心臓
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17 巻, 8 号
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  • 森 一博, 里見 元義, 遠山 歓, 富松 宏文, 小西 貴幸, 安藤 美智子, 中村 憲司, 高尾 篤良
    1985 年 17 巻 8 号 p. 805-812
    発行日: 1985/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    超音波パルス・ドプラー法を用いて,12例のほかに合併奇形を伴わない単純型大動脈縮窄症の,大動脈弁直上での上行大動脈および横隔膜直下での下行大動脈の血流パターンを分析し,上下肢圧較差と対比した,その結果,下行大動脈のPEP/ET,DS(deceleration slope:流速減速率),PEP(Des Ao)-PEP(As Ao)/√RR(上行,下行大動脈間でのPEPの差)の3者が圧較差と有意の相関を示した.特に下行大動脈のDSは,正常群とは明瞭に区別され,圧較差10mmHg前後の軽症の大動脈縮窄症でも診断が可能であると考えられる.
    超音波パルス・ドプラー法は,大動脈縮窄症の診断,ある程度の圧較差推定法として,今後,臨床応用が可能であると考えられる.
  • 富田 英, 越後 茂之, 神谷 哲郎, 中島 徹, 山田 修, 由谷 親夫
    1985 年 17 巻 8 号 p. 813-820
    発行日: 1985/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    川崎病の後遺症である冠動脈拡大性病変によって引き起こされる,血流動態などの機械的要因の変化や,これが冠動脈障害の予後に及ぼす影響を明らかにし,さらに狭窄性病変への進展予防のための治療法を研究する上での一助とするため,雑種成犬を用いて,直接侵襲による冠動脈拡大性病変の作製を試みた.
    雑種成犬11頭,冠動脈15枝の冠動脈壁内にフィシンを注入した.フィシンを注入した11頭中10頭,冠動脈15枝中11枝に拡大性病変の形成を認めた.対照として,リン酸クエン酸緩衝液を注入した5頭,5枝では拡大性病変の形成を認めなかった.
    本モデルは,上記のごとき川崎病による冠動脈拡大性病変の研究を進める上で有用であると考えた.
  • 実験的検討
    内田 康美, 舛尾 正俊, 東丸 貴信, 加藤 彰一, 杉本 恒明
    1985 年 17 巻 8 号 p. 821-827
    発行日: 1985/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Opiate receptorの遮断剤であるnaloxoneの心原性ショック治療への応用の可能性をさぐる目的で,麻酔イヌでの冠状動脈内protease注入による心原性ショックモデルに対するnaloxone静注の効果を検討した.
    Naloxone25μg/kg以上で大動脈血流量は増加し,10μg/kg以上で血圧は上昇し,総末梢抵抗は25μg/kg以上で増加し,Vmaxは25μg/kg以上で増加した.心拍数はほぼ不変であった.
    以上のことは,naloxoneが末梢抵抗血管の収縮作用と心筋収縮能の増加作用とにより心原性ショックを改善せしめる方向に作用することを示唆する.
  • 荒井 裕, 星野 由美子, 戸枝 哲郎, 山添 優, 森川 正嗣, 林 千治, 津田 隆志, 矢沢 良光, 柴田 昭
    1985 年 17 巻 8 号 p. 828-833
    発行日: 1985/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    近年,atrial contributionを生かした生理的ペーシングが盛んに行われるようになってきている.しかし,心房細動例にこの方法は使えない.心室の興奮が心室ペーシング(VVI)によってなされた場合,刺激伝導系を介して正常に行われた場合に比べると,心ポンプ機能は10%以上低下するという.
    そこで,VVIにおける心ポンプ機能を改善するためのもう1つの生理的ペーシングとしての両室ペーシングの心機能に対する効果について,心収縮時相を用いて検討した.
    atrial contributionの影響を無くするために,心房細動を合併した各種心疾患7例を対象とした.その結果,両室ペーシングでは,右室あるいは左室ペーシングよりもS-2A(ペースメーカースパイクからII音大動脈弁成分までの時間),PEP(前駆出期)およびPEP/ET(ET:左室駆出時間)は低値を示した.2)両室ペーシングでは,右室ペーシングよりも,長いLVET(左室駆出時間)が得られた.
    以上より,両室ペーシングは,左室収縮の同時性の点で,右室あるいは左室ペーシングよりも優れていることが示唆された.
  • 稲岡 正己, 柳谷 晶仁, 塚本 勝, 杉木 健司, 安倍 十三夫, 小松 作蔵
    1985 年 17 巻 8 号 p. 834-840
    発行日: 1985/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    PAPVD症例と単独のASD症例とが同じ大きさのASDを有するなら,左右短絡量は前者でより多くなるであろう,という基本概念に基づき,断層心エコー図法を用いて体表面積当りのASD面積(ASDI)および右室径と左室径の比(RVD/LVD)を測定することにより,両疾患の鑑別を試みた.対象はPAPVD9例およびASD15例を用いた.RVD/LVDはQp/Qsと相関係数0.84の良好な相関を示し,左右短絡量を示す指標として適切と考えられた.ASD群ではRVD/LVDとASDIとは相関係数0.60の相関を示したが,PAPVD群では全く相関は認められなかった.RVD/LVDとASDIとの比ではPAPVD群がASD群に比し危険率0.01で有意に高値を示し,その境界値は0.46であった.
    したがって断層心エコー図法によりPAPVDの診断は可能と考えられたが,ASDの径,右室径および左室径計測の際の誤差にいまだ問題点を残すため,本法は心血管造影検査前のスクリーニング,あるいは心血管造影診断の補助診断法として用いられるべきと考えられた.
  • 幸治 隆一, 森田 展生, 岡野 秀治, 小関 寛, 小野 直見, 竹沢 英郎
    1985 年 17 巻 8 号 p. 841-848
    発行日: 1985/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞194例のPEP/LVETを発症直後より連日7日間,30病日,1年後と経時的に記録した.死亡群は常に生存群より有意(p<0.01)に高値を示し,部位別では広範前壁梗塞は,前壁中隔,下壁,内膜下梗塞に比べ有意(p<0.01)に高値を示し,逆に内膜下梗塞は他群に比べ有意(p<0.01)に低値を示したが,前壁中隔と下壁梗塞間には差がなかった.年齢別では80歳以上群のみ回復過程に入って高値を示した.PEP/LVETは経時的に変化するため,1,3,7病日の値で大きく4つのpatternに分類した.すなわちA群:全経過でPEP/LVETが正常値の上限0.4を越えないもの.B群:3病日のみ0.4を越えるもの.C群:1病日は正常であるが,3,7病日が0.4以上のもの.D群:常に0.4以上のもの.それによると急性期死亡はA,B群で皆無であったがC,D群,特にD群に圧倒的に多く見られた,また退院後の梗塞再発について見ると,A,B群ではごく少数例であるのに対して,C,D群,特にD群で圧倒的に多かった.以上より,PEP/LVET値が1,7病日に正常値を示したものは予後良好であるのに対して,常に高値を示したものはもちろん,1病日は正常であっても3,7病日に高値を示したものは予後不良であり,しかも再発をしばしば認めた.そして各群間で尿中catecholamineを測定したが有意差がなく,血圧,心拍数も無関係であったことより,PEP/LVETが高値を示し,心収縮力の低下が示唆される症例では,年齢,梗塞部位に関係なく予後が絶対不良であった.
  • 櫻田 徹, 大久保 正, 熱海 裕之, 星野 良平, 関根 智之, 石井 緑, 佐藤 護, 阿部 忠昭
    1985 年 17 巻 8 号 p. 849-857
    発行日: 1985/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    1978年から1983年5月までに外科治療を施行した僧帽弁狭窄症110例を対象とし,これを塞栓症群24例(発生率21.8%)と非塞栓症群86例,また左房内血栓群22例と非左房内血栓群88例の2群ずつに分け,臨床所見,血行動態所見,心臓超音波検査所見および手術所見の中の23項目について比較検討し,塞栓症の発生危険因子を探索した.
    塞栓症群は手術時年齢が高齢で,23例が心房細動であった.また左房内血栓群も全例心房細動であった.塞栓症群に特異的な血行動態所見はなかったが,左房内血栓群は心房細動のため心係数が低下していた.超音波検査上,左房径が塞栓症群,左房内血栓群で大きかった.手術所見では塞栓症群で左房内血栓が多かったが,僧帽弁組織の器質的変化は塞栓症発生に影響を与えていなかった.
    以上より,高齢化と心房細動の合併,左房の巨大化が僧帽弁狭窄症における塞栓症発生の有力な危険因子と考えられた.
  • 冠動脈損傷とその影響について
    大北 裕, 三木 成仁, 楠原 健嗣, 上田 裕一, 田畑 隆文, 米田 正始, 田村 時緒, 小川 浩史, 木村 隆, 山崎 嘉久
    1985 年 17 巻 8 号 p. 858-865
    発行日: 1985年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    左単冠動脈を合併するFallot四徴症,肺動脈弁形成不全症を経験した.症例は6歳,女児でSmithの単冠動脈症分類II型に属し,右冠動脈は左前下行枝より分枝し右室流出路心筋内を走行していた.右室流出路切開の折,これを切断した.自己大伏在静脈を使用し大動脈-右冠動脈バイパスを行った後,根治術を施行した.肺動脈弁は切除し,自己心膜にて2葉の弁尖を作成し,流出路形成は人工血管で裏打ちした自己心膜パッチを肺動脈弁輪を越えて縫着した.術後,一過性のLOS,完全房室ブロックをきたしたが,早期に改善し心筋梗塞には至らなかった.術後心血管造影にて,左回旋枝よりcruxを通過して右冠動脈へ至る良好な側副血行路が確認された.
    Fallot四徴症に合併する異常冠動脈は5%前後に認められるが,これらを損傷した時の予後は重篤であり,本例のごとき経過をとった症例はきわめてまれであると考えられたので報告する.
  • 鈴木 伸, 吉村 仁, 平 祐二, 河内 祥温, 折田 泰彦, 杉原 正義, 相良 鞆彦, 菊池 裕, 正木 秀人, 戸嶋 良博
    1985 年 17 巻 8 号 p. 866-871
    発行日: 1985/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    外傷性と考えられる三尖弁閉鎖不全症に僧帽弁逸脱と先天性部分的心膜欠損を伴う症例を経験したので,文献的考察も加えて報告する.53歳男性工員で,非穿通性胸部外傷の約1カ月後,労作時呼吸困難,易疲労性,右季肋部痛出現.理学所見上,I音減弱,Rivero-Carvallo徴候を伴う逆流性収縮期雑音,肝拍動を認めた.断層心エコーにより三尖弁輪を越えて右房側に移動する三尖弁前尖と断裂した腱索を認め,右室造影で造影剤の大静脈への逆流をみた.左室造影で僧帽弁逸脱を認めた.右心内圧曲線は右房の右室化を示し,V波は10mmHgであった.受傷より約9カ月後,三尖弁のvalvulo-plastyとanulo-plastyを施行.術中に先天性心膜の部分欠損症の存在も判明した.手術後の経過は良好である.
  • 心室瘤合併例と僧帽弁閉鎖不全症の改善例について
    佐野 哲也, 小川 實, 藪内 百治, 広瀬 一, 中埜 粛, 松田 暉, 岸本 英文, 加藤 寛, 小林 順二郎, 川島 康生, 森本 静 ...
    1985 年 17 巻 8 号 p. 872-878
    発行日: 1985/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Marfan症候群で心室瘤を合併した1例および長期にわたる観察中に僧帽弁閉鎖不全症が改善した1例を経験した.いずれも比較的まれな症例と考えられたので,その臨床像,血行動態を報告し若干の文献的考察を加えた.
    症例1は,胸部X線写真で心拡大を,心電図で異常Q波,陰性T波を認め,心臓カテーテル検査を施行した.左室造影で左室側壁,下壁,下部中隔から心尖部にかけて心室瘤を認めた.選択的左冠動脈造影では異常を認めず,心筋の線維化が左室心尖部に強く現れた可能性が考えられた.
    症例2は,8歳時と12歳時に心臓カテーテル検査を施行し,初回時Sellers分類III度の僧帽弁閉鎖不全症は,再検査時には同II度と改善を見た.また左室拡張末期容積の% of normal値および僧帽弁逆流分画も再検時には減少していた.僧帽弁閉鎖不全症の改善のメカニズムは不明であった.
    症例1,2とも心エコー法検査の所見は,心血管造影による合併心病変の評価をよく反映していた.特に症例2は,心エコー検査による長期的な経過観察を行い,その経年変化から初回心臓カテーテル検査の6カ月後,すでに僧帽弁閉鎖不全症が改善していたと推察された.小児期Marfan症候群の合併心病変の評価および経過を見る上で,心エコー法検査は非常に有用であると考えられた.
  • 日浅 芳一, 前田 利裕, 原田 道則, 相原 令, 坂東 正章, 中井 義廣, 片岡 善彦, 端山 雅之, 吉田 全夫, 森 博愛
    1985 年 17 巻 8 号 p. 879-885
    発行日: 1985/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    左主幹部動脈の完全閉塞により,心原性ショックに陥った急性心筋梗塞患者に対し,ガイドワイヤーによる再開通およびそれに引き続くPTCAにより救命し得たので報告する.
    症例は,65歳,男性.約8カ月前より労作性狭心症の症状を有していた.広範囲前壁梗塞を発症し,心原性ショック状態で緊急入院した.冠状動脈造影にて,左主幹部動脈が完全閉塞し,優位な右冠状動脈から左回旋枝に側副血行路を供給していた.PTCA用ガイドワイヤーにて99%狭窄のrecanalizationを生じせしめた.その後,Simpson-Robert式2.5mmのballoonカテーテルにより,25%狭窄に軽減させた.症状出現からPTCA施行まで約4時間の時間経過があった.この成功により,血行動態指標は,ForresterのIV型からI型へと改善,ショック状態からも回復し,胸痛も軽減した.慢性期の冠状動脈造影検査では,左主幹部動脈は有意狭窄を認めず,対角枝に90%狭窄,回旋枝の完全閉塞の所見であった.左室造影検査では,前壁領域を中心にakinesisであったが,心電図では小範囲の誘導に異常Q波を認めるのみであった.
    本例は左主幹部動脈閉塞のごとく,致死的な急性心筋梗塞症でも,発症のごく早期にPTCAを成功させれば,救命のみならず,梗塞巣の縮小を図り得ることが可能であることを証明した例と思われた.
  • 松岡 宏, 重松 裕二, 西谷 晃二, 関谷 達人, 風谷 幸男, 越智 隆明, 浜田 希臣, 伊藤 武俊, 国府 達郎
    1985 年 17 巻 8 号 p. 886-892
    発行日: 1985/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    肥大型心筋症の心電図変化は多彩である.胸部誘導の深い陰性T波もその1つであり,高頻度に認められる変化であるが,正常T波から陰性T波への自然経過を観察し得た症例はまれである.今回,われわれは数年間の経過で正常T波から漸次陰性T波へと移行した心尖部肥大型心筋症を2症例経験した.症例1は54歳,男性.胸痛精査の目的で入院した.心電図は左軸偏位と陰性T波を認めた.この陰性T波は最近の約4年間で正常T波から移行したものであった.症例2は49歳,男性.胸痛および失神の精査目的で入院した.心電図では左室側高電位と巨大陰性T波を認めた.この症例においても最近の約2年半で正常T波から巨大陰性T波へ移行していた.症例1,2ともに右前斜位の左室造影において,スペード型を呈した.冠動脈造影では有意狭窄を認めず,心尖部肥大型心筋症と診断した.心電図検査は肥大型心筋症の診断上,重要な役割を演じている.しかし,今回報告したごとく,短期間で著明な経時的心電図変化を呈する症例も認められ,本症の診断には慎重を要するものと考えられた.
  • 川口 義廣, 木村 正一, 福原 武久, 木之下 正彦, 河北 成一
    1985 年 17 巻 8 号 p. 893-900
    発行日: 1985/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は53歳男性,主訴は心悸亢進,10年前にも同様の発作があり他院に入院したことがあった.心電図所見より,心房粗動と心室性頻拍と診断された.心室性頻拍は何度もくり返し,たび重なる直流除細動を要した.検査所見にては,安静時心電図にてV1~V3のT波逆転,胸部X線像にて右室拡大,心エコー図,心筋T1シンチ像と右室造影にて著明な右室拡大と右室のhypokinesisを認めた.それに反して,左室は造影像および心内圧所見にても何ら異常を認めなかった.右室側中隔心筋生検にて,心筋線維の肥大と著明な錯綜配列,核の大型化とリポフスチンの沈着,筋原線維の粗鬆化等の特発性心筋症に一致する所見を見出した.種々の検索にても,二次性の心筋疾患もしくは先天性心疾患を疑わせる所見はなかった.われわれは,右室起源と考えられる左脚ブロック型QRS波の心室性頻拍,安静時心電図,右室造影所見よりFrankらの述べる不整脈源性右室異形成と診断した.しかし過去の報告において心房粗動を合併した不整脈源性右室異形成の症例はなく,また病変の好発部位とは異なるが,右室側中隔心筋生検において特発性心筋症と一致する興味ある所見を見出したので報告する.
  • 宮川 周士, 山口 時雄, 黒田 修, 奥田 彰洋, 高尾 哲人, 中場 寛行, 大谷 正勝, 井原 勝彦
    1985 年 17 巻 8 号 p. 901-906
    発行日: 1985/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    動悸および全身倦怠感を主訴とする70歳男性に,血管造影,CTscan等を施行し,extended descendingthoracic aneurysmと診断した.また昭和56年度の集団検診時に比し,入院時の胸部X線像に,明らかなる大動脈陰影の拡大を認めたため,手術適応と判断した.患者は高齢,かつ低肺機能であるためCarpentierのaortic clampを用いて,大動脈瘤の末梢側にもclampを加える方法で,血栓曠置化術を施行した.術後経過は順調であるが,末梢側clampよりの曠置腔内へのleakageが判明した.そのためか,術後8カ月目のCTscanにおいて,曠置腔内の血栓化は,中枢側の一部を除き,ほとんど進行していないことが確認された.
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