心臓
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17 巻, 3 号
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  • 心房ペーシング負荷との比較
    鯵坂 隆一, 新田 政男, 三宅 祥三, 谷口 興一, 武内 重五郎
    1985 年 17 巻 3 号 p. 271-279
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    イソプロテレノール(ISP)静注による心筋虚血発現時の血行動態・左心機能を心房ペーシング(AP)によるそれらと比較した.対象は,虚血性心疾患31例(陳旧性心筋梗塞21例,労作狭心症10例),健常例9例であり,同一対象にAP負荷(2分ごとに毎分10心拍ずつレートを上昇し,最高150/分まで施行),ISP負荷(ISP 2μg/分にて静注)を施行し,終点は,胸痛もしくは有意のST偏位のいずれかとした.
    結果:有意のST偏位はISP負荷において15例(48%),AP負荷において9例(29%)に認めた.ST変化(+)例において,負荷終点における血行動態指標を比較すると,心拍数,収縮期血圧には両負荷の間で差異を認めなかったが,心係数,一回拍出係数,左室仕事量係数はAP負荷において有意に少なかった.左室拡張終期圧(LVEDP)はAP負荷においては有意に低下したが,ISP負荷においては一定の傾向を認めなかった.一方,ISP負荷時ST変化(+)例について,心筋梗塞例と狭心症例とを比較すると,前者では胸痛の発現が少なく,LVEDPの有意の低下を認めたのに対し,後者では全例で胸痛を認め,LVEDPの上昇傾向を認めた.
    以上より,(1)ISP負荷による心節虚血発現時の血行動態・左心機能はAP負荷によるそれらに比し良好に維持されることが示唆された.(2)ISP静注によるST変化は,狭心症例の多くは心筋虚血によるが,心筋梗塞例では,一部,壁運動異常など他の因子が関与している可能性が考えられた.
  • 成人弁疾患例における検討
    松倉 裕美, 立木 利一, 合田 俊宏, 川上 恒夫, 佐久間 まこと, 酒井 圭輔, 田辺 達三
    1985 年 17 巻 3 号 p. 280-288
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    成人弁疾患10例を対象に体外循環下手術における各種脈管作動物質の変動を検討した.その結果(1)溶血によるハプトグロビン減少は1病日に最も高度となり,(2)β-TG,PF-4,TXB2などの血小板放出物質の増加は血小板の機械的破壊が高度なことを示したが,β-TGとPF-4はTXB2と体外循環中は有意の正または負の相関がみられなかった.(3)ミオグロビンの増加は末梢循環障害が主因であり体外循環法の改善が必要と考えられた.(4)グルカゴンは体外循環終了時から増加し血糖値と正の相関がみられ,糖代謝抑制に対する反応性増加と考えられた.(5)エラスターゼ1の体外循環での測定は他に報(5告)をみないが,体外循環中抑制され,インスリン/血糖比と似た推移を示した.(6)ノルアドレナリンの増加はアドレナリン増加に比べ軽度にとどまったが,(7)ドーパミン投与を行った体外循環終了後はドーパミンとノルアドレナリンは著明な増加と有意の正の相関がみられた.(8)ブラディキニンは他の測定項目と異なり体外循環開始時に最も高値を示し,体外循環開始時にみられる初期血圧降下との関連が疑われた.(9)これらの脈管作動物質は相互に関連しあって術後の状態を形成しており,変動を少なくする努力を続けることにより体外循環はより安全な補助手段となり得ると考えられた.
  • 9例の臨床所見ならびに文献的考察
    金谷 透, 立木 楷, 早坂 真喜雄, 小熊 正樹, 太田 郁郎, 上西 徹二, 山口 清司, 大原 直人, 安井 昭二
    1985 年 17 巻 3 号 p. 289-295
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    1976年11月より1983年12月までの7年1カ月間に山形大学医学部付属病院にて施行した選択的冠動脈造影(CAG)423例中9例(2.1%)に冠動脈瘻を経験した.本症は1865年Krauseが最初に報告して以来,数多くの報告が見られるが,両側冠動脈-肺動脈瘻は非常にまれとされてきた.しかし,今回の著者らの例では両側冠動脈-肺動脈瘻が9例中6例に見られ,従来の報告とは異なった.これは近年のCAGの進歩により,本症の診断が比較的容易に,また偶然に発見されることが多くなったことに起因すると考えられた.
    本症における臨床像ならびに心臓カテーテル所見に加え,心臓核医学的検査法の有用性につき若干の文献的考察を加え報告する.
  • 布施 勝生, 小西 敏雄, 細田 泰之, 中西 成元, 西山 信一郎, 西村 重敬, 山口 洋
    1985 年 17 巻 3 号 p. 296-301
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    1982年4月より1983年3月までの1年間に,100例のACバイパス手術を経験したので,これらの症例について早期手術成績および1983年10月までの遠隔成績を検討した.
    病院死は2%であり,他の全例は術後平均17日で軽快退院した.合併症としてはQ波を伴う術中心筋梗塞の発生はなく,また血清肝炎の発生は2%であった.
    術後6カ月以上経過例84例に,造影検査を行ったが,グラフト開存率は89.6%であった.
    症状の改善度をみると,術前には,無症状6例,軽度労作制限69例,高度労作制限22例であったものが,遠隔期にはそれぞれ81例,16例および0と著しく改善していた.
    男性92例の仕事への復帰状態の調査では,55歳以下では,術前に就業していた43例中42例は復職しており,また55歳以上では,就業していた37例中35例が復職していた.
  • 中村 千春, 今井 高二, 白田 保夫, 佐藤 徹, 片桐 幹夫, 小林 稔, 入沢 敬夫, 鷲尾 正彦, 立木 楷, 太田 郁郎, 金谷 ...
    1985 年 17 巻 3 号 p. 302-308
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    大動脈弁閉鎖不全(AR)に僧帽弁閉鎖不全(MR)を伴った大動脈炎症候群の2例を経験したので報告した.
    症例1は53歳の女性で大動脈壁に広範な石灰化を伴う壁肥厚,内腔不整があり,III度のARとI度のMRがあり,頻回の狭心痛を訴え大動脈弁置換術が行われた.
    症例2は33歳の女性で大動脈弓部主分枝の狭窄とARがあり,大動脈炎症候群として経過観察中,腱索断裂によるMRが加わり,心拡大が急速に進行し大動脈弁,僧帽弁の両弁置換術が行われた.
    大動脈炎症候群にARを合併することは少なくなく,しばしば心不全に移行し予後を左右することが知られているが,本症候群に僧帽弁膜症を合併することはまれなため,その臨床像については不明な点も多いので,われわれの経験を述べるとともに若干の文献的考察を行った.
  • 安倍 十三夫, 杉木 健司, 稲岡 正己, 塚本 勝, 浅井 康文, 佐々木 昭彦, 小松 作蔵
    1985 年 17 巻 3 号 p. 309-314
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    18歳,男性,三尖弁閉鎖不全を伴ったFallot四徴症の根治手術治験の1例を報告した.本症の発生頻度はきわめて少なく,後天性に心内膜炎の合併により発生したものと考えられる.
    今回,本症例に対し,心室中隔欠損閉鎖とRygg1弁付きパッチを用いた右室流出路拡大術を行い,三尖弁閉鎖不全に対しては,DeVega法を応用し,術後良好な経過をとった1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 渡辺 裕司, 林 秀晴, 山本 隆久, 田口 貴久, 坂田 和之, 俵原 敬, 増田 尚道, 神川 正, 小林 明, 山崎 昇
    1985 年 17 巻 3 号 p. 315-319
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は27歳の女性.主訴は上肢のしびれ感.昭和54年第1子出産後より血圧が156±10/100±7mmHgと上昇し,上肢のしびれ感,多飲多尿を認めた.昭和55年第2子妊娠中には血圧136±6/86±4mmHgと降下したが,出産後より再び160±7/108±8mmHgと上昇したため昭和58年7月精査目的で浜松医大第3内科入院となった.入院時の血圧は168/120mmHgで,Na140mEq/l,K2.0mEq/l,Cl103mEq/lと著明な低K血症を認めた.内分泌学的には三者負荷試験(食塩制限,ハイドロクロロサイアザイド75mg,スピロノラクトン400mg)にて血漿レニン活性の抑制を認めたが,尿中17-OHCS,17-KSは正當であった.131Iヨードコレステロールによる副腎シンチ像で右副腎部に高い集積を認め,腹部CTにて右副腎上極に涙滴状のmassを認めた.以上より原発性アルドステロン症と診断し,腫瘍摘出術にて治癒した.本症に妊娠の合併した報告はきわめて少なく妊娠中降圧を認めた報告は今まで3例に過ぎない.われわれは妊娠中に高血圧の改善を認めた原発性アルドステロン症の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え検討した.
  • 宮田 晃一郎, 馬場 泰光, 吉永 正夫, 永井 恭子, 徳留 隆博
    1985 年 17 巻 3 号 p. 320-326
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    全内臓逆位に伴った修正大血管転位症[I, D, D]に,心室中隔欠損(VSD),心房中隔欠損(ASD),肺動脈閉鎖(PA),動脈管開存(PDA)のほか,両冠動脈右冠動脈洞起始というきわめてまれな奇形を伴い,さらに動脈管に器質化した壁在血栓,両側の主肺動脈に新旧多数の血栓塞栓を認めた1歳女児の剖検例を報告した.
    著者らの集計しえた[I, D, D]の本邦報告例は39例で,合併奇形としてはVSD(87.2%),肺動脈狭窄(66.7%),ASD(卵円孔開存も含め43.6%)が多く,PA(15.4%),PDA(15.4%)などがそれらに続いた.本症の冠動脈ロ位置異常合併についての報告はきわめて少なく,両冠動脈右冠動脈洞起始の報告は自験例以外にみあたらない.また,動脈管および主肺動脈の血栓についての報告もきわめて少ない.
  • 青墳 裕之, 永井 蓉子, 篠崎 正樹
    1985 年 17 巻 3 号 p. 327-333
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    血管輪に広範な気管狭窄を伴った1剖検例を経験した.本例は挿管呼吸管理にもかかわらず重篤な呼吸不全のため死亡したが,本例の気管病変は従来知られる血管輪圧迫部の局所的な気管狭窄とは異なり,先天性気管狭窄症の漏斗型にあたる広範かつ強度の狭窄であった.本例は,血管輪解除術のみでは呼吸不全の改善は得られなかった症例と思われ,有症状の血管輪症例の術前における気管病変の評価の重要性が再認識された.
  • Michiel J. Janse, 児玉 逸雄
    1985 年 17 巻 3 号 p. 338-349
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • one day old infarction を中心として
    外山 淳治, 太田 寿城, 神谷 香一郎
    1985 年 17 巻 3 号 p. 350-360
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 小川 聡, 桜井 謙治, 宮崎 利久, 盛 英三, 中村 芳郎
    1985 年 17 巻 3 号 p. 361-372
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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