心臓
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20 巻, 7 号
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  • 杉浦 昌也, 大川 真一郎, 渡辺 千鶴子, 徳 文子, 北野 幸英, 本宮 武司, 渡辺 浩二, 桜田 春水, 川原 穣, 田中 道雄, ...
    1988 年 20 巻 7 号 p. 805-812
    発行日: 1988/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    WPW症候群の6例にて副伝導路の有無その形態を調査して次の結果を得た.
    (1)心電図上はRosenbaumのA型2例,B型2例,上田のC型2例に分類された.
    (2)Δ波の極性から副伝導路の位置はA型では左心側壁と後壁に,B型では右心側壁と後壁と推定された.またC型では右心後中隔と右心前中隔とされた.
    (3)副伝導路は6例に計19本(うち1本はMahaim線維で,他はすべてKent束)を見出した.
    (4)A型の2例には左心側壁と後壁,B型の2例では右心の側壁と後壁に1~2本の副伝導路を認め,よく推定部位と一致した.
    (5)C型の2例では左後中隔に1本と右心側壁に3~6本の副伝導路を認め,その1例にはさらにMahaim線維をも認めた.
    (6)文献と自験例をあわせて46例につき各型を分類するとA型は16例,B型は20例,A型+B型は4例,C型は6例となる.
    (7)これら各型と副伝導路の位置の相関をとった結果,A型はその70%が左心に,B型の64%が右心に副伝導路が存在した.
    (8)C型では計6例と例数がな蓄不十分なので結果は種々であった.
  • 野村 昌弘, 中屋 豊, 村上 昌, 藤野 和也, 石原 茂樹, 片山 まり子, 竹内 明美, 渡部 克介, 日浅 芳一, 相原 令, 森 ...
    1988 年 20 巻 7 号 p. 813-822
    発行日: 1988/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    二次勾配型SQUID磁束計を用いて,対照群50例,陳旧性下壁梗塞群33例の磁界分布図を作成し,心磁図T波について検討した.下壁梗塞群の心磁図T波は,前胸部中央~左上方で陰性波の振幅減少あるいは陽性化,中央~右下方で陽性波の振幅減少あるいは陰性化を示し,上向きdipoleが推定された.
    下壁梗塞群の体表面電位図で下向きdipoleしか認めない例でも,磁界分布図では上向きと下向きの2つのdipoleを認める例が13例中4例(30.8%)あった.また,電位図で上向きdipoleのみを認めた例でも,磁界分布図では上向きと下向きの2つのdipoleを認めた例が13例中1例(7.7%)にみられた.
    心電図では,下壁梗塞の大部分の例で単一二重極しか把え得なかったが,心磁図では方向が異なる複数二重極を把えることができた.
  • 藤山 純一, 吉田 芳郎, 尾形 寛, 小原 敏生, 村田 祐二, 阿部 淳一郎
    1988 年 20 巻 7 号 p. 823-829
    発行日: 1988/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    先天性心疾患をもつダウン症候群の肺血管床の特徴を調べるために,心臓カテーテル検査時にpulmonary wedge angiography(PWA)を施行した.ダウン症候群心疾患児32例と対照の染色体正常心疾患児46例を,肺高血圧(PH)の程度によりそれぞれ3群に分けて検討した.
    染色体正常例では,肺血流量の増加のみではPWA所見はほぼ正常で,PHを発症すると肺動脈のtaperingが急になり,さらに肺血管抵抗が上昇すると,細い分枝や毛細血管像の減少,肺動脈の蛇行などの所見の増加が見られた.ダウン症候群では,PHの有無にかかわらず全体的に肺動脈のtaperingがゆるやかなこと,染色体正常例に比べて分枝や毛細血管像の減少が高頻度で,肺動脈の蛇行例が少ないことなどが特徴的であった.
    この結果から,ダウン症候群では肺血管床の発育や,血圧に対する肺動脈系の反応が,染色体正常例と明らかに異なることが示唆された.この肺血管床の異常は,ダウン症候群においてPHが高頻度で早期に発症する原因のひとつであると思われた.
  • 今鷹 耕二, 中岡 秀光, 天野 晶夫, 藤井 潤
    1988 年 20 巻 7 号 p. 830-835
    発行日: 1988/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    長期高血圧治療において最終的にいかなる降圧剤療法が行われるかを治療開始時に予測することは難しい.そこで我々は5年以上(平均9.7年)治療を続けた軽症ないし中等症高血圧患者282例について,治療前血圧レベルと降圧剤投与数の関連をretrospectiveに検討した.その結果,治療前拡張期血圧が90~104mmHgであった137例中31%は併用療法で,52%は単独療法でよくコントロールでき,17%では休薬が可能であった.治療前拡張期血圧が115~119mmHgの群では3/4が併用療法であった.休薬群では治療前心電図のQRS電位差が低いものが多かった.
  • 榊原 哲夫, 広瀬 一, 中埜 粛, 松田 暉, 白倉 良太, 平中 俊行, 桜井 温, 今川 弘, 川島 康生
    1988 年 20 巻 7 号 p. 836-841
    発行日: 1988/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    冠動脈攣縮が関与する狭心症に対するA-Cバイパス術症例15例の手術成績を,安定型狭心症例74例のそれと比較検討した.
    1)手術死亡例はなく,4年生存率は93%で安定型狭心症のそれと差を認めなかった.
    2)Perioperative coronary spasmは2/列(13%),perioperative myocardial infarctionは4例(27%)に発生し,その発生率は安定型狭心症のそれに比べ有意に高率であった.
    3)活動能力の改善効果は著明であったが,グラフトが全て開存しているにも関わらず狭心症が残存している症例は9例中4例(44%)で,安定型狭心症のそれに比べ有意に高率であった.
    以上の検討の結果,冠動脈攣縮が関与する狭心症に対するA-Cバイパス術は有効であること,しかしながら,その手術成績や手術効果は,安定型狭心症のそれに比べ不良であることが明らかとなった.
  • 寺嶋 知史, 井上 大介, 大森 斎, 東 秋弘, 井上 直人, 下尾 和敏, 稲垣 末次, 海老沢 哲也, 窪田 靖志, 盛川 洋一, 中 ...
    1988 年 20 巻 7 号 p. 842-847
    発行日: 1988/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    患者は59歳の男性.主訴は動悸.昭和60年失神発作2回.本年5月14日,階段昇降後動悸発作出現.VT(RBBB pattem, superior axis, RR interval 320msec)を指i滴され,当科入院.入院時,胸部X線上左第4弓の瘤状の突出を認め,心電図上I,aVL,V5,6に異常Q波を認めた.左室造影上後側壁部に心室瘤を認め,心エコー図,T1心筋シンチグラムで同様の所見を持つ.明らかな心筋梗塞,外傷,感染症の既往なく,また冠動脈造影上異常を認めなかった事より,先天性左心室瘤である可能性が示唆された.右室心尖部プログラム刺激法にて,VTが誘発され,最早期興奮部位は,心室瘤の部位に一致し,RVpacingでは,entrainmentを認めた.心室瘤部に一致して認めたdelayeda ctivityはVT開始時に,continuous electric activityとして観察された.以上,心室瘤部がfocusで,reentryによるVTを発生した,先天性左心室瘤と思われる1例を報告する.
  • 秋元 馨, 先成 英一, 松岡 裕二, 沖島 寳洋, 鈴宮 寛子, 西口 俊裕, 早川 国男, 古賀 保範, 浅田 裕士郎, 住吉 昭信
    1988 年 20 巻 7 号 p. 848-853
    発行日: 1988/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    非常に小さい心室中隔欠損(VSD)により左室流出路の狭窄を来した両大血管右室起始症(DORV)の生後30日の男児例を報告した.チアノーゼと心雑音を主訴として入院.心臓カテーテル検査にてsubaortictypeのsmall VSDを伴ったDORVと診断した,卵円孔が閉鎖していたためballoon atrioseptostomyが施行できず,外科的に心房中隔欠損の作製を試みたが不成功に終わり,術後死亡した.剖検では,僧帽弁前尖がVSD下方の心室中隔に異常付着しており,VSDはさらに狭小化していた.左心系には胎生期あるいは生直後からの圧負荷と思われる心内膜線維弾性症が認められた.
    左室流出路障害を伴うDORVはまれであり,剖検心の詳細を述べるとともに,診断上の問題点や根治手術の可能性についても検討を加えた.
  • 庭野 慎一, 相沢 義房, 佐藤 政仁, 鈴木 薫, 船崎 俊一, 宮島 静一, 俵谷 博信, 星野 由美子, 柴田 昭, 江口 昭治, 岡 ...
    1988 年 20 巻 7 号 p. 854-859
    発行日: 1988/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    生下時からの持続性の心房頻拍により,左心機能低下をきたした症例に対し,電気生理学的検査に基づく外科的治療を行い,頻拍の根治に成功した.症例は,9歳男児.生下時より心室レート140~180/minの心房頻拍が持続したが,薬剤治療は無効であり,当科受診時,心胸郭比73%,駆出率16%と左心不全状態を呈し,安静にても150~300/minの心房レートが持続していた.術前の電気生理学的検査により,頻拍は異所性自動能充進によるもので,そのフォーカスは右心耳付近であることが予測された.手術時,右心耳を中心に3つの右心耳憩室の形成が認められ,その1つの根部に最早期興奮を認めた.憩室およびその根部の筋性部を含めた切除により,頻拍は速やかに停止し,正常洞調律となった.術後,頻拍は消失し,再発もなく,心機能も徐々に回復しつつある.右心耳憩室に異所性自動能充進による持続性心房頻拍を合併した症例は本邦では初めてであるとともに,かかる頻拍による著明な心不全をきたす症例の存在に留意する必要があると考えて報告した.
  • 三澤 卓夫, 大久保 信一, 山田 博美, 本郷 実, 河野 純, 岩波 さおり, 木下 修, 草間 昌三
    1988 年 20 巻 7 号 p. 860-863
    発行日: 1988/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は56歳の男性で,1984年1月,左前胸部痛が出現,薬物治療を受けたが症状が持続するため精査の目的で当科へ入院した.胸痛は早朝の一定時刻に出現し,nitroglycerinの使用により速やかに軽快した.胸部X線では心胸郭比46.6%,肺うっ血は認めない.心電図では不完全右脚ブロックを認め,II,IIIでST低下を認めるが,負荷心電図は陰性であった.冠動脈造影では,左冠動脈洞より1本の冠動脈が起始し,それぞれ正常の分布を示す左右の冠動脈に分かれているのが観察された.右冠動脈洞からは血管の起始は認められなかった.以上よりSmithのType2に分類される単冠動脈症と診断した.カテーテル検査中,これまでと同様の性状の左前胸部痛が出現,心電図上II,III,aVFの著明なST上昇が認められた.Nitroglycerin舌下投与により速やかに胸痛は改善,ST上昇も消失した.本例は単冠動脈症にvasospastic anginaを合併したまれな症例と考えられたので文献的考察を加え報告する.
  • DAVNPに及ぼす自律神経系の影響
    松下 重人, 大桑 仁, 清川 裕明, 杉岡 五郎
    1988 年 20 巻 7 号 p. 864-870
    発行日: 1988/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    標準12誘導心電図とホルター心電図で,Dual A-V nodal pathways(DAVNP)と診断し,DAVNPのslow pathwayによりI度およびII度房室ブロックを示した症例を経験し,本例のDAVNPに及ぼす自律神経系の影響を検討した.
    症例は15歳の女性で,健診時の心電図ではPR間隔0.46秒の著明なI度房室ブロックを示したのに対し,当科受診時の心電図のPR間隔はO.22秒と軽度の延長であった.ホルター心電図では,2種類のPR間隔を認め,その変動は突然であり,DAVNPと診断した.またPR間隔の延長時Wenckebach型II度房室ブロックを認めた.PR間隔の延長は心拍数の減少した夜間から明け方に集中していた.電気生理学的検討では,イソプロテレノールおよびアトロピン投与後にDAVNPを認めた.プロプラノロール投与によりPR間隔は延長し,slow pathwayによる房室伝導となった.イソプロテレノールおよびアトロピン投与後は,PR間隔は短縮し,fast pathwayによる房室伝導となった.DAVNPを有する本例では,交感神経緊張充進時および副交感神経緊張低下時は,fast pathwayによる房室伝導,交感神経緊張低下時および副交感神経緊張充進時には,slow pathwayによる房室伝導となると考えられた.運動歴を有さず,かつ著明なI度房室ブロックを示す患者では,DualA-Vnodalpathwaysの存在を疑って,検討をすすめる必要があろう.
  • 森 秀樹, 奥 保彦, 厨 平, 橋場 邦武, 津田 暢夫, 松永 仁, 進藤 剛毅, 浅野 献一
    1988 年 20 巻 7 号 p. 871-876
    発行日: 1988/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は50歳女性,右心不全症状を主訴として入院.心エコー図において,右心房内に異常腫瘤像を認めた.心臓カテーテル検査ではカテーテルは下大静脈から右心房へ挿入できず,下大静脈からの造影で,奇静脈を経て右心房が造影されたが,右心房内に大きな陰影欠損像を認めた.
    以上より,右心房内腫瘍および右心不全と診断したが,その後,急速に心不全が増強するために緊急腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は右心房後側壁から発生し,右心房のほぼ全体を占め,三尖弁口および下大静脈に嵌頓した状態にあった.なお,腫瘍の全摘出は不可能であったが,病理学的検索によって平滑筋肉腫(leiomyosarcoma)と診断された.
    術後,一時的に右心不全症状は軽快したが,心エコー図において,再び右心房内に腫瘤像の増大が認められ,右心不全症状も急速に増悪して,術後51日目に死亡した.
    本症例には,他に原発巣を思わせる所見はなく,右心房原発の平滑筋肉腫の症例と考えられた.
  • 辻村 吉紀, 羽渕 義純, 森川 淳一郎, 平野 正明, 浜本 肇, 高梨 忠寛, 田仲 信行, 北村 和人, 西垣 光, 西本 洋一, 稲 ...
    1988 年 20 巻 7 号 p. 877-880
    発行日: 1988/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    覚醒剤・麻薬の常用による感染性心内膜炎(以下I.E)は欧米ではかなりな数にのぼるとされている.
    しかしわが国ではまだその報告は少ない.我々は36歳男子の覚醒剤・麻薬の常用によるI.E.の1例を経験した.
    患者は10数年前から覚醒剤・麻薬の静脈内投与を続けていたところ,昭和60年9月突然高熱を生じた.入院当初胸部X線で下肺野に浸潤陰影があり肺炎と考えられていたが,血液培養で黄色ぶどう球菌が検出され,しかも心エコー図で三尖弁に疵贅の形成を認めたことからIE.と診断した.このため主にセファロスポリン系の抗生物質を投与し根治せしめた.一般的に覚醒剤・麻薬の常用によるI.E.は右心系に生じることが多いが,心雑音などの身体的所見に乏しく診断に苦慮することがある.このため原因不明の発熱がある場合,特に覚醒剤・麻薬常用者では早期に心エコー図を実施することが肝要と思われた.
  • 岡田 雅彦, 中村 雄二, 古田 博文, 斉間 恵樹, 松尾 史朗, 岸本 道太, 埴岡 啓介, 浅野 正英, 由谷 親夫
    1988 年 20 巻 7 号 p. 881-886
    発行日: 1988/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    著明な右室の拡張を呈し右心不全に慢性腎不全を合併して死亡した1剖検例につき,生前の諸検査所見および剖検所見から右室の障害を主徴とする拡張型心筋症の症例と考えられたので報告する.症例は67歳女性で全身浮腫を主訴として入院.入院時現症にて全身浮腫,腹水の他に心聴診上三尖弁領域に全収縮期雑音を聴取.胸部X線上心拡大を,また心エコー図にて右房,右室の著明な拡大を認めたが左室の拡大はなく左室壁運動も正常であった.右心カテーテル検査では右房,右室圧の上昇を認めたが肺動脈は正常,また左右短絡所見は得られなかった.これらの所見から右心不全の原因として孤立性三尖弁閉鎖不全および右室異形成症が疑われたが,剖検所見からいずれも否定された.剖検所見は,右室は著明なびまん性拡張を示し左室の拡張はなく,心筋組織所見上は左室に比して右室により高度なびまん性病変を認めた.拡張型心筋症の病態は一般に左室の拡張と収縮障害を主徴とするものと考えられているが,左室の障害が軽度ないしほとんど存在せずに高度の右室の障害を示す拡張型心筋症の報告例も本邦および海外において散見され,自験例を含めて右室型拡張型心筋症と考えるべき症例がまれに存在するものと思われる.
  • 中村 元臣
    1988 年 20 巻 7 号 p. 888-893
    発行日: 1988/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 河合 忠一
    1988 年 20 巻 7 号 p. 894-905
    発行日: 1988/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 平盛 勝彦
    1988 年 20 巻 7 号 p. 906-914
    発行日: 1988/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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