心臓
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29 巻, 1 号
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  • 瀧原 圭子
    1997 年 29 巻 1 号 p. 5-11
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 佐谷 修, 有田 幹雄, 上山 敬司, 橋爪 俊和, 〓 啓崇, 羽野 卓三, 松本 政信, 宮下 和久, 西尾 一郎
    1997 年 29 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    軽症高血圧症患者に対し,自転車エルゴメーターを用いて,嫌気性代謝閾値に相当する運動を行い,心拍変動のパワースペクトル解析を行った.12週間の運動療法により血圧,心交感神経成分は有意に減少し,降圧度と心交感神経成分の低下度に有意な相関を認めた.さらに,収縮期血圧の低下が20mmHg以上認められた降圧良好群,20mmHg未満の降圧不良群との比較では,降圧良好群において運動療法開始前の心交感神経成分が高値を示した.軽症高血圧症に対する運動療法の降圧機序として交感神経活動の低下が考えられているが,本研究は運動療法により心拍変動で評価した心交感神経活動が低下することを明らかにした.さらに,運動前に心交感神経活動の高い症例ほど運動療法が有効であり,自律神経バランスの改善が認められた.
  • 起立負荷試験を用いた検討
    佐藤 廣, 山本 真千子, 中町 隆史, 飯沼 宏之, 相澤 忠範, 加藤 和三
    1997 年 29 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心臓は1拍1拍が規則正しく打っているのではなく,その間隔は揺らいでいる.心拍の揺らぎには周波数解析をすると,呼吸性不整脈に代表される調和振動成分と,周波数が小さくなるにつれてパワーが増大する非調和振動成分が含まれる.この非調和振動成分は1/fβ型スペクトルを持つが,これはRR間隔時系列の自己相似性(フラクタル的性格)を反映している.健常男性にて,起立負荷試験を行い,自律神経活動と心拍の揺らぎのフラクタル的性格との関連を検討した.起立負荷試験により迷走神経活動は低下して,交感神経活動は亢進した.スペクトル指数βは迷走神経活動の指標とは負の直線相関を持ち,交感神経活動の指標とは正の直線相関を認めた.起立負荷試験による自律神経活動の変化は心拍の揺らぎのフラクタル的性格を変化させたと考えられる.
  • 矢永 尚士
    1997 年 29 巻 1 号 p. 23-24
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 本山 剛, 沼田 裕一, 緒方 康博, 松村 敏幸, 原田 栄作, 水政 豊, 尾池 雄一, 辻 武志, 脇田 富雄
    1997 年 29 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    閉塞性動脈硬化症(ASO)あるいは腹部大動脈瘤(AAA)にしばしば虚血性心疾患が合併し,ASO,AAA症例の予後は合併する虚血性心疾患により左右される.これまで器質的冠狭窄の合併頻度の報告は多いが,冠攣縮の頻度に関する報告は少ない.今回の研究では,手術適応のASO,AAA症例に対してエルゴノビン負荷を含む冠動脈造影を施行し,有意冠狭窄の合併頻度に加え冠攣縮の合併頻度について検討した結果,有意冠狭窄合併率は71例中30例(42.3%)であり,またエルゴノビン負荷陽性率は61例中24例(39.3%)と高率であった.さらに無症候性心筋虚血を71例中16例(22.5%)と高率に認めた.一方,手術適応ASO,AAA症例における虚血性心疾患合併の予測因子を探るためにASO,AAAと7大冠危険因子の関連性を調べた結果,冠狭窄には有意に肥満が関連し,冠攣縮には有意に喫煙歴が関連した.ASO,AAA症例には冠攣縮,無症候性心筋虚血が高率に合併し,ASO,AAA症例の周術期の心事故に結び付く可能性がある.よって,臨床的に冠動脈疾患の存在が疑われない症例でも,手術適応ASO,AAA症例では,冠攣縮誘発試験を含む冠動脈造影を施行し,冠動脈病変を積極的に明らかにする必要がある.
  • 長尾 伊知朗, 鈴木 英彦, 西谷 一晃, 杉村 浩之, 星 俊安, 沼尾 聡之, 大井田 史継, 小川 研一, 飯塚 昌彦
    1997 年 29 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    【目的】心筋炎への早期ステロイド投与は動物実験結果のほとんどが否定的であるが,一方で臨床例での著効例も報告され,その功罪は論争の的となっている.今回,早期ステロイド剤投与が奏功した劇症型心筋炎を経験したので報告する.【対象と方法】劇症型心筋炎を発症した男性3例と女性1例にメチルプレドニゾロン(初回:1000mg/日)またはプレドニゾロン(初回30mg/日)を発症7日以降(発症7~14日)に投与した.【結果】入院後,大動脈バルーンパンピング(IABP)を1例,体外式ペースメーカーを2例に装着した.4例全例で血清CPKの上昇が見られた.冠動脈造影検査を施行した3例では異常所見を認めず,心筋生検ではリンパ球浸潤が確認された.また,1例ではインフルエンザウイルスのペア血清抗体価の上昇を認めた.ステロイド剤投与直後に4例全例で延長していたP-Q時間,QRS時間の速やかな短縮が認められ,つづいてカテコールアミン,IABP等からの離脱が可能となった.また重篤な合併症は見られなかったが,1例で膵炎を発症し血清CPK値が可上昇した.【考察】ステロイドは細胞障害型T細胞,サイトカイン産生,マクロファージやNK細胞活性の抑制作用を有し,心筋炎に対する有益な効果が期待される.殊に急性期では重度の伝導障害が心不全を増悪させることから,ステロイドによる伝導障害の改善は血行動態の回復に大きな役割を果たすと考えられる.
  • 古川 博史, 遠藤 真弘, 西田 博, 橋本 明政, 小柳 仁, 石井 俊彦
    1997 年 29 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性.高脂血症にて内服治療を受けていた.91年9月22日,数時間持続する強い胸痛を自覚し近医入院.不安定狭心症の診断にて10月22日冠動脈造影施行,径約1cmの左冠動脈前下行枝の冠動脈瘤と主幹部の小動脈瘤を認め,右冠動脈近位部の完全閉塞と前下行枝の高度の狭窄を認めた.腹部に血管雑音を聴取し,腹部大動脈造影にて紡錘状の最大径6.0cm,腹部CTにて最大径5.8×3.2cmの腹部大動脈から両側総腸骨動脈にかけての動脈瘤を認めた.第1期手術として92年1月17日冠動脈バイパス手術を施行し,2期的に6月1日Y字型人工血管置換術を施行した.術前より形態的に川崎病を強く疑わせる冠動脈瘤および腹部大動脈から両側総腸骨動脈にかけての瘤であったが,病理学的検索では動脈硬化性の変化を認めるのみであった.今回の症例は非常にまれであり,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 河合 祥雄, 杢野 浩司
    1997 年 29 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 平田 勇, 横手 祐二, 許 俊鋭, 畠中 正孝, 島村 由起男, 木村 壮介, 上田 恵介, 尾本 良三
    1997 年 29 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,男性で生来健康であった.1993年6月頃より37度台の不明熱が持続した.8月13日38度台の高熱と胸痛を主訴に近医受診.心電図上急性心筋梗塞と診断され,入院治療された.8月18日心不全となり当院循環器内科に転院し集中的に心不全治療を受けたが,ショック状態となった.術前心エコーにて大動脈弁にvegetationを認め,高度の大動脈弁逆流および僧帽弁逆流を認めた.血液検査上,白血球21500,CRP強陽性,赤沈(1時間値)112mmと高度炎症反応を示し,血液培養検査にて起因菌はPCG感受性黄色ブドゥ球菌(MSSA)と判明,感染性心内膜炎による大動脈弁閉鎖不全症,僧帽弁閉鎖不全症と診断,緊急手術となった.手術は大動脈弁および僧帽弁2弁置換術を施行した.術後は一時軽快したが,多臓器不全のため術後67日目に死亡した.術中所見および病理解剖所見より心筋梗塞を伴っており,臨床経過と考えあわせると感染性心内膜炎の経過中に疣贅による急性心筋梗塞を発症したものと思われた.感染性心内膜炎の重要な合併症に塞栓症があげられるが,冠動脈塞栓は極めて少なく,かかる冠動脈塞栓症による急性心筋梗塞発症直後に2弁置換術を施行した例は極めてまれと考えられ報告した.
  • 岩崎 孝一朗, 草地 省蔵, 俣野 茂, 日名 一誠, 難波 宏文, 喜多 利正
    1997 年 29 巻 1 号 p. 54-60
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    褐色細胞腫のcatecholamine crisis によるカテコールアミン心筋炎の2症例を経験した.症例1;48歳,女性.血圧は240/140mmHg.心電図にてI,II,aVF,V2~V6のST上昇を認めた.心エコー図では前壁中隔がakinesisであった.緊急冠動脈造影では狭窄を認めなかった.慢性期の冠動脈造影・左室造影は正常であった.腹部エコーにて右腎上に腫瘍を認め,尿中カテコールアミンの上昇より褐色細胞腫と診断した.症例2;43歳,男性.血圧は156/114mmHg.心電図ではI,II,aVL,aVF,V2~V6のST上昇を認めた.心エコー図では心尖部はakinesis,前側壁はhypokinesisであった.緊急冠動脈造影では狭窄を認めなかった.慢性期の冠動脈造影・左室造影は正常であった.腹部CTにて下部大動脈右側に腫瘍を認めた.尿・血中カテコールアミンの著明な上昇を認め,褐色細胞腫と診断した.2症例とも腫瘍摘出術を行い,組織学的に褐色細胞腫と診断された.
    2症例とも急性心膜炎の心電図を呈していたが,激烈な胸痛と心エコー図での局所壁運動異常より,急性心筋梗塞様の発症の急性心膜心筋炎を疑った.その後,発作性の血圧上昇および高血圧の既往より褐色細胞腫を疑い,尿中カテコールアミン測定および腹部エコー検査より診断し得た.急性心筋炎の症例で特に高血圧を伴う例では,褐色細胞腫をその原因の1つとして疑うべきであると考えられた.
  • 藤野 武彦
    1997 年 29 巻 1 号 p. 61-62
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 野村 裕一, 田中 裕治, 益田 君教, 奥 章三, 吉永 正夫, 宮田 晃一郎
    1997 年 29 巻 1 号 p. 63-67
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は11カ月男児.食思不振,浮腫を主訴に近医を受診し,下腿の浮腫が一部蕁麻疹様であったため,ステロイド投与で経過観察となった.再診時著明な心拡大を認め当科紹介入院となる.心電図上V5,V6の陰性T波,低電位差を認めた.心エコー上著明な左室の心筋肥厚,左室拡張末期径の減少を認め,左室壁運動は良好であった.入院後収縮期駆出性心雑音と左室流出路狭窄を認めた.酸素投与,利尿剤で加療し軽快した.
    乳児の心筋炎の特徴として急激に発症するショック,呼吸困難が挙げられているが,本症例はそれと経過を異にし,初期の状態は悪くはなく,ステロイド投与後に状態が重篤化していた.
    心筋炎で一過性の心筋肥厚を呈した報告は若干みられるが,左室拡張末期径の減少を伴い心エコー上肥大型心筋症様の像を呈したものは2例の報告しかみられず,そのうちの1例はステロイド治療後に心筋肥厚をきたした新生児例であった.
    本症例はLiaoらの報告と併せて考えると,小児の心筋炎の経過や治療を考えるうえで興味深い症例と思われた.
  • 有田 幸生, 川本 俊治, 新宮 教久, 松本 健吾, 大屋 健, 吉野 孝司, 石川 勝憲
    1997 年 29 巻 1 号 p. 68-74
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    抗精神病薬により心室頻拍およびTorsade de pointes(TdP)を発症した3症例を経験した.症例1は精神分裂病の56歳の女性.絶食で利尿剤投与中,クロルプロマジンの経口投与により単形性心室頻拍を発症した.その後ハロペリドール静脈内投与後には,休止期依存性TdPを発症した.症例2は2:1房室ブロックによる失神発作にて入院した82歳女性.ハロペリドールの静脈内投与後にTdPを発症した.症例3はIII度熱傷と精神分裂病の35歳男性.ハロペリドール静脈内投与後にTdPを発症した.本3例はいずれも器質的心疾患を有しておらず,また血清電解質異常も低K血症を呈したのは1例のみで,他の2例は血清K血症は正常であった.しかし,後者は利尿剤投与ならびに重度の熱傷の合併を認めた.
  • 松森 昭
    1997 年 29 巻 1 号 p. 77-87
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    最近の研究により,種々のサイトカインやサイトカインによって誘導される一酸化窒素(NO)が心機能障害や心筋細胞障害に関与することが明らかになった.また,急性心筋梗塞,心不全,心筋症などで血中サイトカインが高値を示すことが報告され,これらの疾患の発症や病態との関連が注目されている.
    筆者らのウイルス性心筋炎による心不全モデルにおいて,血中TNF-αが上昇し,心臓における多くのサイトカインメッセンジャーRNAの発現が長期にわたり亢進することが明らかとなった.また,抗TNP-α 抗体により心筋傷害が改善し,心筋炎の発症にサイトカインが重要な働きをすることが明らかとなった.さらに,種々のホスホジエステラーゼ阻害薬などの強心薬に異なったサイトカインやNO産生抑制作用があり,心不全の治療,特に長期予後改善効果との関連が考えられる.また,非虚血性の心不全の生命予後を改善すると報告されたCa拮抗薬にNO産生抑制作用がみられ,サイトカインを介した作用機序が示唆された
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