)と右室(RV)の拡張末期容積(EDV)および駆出率(EF),左室心筋重量(LVM)とLVM/LVEDV(M/V)について検討し,以下の成績を得た.
    1.LVEDVおよびLVMは増大しており,いずれも肺体血流比(Qp/Qs)と有意の正の相関を示した.LVEFは正常だったが,Qp/Qsとの間に有意の負の相関を認めた.M/Vは正常であった.
    2.RVEDVは増大しており,Qp/Qsおよび肺動脈収縮期圧との間に有意の正の相関がみられた.RVEFは正常であった.
    3.2歳前後で比較すると,2歳未満の群ではLVEDV,LVMおよびRVEDVが高い値を呈し,LVEFは逆に低値を示した.M/VおよびRVEFは有意差がみられなかった.
    4.心不全の有無で比べると,心不全を有する群ではLVEDV,LVMおよびRVEDVが高値を示し,LVEFは逆に低い値を呈した.M/VおよびRVEFは有意差を認めなかった.
  • 原田 道則, 日浅 芳一, 前田 利裕, 石田 孝敏, 相原 令, 坂東 正章, 中井 義広, 片岡 善彦, 森 博愛
    1984 年 16 巻 11 号 p. 1132-1138
    発行日: 1984/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    虚血性心疾患を生じ,A-Cバイパス術を施行した4兄弟例を報告する.症例1は60歳,女.3枝疾患の狭心症例で左心機能良好にて手術を施行した.症例2は55歳,男.やはり3枝疾患の狭心症例で,多枝バイパス術を施行した.症例3は68歳,女,症例4は53歳,女で,ともに下壁梗塞と前下行枝病変があり,バイパス手術を施行した.ほかに父親と2人の兄が突然死しており,またほかの1兄弟は,A型WPW症候群と下壁誘導に異常Q波を認める心電図異常をもち死亡している.
    これらの例におけるリスクファクターとしては,(1)比較的に女性が多く,(2)肥満2例,(3)軽症高血圧1例,(4)喫煙2例,(5)低HDL血症3例,(6)高尿酸血症1例で4兄弟に共通した危険因子はなく,虚血性心疾患の発症に父親を発端者とする遺伝的素因が強く疑われた.わが国ではこのような家系の報告はみられず,遺伝因子が虚血性心疾患の成因に強く関与している興味ある症例と思われたので報告した.
  • 高野 照夫, 植田 俊郎, 田中 啓治, 本田 喬, 町井 潔, 斎藤 頴, 上松瀬 勝男, 中田 八洲郎, 矢吹 壮, 上嶋 權兵衛, 丁 ...
    1984 年 16 巻 11 号 p. 1139-1148
    発行日: 1984/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    東京都CCUネットワークの利用状況を調査し,急性心筋梗塞の初期治療の実態を明らかにした.昭和57年1年間に本システムによって収容された患者総数は2,419例で,急性心筋梗塞は822例で全体の3分の1を占めた.発症からCCU収容までの時間を検討すると,平均約16時間を要しその内訳はdecision timeが平均7時間56分,physician delay6時間38分,救急車要請から現場まで11分,現場到着からCCU到着までが1時間26分であった.また収容時間は現場から救急車→CCUの経路が最も短く平均5時間51分を示し,収容までの経路が複雑になればなるほど収容までの時間は多く費された.収容時間とdecision timeが短いものほどより重症で,かつ高い死亡率を示し,単純な経路で収容されるものが多かった.CCU収容までの時間短縮に重要な因子は,第1にdecision time,第2にphysician delayと第3に病院到着後の救急室で費す時間であると結論された.
  • 御厨 美昭, 神崎 維康, 糸賀 敬, 宮原 嘉之, 園田 康男
    1984 年 16 巻 11 号 p. 1149-1157
    発行日: 1984/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    種々の心疾患294例に冠状動脈造影を施行した.294例中289例では,まずCordis社またはUSCI社製Amplatz left-Iカテーテルを使用し,主として,femoral approachによるSeldinger法にて行った.その中の266例(92%)においては,カテーテルを交換することなく,左右の冠状動脈を造影し得た.また,114例ではAmplatzカテーテル1本にてergonovine負荷冠状動脈造影を行った.術後何らかの処置を要した合併症は4例1.4%にみられたが, いずれも軽微であった. Amplatz変法による冠状動脈造影は手技も容易であり,Sones法の長所とJudkins法のもつ容易性という長所を併せ持つ有用な方法と考えられたので,本法の左右冠状動脈,およびバイパスグラフトの造影法の手技を中心に報告した.
  • 多施設共同研究の集計
    浅野 献一, 佐久間 昭, 松本 博志, 稲田 豊, 岡田 和夫, 風間 繁, 小柳 仁, 田中 勧, 山田 崇之, 吉竹 毅
    1984 年 16 巻 11 号 p. 1158-1172
    発行日: 1984/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 村上 英徳, 村上 暎二, 竹越 襄, 松井 忍
    1984 年 16 巻 11 号 p. 1173-1180
    発行日: 1984/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    砂時計型を呈する大動脈弁上狭窄症の2症例の臨床的特徴について報告する.第1症例は,約20年前より心雑音を指摘されている43歳女性,美容師で,今回,胸部圧迫感と失神発作を主訴に入院した.本症例では大動脈弁狭窄症の合併がみとめられた.第2症例は小学校入学時の健康診断時に心雑音を指摘されていた17歳女性,学生である.本例は本学胸部外科にて手術し良好な経過を示している.2症例共,左右冠状動脈起始部近くに動脈瘤を認めた.また第1例は本邦報告例中最も高齢であり,大動脈弁狭窄症の合併は本邦初例である.
  • 西口 俊裕, 先成 英一, 松岡 裕二, 沖島 寳洋, 鈴宮 寛子, 早川 国男, 佐藤 雄一, 林 透, 住吉 昭信
    1984 年 16 巻 11 号 p. 1181-1188
    発行日: 1984/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例1は生後4カ月の男児.生直後より哺乳力低下,体重増加不良,啼泣時のチアノーゼを認め,心室中隔欠損兼肺高血圧症の診断にて経過観察されていたが,心不全にて死亡.剖検にて右肺動脈上行大動脈起始症兼三尖弁閉鎖不全と診断した.症例2は生後18日の男児で心臓カテーテル検査および心血管造影にて三尖弁閉鎖不全を伴う右肺動脈上行大動脈起始症と診断した.本症例は心不全が急速に進行したため手術を行ったが死亡した.
    右肺動脈上行大動脈起始症に三尖弁閉鎖不全を合併した症例の記載はきわめて少なく,本論文にて報告した.また,本症に三尖弁閉鎖不全が合併した症例では心室中隔欠損類似の全収縮期逆流性雑音が胸骨左縁下部に聴取されるので,このような症例に対してはpulsed doppler echocardiographyによる三尖弁閉鎖不全の確認および心室中隔欠損の存在の否定が有用と思われる.
  • 樫木 道弘, 森本 一平, 藤谷 和大, 石川 雄一, 横田 慶之, 加堂 哲治, 古田 豊, 岡本 良三, 福崎 恒, 森本 真成
    1984 年 16 巻 11 号 p. 1189-1193
    発行日: 1984/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は,63歳男性.43歳頃より健康診断にて心拡大を指摘され,以後経過観察されていたが,胸痛,呼吸困難,失神などの自覚症状は認められなかった.今回,心拡大の精査を目的に来院した.心エコー検査にて非対称性中隔肥大,心筋シンチにて左室肥大,左室造影にて心室中隔の左室腔への突出,内腔の狭小化が認められた.冠状動脈造影では,Smithの分類type IIに分類される単冠状動脈および左前下行枝の低形成が判明し,大動脈造影では2尖弁が認められた. 右室生検では, 心筋の肥大, 走行の乱れ,線維化が認められた.単冠状動脈と非対称性中隔肥大の合併の報告はまれであり,特に本例のように自覚症状を欠くものはまれである.中隔肥大に関しては,左室造影や右室生検所見などより,肥大型心筋症によるものと考えられたが,そのほか必ずしも明らかではないが,単冠状動脈による血流分布異常さらには心筋虚血発現の可能性も考えられるため,文献的考察を加え報告する.
  • 桜井 文雄, 福田 丈了, 岩崎 勉, 羽鳥 幹子, 岡本 正司, 飯塚 利夫, 河合 恭広, 佐々木 豊志, 高瀬 真一, 金沢 紀雄, ...
    1984 年 16 巻 11 号 p. 1194-1200
    発行日: 1984/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    著明な右室拡大を呈した拡張型心筋症の兄妹例を経験した.兄は55歳,心室性期外収縮の頻発のため入院した.入院時,幅広いII音の分裂とIV音を聴取し,胸部X-Pにて心拡大,心電図にて洞調律で心室性期外収縮の散発,I°A-Vブロック,右脚ブロック,V1-V6のT波の陰転,V5で非常に小さいr,V6でqrs型を認めた.心エコーでは右室の拡大が著明で,RV/LV比は,0.79と高値を示した.心カテーテル検査では両心系の圧は正常であったが,両室造影では,両室ともに全周性の収縮能の低下と心室腔の拡大を認め,その程度は右室により著明であった.妹も兄と同様な心拡大,心電図変化,心エコー所見を呈していた.(1)2例とも肺うっ血の病歴および肺高血圧を伴わず,右室拡大は,原発性に生じた右室心筋病変によるものと考えられたこと,(2)家族内発症を呈したことの2点において,拡張型心筋症として特異な症例と考え報告する.
  • 村田 実, 小島 研二, 森川 政嗣, 相沢 義房, 荒井 裕, 小沢 武文, 柴田 昭, 斉藤 良一
    1984 年 16 巻 11 号 p. 1201-1206
    発行日: 1984/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は64歳男性.発作性の収縮期血圧50mmHg以下の低血圧と20回/分以下の洞徐脈により数分間の意識消失発作をくり返した.誘因は明らかでなく鼻閉の増悪と共に発作の頻度も増加した.両側上頸部に上咽頭腫瘍の転移による母指頭大のリンパ節腫脹を認めた.頸動脈洞圧迫で収縮期血圧は前値に比し40mmHg低下し,心周期は1.96秒まで延長し過敏反応を示した.原発巣および頸部の転移巣へ放射線療法開始後発作は全く消失し,頸部リンパ節腫脹も著しく縮小したが,4,000rad照射後も頸動脈洞圧迫に対しては同様の反応を示した.発作を説明しうる神経学的異常や器質的心疾患を認めず,頸動脈洞圧迫に対する過敏反応および放射線療法の効果からhypersensitive carotid sinus syndromeと診断し,これには頸部リンパ節腫脹が関係していたものと考えられた.本症例の発作時には右室ペーシングは低血圧を改善させず,硫酸アトロピンの静注が著効を示した.
  • 及川 仁元, 渡辺 坦, 伊勢 忠男, 本良 いよ子, 小田島 秀夫, 大藤 高志
    1984 年 16 巻 11 号 p. 1207-1211
    発行日: 1984/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    異物による食道穿孔を起こし,さらにこれが心・大血管と交通し致死的大出血をきたす例はまれであり,異物誤飲の確認がないと確診は困難である.症例は60歳男子で,“魚骨を呑みこんだ感じ”とともに前胸部~心窩部に疼痛をきたし,心筋梗塞の疑いで入院した.入院時検査では白血球増多,CRP陽性を認めたが,心電図・生化学的検査などに急性梗塞を思わせる所見なく,抗生剤などの対症的治療を行いつつ種々の検査を施行した.入院後胸痛は軽減の傾向にあり経口摂取も可能であった.第10病日に前胸部~背部にわたる激痛が出現,解離性大動脈瘤を疑いCT検査を行ったが陽性所見なく,検査中数回の少量吐血をみた.第11病日大量の吐血をきたしショック状態が進展して死亡した.剖検では消化管・胸腔に大量の凝血,食道と下行大動脈問の交通,および縦隔洞間質の壊死性血腫の中心に約4cmの鋭い魚骨が認められた.異物起因の既往が確認されず,不定の胸部症状のため診断前に死亡した例であるが,早期の外科療法により救命の可能性もあるので報告する.
  • 杉原 範彦, 元田 憲, 中山 章, 岩井 久和, 布田 伸一, 水野 清雄, 名村 正伸, 五十嵐 豊, 末松 哲男, 堀田 祐紀, 竹田 ...
    1984 年 16 巻 11 号 p. 1212-1218
    発行日: 1984/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    大動脈炎症候群に伴う心外膜炎・心筋炎の報告は少なく,特に臨床的に心膜心筋炎と診断された報告はいまだ認められない.今回われわれは,くり返し多量の血性心のう液貯留を認めた患者で,心外膜生検・心内膜心筋生検により心膜心筋炎と診断しえた大動脈炎症候群の1例を経験した.症例は,一般検査成績上強度の炎症所見を示し,血管造影にて大動脈炎症候群と診断された.また多量の心のう液貯留を認めたが,心のう液中補体の低値を除いては特異的な異常はなかった.さらに心外膜生検で線維素性心外膜炎の組織像が得られ,右室心内膜心筋生検で心筋炎の存在が示された.確診後ステロイド療法を行ったところ炎症所見の消退とともに心のう液も消失した.大動脈炎症候群に伴う心外膜炎・心筋炎の原因はいまだに不明であるが,本症例においてはステロイド療法に対する反応性と心のう液中の補体が低値を示したことより,その原因に免疫反応が関係しているものと推測された.
  • 高松 一, 中嶋 良行, 山田 千尋, 村上 貞次, 西田 一夫, 杉原 洋樹, 仁木 俊平, 河野 義雄, 北村 誠, 栗原 敏郎, 古川 ...
    1984 年 16 巻 11 号 p. 1219-1224
    発行日: 1984/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    交感神経のpre-synaptic blockerの1つで降圧剤として用いられているbethanidine sulfateは経口投与可能な抗不整脈剤として注目されつつある.われわれは最近経験した重症心室性不整脈の3症例にbethanidineの経口投与を行いHolter心電図を用いてその効果を判定し有効性を示唆する結果を得た. 本剤は必ずしも心室性不整脈の発生の総数を減ずるものではないが,pairや心室性頻拍などのより重症な不整脈に対し有効であった.本剤の特徴を電気生理学的に明らかにすることはできなかったが本剤は重症心室性不整脈に対する経口投与可能な臨床不整脈治療剤として今後の展開が期待される.
  • 1984 年 16 巻 11 号 p. 1226-
    発行日: 1984年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
feedback
Top