心臓
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19 巻, 7 号
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  • 特に左室収縮機能,拡張機能について
    飯田 要, 鰺坂 隆一, 杉下 靖郎, 伊藤 巌, 武田 徹, 秋貞 雅祥, 松田 光生
    1987 年 19 巻 7 号 p. 805-812
    発行日: 1987/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    いわゆるSyndrome-X16例,1枝冠動脈病変を有する労作狭心症9例および対照13例に運動負荷試験を行い,心プールシンチグラフィーを用いて左室収縮機能ならびに拡張機能を評価した.さらにSyndrome-X9例にカルシウム拮抗薬であるnifedipineを舌下投与し,その効果を検討した.収縮.機能の指標として左室駆出分画,収縮期血圧/収縮終期容積を,拡張機能の指標として急速流入期最大充満速度を用いた.その結果,Syndrome-X群の左室収縮機能ならびに拡張機能は運動負荷時,対照群より明らかに低下していたが,狭心症群より良好であった.また局所壁運動異常を約40%に認めた.よってSyndrome-X群において心筋虚血による左室機能の低下が示唆された.またnifedipine投与により,Syndどome-xi群の左室機能の改善を認めた.本研究によりSyndrome-Xは冠動脈細小血管の異常により虚血をきたすとの仮説に矛盾しないが,他方約60%は運動負荷にて局所壁運動異常を伴わず他の病因も否定し得ないと考えられた.
  • 瀬口 正史
    1987 年 19 巻 7 号 p. 813-818
    発行日: 1987/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    低酸素下の心筋に対するhypercapnea(pH=6.80)の影響を新生仔と成獣の家兎の摘出心を用いて調べた.心筋は37℃で動脈灌流し,90回/分で電気刺激した.張力の変化,心筋の組織adenosi熱etri、phosphate(ATP),creatine phosphate(CP)そして,心筋からの流出液のcreatine kinase(CK)を測定した.新生仔,成獣とも20分間の低酸素症では,低pH群(hypercapnea,pH=6.8)はコントロール群(pH=7.40)に比較して発生張力は有意に低下したが,両群とも新生仔の方が成獣より張力は大きかった.30分間の再酸素化で,成獣は発生張力および,組織ATPは低pH群の方がコントロール群より有意に増加し,流出液中のCKの値も低かった.一方,新生仔では成獣のような低pH群の効果は示さなかった.また,成獣の低pH群では低酸素下および再酸素下中の静止張力の上昇は抑制されたが,新生仔では抑制されなかった.以上より,低酸素下でのhypercapneaでは,発生張力は抑制されるが,新生仔心筋の方がその効果は少ない.また,成獣では,hypercapneaは低酸素症による心筋の傷害を軽減させる効果があるが,新生仔では認めなかった.新生仔心筋は成獣よりもasphyxiaに耐性があることが示された.
  • 特に睡眠時無呼吸症候群の合併について
    塩見 利明, 小林 正, 新井 太, 野村 博彦, 水谷 浩也, 渡辺 務
    1987 年 19 巻 7 号 p. 819-827
    発行日: 1987/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    異型狭心症は冠動脈攣縮により生ずると推定されているが,その自然発作の発生機序についてはなお不明な点が多い.そこで,最近話題のsleep apnea syndromeに着目し,睡眠(終夜)ポリグラフィによる検討を行った結果,異型狭心症では7例中5例(71%)にsleep apnea syndromeの合併を確認した.この5例の無呼吸の型は4例が中枢型優勢,1例が閉塞型優勢であった.また睡眠ポリグラフィ終了後の早朝に施行した過呼吸負荷試験では,7例すべてに過呼吸後の中枢型無呼吸の頻発を認めた.しかし,異型狭心症のST上昇発作とsleep apnea出現との間には一様な関係を見い出すことはできなかった.現在のところ,異型狭心症にsleep apneaが過度に出現する理由は不詳である.従来からアルカローシスによって冠動脈攣縮が生じやすいと言われてきたが,アルカローシス自体よりも,むしろアルカローシスの代償のために無呼吸を引き起こそうとして働く自律神経系応答が異型狭心症の成因として重要な役割を演じているように思われる.
  • 門間 和夫, 高尾 篤良, 安藤 正彦, 中沢 誠, 今井 康晴, 黒沢 博身, 森 克彦
    1987 年 19 巻 7 号 p. 828-834
    発行日: 1987/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    1965年から1985年に104例の総肺静脈還流異常症の心内修復手術を行い,69例が生存した.生存率は病型により異なり,良い順にIV,IIB,IA,IIA,III,IBであった,生存例の35例について手術後5~20年の遠隔期の状態と心電図を調べた.生存例の90%以上が生活管理基準3E(NYHA I度)の生活をしていた.重い手術後の合併症としては,肺静脈狭窄(2例,1例は術後4カ月で死亡)と重い脳損傷(4例,そのうち2例が術後3,6カ月で死亡)がみられた.日常生活には差し支えない軽度の不整脈ないし心電図異常は,遠隔期生存例の80%にみられた.その主なものは,洞結節機能の低下(31%),上室性期外収縮(31%),冠状静脈洞調律(29%),心房粗動(14%)であった.洞結節機能の低下は手術直後からあり,2~3週後に1度軽快して遠隔期に再び現われた.心房粗動の3例では5,12,18年後に初めて出現した.
  • 柳谷 晶仁, 数井 暉久, 塚本 勝, 星野 豊, 安倍 十三夫, 小松 作蔵
    1987 年 19 巻 7 号 p. 835-842
    発行日: 1987/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    人工弁置換術後の重篤な合併症である人工弁の感染(PVE)について,断層心エコー法(2DE)による診断および手術時期決定における2DEの有用性について検討した.対象としたPVEは6症例であり,置換僧帽弁感染は2例で,生体弁の三弁尖のうち一弁尖が大きく裂開した症例は,2DEで拡張期に左室側に突出,fltteringをみる異常エコーを認めた.置換大動脈弁位感染は4例で,うち3例は大動脈基部膿瘍を形成し,2DEでecho defect所見をみ,3例中2例は同部位に弁座の遊離を認めた.1例はいわゆるmycotic aneurysm症例で巨大膿瘍腔を認め,また,re-AVR 6カ月後の症例は上行大動脈前壁を圧排し,胸骨を侵食する巨大仮性大動脈瘤を形成し,前回縫合部より発生したものであった.2DEによる大動脈弁位PVEの左室収縮機能パラメーターの経時的測定から,FS 0.25以下,LVESVI 55ml/m2以上を手術適応と考えている.手術は,re-MVR2例,re-AVRと大動脈基部膿瘍郭清4例,また炎症が残存した3例に上行大動脈内へ人工弁内蔵のグラフトを縫着し,右冠動脈および左前下行枝にA-Cバイパス術を行うtranslocation法を施行した.re-AVR 1例とtranslocation法を施行した2例を失った.大動脈基部膿瘍を伴った機械弁PVEは,大動脈弁輪部欠損に対する処置等,手術手技上未解決の問題を残している.
  • 滝沢 明憲, 永尾 正男, 山本 一博, 占部 健, 青島 重幸, 玄武 司, 空地 顕一, 田上 哲也
    1987 年 19 巻 7 号 p. 843-849
    発行日: 1987/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞患者73名に発症から平均3.0時間でPTCAを行った.78枝84病変にPTCAを施行した.完全閉塞例46名中43名(93.5%)に再開通が得られた.20%以上の径の減少をもって成功とすると成功率は84.3%であった.合併症としては一過性の冠動脈閉塞,VT,Vfが比較的高頻度で認められた.重篤な合併症として1名に梗塞の拡大をきたした,冠動脈の狭窄度はPTCA前93.5±11.2%から後35.4±26.6%と有意に改善した.死亡率は5.4%であった.再梗塞は4.1%に起こった.梗塞後狭心症は5.4%にみられた.約1ヵ月後の慢性期のCAGでは,冠動脈の狭窄度は34.4±27.1%から42.8±3L9%へと存意に増強した.再閉塞は55名中3名に生じたが,80%以上の狭窄を残した4名中2名(50%)と,それ末満の残存狭窄の51名中1名(2.0%)で,再狭窄は残存狭窄が高度の症例で高頻度にみられた.初回貫壁性梗塞患者を対象とした左室造影の検討では,冠動脈造影開始時,順行性の血流のあった群および再開通した群においては,左室駆出率および梗塞部局所壁運動は慢性期に有意に改善したが,閉塞群では変化を認めなかった.
    以上より,心筋梗塞急性期におけるPTCAは再開通率が高く,術後のischemic eventsが少なく再開通により心機能の改善もあり有益な方法と考えられるが,重篤な合併症を1例に認めた.今後ICT単独療法との比較を行い,心筋梗i塞におけるPTCAの適応につき検討する必要がある.
  • 鳥居 幸雄, 渡辺 都美, 落合 正和, 伊東 英子
    1987 年 19 巻 7 号 p. 850-856
    発行日: 1987/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    先天性チアノーゼ性心疾患に脳膿瘍が合併することは既知の事であるが,脳膿瘍発生部位は一般に天幕上に多く,天幕下のみの脳実質内に限局する症例は極めてまれである.またEbstein奇形の合併例は少なく,脳膿瘍摘出後の経過が良好に保たれ,なおかつ心奇形に対する心内修復手術まで成功した症例はさらに少ない.本報告では,自験例と共にこれまで本邦報告123例についての臨床像を検討すると共に,自験例における脳膿瘍発生機序について若干の検討を加えた.
    症例は16歳男性で,昭和56年8月初旬に頭痛,全身倦怠感で発症し,次に高熱,嘔吐,意識障害,右側半身不全麻痺が出現した.CT検査,脳血管写で右側小脳腫瘍を疑い,8月24日開頭術を施行したところ,小脳膿瘍の病理診断を得た.全身状態の改善後,心臓カテーテル検査を行い,Ebstein奇形,心房中隔欠損症の臨床診断を得た.その後,心奇形に対し心内修復手術を行い,4年後の現在心身とも経過良好である.
    なお,脳膿瘍発生原因について検討するために,カテーテル検査時に両心房圧を同時記録をしながら種々の負荷を行ったところ,負荷前,Valsalva法に比べてMüller法,Handgrip法において両心房の圧勾配および大動脈酸素飽和度の両値に明らかな右左シャント優位となる現象を観察した.この事は些細な機転によって逆シャントの増大が生じることを示すものであり,血行性遠隔転移性感染の誘発に関連するものと考えられた.
  • 西田 光宏, 小林 順, 伊熊 正光, 鈴木 真琴, 五十嵐 良雄, 山口 貴司, 石沢 瞭
    1987 年 19 巻 7 号 p. 857-863
    発行日: 1987/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    小児では非常にまれな心房細動を合併した先天性完全房室ブロックの女児を経験し,新生児期からの臨床経過と検査所見について検討した.患児は在胎39週に徐脈を指摘され,出生後も心房と心室の心拍数とも60~70/分の房室解離を示す徐脈で,帰泣時の心拍数の上昇も不良であった.そして生後7日目の血清1gM値が上昇していた.その後心拍数は,乳児期前半には徐々に増加したが,後半より再び徐脈化と心拡大が進行し,心電図のP波が同定できなくなった.3歳時に心臓カテーテル検査と電気生理学的検査を施行した.心臓カテーテル検査の結果,先天性心奇形や心筋疾患などの心疾患は除外できた.電気生理学的検査では,心房一ヒス東間は完全に途絶しており,ヒス束以下にも延長がみられた.心房はAfの状態であった.以上より,胎児期に何らかの感染か炎症が存在し,心房の広範囲な障害を受けた結果,洞不全症候群と完全房室ブロックの状態となり,心拡大の進行とともに洞不全症候群はAfに移行したものと考えられた.
  • 石嶋 光明, 深谷 眞彦, 森 秀樹, 宇都宮 俊徳, 北野 幸英, 奥 保彦, 橋場 邦武, 渋谷 統寿
    1987 年 19 巻 7 号 p. 864-869
    発行日: 1987/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Duchenne型進行性筋ジストロフィー症(DMD)の経過中にWPW症候群が発現した症例である.WPW症候群を発症にいたるまで経過観察した報告はこれまでになく,一般には先天的と考えられる副伝導路の機能が経過中に発現してきた機序について検討した.
    症例は22歳男性.9歳時より半年ごとに心電図を記録し,19歳からは24時間Holter心電図を年1回記録した.13歳時に初めてデルタ波を認めA型WPW症候群と診断Lされたが,以後の心電図ではHolter心電図を含めて常にデルタ波を認めた.本例のデルタ波はアジマリン50mg静注にて消失したが,デルタ波消失後の心電図では,I,aVL,V5からV6誘導にかけて異常Q波を認め,心エコー図および心筋シンチグラム所見を総合すると左室後側壁,中隔から心尖部にかけて広範な心筋障害が示唆された.本例の副伝導路の顕性化に関する機序として,1)経時的に記録した心電図において,P-P間隔はほぼ不変であったが,P波形が経時的に変化したことから,心房内興奮生成部位の経年的変化,あるいは,心房内興奮伝播様式の変化,これに伴って,2)心房内興奮生成部位から副伝導路までの距離や興奮進入経路が変化して,潜在化していた副伝導路の順伝導能が顕性化してきた可能性,3)DMDに特徴的な左室後側壁を主とする広範な心筋障害に伴って正常房室伝導系にも影響がおよび,副伝導路伝導が顕性化してきた可能性などが考えられた.
  • 白井 徹郎, 井上 清, 遠藤 素彦, 藤本 彰, 北見 久仁男, 北村 蓉子, 高橋 健一
    1987 年 19 巻 7 号 p. 870-875
    発行日: 1987/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    左房内ボール状遊離血栓は,僧帽弁狭窄症の重篤な合併症の1つとして知られているが,その生成過程については明らかにされていない.今回我々は,左房内壁在血栓からボール状遊i離血栓となる過程を断層心エコー図にて観察し得た僧帽弁狭窄症の1例を経験した.症例は54歳主婦で脳血栓塞栓症による左半身麻痺のリハビリテーション目的にて当院入院.入院時断層心エコーにて僧帽弁狭窄および左房内壁在血栓と診断.血栓は1週間の経過で急速に成長し,球状を呈してきた.この間に2度目の脳血栓塞栓症を起こしたが,ウロキナーゼ療法にて改善した.さらに1週間後には,血栓は完全に遊離し,拡張期には僧帽弁口に嵌頓するような運動を示した.緊急手術にて17gの左房内遊離血栓を摘出した.
    本例では2週間という短期間で左房内壁在血栓からボール状遊離血栓へと成長しており,ボール状遊離血栓の生成過程を検討するうえで興味ある症例である.
  • 五十嵐 謙一, 木戸 成生, 今成 朗, 荒井 裕, 小沢 武文, 柴田 昭, 尾崎 京子, 高野 操, 宮村 治男, 中込 正昭, 古谷 ...
    1987 年 19 巻 7 号 p. 876-881
    発行日: 1987/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Cardiobacterium hominisによる感染性心内膜炎の1例を経験した.症例は33歳女性.11歳時より心疾患を指摘されており,微熱・全身倦怠感が続くため入院.心エコーで僧帽弁前尖の腱索断裂とvegetationが認められ,血液培養よりcardiobacterinm hominisが検出された.in vitroでは,各種抗生剤に感受性は良好だったが,十分量と思われるpenicillin Gによる治療にもかかわらず,炎症所見が改善しないため,僧帽弁置換術が施行された.
    Cardiobacterium hominisは正常人の上気道や生殖器・消化管にみられるグラム陰性桿菌であり,欧米では本菌による感染性心内膜炎の症例が報告されているが,本邦での報告はなく,本例が本邦での第1例と思われた.
    また,本例は経過中抗核抗体の陽性化や抗DNA抗体・免疫複合体の上昇がみられネフローゼ状態を呈した.感染性心内膜炎では菌体抗原に対する免疫反応の存在が考えられており,本例でも同様な機序によるものと考えられた.
  • 超音波法による発作時循環動態の検討
    林 英宰, 千田 彰一, 森田 久樹, 水重 克文, 中島 茂, 深田 英利, 平林 浩一, 松尾 裕英
    1987 年 19 巻 7 号 p. 882-887
    発行日: 1987/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    人工ペーシングにより血圧維持不能であったcarotid sinus syndromeの1例において,その循環動態を超音波法,心カテーテル法により検討したので報告する.
    症例:65歳,男,上咽頭腫瘍切除術,放射線療法後,頻回の失神発作を繰り返し,心電図上洞停止が認められた.心室(VVI),心房(AAI)ペーシングを行ったが,両モード作動下においても頻回に血圧低下,失神発作を来した.自律神経機能検査では,眼球圧迫試験,頸動脈洞圧迫試験にて再現性良く同様の血圧低下,失神発作が誘発され,その発作中にドプラ心エコー法による左室流入血流パターンから算出した心拍出量は,非発作時に比し低下しておらず,左室壁運動にも変化はなかった.Swan-Gantzカテーテルを挿入して,熱稀釈法により頸動脈洞圧迫時の心拍出量を測定したが,血圧低下時にも心拍出量は低下しておらず,ドプラ法により算出された結果と同様の結果を得た.Overdrive suppression testにてSRTの延長を認めたが,His束心電図は正常であった.冠動脈造影にて冠動脈に有意な狭窄病変を認めなかった.本例の血圧低下は,心拍出量の減少よりも副交感神経の異常緊張による体血管抵抗の減少が主な原因と考えられ,vasodepressiv eeffect優位のcarotid sinus syndromeと診断された.人工ペーシングに加え血管収縮剤の投与により血圧低下は抑制された.
  • 倉田 直彦, 林 丘, 福山 守, 大井 勉, 磯島 明徳, 田窪 伸一郎, 池田 洋子, 能勢 義正, 植松 有門, 牧野 克俊, 角田 ...
    1987 年 19 巻 7 号 p. 888-893
    発行日: 1987/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    広範囲に発生した急性肺動脈塞栓症の2症例を経験し,緊急手術にて救命し得たので報告する.
    症例1は,28歳の女性で,動悸,呼吸困難を訴え入院した.入院後2日目に突然,意識消失,心停止をきたしたが,心蘇生後,肺撫流シンチグラム,肺動脈造影検査を施行し,右A1+3および左主肺動脈起始部の完全閉塞を認め,救命を目的に内科的治療に固執することなく緊急手術を施行した.手術は,体外循環法を使用することなく左第5肋間にて開胸し左主肺動脈以下の塞栓除去術を行った.
    症例2は,50歳の女性で,両下肢血栓性静脈炎を認める.最近,動悸,呼吸困難を訴えさらに咳漱が出現したため入院した.精査の結果,高度の肺高血圧および左主肺動脈起始部の完全閉塞を認めたため体外循環法を使用することなく緊急手術を施行した.手術は,症例1と同様に行い左主肺動脈以下の塞栓除去術を施行した.2症例とも再発予防の目的で,下大静脈縫縮術を施行したが,術後の経過は良好で,再発を認めず,現在日常生活に復帰している.
  • 心室の各領域における膜活動電位波形とT波
    渡邉 敏文
    1987 年 19 巻 7 号 p. 895-899
    発行日: 1987/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 記録方法,電気生理学的特徴,およびその有用性について
    大江 透, 下村 克朗
    1987 年 19 巻 7 号 p. 900-907
    発行日: 1987/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 春見 建一
    1987 年 19 巻 7 号 p. 908-919
    発行日: 1987/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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