心臓
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17 巻, 4 号
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  • 松下 哲, 三船 順一郎, 萬木 信人, 坂井 誠, 岩崎 勤, 加藤 洋一, 蔵本 築, 村上 元孝
    1985 年 17 巻 4 号 p. 379-387
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    麻酔犬において, dextran による容量負荷と, bal-loon catheter拡張による急性大動脈縮窄による実験的急性左心不全を作成し,Swan-Ganz catheterによる右心カテーテル法を行いながら,dibutyryl cyclic AMPをbolus静注し,血行動態の変化および血中遊離脂肪酸,インスリン,血糖,乳酸,ピルビン酸の変化を30分間にわたって観察した後, 心筋cyclic AMP依存性蛋白リン酸化酵素活性化率を測定し,比較検討した.
    平均70mg/kg(n=6)のdibutyryl cyclic AMP注入では,2.5分頃より効果があらわれ,5分で有意の変化となり, 20分で心拍出量は2.89→7.47l/min(+160%, p<0.01) , 心拍数は188→234beats/min(+24%,p<0.001),肺動脈楔入圧は38→16mmHg(-58%,p<0.01)と減少,大動脈近位部平均血圧は177→146mmHg(-18%, p<0.001)と減少, 全末梢抵抗は76→22mmHg・min /l(-71%, p<0.001) と減少し, これらの強心効果と血管拡張効果は30分でも持続がみられた.また,心拍出量増加, 肺動脈楔入圧減少は60mg/kgまではdose responseがみられた.血糖上昇,血糖/インスリン比の低下,乳酸軽度増加,乳酸/ピルビン酸比の軽度増加を認めた.dibutyryl cyclic AMP投与量に対する心筋cyclic AMP依存性蛋白リン酸化酵素活性比は, 60mg/kgまでは直線的にdose responseがありそれ以上ではplateauとなる傾向があった(n=8).
    以上の結果によれぼ,dibutyryl cyclic AMPは,強心効果と血管拡張効果により左心不全に有効な治療方法と考えられ,その効果はcyclic AMP依存性たん白リン酸化酵素の活性化によると考えられる.
  • Ergonovine による狭心発作時の検討
    三国谷 淳, 福原 泰樹, 高 明休, 百瀬 篤, 菊池 文孝, 加藤 正史, 山中 朋子, 秋元 久衛, 宮重 希典, 金沢 武道, 小野 ...
    1985 年 17 巻 4 号 p. 388-398
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    冠動脈スパズムの冠循環と心筋代謝に及ぼす影響を明らかにするために,ergonovine maleateにより狭心発作が誘発された12例の安静狭心症と虚血性変化が認められなかった対照群1 9 例について, ergonovine負荷前後の冠血流量,心筋乳酸摂取率ならびに冠動静脈酸素較差の変化を検討した.
    狭心発作が認められた安静狭心症では,対照時に比べ冠血管抵抗が38%増加し,冠血流量は21%減少, 心筋乳酸摂取率は34±8% から-1±10% へ著明に低下し,冠動静脈酸素較差は10.2±1.3mg/dlから11.4±1.5mg/dlへと開大した.とくに,心電図ST上昇例(7例)ではST下降例(5例)に比べその責任冠動脈の冠血管抵抗増加率ならびに冠血流量減少率が大きい傾向にあり,心筋乳酸摂取率はST上昇の6例で負,すなわち乳酸産生を示した.冠血管構築を冠動脈造影像からみると,これらの変化は冠動脈スパズムの程度,拡がり,発生部位および側副血行の有無に起因するものと考えられた.
  • 松川 哲之助, 宮村 治男, 大谷 信一, 橋本 良一, 江口 昭治, 相沢 義房, 渡辺 賢一, 森川 政嗣, 佐藤 芳昭
    1985 年 17 巻 4 号 p. 399-407
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Fallot 四徴症根治術後(10~17年) において妊娠出産を経験した17症例-24出産の遠隔期心機能評価による術後の妊娠出産適応上の問題点について検討した.
    10~17年妊娠分娩経過を通し母胎死亡を含む重篤な合併症はみられなかったが,周産期医学的には心奇形児出産はなかったものの,一般にくらべ低体重児出産(12.5%),自然流産(13.8%)は高率であった.対象例の術後遠隔期における安静時左心機能はほぼ正常域にあったが, トレッドミル負荷時の運動能の低下など潜在的心室機能低下が考えられ,24時間ホルター心電図において心室性不整脈の多発が問題となった.これらは分娩,とくに陣痛時に増悪する傾向にあり分娩時における連続的心電図モニターの重要性が指摘できた.
    本症根治術後の妊娠出産の適応については,高度遺残狭窄を含む心拡大の著しい右室量負荷病態を示す症例では,禁忌を含めとくに慎重に対処することが重要である.
  • 姫野 泰雄, 稲垣 雅男, 後藤 剛, 阿波 純二, 土井 修, 松永 和夫, 藤野 俊夫, 光藤 和明, 福田 博司
    1985 年 17 巻 4 号 p. 408-415
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    左冠動脈主幹部に完全閉塞をきたした急性心筋梗塞は非常に重篤であり,発症早期の診断と適切な治療が必須である.われわれが急性心筋梗塞発症早期に冠動脈造影を施行した72症例中,5例に左主幹部完全閉塞を認め,それらの心電図所見に共通した特徴ある所見を認めたため,臨床症状,経過をも含め報告する.いずれもショック状態を呈する著明な心機能の低下をきたし来院したが,心電図上は,I,aVLのST上昇を認めるのみで広範な心筋梗塞を疑わせる所見を欠いていた.全例にintraaortic balloon counterpulsation(IABP)を施行し,5例中4例にpercutaneous transluminal coronary recanalization(PTCR)を,1例にpercutaneous transluminal coronary angioplasty(PTCA)を,そして3例に緊急A-Cバイパス術(coronary arterybypass graft(CABG)を施行したが,4例は心原性ショックなどで死亡した.また,陳旧性心筋梗塞の冠動脈造影では左冠動脈主幹部を責任冠動脈とする例は1例も見られなかった.このように重篤な左主幹部閉塞による急性心筋梗塞に対し早期診断は非常に重要である. 心電図上I, aVLのみのST上昇が高度に認められ,胸部誘導のST上昇があまり高度でなく,特に心機能の低下している場合は左冠動脈主幹部閉塞による急性心筋梗塞を疑い,直ちに積極的な治療が必要と考えられた.
  • 榊原 哲夫, 広瀬 一, 中埜 粛, 松田 暉, 白倉 良太, 平中 俊行, 松村 龍一, 今川 弘, 川島 康生
    1985 年 17 巻 4 号 p. 416-421
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    70歳以上の高齢者の虚血性心疾患に対する外科治療例10例について検討した.手術時年齢は70歳~77歳平均72歳であり, 男性4例, 女性6例であった.手術は3本A-Cバイパス術3例,2本A-Cバイパス術1例,2本A-Cバイパス術兼左室瘤切除術1例,左室瘤切除術兼心室中隔穿孔(VSP)の閉鎖術1例, 左室瘤切除術兼VSPの閉鎖術兼1本A-Cバイパス術1例,左冠動脈開口部拡大術兼1本A-Cバイパス術兼大動脈弁置換術(AVR)1例,3本A-Cバイパス術兼AVR1例, 1本A-Cバイパス術兼僧帽弁交連切開術1例であった.
    1)手術死亡は1例(10%),病院死亡は1例(10%)であり,これらは術前心疾患または術前合併症が重篤な症例であった.
    2)術後肺合併症は高率(90%)であったが,克服可能であり,術中心筋梗塞1例(10%),術後の腎不全の合併例1例(10%)が致死的であった.
    3)遠隔死亡は1例(10%)であり3年生存率は67.5%,心原性死亡例のみでみると90%であった.
    4)生存例全例遠隔期において,NYHA I,II度の活動能力を有し,手術効果は著明であった.
    以上の検討により,70歳以上の高齢者といえども,術前心疾患および合併症が極端に重篤でない症例においては,手術成績は良好で,手術効果が著明であることが明らかとなった.
  • 森 善樹, 岡 隆治, 土田 晃, 梅本 英彦
    1985 年 17 巻 4 号 p. 422-428
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Ebstein奇形は先天性三尖弁異常で,三尖弁口が右室腔内に下方偏位をして,右室を本来の右室と右房化した右室に二分し,三尖弁閉鎖不全,三尖弁狭窄を呈する比較的まれな心奇形である.その予後を決める因子の1つとして,合併奇形の有無があげられる.合併奇形として,心室中隔肥厚を伴ったEbstein奇形の報告は少ない.われわれは心エコー図,心臓カテーテル造影検査にて,心尖部よりの心室中隔肥厚を伴ったEbstein奇形と診断した症例を経験したので報告する.
    症例は9歳男児.3歳時より心雑音を指摘され,心室中隔欠損症としてフォローアップをうけていた.9歳時に心雑音以外に著明なIII音の指摘をうけ,精査目的で入院した.
    心電図でB型のWPW症候群,右房負荷が認められ,心エコー図では低位付着の三尖弁,右房,右室の拡大が認められた.心腔内心電図,右房造影にて右房化した右室が確認された.さらに心エコー図で心尖部よりの心室中隔に肥厚がみられ,左心カテーテル検査では左室の拡張末期圧の軽度上昇,左室造影では中隔が持ち上がった肥大型心筋症類似の左室形態が認められた.
    本来右心系に負荷のかかるEbstein奇形にみられた心室中隔の肥厚に関し,文献的考察を加え,またEbstein奇形においては右心系のみならず左心系の評価も必要であることを述べた.
  • 清水 隆, 太田 八千雄, 長谷 直樹, 浜田 勇
    1985 年 17 巻 4 号 p. 429-434
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    大動脈弁閉鎖の左心低形成症候群と三心房心を合併した新生児例を経験した. 理学的所見, 胸部X線像, 心電図所見, 心臓超音波検査にて両者の合併を診断し, 心臓カテーテル検査により診断確定後Norwood の提唱する方法にて救命手術を試みた. 大動脈弁閉鎖兼動脈管開存兼低形成の左室・僧帽弁・上行大動脈・大動脈弓にLucas分類B typeの三心房心の合併はまれなものであり, かつ心臓超音波検査によって非観血的に診断が可能であるので早期の救命手術が考慮されるべきである.
  • 田代 忠, 久富 光一, 中村 洋樹, 清水 大一郎, 藤堂 景茂, 江藤 仁治, 松永 伸二, 橋本 武夫
    1985 年 17 巻 4 号 p. 435-440
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    大動脈弓離断症は,上行大動脈と下行大動脈との連続性が断たれたまれな先天奇形であり,そのほとんどにPDDT(pulmonary-ductus-descendingaorta trunk)を形成し,PDDTを介した肺動脈血で下半身の循環が保たれている.
    今回,われわれはPDDTを伴わない新生児期の大動脈弓離断症の1例を経験した.従来PDDTを伴わない大動脈弓離断症は,年長児または成人に達して発見されることが多く,愁訴も軽いとされてきたが,自験例では新生児期(11生日)に心不全のため入院を必要とし,心不全はジギタリスや利尿剤投与でもコントロールできず,手術(大動脈弓形成術)を必要とし,今までに報告されたPDDTを伴わない大動脈弓離断症とは異なる様相を呈した.
    新生児期に発症したPDDTを伴わない大動脈弓離断症はきわめてまれであり,自験例に若干の文献的検討を加えて報告した.
  • 秦 紘, 福山 守, 岡本 交二, 薗 潤, 岡田 行功, 宮本 覚, 西内 素, 立道 清, 庄村 東洋
    1985 年 17 巻 4 号 p. 441-446
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞に続発する心室中隔穿孔は,血行動態の急激な悪化のため現在でも予後不良な合併症の1つである.著者らは1982年2月より1983年12月までに,連続する4例の本症を経験した.年齢は62~70歳(平均66.8歳),男2女2,全例前壁中隔梗塞で,梗塞から穿孔発症までの期間は1~7日であった.全例穿孔発症から1~4日の急性期に手術を行った.術前よりIABPによる循環補助を行い,手術は両心室切開で2枚のフェルトパッチで穿孔部をはさみつけるようにして閉鎖した.術後管理に難渋したが全例退院し,長期生存(最長2年4カ月)している.4例の経験から次のごとく結論した.1.診断はベッドサイドで可能で左室造影や冠動脈造影は必ずしも必要としない.2.早期手術が患者救命のために必須であり,穿孔部周辺の器質化を期待して保存的治療を行うと多臓器不全発生の危険性が大きい.3.本症に対する急性期手術は救命手術であり,その観点からACBGの併設は必ずしも必要でない.しかし長期予後の点から術中あるいは術後にCAGを行って冠動脈病変を評価し必要ならぼ二期的にACBGを考慮する必要がある.
  • 入沢 宏, 野間 昭典, 倉智 嘉久, 亀山 正樹, 木村 純子, 松田 博子, 中山 敏夫, 加計 正文, 柴崎 享, 佐藤 良一, 坪井 ...
    1985 年 17 巻 4 号 p. 447-455
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 小澤 高将, 杉山 理
    1985 年 17 巻 4 号 p. 456-466
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 腎皮膜下移植心筋の電気的特性
    西 勝英, 西園 康文, 門脇 義博
    1985 年 17 巻 4 号 p. 467-476
    発行日: 1985/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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