心臓
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27 巻, 1 号
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  • 最近5年間の本邦報告例の集計と検討
    小野 稔, 須藤 憲一, 小石沢 正, 小久保 純, 野中 健史, 藤木 達雄, 戸成 邦彦, 笹川 成, 本田 克彦, 佐藤 政弥, 有村 ...
    1995 年 27 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    先天性冠動脈瘻はまれな先天性冠動脈疾患の1つとされてきたが,選択的冠動脈造影法の普及に伴って,近年成人症例の報告が増えている.我々は,最近の本邦の症例を集計・検討していくつかの知見を得たので報告する.
    65%が成人で,性差は認めなかった.流出冠動脈は,左が38%,両側が32%,右が30%,単冠動脈が1%で両側冠動脈瘻が増加している.流入腔は肺動脈が50%,右室が17%,左室が16%,右房が11%,左房が1%で,肺動脈や左室が増えている.自覚症状は56%にみられたが,年齢とともに頻度が高くなる傾向があった.胸痛が34%と最も多く,心不全は5%,心内膜炎は2%と少なかった.連続性雑音は43%に聴取されたにすぎず,27%が無雑音であった.冠動脈瘤の合併は多く,15%にみられた.他の先天性心疾患や弁膜症はいずれも8%に合併していたが,冠動脈瘻との因果関係はないと考えられた.
    手術は49%に行われた.13%に再発・遺残短絡あるいは冠動脈本幹の血栓閉塞などの術後合併症がみられたが,手術死亡や晩期死亡は認められなかった.手術適応については従来の報告に加え,運動負荷試験陽性例や心房細動を伴う症例でも積極的に手術を行うべきであると考える.手術法は,人工心肺を使用して瘻孔を直視下で閉鎖できる心腔内閉鎖法やSymbas法が最も確実であると思われた.
  • 特にその発症時期と臨床背景の検討
    高野 照夫, 横山 広行, 太田 眞夫, 内田 拓実, 浅井 邦也, 酒井 俊太, 鈴木 郁代, 星野 公彦, 国見 聡宏, 今泉 孝敬, ...
    1995 年 27 巻 1 号 p. 12-22
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞の死亡は最近減少したが,早期収容例のポンプ不全の死亡率は依然高値にあり,さらに低下させる必要がある.本研究では急性心筋梗塞によるショックの臨床背景とその発症因子を調べ,死亡率低下の方策を得るため,急性心筋梗塞458例を対象とし,収容時ショック52例,収容後ショック発症19例,非ショック387例の3群に分類,検討した.収容時ショック群は高齢,最大CK値高値,心血行動態・腎機能異常を示し,致死的不整脈合併率が高く,死亡率50%であった.一方,収容後ショック発症群は再梗塞率と最大CK値(再梗塞後も含めた値)高値,死亡率47.4%を示した.収容後ショック発症頻度は4.7%,24時間以内発症が68.4%,うち再梗塞型群は3.2±1.9病日の発症で,ポンプ不全型群は全例が24時間以内の発症であった.ポンプ不全型群は糖尿病合併率と最大CK値高値,心機能低下があり,死亡率30%であった.また高齢者は予後不良であった.収容時ショック群で冠血行再建療法施行例の生存率は68.4%(19例中13例)で,非施行群の39.4%(33例中13例)に比べ有意の差(p<0.05)を認めた.収容後ショック群は収容直後再建療法施行が9例と少なく,生存率は施行群44.4%,非施行群60.0%であった.収容時ショックは冠動脈再建療法が有用,収容後ショック発症は再梗塞予防が重要で,両群とも心機能と腎機能異常の補正が予後を改善すると結論された.
  • Slow pathway電位検出の意義
    高橋 淳, 家坂 義人, 全 栄和, 後藤 昌計, 井川 昌幸, 徳永 毅, 雨宮 浩, 藤原 秀臣, 秋山 淳一, 青沼 和隆, 合屋 雅 ...
    1995 年 27 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    房室結節回帰性頻拍(AVNRT)35例(common type:29例,uncommon type:6例)において,頻拍の根治を目的にslow pathwayに対する高周波カテーテルアブレーションを試み,その有効性およびslow pathway電位検出の意義について検討した.アブレーションは,冠静脈洞入口部近傍とHis束電位記録部位間においてslow pathway電位を検出し,洞調律時あるいは頻拍時に15-25W,30-60秒間の高周波通電を施行した.Slow pathway電位は,35例中32例(91%)に検出可能であった.平均5.1回の高周波通電により,10例がslow pathwayの消失を,23例がjump upと最高2発までの房室結節エコーのみの誘発となり,計33例(94%)にAVNRTは誘発不能となった.残り2例は,isoproterenol投与下に非持続性AVNRT(それぞれ最高14拍,11拍)が誘発可能であった.1週間後の電気生理学的検査では,アブレーション後非持続性AVNRT誘発が可能であった2例以外頻拍の誘発は不能であった.平均9.8カ月の経過観察期間中,全例において頻拍の発作はなく,本法は有効な治療法と考えられた.
  • 杉本 恒明
    1995 年 27 巻 1 号 p. 33-35
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 祖父江 晃, 桑子 賢司, 坂本 和典, 白石 宏志, 木住野 哲, 大越 敦, 岩崎 浩, 古江 尚, 松ケ根 孝, 大塚 早苗, 渡邉 ...
    1995 年 27 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は60歳女性.幼少時より心雑音を指摘されていたが,特に自覚症状なく放置していた.1993年4月より便通異常が出現したため,5月21日当科に入院した.胸部聴診では第2肋間胸骨左縁に最強点があり,thrillを伴う粗なLevine V/VIの収縮期雑音を聴取した.腹部所見では左下腹部に鶏卵大の腫瘤を触知した.入院後左下腹部の腫瘤は高度の狭窄を伴うS状結腸腫瘍と判明し,また肝転移も確認された.狭窄解除のための手術を計画し,術前に心エコー図・ドプラ検査を施行した.心エコー図所見より高圧室-低圧室間に135mmHgの収縮期圧較差がある右室二腔症と診断した.6月18日当院外科にてS状結腸部分摘除術を施行し,その後も心症状が出現することなく現在当科外来にて観察中である.高度の収縮期圧較差があるにもかかわらず無症状で60歳まで経過した右室二腔症を経験したので報告する.
  • 寺川 宏樹, 銕 寛之, 南地 克美, 宝田 明, 林 孝俊, 藤本 俊典, 矢坂 義則, 吉田 浩, 古本 勝
    1995 年 27 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.1986年12月21日急性下壁梗塞のため入院.入院時心エコー図にて左室下壁の壁運動低下および心房中隔欠損症を認めた.右冠動脈Seg(I)100%に対して血栓溶解療法を行い,開通に成功した.心電図上P-Ta segmentの上昇,心房性不整脈を,ピロリン酸シンチにて右心房への集積を認め,心房梗塞と診断した.慢性期心臓カテーテル検査ではQp/Qs=1.7で,右冠動脈Seg(1)は25%で再狭窄は認めなかった.前壁梗塞の発症,心不全のため7カ月間の長期入院の後に退院した.1991年6月12日再度急性下壁梗塞にて入院.緊急冠動脈造影にて右冠動脈Seg(1)90%の狭窄を認め,自然開通していたため保存的療法としたが,翌日心室細動のため死亡した.剖検にて直径1cmの心房中隔欠損と心房梗塞が確認された.急性下壁梗塞に心を合併し,さらに再梗塞にて死亡した心房中隔欠損症の1例を報告する.
  • 超音波所見からの経時的変化
    金 博哲, 石橋 豊, 太田 哲郎, 田辺 一明, 清水 優美, 佐藤 秀俊, 佐野 和也, 生馬 勲, 島田 俊夫, 村上 林児, 盛岡 ...
    1995 年 27 巻 1 号 p. 48-53
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心アミロイドーシスにおける心機能評価に関しては,超音波ドプラ法の普及に伴い,新たな知見が数多く報告されている.しかし,右心系での検討はいまだ少なく,特に上大静脈血流に関する報告は多くない.我々は,心アミロイドーシスと診断された後,2年半の経過を超音波所見,特に上大静脈血流に着目して追跡し得た1例を経験し,興味ある知見を得た.症例は66歳男性,増悪する労作時呼吸困難のため精査入院した際,超音波所見にて心肥大を認め,心筋生検より心アミロイドーシスと診断した.以後経時的にドプラ心エコー法にて左室流入血流,右室流入血流,上大静脈血流を,Mモード心エコーにて左室拡張末期径,心室中隔厚と左室後壁厚の平均,左室内径短縮率を2年半にわたり計測し,また診断された時点と2年半経過した時点の2度にわたり,心臓カテーテル検査と右室心筋生検を施行した.その結果,左室流入血流速波形は,早期にrestrictive patternを呈し,以後変化を認めなかったのに対し,上大静脈血流速波形は,その後も連続的に変化し,臨床所見における心不全症状の進行に追従した.上大静脈血流速波形は心アミロイドーシスの病期の進展評価に有用であると考えられた.
  • 佐藤 康弘, 高橋 涼子, 副島 洋行, 田中 千博, 飯泉 智弘, 椎貝 達夫, 廣江 道昭, 丸茂 文昭
    1995 年 27 巻 1 号 p. 54-61
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は40歳男性.1992年8月18日に感冒様症状に続く胸痛のため来院.左脚ブロック型のQRS波形を有する完全房室ブロックと心筋逸脱酵素の上昇を認め急性心筋炎の疑いで入院した.第2病日には血圧,尿量低下に加え心室頻拍も出現し,pre-shock状態となったが,翌日より心不全症状は急速に改善した.第2病日に施行した心エコー図検査ではasynchronyを伴う著しい壁運動の低下はあるものの内腔拡大所見はなかったが,臨床的に心不全状態から離脱した第5病日に再検した心エコー図ではasynchronyは消失したが壁運動自体には改善なく左室内腔の拡大を認めた.左室の壁運動障害ならびに内腔拡大所見は経過とともに改善し,第22病日に施行した心臓カテーテル検査には左室駆出率は正常化しており冠動脈にも有意狭窄病変を認めなかった.以上より本症例は急性心筋炎と考えられた.本症において急性期の心収縮力低下による低心拍出状態は内腔拡大により代償されているが,経時的に心エコー図検査を繰り返したところ収縮障害が主体な時期と代償性に左室内腔の拡大が生じた時期との分離が可能であった.このように心エコー図検査はbedsideでかつnoninvasiveに繰り返し記録が可能であり本症例のように心機能の急激な変化を比較するには非常に有用である.
  • 酒井 隆, 小沢 秀樹, 佐伯 公子, 福田 正彦, 川口 英樹, 井関 治和, 工藤 樹彦, 大蔵 幹彦
    1995 年 27 巻 1 号 p. 62-69
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    慢性活動性肝炎および腎細胞癌に対するインターフェロン使用頻度の急増に伴い,突然死の報告が注目されているが,国内では心臓合併症に関する報告例は極めてまれである.今回我々はインターフェロンの心臓合併症に関して貴重な3症例を経験したので報告する.
    症例1は64歳女性.慢性活動性肝炎に対し平成4年12月1日よりインターフェロン900万単位連日筋注.16日から600万週3回筋注,21日突然冷汗を伴う激しい胸部圧迫感が出現し意識消失.モニター上VT~VF認めたためDC300W2回施行し洞調律に回復.しかし昏睡状態が持続し平成5年8月死亡した.
    症例2は61歳男性.腎細胞癌に対し平成5年6月22日よりインターフェロン600万単位筋注.6月30日冷汗を伴う胸痛発作が出現し心電図上I,II,aVL,aVF,V2~6に著明なST上昇とT波増高を認めた.翌日胸痛が2回出現し,2回目の胸痛は60分以上持続したため緊急冠動脈造影を施行したが,狭窄病変は認めず,coronary spasmの関与が強く示唆された.
    症例3は56歳女性.インターフェロン開始3週間目より毎回注射6時間後に胸痛発作が出現し,心電図上V2~4のT波逆転とST低下を認めた.インターフェロン中止後に胸部症状は消失し左前下行枝領域のmicrovascular anginaの可能性が考えられた.インターフェロンの心臓合併症として重症心室性不整脈の出現およびcoronary spasmに伴う心筋虚血の存在が考慮された.
  • 岡田 了三
    1995 年 27 巻 1 号 p. 70-71
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 津田 尚也, 岡 隆治, 境野 環樹, 斎藤 隆, 土田 晃, 奥野 晃正, 印鑰 史衛
    1995 年 27 巻 1 号 p. 72-75
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    小児の心筋症は頻度の高い疾患ではないが,時として突然死や進行性心不全をきたすことがあり,小児心疾患の中でも重要な疾患の1つである.今回我々は無症状に経過し,学校の心電図検診を契機に,不整脈(心室性期外収縮),伝導障害(2度房室ブロック,左脚ブロック)を発見され,広範な心筋病変を呈した1症例を経験した.
    症例は14歳男児.成長発達に問題なく,今までに特に自覚症状は訴えていない.中学入学時の心電図検診で不整脈,伝導障害を指摘され,旭川医科大学小児科に精査目的で入院した.負荷心電図上V5~ V6領域で明らかな虚血パターンがあり,負荷心筋シンチでは運動負荷中および再灌流時を含め,殆ど変化しない広範な側壁,下壁,心尖部の欠損像を呈した.心エコー,心臓カテーテル造影所見においては,左室内異常筋束が認められた.右室心内膜心筋生検では,心筋肥大,細胞索の断裂,心筋の樹枝状配列があり一部空胞変性を呈していた.
    特発性心筋症の中には,肥大型とも拡張型ともつかない症例があり,内科領域では電気障害型と称されている.その特徴は不整脈伝導障害を主徴とし,心筋線維化,配列の乱れ,細胞変性,肥大の病変を呈する.本症例においても同様な病変を認め,不整脈の原因病変であると思われた.小児科領域においても,不整脈伝導障害を主徴とする心筋症の存在が考えられ,その発見には心電図検診が重要であると考えられた.
  • 浅田 みどり, 犀川 哲典, 原 政英, 竹下 泰, 下山 信夫, 丹羽 裕子, 米持 英俊, 前田 利裕, 坂田 利家, 嶋田 丞
    1995 年 27 巻 1 号 p. 76-80
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    イソプロテレノール負荷にてはじめてQT延長が明らかになった先天性QT延長症候群の1例を報告した.症例は15歳の女性.12歳時より運動時の意識消失発作を繰り返すため近医を受診.ホルター心電図で運動中にtorsades de pointes型心室頻拍が認められ,精査のため当科に入院した.既往歴,家族歴に特記事項はなかった.入院時検査にて聴覚の異常はなく,血液の各種検査は正常であった.入院時心電図は洞徐脈,正常軸,T波は一部2峰性であったが,QTcは380msecと正常であった.入院中のホルター心電図でもQT延長および明らかなT波の異常は認められなかった.トレッドミルテストおよび心房・心室早期刺激,高頻度刺激を行ったが,心室頻拍は誘発されなかった.しかし,イソプロテレノール負荷(0.02μg/kg/min)により2峰性T波を伴ったQT延長が認められ(620msec),プロプラノロール30mg/day投与によりイソプロテレノール負荷による心電図変化は抑制されたがニコランジルでは抑制されなかった.以後プロプラノロールにより現在まで1年以上意識消失発作を認めていない.安静時心電図でQTが正常である,潜在性の先天性QT延長症候群を診断する上で,イソプロテレノール負荷は有用であると考えられた.
  • 伊藤 敦彦, 青柳 昭彦, 杉下 和郎, 田宮 栄治, 羽田 勝征, 丹野 正隆, 河野 浩章, 岡田 了三
    1995 年 27 巻 1 号 p. 81-85
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性上行大動脈解離の心嚢内破裂による急死は時に遭遇するが,その破裂急死時の心電図を捉えることはめずらしい.本症例は手術直前に急死した1例の心電図経過を捉えたものである.症例は38歳,生来健康の自覚にて受診歴のない男性.突然の背部痛が出現し,緊急入院となる.患者は長身で心基部から心尖部にかけてto and fro murmur3/6度を聴取,血圧に左右差はなく両側大腿動脈も触知した.心電図は洞頻脈,ST・T変化あり.胸部X線写真では大動脈の拡大を認めた.WBC14,100/mm3,CK20IU/dl,CRP0.2mg/dl.尿所見は異常なし.超音波検査ならびに造影X線CTにて,大動脈弁逆流を合併した解離性大動脈瘤DeBakey I型と診断した.その翌日手術と決定するも,手術室入室2時間前の早朝5時50分に急変.モニターでは洞調律から接合部調律を経て1,2分後には完全房室ブロックとなり,その後すぐに心停止へ移行した.蘇生を試みるも効果なかった.病理解剖では心タンポナーデと,腎動脈レベルまでの解離があり,また,房室結節付近に血腫を認めた.急死時の心電図経過を捉えることができたので,文献的考察を含め報告する.
  • '92日本IBM寄付・日本心臓財団研究助成による
    戸嶋 裕徳, 村山 正博, 岸田 浩, 甲谷 哲郎, 田辺 晃久, 友池 仁暢, 野原 隆司, 矢永 尚士, 横田 充弘
    1995 年 27 巻 1 号 p. 87-95
    発行日: 1995/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    多施設共同研究により,本邦における無症候性心筋虚血の実態調査を行った.COhnの分類に従って無症候性心筋虚血を分類し,虚血性心臓病の1病型であるCohn1型では胸痛歴のない対象における頻度調査を,またCohn2型,3型については虚血の診断基準と検出法を規定し,虚血性心臓病での病態調査を行い,あわせて無症候性心筋虚血が確認された虚血性心臓病の予後調査を行った.
    健康と考えられた母集団3施設でのCohn1型の頻度は,それぞれ0.3%,1.3%,0%,平均0.6%であった.また何らかの循環器系の異常を呈する患者を対象にした運動負荷201T1心筋シンチグラフィでは4.3%に無症候性心筋虚血が確認された.虚血性心臓病における病態調査では,心筋梗塞の62.1%に,また狭心症の46.5%に無症候性心筋虚血が確認され,運動負荷,24時間Holter心電図,運動負荷201T1心筋シンチグラフィによる検出率は,それぞれ,それぞれ73%,22%,73%であった.平均23カ月の予後調査では,Cohn2型はCohn3型に比し,生存率,心無事故率とも低かったが,左心機能の低下が影響しているものと思われた.
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