心臓
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27 巻, 5 号
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  • 清水 明徳, 馬場 伸介, 岩垣 尚史, 豊永 慎二, 砂山 敬之, 鈴木 誠祐, 高杉 健太, 柴田 凡夫
    1995 年 27 巻 5 号 p. 399-408
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    【目的】負荷心筋シンチグラフィーの偽陰性をなるべく少なくするためにdipyridamoleによる薬物負荷とergometerによる亜最大運動負荷を併用した心筋SPECT(DE-SPECT)の有用性と安全性を検討した.【対象】冠動脈造影上有意狭窄を認めたCAD(+)群89例と認めなかったCAD(-)群21例.【血行動態】CAD(-)群での亜最大運動負荷後の血行動態は,dipyridamole投与により有意な変化は認めなかった.CAD(+)群ではdipyridamole投与により有意に(p<0.05)低レベルの運動負荷で虚血が誘発されており運動負荷が不十分なために偽陰性となる症例については有用であった.【診断精度】DESPECTによる虚血性心疾患の診断精度はsensitivity99%・specificity91%と良好な成績を得た.Dipyridamole投与後に低容量の運動負荷である3分間の足踏み負荷を併用した心筋SPECT(DSSPECT)とDE-SPECTの両者をCAD(+)群25例に順不同に施行したところ,DE-SPECTは全例が陽性であったにもかかわらず,DS-SPECTは3例(12%)にfalse negativeを認め,sensitivityは88%であった.DS-SPECTのfalse negative例は運動耐容能の良好な1枝病変であった.【合併症】CAD(+)群においてDE-SPECTにより約80%に狭心症状を認め,その半数にaminophylline投与が必要であったが,重篤な合併症は認めなかった.【総括】DE-SPECTは目標不到達例を減少させることができるために虚血性心疾患の診断精度を増加することができた.
  • 宇佐 美暢久
    1995 年 27 巻 5 号 p. 409-410
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 土金 悦夫, 米田 武, 小牟田 清, 五十嵐 敢, 福田 全克
    1995 年 27 巻 5 号 p. 411-416
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者における無症候性心筋虚血の頻度とその臨床的背景について検討した.心筋梗塞の既往や狭心症状がなく,安静時心電図異常のない成人発症の糖尿病患者128例にトレッドミル運動負荷試験を施行したところ,34例が陽性で陽性率は28.3%であった.陽性例と陰性例について臨床的背景を比較すると,糖尿病性網膜症と高血圧症の合併が陽性例で有意に高率であった.また眼底所見上,綿花様白斑の出現も陽性例で多く認められた.陽性例34例中19例に冠動脈造影を施行したところ,11例に有意狭窄を認めた.有意狭窄のある症例では網膜症・綿花様白斑・高血圧症がやはり多く認められた.腎症・高コレステロール血症も有意狭窄のある症例で多かった.以上より糖尿病患者において,冠危険因子の他に網膜症の存在が冠動脈病変の予知因子となる可能性が示唆された.
  • 石川 眞一郎, 上村 隆元, 中島 玲, 内藤 政人, 名越 秀樹
    1995 年 27 巻 5 号 p. 417-420
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    一本のリードでVDDペーシングが可能な植え込み型ペースメーカー(CCS,Maestro Model 305 SAVVI Palm Coast,FL,USA)を体外式に用いて,11例の房室ブロックに対して一時的体外式VDDペーシングを行った. 使用した電極カテーテルは,X線透視下で行う場合には6極電極カテーテル(USCI)または2本のバルーン付2極電極カテーテル(Arrow)を,緊急時にベッドサイドで行う場合はマルチパーパスカテーテルまたはAVペースポートカテーテル(Baxter)を使用し,いずれも鎖骨下静脈(7回)または大腿静脈(5回)穿刺法により挿入した.その結果,1例で体動による電極移動が原因で感知不全を生じたが,10例で最長240時間の一時的体外式VDDペーシングが施行できた.11例中5例ではペーシング開始時に心不全を併発していたが,VDDペーシング後は5例全例で平均約2日で軽快し,その改善にはこの方法による生理的ペーシングが特に有用であった.
  • 大屋 健, 三浦 浩介, 田村 律, 栗山 洋, 川本 俊治, 吉野 孝司, 石川 勝憲
    1995 年 27 巻 5 号 p. 421-425
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は72歳の男性.II,III,aVFのST上昇と房室接合部調律を伴う徐脈性不整脈にて発症し,緊急冠動脈造影では右冠動脈segment(以下#)1の完全閉塞を認めた.血栓溶解療法により90%までの再開通が得られたが,V3R~V6RのST上昇とPCWP 10mmHg,RAP 14mmHgを認め,右室梗塞を合併した急性下壁梗塞と診断し,徐脈性不整脈に対しては体外式心室ペーシングを行った.1日数分間のペーシング作動にもかかわらず,ペーシング時には血圧は70mmHgにまで低下し,また右心不全症状も徐々に悪化し,トランスアミナーゼは持続高値を示し,総ビリルビン値は8.5mg/dlまで上昇,重篤な肝うっ血所見を認めた.房室順次ペーシングに変更後,ペーシング作動時の体血圧の低下は軽減し,肝うっ血の所見も漸次軽快した.
    慢性期冠動脈造影にて右冠動脈#1の完全閉塞と,左右心室造影にて左室下壁ならびに右室下壁から中隔にわたる広範囲の壁運動低下を認めた.
    本例は短時間の一過性心室ペーシング作動にもかかわらず右心不全は悪化したが,房室順次ペーシングに変更後右心不全の回復が得られ救命し得た.右室梗塞合併症例では,たとえ一過性の伝導路障害でも右心不全が重篤化する例が見られ,治療に際しては特に注意が必要であると考えられた.
  • 植村 晃久, 森本 紳一郎, 平光 伸也, 山田 健二, 久保 奈津子, 木村 勝智, 大槻 眞嗣, 近松 均, 菱田 仁, 水野 康
    1995 年 27 巻 5 号 p. 426-431
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    61歳,男性.著しい心不全症状に加え,完全房室ブロックを伴う急性心筋炎の疑いで入院.体外式ペースメーカーを挿入するとともに心不全治療が開始された.心症状出現8日目の心生検にて,著しいリンパ球浸潤と心筋細胞の融解・消失化が認められ,本症と診断された.心不全は順調に改善したものの,発症約2カ月後も高度房室ブロックが遷延したため,体内式ペースメーカーの植え込み術が施行された.発症約7年後の心エコー図では,壁運動異常はないものの,同じく約7年後の心電図にて洞調律時,心室内伝導障害を残し,また高度房室ブロックが残存し,心筋炎による後遺症としての伝導障害がなお遷延していることが明らかとなった.心筋炎では不顕性の発症例がみられることがあり,したがって本症例のごとく壁運動異常を呈さず,房室ブロックのみを示す症例の中に心筋炎が存在する可能性があり,今後その病因の鑑別には心内膜心筋生検を含めた詳細な検討が必要と思われた.
  • 井上 紳, 牧嶋 信行
    1995 年 27 巻 5 号 p. 432-433
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 荒木 勉, 清水 賢巳, 由雄 裕之, 井野 秀一, 馬渕 宏
    1995 年 27 巻 5 号 p. 434-439
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    末端肥大症と陳旧性心筋梗塞を基礎疾患とし,心膜への形質細胞浸潤と収縮性心膜炎類似の血行動態を示した1例を経験したので報告する.症例は62歳男性で,55歳時に末端肥大症と診断されHardy手術を受けたが,術後も成長ホルモンの高値が持続したため放射線療法後ブロモクリプチン製剤の投与を受けていた.今回労作時呼吸困難と下腿浮腫を主訴に入院し,心臓カテーテル検査の結果,陳旧性心筋梗塞および心室瘤と診断され,心不全が内科的にコントロールできないこと,運動負荷にて心室頻拍が出現することより心室瘤切除術が施行された.術中所見では心膜がび漫性に硬く肥厚しており,その病理所見では形質細胞を主体としたリンパ単球系の著明な細胞浸潤が認められ,一部ではgerminal centerを形成していた.また心内圧所見では術前後を通して右房圧・右室拡張末期圧・肺毛細管楔入圧・左室拡張末期圧がともに高くほぼ等しい所見が認められた.心膜病変の原因については基礎疾患である心筋梗塞や末端肥大症との関連が疑われたが特定することはできなかった.形質細胞浸潤は心膜の組織所見として非常にまれと思われたので報告した.
  • 安斎 均, 西山 信一郎, 小宮山 伸之, 坂本 直哉, 沖中 務, 岩瀬 孝, 石綿 清雄, 柳下 芳樹, 中西 成元, 関 顕, 原 満
    1995 年 27 巻 5 号 p. 440-446
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は72歳男性.1992年2月当院にて左前下行枝にPTCA(percutaneous transluminal coronary angioplasty)を施行.数日後より両下肢痛と紫紅色の皮疹が出現し,徐々に腎機能の悪化を認めた.同年9月精査目的に入院.皮膚生検にてコレステロール結晶塞栓症と診断.保存的治療によりいったんは軽快するも,同年12月腎機能の更なる悪化と肺うっ血を認め再入院となった.コレステロール結晶塞栓症の再発を疑い,この時点でステロイドを30mg/日で開始したところ,腎機能と皮膚症状の著明な改善を認めた.
    コレステロール結晶塞栓症は大血管に存在するアテロームからコレステロール結晶がシャワー様に散布され全身の小血管に塞栓を生じる疾患であり,近年の血管カテーテル検査,治療の一般化によりその合併症としての意義が強調されてきている.我々はPTCA後に発生した当疾患に対しステロイドの投与を行い,腎機能,皮膚症状の著明な改善を認めた症例を経験した.これまでにステロイドが有効であったという報告はなく,その発生機序に免疫学的機序の関与が推察されることより,今後当疾患の治療においてステロイド治療は試みられるべきものの1つと思われた.
  • 木原 康樹, 猪子 森明, 篠山 重威
    1995 年 27 巻 5 号 p. 450-461
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    【目的】心不全病態の究明のために,臨床に類似しかつ短期間に再現性よく左室機能不全に移行する小動物モデルが求められている.ダール食塩感受性ラット(DS)がこの目的に叶うモデルとなる可能性を検討した.【方法】DSとダール食塩抵抗性ラット(DR)に6週より8%の高食塩負荷を行い血圧・体重,心エコーにて左室拡張期末径(Dd)・壁厚・径短縮率(FS)を経時的に観察し,合わせて体液因子[ノルエピネフリン(NE)・心房利尿ホルモン(ANP)]および組織病理の検討を行った.またin vivoで左室収縮期末圧-容積関係(ESPVR)を測定し左室収縮性の推移を検討した.【結果】DRは正常血圧を維持し,LV/BW比は一定で(0.21±0.02-0.23±0.02%)観察中死亡例は皆無であった.それに対しDSは10週以降230mmHgの高血圧を呈した.11週においてLV/BWは0.32±0.02%と増加,左室は求心性肥大をきたしたが,左室壁応力は17.9±13.1g/cm2と正常域にありNE(178±87pg/ml)・ANP(554±198pg/ml)も正常であった.それに対し,18週では,LV/BWは0.47±0.04%とさらに増加し,Ddは拡大しFSは44±4%から25±5%と低下した.壁応力は120.5±27.5g/cm2と増加し,NE(465±240pg/ml)・ANP(2,197±1,629pg/ml)は著増した.11週にてDRの左方に位置したESPVRは,18週ではDRの右方に偏位した.DSは22週までに全例努力性頻呼吸状態を呈した後に死亡し,病理学的に胸水・肺水腫が示された.同時期の左室心筋細胞短径はDRに比して31%増大していたが,左室組織線維化領域は高々2%であった.【総括】DSは代償性心肥大より,うっ血を伴う左室機能不全への移行を再現性よく観察できるモデルである.またその際の左室不全の原因は,単位心筋収縮性の低下にあることが示唆された.
  • 肥大心を用いた検討
    永井 良三, 山崎 力, 塩島 一朗
    1995 年 27 巻 5 号 p. 462-469
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    圧負荷や炎症による障害を受けた心筋は心筋細胞形質を変換し,収縮装置やカルシウム制御蛋白の分子種のスイッチングや量を変化させる.収縮装置の変化としては,心筋ミオシンのα アイソフォームからβ アイソフォームへの変換,カルシウム制御機構の変化としては,粗面小胞体のCa2+-ATPaseの遺伝子発現の減弱(カルシウムポンプ数の減少)などがあげられる.このような変化を起こす細胞内シグナルとして,リン酸化カスケードや心筋内レニン・アンギオテンシン系の役割が注目されており,in vitro心筋細胞ストレッチングによる細胞内情報伝達系の解析,あるいは高血圧自然発症ラットの心肥大に対するアンギオテンシン変換酵素阻害薬やアンギオテンシンII受容体拮抗薬の効果などから,解明されてきた.
  • 特に内皮依存性血管拡張反応の低下について
    川嶋成 乃亮
    1995 年 27 巻 5 号 p. 471-481
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    血管内皮細胞は内皮細胞由来血管弛緩因子(EDRF)を産生遊離して血管のトーヌスの調節を行っている.種々の心疾患においてこの内皮依存性血管拡張反応(EDR)が障害されていることが判明している.私達は心不全において骨格筋の抵抗血管におけるEDRが低下しているかどうかの検討を行った.高頻度右室pacingにて作製した慢性心不全犬を用いた下肢灌流実験において,心不全犬ではコントロール犬に比べ内皮依存性血管拡張物質であるacetylcholine(ACh),ADPによる拡張反応は低下していたがnitroglycerine(NTG)に対する反応には差を認めなかった.またpacingをoffにすると下肢抵抗血管のEDRも可逆性に正常化したが,その正常化は血行動態に比べて遅延していた.このようなin vivoにおける心不全でのEDRの低下は陳旧性心筋梗塞による心不全ラットの摘出cremastermuscle抵抗血管を用いたvedeornicroscopicな血管径の測定実験でも確認された.EDRFはNOであることが判明しているが,NOはNO合成酵素(ecNOS)により産生される.心不全にて血中レベルが増加しているサイトカインであるTNFα のecNOS発現に及ぼす影響を検討すると,ウシ培養大動脈内皮細胞において,TNFα 刺激にてecNOSのmRNAならびに蛋白発現は低下した.またCa2+イオノファA23187刺激によりNO産生量もTNFα前処置にて減弱した.すなわち心不全で抵抗血管のEDRが低下の機序の1つとして,心不全時に増加するTNFeα によるecNOSのdown regulationの関与を示唆する所見と考えられた.また心不全においてL-arginine-NOカスケードは,EDR低下に代表される血管系への作用のみでなく,白血球や心筋細胞由来のNOによりその病態に関与している可能性があり,これからの研究の課題となっている.
  • 国際心臓学会連合(ISFC)および世界保健機構(WHO)心筋再灌流部会
    Robert C. Schlant, Robert A. O'Rourke, D. Collen, J. Ward Kennedy, Emi ...
    1995 年 27 巻 5 号 p. 483-504
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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