心臓
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18 巻, 6 号
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  • とくに合併した三尖弁閉鎖不全の与える影響について
    林 純一, 大谷 信一, 山崎 芳彦, 矢沢 正知, 岡崎 裕史, 中沢 聡, 江口 昭治, 松川 哲之助, 坂下 勲
    1986 年 18 巻 6 号 p. 617-625
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    MVRを行ったMS症例およびMVR+TAPを行ったMS+TR症例の計24例を対象とし,術前および術後平均2年の遠隔期にカテーテル法により左室ポンプ機能を評価し,その術前後の変動を検討した.また,このうち15例には遠隔期動的負荷試験を行い,その左室機能について調べた.
    MS単独9例では術前にくらべ遠隔期にはLVESVIの減少,LVEF,CIの増加が認められ,左室ポンプ機能は有意に改善した.術前2度TRを合併していたMS+Tr 7例では,遠隔期のLVEDVIがMS単独例に比べ高値であった以外は,MS単独例と同様,左室ポンプ機能はよく改善した.術前3度以上TRを合併していたMS+TR 8例では,遠隔期に左室ポンプ機能の改善はえられず,LVEDVI,LVESVIは術前後とも高値にとどまった.
    さらに,動的負荷試験では,洞調律を示した3例を除き,負荷時LVEDPは上昇し,SIはわずかな増減であったことから,MS症例の術後遠隔期に左室心筋傷害が残存していることが示唆された.
  • 渡部 幹夫, 細田 泰之, David N. Fermin, Richard H. Klipstein, Donald B. Longmor ...
    1986 年 18 巻 6 号 p. 626-633
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    0.24 Tesla超電導NMR systemにより,ECG gatingにて心臓全体にわたる拡張末期,収縮末期の心横断画像を得た.この画像により心室内腔の容積を面積を加算する方法にて求めた.右室,左室の拡張末期容積,収縮末期容積,駆出率,一回心拍出量,分時心拍出量が計算された.この方法にて得られた健康成人15名の右室,左室の値を比較して次の結果を得た.
    (1)右室拡張末期容積(133.6±18,4ml)は左室拡張末期容積(120.2±15.9ml)に比較して有意に大きく(p<0.001),左右間には有意相関がある(r=0.788).
    (2)右室収縮末期容積(62.3±10.0ml)は左室収縮末期容積(47.7±9.7ml)に比較して有意に大きく(p<0.001),左右間には有意相関がある(r=0.686).
    (3)右室駆出率(53.1±5.4%)は左室駆出率(60.3±6.2%)に比較して,有意に低値を示し(p<0.001),左右間には有意相関がある(r=0.717).
    (4)一回心拍出量は左右間に有意差なくほぼ等しい(右室71.3±13.5ml,左室72.5±12.1ml).左右間に高度の有意相関がある(r=0.795).
    (5)分時心拍出量は左右ほぼ等しい(右室4.8±0.9l/min左室4.9±0.7l/min).左右間に高度の有意相関をみとめた(r=0.803).
    これらの結果は,元来の心臓生理学的知見に一致するものであり,われわれの定量的方法の正確性に関する実験の結果と合わせて次の結論がなされた.NMR心画像にて,非侵襲的に心容積と心機能の正確な定量的評価が可能である.
  • 平沢 邦彦, 舘田 邦彦, 柴田 淳一, Wei F. Shen, Devid T. Kelly
    1986 年 18 巻 6 号 p. 634-642
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    血中ニフェジピン濃度(PNC)に対する食事の影響を調べるため,急性心筋梗塞で入院中の10例にニフェジピン10mgカプセルを朝食前と朝食後の2方法で単独一回内服させ,経時的にPNCを測定・比較した.2方法とも薬剤内服後に収縮期および拡張期血圧は低下し,心拍数は増加した.これら3指標の変化率はPNCとそれぞれよく相関した.食前内服法では血行動態の有意な変化は30分後から6時間後まで持続した.また最高PNCと血行動態3指標の最大変化はともに1時間後にみられた.食後内服法では4時間にPNCが最高値を示した.食前内服時のPNCは食後内服時に比し30分,1時間,2時間後で有意に高く,最高PNCも食前内服時が約3倍高かった.以上より空腹時はニフェジピン吸収率が高くかつ早期に最高PNCを示すのに対し,食後は吸収が抑制され最高PNCに達する時間も遅延する,という点を本剤の内服時に考慮すべきであると思われた.
  • Holter心電図と血中濃度測定による検討
    加納 裕, 渡部 真司, 加藤 善久, 板垣 健二, 村上 実, 横田 芳久, 菅田 芳文
    1986 年 18 巻 6 号 p. 643-650
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Lown分類でgrade II以上の心室性期外収縮(VPC)を有する症例を対象とし,procainamide(PA)の1日3回毎食後経口投与法のVPCに対する効果を24時間Holter心電図にて判定し,投与後1-4時間のPA,およびN-acetylprocainamide(NAPA)の平均血中濃度と比較した.その結果VPC減少率65%を有効とした場合,有効血中濃度はPAで4μg/ml以上PA+NAPAで8μg/ml以上(ただし後者ではPA3μg/ml以上が必要)であった.PAの体重当たりの1日投与量と血清creatinine値の積と,PAの血中濃度の間に有意な正の相関を認め,その関係より腎機能正常な標準的な日本人では,PAの1日投与量として2,000-3,000mgが必要であると考えられた.PA投与前後のVPCの日内変動patternの変化より,PA投与により夜間のVPC数は相対的に増す傾向を認め,PAの血中濃度も早朝には著明な低下を示した.このことから分3投与よりは就寝前も含めた分4投与が望ましいと思われた.しかしながら分3投与で深夜から早朝にかけてもVPCの減少を認めた症例があり,血中半減期の長いNAPAの効果と考えられた.
  • 川久保 清, 村山 正博, 坂本 静男, 小野 彰一, 板井 勉, 加藤 紀久, 杉本 恒明
    1986 年 18 巻 6 号 p. 651-656
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    従来検討の少ない虚血性心疾患の運動負荷回復期の収縮期血圧(SBP)反応と,冠動脈硬化の重症度との関連について検討を行った.虚血性心疾患67例(男63例,女4例,年齢平均53±9歳)を対象とし,トレッドミルによる多段階負荷試験と冠動脈造影を行った.血圧は水銀血圧計をもちいて,運動中,運動終了後回復期に1分毎に記録を行った.回復期の異常血圧反応は,負荷終了直前のSBP(peak SBP)と比較して終了後2分間以上,10mmHgを越えて上昇するものとした(A type).その他の回復早期の血圧反応(不変あるいは下降)を正常型(N type)とした.A typeは16例,N typeは51例にみられた.A typeではpeak SBPに対する回復期の血圧上昇度は16~64(平均30±12)mmHgであった.両型の間で,安静時のSBPには差はないが,peak SBPはA typeで有意に低かった(A:119±23,N:174±28mmHg,p<0.001).臨床診断名は,A typeに陳旧性心筋梗塞症に狭心症を合併するものが多かった(A:7/16,N:4/51,p<0.005).運動負荷時,ST下降を示す頻度はA typeに多かった(A:13/16,N:27/51,p<0.05).冠攣縮性狭心症8例を除いた59例(A:13例,N:46例)について,冠動脈造影所見を比較すると,3枝狭窄の頻度はA typeに多かった(A:9/13,N:9/46,p<0.005).運動負荷終了後,回復期の血圧上昇反応は,重症冠動脈硬化を予測する上で新たな指標となると結論された.
  • 日浅 芳一, 原田 道則, 前田 利裕, 相原 令, 森本 真二, 和田 達也, 滝 浩樹, 坂東 正章, 中井 義廣, 片岡 善彦, 森 ...
    1986 年 18 巻 6 号 p. 657-662
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    ElectiveにA-Cバイパス手術を施行した65~78歳の54例について手術成績および予後を検討した.病院死は8例(14.8%)で,64歳以下の対照群の7/168例(4.2%)に比し有意に高率であった.最重要グラフトの閉塞や術後狭心症状が残存するpoorresult群は前者で11例(20.4%),後者で23例(13.7%)であり,有意差はなかった.これらの原因について12要因を多変量解析にて検討した.偏相関係数は,左室拡張終期圧0.579,左室駆出率-0.529の2要因が高く,手術死と有意な相関を認めた.poor result例については,有意な関連を認める因子はなかった.LMT病変(31.5%),3枝病変(74.1%)およびLMT+3枝病変(22.2%)は,対照群に比し有意に多かったが,手術死とは相関を認めなかった.術前の腎機能低下例は老年群に多かった.手術死8例中2例は多臓器不全が原因であった.12~60カ月(平均28.4カ月)の追跡で46例中2例(4.3%)の遠隔死があった.対照群のそれは,161例中4例(2.5%)で有意差はなかった.3例(6.5%)に脳梗塞を生じた.
    以上の成績は,老年者のA-Cバイパス術では,心機能が良く,他臓器に合併症のない例を選べば,良好な成績が得られ,予後も良いことを示している.
  • 佐々木 建志, 常本 実, 島田 宗洋, 太田 喜義, 朝野 晴彦, 正木 久朗, 北條 浩, 永沼 万寿喜, 小池 一行, 高野 良裕, ...
    1986 年 18 巻 6 号 p. 663-668
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は,1歳1カ月時に当院で根治手術が行われた総肺静脈還流異常症(TAPVC)心臓型(Darling分類IIb)の男児で,術後6カ月,肺静脈還流障害(pulmonary venous obstruction,PVO)による肺うっ血,心不全のため再手術が行われた.
    PVOは,左右肺静脈の流入する共通洞と左房間に作製した交通路の狭小化によるもので,共通洞左房間の隔壁切除部の瘢痕形成,収縮および心房中隔形成に用いた心膜パッチの肥厚,縮小などが原因と思われた.再手術では,この狭小化した交通路の拡大と,expanded polytetrafluoroethylene(EPTFE)膜による心房中隔形成を行った.
    術後経過は良好で,術後肺動脈造影でも左右肺静脈から左房への還流は良好であった.
    TAPVC心臓型(Darling分類II b)の術後PVOに対し再手術を行った症例を経験し,若干の文献的考察を加え報告した.
  • 松山 徳大, 大沢 幹夫, 原田 順和, 秋山 一也, 井上 康夫, 酒井 吉郎
    1986 年 18 巻 6 号 p. 669-674
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    三尖弁閉鎖不全症は連合弁膜症としてみられることが多く,そのほとんどは機能的であり,器質的なものは数少ない.特に孤立性の先天性三尖弁閉鎖不全症は-これはEbstein's anomaly,Uhl's diseaseを除外した疾患名であるが-,非常にまれであり,現在までに15例の報告をみるのみである.最近われわれは先天性かっ孤立性の三尖弁閉鎖不全症を経験した.症例は47歳女性で,30歳代より心不全症状が出現し,42歳の時には心胸郭比が74%と著明な心拡大を示したため,循環器科にて精査を受け,孤立性三尖弁閉鎖不全症と診断された.以後,外来にて経過を観察されていたが,47歳の時(昭和59年)より,右心不全の増強と汎血球減少を伴った脾機能亢進が認められるようになったため手術を受けた.手術所見では,三尖弁は前尖と,前乳頭筋,内側乳頭筋およびその腱索群を欠如していた.中隔尖と後尖も低形成であったが弁付着部の下方への偏位はなく,本症例はBeckerらの,いわゆるtricuspid dysplasiaに相当するものと思われる.手術は三尖弁を切除せずに生体弁(33mm Ionescu-Shiley弁)を縫着し血行再建を行った.術後,心胸郭比は68%と減少し,心臓カテーテル検査にても良好な心機能を得た.本症例をとおして,孤立性三尖弁閉鎖不全症の診断の困難なこと,また左心機能が良好であれば人工弁縫着により心機能の改善が期待できることが示唆された.
  • 堀本 和志, 川村 祐一郎, 加藤 淳一, 五十嵐 丈記
    1986 年 18 巻 6 号 p. 675-681
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    モーターサイクル走行中に転倒し,胸郭に異常はみられないが,2日後に心雑音と肺水腫を示し,右心カテーテル検査にて心室中隔欠損症(VSD)と診断された症例を報告する.
    心電図では,下壁と前壁側壁に心筋梗塞パタン,高位側壁に異常Q波が認められた.VSDは心室中隔筋性部の心尖部寄りに3カ所存在し,術後には残存VSDが認められた.本症例で特徴的なことは,冠動脈造影にて右冠動脈に異常がみられないにも拘らず,201T1-心筋シンチグラムにて下壁心尖部にcoldspot areaが認められたことである.このこととVSDの出現が外傷から2日遅れたことから,本症例におけるVSDの発生機序として,急激な左室内圧上昇による心室中隔の亀裂よりも,むしろ心筋内微小血管構築の破壊による心筋壊死すなわち心筋挫傷が考えられた.
    非穿通性胸部外傷に合併するVSD例や心筋損傷例にて,201T1-心筋シンチグラフィを施行した例は過去にみられず,本症例が初めてと思われる.本症例のように,胸部外傷後に心電図異常がみられるが,その部の冠動脈造影にて異常所見がない場合には,心筋挫傷が最も強く疑われ,201T1心筋シンチグラフィによるcold spot area(心筋壊死部)の検出が,心筋挫傷の診断に極めて有用と考えられる.なお,過去に報告されている非穿通性胸部外傷によるVSD例の心電図にて,高頻度に下壁梗塞パタンがみられることに留意すべきである.
  • 前野 孝治, 藤井 諄一, 相澤 忠範, 澤田 準, 岡部 昭文, 渡辺 熈, 太田 昭夫, 加藤 和三
    1986 年 18 巻 6 号 p. 682-688
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    細菌性心内膜炎(IE)における塞栓症の合併は比較的高頻度に認められるが,その中で冠動脈塞栓はまれであるとされている.われわれは今回,IEに合併した若年女性の心筋梗塞症の1例を経験したので報告する.症例は28歳の女性で,僧帽弁逸脱に伴う僧帽弁閉鎖不全症(MR)の既往がある.昭和59年8月,健診目的で当科受診し,MRおよび右上顎う歯を指摘されたが放置していた.9月中旬より微熱が続き,10月にはいり高熱となり,左足底に紅斑を伴う有痛性結節性病変出現,当科に入院した.入院時身体所見では,心尖部に僧帽弁閉鎖不全雑音および心膜摩擦音を聴取した.眼底ではロート斑を,左足底にはオスラー痛斑を認めた.以上の所見と血液培養で緑連菌が検出されたことによりIEと診断した.また入院時心電図で,II,III,aVF,V2-6でSTの上昇,II,III,aVFでq波,V1-4でr波の著明な減高をみた.さらに心エコー図で前壁中隔心尖部の運動低下と心膜液貯瘤を負荷心筋シンチでは前壁中隔~心尖部に欠損像,一部再分布を認めた.そこで冠動脈造影施行,左前下行枝(7)の完全閉塞を認めたが,他の部位には冠動脈病変をみなかった.以上を総合し,本例はIEに伴うvegetationの冠動脈塞栓による若年女性の心筋梗塞症と考えた.本症例は,当院のIE 20例中始めての経験であり(5%),きわめてまれな合併症と考えられ報告した.
  • 香山 不二雄, 永元 康夫, 早川 知宏, 花岡 陽一, 黒岩 昭夫
    1986 年 18 巻 6 号 p. 689-696
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は23歳の女性,10年前より年に1~2回,1~2週間持続する動悸を自覚していたが放置していた.今回,2カ月続いた動悸が消失せず心不全症状を合併したので当科外来を受診した.動悸の長期間持続と心電図所見すなわち,P波不明,R rate160/分・整,左軸偏位を伴う完全右脚ブロック型QRSから本症例を心室内変行伝導を伴う慢性心房性頻拍症とみなし,edrophonium chloride 10mgとajmaline25mgを静注した.頻拍は停止せず,R rateが減少し心室捕捉が出現したので,本症例を心室性頻拍(VT)と診断し治療および精査のため入院させ,直ちにDC shock(150J)を施行したが頻拍は停止しなかった.そこで,心不全に対し酸素吸入,digoxin 0.25mgの静注,digoxin 0.25mgとfurosemide40mgの経口投与を行い,頻拍に対しdisopyramide 30Omgを投与したところ,心不全の改善に伴い頻拍の自然停止が起こった.電気生理学的検査の結果,(1)電気刺激によって頻拍の誘発と停止が可能であり,(2)誘発された頻拍は心内電位記録からV波に先行するH波がなく,A波とV波の解離が認められ,(3)心室刺激により誘発された頻拍は入院時のものと一致しており,(4)上室性頻拍を誘発し得ず,房室結節の二重伝導路の存在も認めなかったので,本症例の頻拍を2カ月間持続したVTと確診した.
  • 浅野 由起雄, 内藤 恒克, 井出 雅生, 田嶋 経躬, 土肥 豊
    1986 年 18 巻 6 号 p. 697-703
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は36歳,男性.突然動悸と胸部圧迫感を訴え近医を受診し,心電図にて心室頻拍を疑われた.当院に転送され,左脚ブロック型心室頻拍を疑い前胸部叩打にて洞調律に復し,精査のため当科に入院した.入院時心雑音はなくII音の分裂を認め,心胸郭比55%,洞調律時心電図は左軸偏位,1度房室ブロック,QRS幅0.14秒,V1-4で陰性Tを認めた.心エコー図,RIアンギオグラムにて右室の瘤状の拡大を認め,心筋疾患特に左室機能低下を伴ったARVDを疑い心臓カテーテル検査,心内膜心筋生検法,電気生理学的検査を施行した.右室流出路,心尖部,横隔膜面に膨隆を認め,心筋生検は心筋細胞の肥大像,左室駆出率は0.4,洞調律時心腔内心電図でdelayed potentialがみられ,心室頻拍の心腔内マッピングで最早期興奮部位は右室流出路であった.以上よりARVDと診断し加療中,心エコー図にて右室内に浮遊血栓の出現を認め,血栓溶解療法を開始し翌日には血栓は消失し肺栓塞となったと考えられた.心腔内血栓を合併したARVDの報告はいまだないと思われ,本症の診断,両室心筋症との異同,血栓形成の成因について若干の考察を加えて報告する.
  • 今福 俊夫, 永田 雅良, 中澤 博江, 桜井 謙治, 秋山 英明, 小川 聡, 山崎 元, 半田 俊之介, 中村 芳郎
    1986 年 18 巻 6 号 p. 704-709
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心病変を合併した強皮症の1自験例について報告する.40歳の女性で,臨床的にも血清学的にも典型的な強皮症と診断された.胸痛を認めず,冠危険因子もなかったが,心電図,断層心エコー法,心筋シンチグラム法などから陳旧性の前壁中隔および下壁の心筋梗塞の合併を疑われ,心臓カテーテル検査が施行された.その結果心拍出量,心血管内圧は正常範囲内で,左右冠動脈には有意狭窄病変を認めなかった.また寒冷刺激で手指のレイノー現象を誘発し冠静脈洞血流量を測定したが,特に異常を認めなかった.
    強皮症の心筋病変の成因,機序については諸説ありいまだ明瞭ではないが,Bulkleyらは病理学的検討から冠動脈のスパスム説を提唱した.検査法の限界などの問題点はあるが,本症例の検査結果からは強皮症の心筋病変について冠循環の関与は否定的であった.
  • 猪岡 英二, 丸山 幸夫, 礒山 正玄, 佐藤 昇一, 石出 信正, 金塚 完, 西岡 修, 渡辺 淳, 清水 芳雄
    1986 年 18 巻 6 号 p. 711-724
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 遠藤 政夫
    1986 年 18 巻 6 号 p. 725-741
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 井上 通敏, 佐藤 秀幸, 松山 泰三, 尾崎 仁
    1986 年 18 巻 6 号 p. 742-753
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 佐川 喜一
    1986 年 18 巻 6 号 p. 754-763
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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