心臓
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27 巻, 2 号
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  • 岩手県看護協会会員の調査
    伊藤 智範, 中居 賢司, 照井 克俊, 菊池 研, 鎌田 潤也, 盛合 直樹, 室岡 雅子, 久保田 桜, 田代 明子, 桜井 久子, 前 ...
    1995 年 27 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    女性での冠動脈疾患(CAD)と脳血管障害(CVD)罹患の実態,および自然閉経または外科的閉経などの既往歴とCAD,CVD発症との関連を検討した.岩手県下の看護協会会員4,785人にアンケートを行い,a)狭心症,心筋梗塞症の有無,b)脳血管障害の有無,c)冠危険因子,d)閉経の有無,閉経時の年齢とその原因につき検討した.〔結果〕1)アンケート回収率は81.7%で,対象とした3,910例の年齢は38.3±10.8歳(18~90歳)であった.2)CAD罹患例は6例(狭心症3例,心筋梗塞症3例)で,発症年齢は60±16.6歳であった.3)脳血管障害罹患例は5例(脳出血1例,脳梗塞2例,クモ膜下出血2例)で,発症年齢は49.0±13.0歳であった.このうち脳梗塞(CI)罹患群の平均発症年齢は52.6±13.8歳であった.4)自然閉経した298例の閉経年齢は49.3±3.6歳で,CADに罹患例の閉経年齢はそれぞれ34歳・39歳・52歳・54歳であった(n=4).6例のうち43歳と44歳であった2例は閉経前であった.5)さらに心筋梗塞症の2例は30歳代の早期閉経であった.6)閉経前(50歳以前:0.06%)の冠動脈疾患罹患例は閉経後(50歳以降:0.62%)に比べて有意に少なかった(x2=7.6,p<0.0l).7)CI罹患2例の閉経年齢はそれぞれ34歳と48歳であった.CADやCI罹患例には閉経が早期である例があった.女性のCAD,CI罹患に,女性ホルモンの動向が関与するものと思
  • 日本人におけるジギタリス,高血圧,年齢の重要性
    茅野 真男, 島田 恵, 宇野 恵子, 楠原 正俊, 佐藤 徹, 吉田 勝美
    1995 年 27 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    虚血性心疾患において生命予後を規定する予後因子を新たに探るべく,治療薬剤まで加えた検討を,世界で初めて行った.方法はCox hazard modelによる多変量解析で,対象は3枝病変内科治療110例である.平均追跡期間53カ月.Endpointとしたのは,心臓死38,虚血性事件61である.臨床指標,観血的指標,冠危険因子,内服薬の合計54項目に関して多重回帰分析を施行, x2値よりP値を得た.P値が0.14以下で重要とされた因子は,心臓死がendpointの場合では,digitalis内服,心電図での脚ブロック,降圧薬内服,血清コレステロール値.虚血性事件がendpointでは,年齢,digitalis,脳梗塞既往,脚ブロックであった.すなわち従来挙げられていた心機能等とは独立な因子として,血清コレステロール値,治療薬(降圧薬,digitalis)が新たに得られた.今後の介入試験の立案において,降圧薬,digitalis内服のmatchも行うべきと思われる.
  • 豊嶋 英明, 橋本 修二
    1995 年 27 巻 2 号 p. 113-114
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 大村 浩之, 宿輪 昌宏, 松下 哲朗, 浅井 貞宏, 西島 教治, 松崎 忠樹, 園田 康男, 藤原 垣夫, 波多 史朗, 山佐 稔彦, ...
    1995 年 27 巻 2 号 p. 115-120
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心電図上胸部誘導にQSパターンを認めた肥大型心筋症6例を対象として心エコー所見および左室造影所見について検討した.
    心エコー検査では,非対称性中隔肥厚が6例中5例,残る1例はび漫性肥大を呈していた.冠動脈造影所見は,全例正常であった.左室造影所見は,心尖部を中心に壁運動異常を呈した症例が6例中4例,び漫性の壁運動異常が1例,正常範囲内が1例であった.左室拡張末期圧は平均20.6±5.4mmHgと全例で上昇を認めた.
    本検討で対象としたQSパターンは,肥大型心筋症で一般的に認められる深くて福の狭い異常Q波とは成因が異なると考えられ,QRS幅の広い症例が多かった(QRS幅平均120±38msec).壁運動異常を認める症例が多かったこと等から肥大の進行による心筋の変性,線維化によって生じた心筋起電力減少,伝導障害を反映していると考えられた.
  • 高橋 淳, 家坂 義人, 全 栄和, 後藤 昌計, 井川 昌幸, 徳永 毅, 雨宮 浩, 藤原 秀臣, 青沼 和隆, 秋山 淳一, 野上 昭 ...
    1995 年 27 巻 2 号 p. 121-130
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    薬物抵抗性の房室回帰性頻拍あるいは発作性心房細動を合併した右側副伝導路を有するWPW症候群37例(顕性:30例,潜在性:7例)において,副伝導路に対する高周波カテーテルアブレーションを施行し,その有効性とともにアプローチ法を含めた問題点を検討した.副伝導路の局在は,前中隔3本,前側壁8本,側壁7本,後側壁3本,後壁3本,後中隔15本の計39本で,後中隔の2例(2本)のみに直流通電を要したが,37例(39本)全例(100%)に副伝導路の離断に成功した.成功アプローチ法は,大腿静脈アプローチが23本,鎖骨下静脈アプローチが16本であり,その変更を要したのは15本であった.アブレーションセッション数1.2回,通電回数7.1回,総エネルギー量4,175J,透視時間102分であり,当院で施行した左側副伝導路例(LAP)(それぞれ1.0回,4.4回,1,983J,40分)より有意に高値を示し(p<0.01),成功部位電位においてはAV時間27ms(LAP:35ms),最短VA時間38ms(LAP:42ms)はLAPより有意に短く,V-delta時間21ms(LAP:12ms)は有意に長かった(p<0.01).平均10カ月の経過観察期間中,側壁副伝導路1例(1本)に1カ月後の再発を認めたが,再アブレーションに成功した.右側副伝導路の成功のためには,通電部位指標の特異性に注意するとともに副伝導路の局在による適切なアプローチ法の選択が必要と考えられた.
  • 名和 清人, 石崎 雅浩, 為季 清和, 俊野 敬英, 宮地 康夫, 林 健二
    1995 年 27 巻 2 号 p. 131-135
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    手術を施行せず,内科的に長期間経過観察している完全型血管輪の成人例2例を報告する.
    症例1は64歳の男性で,胸部大動脈瘤を疑われたが,大動脈造影にてEdwards IIIB型の完全型血管輪と判明した.全く無症状のため約10年間経過を観察しているが,MRIにても著変は認められない.
    症例2は57歳の女性で,過労後に顔面浮腫と嚥下困難を自覚した.大動脈弁逆流を認め,うっ血性心不全としての内科的治療にて症状は消失していたが,約5年後に同症状が再発した.精査にてEdwards IA型血管輪である重複大動脈弓と大動脈弁閉鎖不全の合併と診断された.内科的治療にて再度無症状に復したため,経過観察中である.
  • 井上 正
    1995 年 27 巻 2 号 p. 136-138
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 久保田 仁人, 伊藤 明一, 千葉 直樹, 堀田 一彦, 細川 俊一, 向井田 春海, 小野寺 正輝, 折祖 清蔵, 平盛 勝彦
    1995 年 27 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は,4種の正方向性房室リエントリー性頻拍(ORT)と反方向性房室リエントリー性頻拍(ART)が誘発された44歳男性であった.4種のORTはそれぞれ,房室結節遅伝導路(SP)を順伝導路,左側Kent束(LK)を逆伝導路とするもの,SPを順行性に,右側Kent束(RK)を逆行性に伝導するもの,房室結節速伝導路(FP)を順行性に,LKを逆行性に伝導するもの,FPを順行性に,RKを逆行性に伝導するものであった.さらに,ARTはLKを順伝導し,RKを逆伝導した.2本の副伝導路および二重房室結節伝導路を有し,多彩な房室リエントリー性頻拍を生じたまれな1例であった.
  • 長田 満, 岩瀬 信生, 沢登 貴雄, 三浦 順之助, 梅本 琢也, 細井 靖夫, 山田 拓, 田中 常雄
    1995 年 27 巻 2 号 p. 145-150
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,女性.検診にて無症候性の心電図異常を指摘された.運動負荷心電図において,II・III・aVF・V4~6にhorizontalなST降下を1.5~2.5mm認めた(胸部症状はなし).左室造影では,AHA分類segment2がakinesisであった.冠動脈造影では,左冠動脈主幹部の完全閉塞と右左冠動脈吻合を認め,左冠動脈はこの吻合血管を経て主幹部の一部とともに造影された.安静時201T1心筋シンチグラムでは,前壁中隔の一部にcold areaを認め,左室造影所見と合致するものであった.本例はCABGの適応と判断し,LITA-LADの1枝バイパス術が施行された.
    症例は左主幹部完全閉塞にもかかわらず,右左冠動脈吻合の存在のため致命的帰結を回避されたまれな例であり,ここに報告する
  • 仁保 文平, 飯田 要, 岩崎 優子, 斎藤 巧, 榎本 強志, 山内 孝義, 小関 迪, 伊藤 巌, 外山 昌弘, 渡辺 重行, 山口 巖 ...
    1995 年 27 巻 2 号 p. 151-156
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.'89年9月より再生不良性貧血のため蛋白同化ホルモンの治療を受けていたが,'90年12月29日下壁の心筋梗塞を発症した.血小板低値のため慢性期に冠動脈造影を施行したところ,右冠動脈に血栓による閉塞を認めたため,当初心筋梗塞の原因として血栓が疑われた.その後症状はなく,経過観察中の'92年9月にトレッドミル負荷検査を行ったところV4~V6にST低下を認めたため,冠動脈再造影を施行した.左冠動脈は著変なく,右冠動脈は再開通していたが近位部よりintimal flapを認めた.心筋梗塞後冠動脈解離を起こすような症状がなく,続発性の既往がないことより心筋梗塞は原発性冠動脈解離に起因すると考えられた.再生不良性貧血に心筋梗塞の発症は稀で,その成因として血液凝固能の異常が示唆されているが,冠動脈解離による例は報告されていない.蛋白同化ホルモンは再生不良性貧血治療の第1選択薬であるが,血液凝固能異常や,血管壁の粥状硬化を惹起する可能性が示唆されており,本例の冠動脈解離の原因である可能性は否定できない.
  • 有賀 雅和, 翠川 隆, 笠井 俊夫, 椎名 裕之, 酒井 龍一, 須山 和弘, 佐々木 康之, 古田 精市
    1995 年 27 巻 2 号 p. 157-162
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Acromegalic cardiomyopathyはacromegalyの死因の1つとして重要な病態である.今回我々は10年近く成長ホルモンが高値を示していたと思われる異所性GRH産生腫瘍によるacromegalic cardiomyopathy症例で,腫瘍摘出後,成長ホルモンが正常化し,心機能が著しく改善した症例を経験した.Acromegalic cardiomyopathy症例で治療前後の心機能を評価した報告は少なく,治療後に心機能の改善を認めた報告はさらに少ない.本例では腫瘍摘出後,経時的な心臓超音波検査による観察を行い,まず左室内腔径,次いで心筋壁厚の順で正常化した.このような病態変化はacromegalic cardiomyopathyの発生機序にも関係していると思われる.
  • 藤川 日出行, 井岡 達也, 高安 徹雄, 関口 弘道, 中山 敏夫, 島田 和幸, 夏目 隆史, 金井 信行, 斎藤 建
    1995 年 27 巻 2 号 p. 163-167
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    慢性期に外傷を契機として心房リードの穿孔を起こした永久ペースメーカー植え込み例を経験したので報告する.症例は70歳女性で,63歳蒔に完全房室ブロックを指摘され,68歳時にtorsades de pointes(TdP)によるAdams-Stokes発作を起こすようになり当科入院した.完全房室ブロック,徐脈によるQT延長のためDDDペースメーカーを植え込んだ.70歳時にパーキンソン症候群による歩行障害にて転倒し,左肩を強打した後より全身浮腫と呼吸困難が出現し近医入院した.心不全にTdPと肺炎を合併し当科転院となったが,心房のペーシング不全,センシング不全が認められた.呼吸不全加療中にTdP,VF出現し死亡した.剖検にて心房リードの右心房壁穿孔を認めた.経過より外傷を契機としたリードの心房壁穿孔と考えられ,病理所見等報告する.
  • 川本 俊治, 小林 康記, 吉野 孝司, 田村 律, 小室 竜太郎, 栗山 洋, 大屋 建, 石川 勝憲
    1995 年 27 巻 2 号 p. 168-173
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は31歳男性で,不明熱にて観察中,軽い胸痛発作後短期間に上行大動脈から弓部,さらには下行大動脈にかけ,最大径75mmにおよぶ拡張性大動脈瘤を形成した.大動脈弁輪径も60mmと著明に拡大し,重度の大動脈弁逆流を示すannuloaorticectasiaの状態を呈した.一方,左右総頸動脈,腕頭動脈には狭窄病変と紡錘状動脈瘤が数珠状に形成されていた.高安動脈炎による拡張性動脈病変ならびに紡錘状動脈瘤形成症例と考え,ステロイド治療を開始し炎症反応の軽快を認めた.Bentall変法による手術を行い以後の経過は良好である.組織所見にても,内膜の細胞線維性肥厚と外膜の著しい線維性肥厚とリンパ球浸潤を認め,典型的な高安動脈炎との確診を得た.
  • 池田 聡司, 宮原 嘉之, 内藤 達二, 新北 浩樹, 森光 卓也, 波多 史朗, 太田 三夫, 高尾 雅己, 深海 敦, 武内 克介, 宮 ...
    1995 年 27 巻 2 号 p. 174-179
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.昭和37年より高血圧にて降圧薬を服用していたが,昭和60年頃からは服薬なく,血圧は良好にコントロールされていた.平成4年12月頃より,血圧が低下傾向を示し,平成5年3月には収縮期血圧70~80mmHg(坐位)まで低下し,その頃より起立時に失神を認めるようになった.近医にて加療されるも改善なく,当科に入院となった.起立試験にて著明な起立性低血圧を認め,理学的には皮膚乾燥を認めた以外,錐体外路・小脳症状などは認めなかった.その他のValsalva試験や薬物負荷などより,自律神経の異常しかも交感神経節後障害が認められ,特発性起立性低血圧と診断した.また123I-MIBGシンチグラフィー(planar像)にて心臓への著明な集積低下を認め,心筋への交感神経の障害を画像的に示唆すると思われた.
  • 木村 次宏, 沢田 尚久, 川田 公一, 田中 哲也, 鶴山 幸喜, 水谷 孝昭, 城野 晃一, 土橋 康成
    1995 年 27 巻 2 号 p. 180-185
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    原発性心臓腫瘍は比較的まれな疾患で,その中でも粘液腫以外の腫瘍は非常にまれとされている.
    症例は81歳の女性で,外傷による胸部打撲を契機として心エコーにて左室内腫瘤を指摘された.当初,左室内血栓を疑ったがウロキナーゼの持続投与にても縮小が見られず,MRIにて左室内腫瘍と診断された.年齢と全身状態より外科的摘出を行わず対症療法にて経過観察を行っていたところ,退院後約1カ月にて突然死し,その後の病理解剖にて左室の乳頭線維弾性腫と診断された.
    乳頭線維弾性腫の報告は少なく,本例は肉眼的所見と発生部位において非定型例で,左室流出路狭窄による症状も呈していたという点でも非常にまれな1例と考えられた.
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