心臓
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29 巻, 11 号
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  • 磯部 光章
    1997 年 29 巻 11 号 p. 863-869
    発行日: 1997/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 新しい指数RLP-Ch/HDL-Chの提唱
    益岡 弘司, 石倉 健, 亀井 滋, 尾邊 利英, 世古 哲哉, 奥田 和明, 小藪 助成, 常岡 克伸, 玉井 琢也, 上田 国彦, 中沢 ...
    1997 年 29 巻 11 号 p. 870-875
    発行日: 1997/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    冠動脈疾患を疑われて本院にて初回待機的冠動脈造影を受けた連続124例,男性88例,女性36例を対象に, リポ蛋白(Lp)-(a), HDL-コレステロール(Ch),RLP-Ch,t-PA,PAI-1,antithrombin III,protein Cをそれぞれ測定した.冠動脈造影の結果,有意狭窄のあった例(S群)は87例,有意狭窄のなかった例(N群)は37例であった.HDL-ChがS群で有意に低値で,RLP-ChがS群で有意に高値であった.また,S群でprotein Cが低い傾向を認めたが,有意差は認めなかった.他の因子に明らかな傾向は認めなかった.さらに,RLP-Chの値をHDL-Chの値で除したRLP-Ch/HDL-Chが,p<0.0001の極めて強い有意差でもってS群で高値であった(S群:0.213±0.198,N群:0.082±0.068).特にRLP- Ch/HDL-Ch が0.3 以上の例は, N 群には1 例もなかったのに対し,S群では25例(28.8%)はなお0.3 以上の値であった. 狭窄病変数別でみても, 病変枝数の多いほどRLP-Ch/HDL-Chは高値のものが多かった(r=0.359, p<0.0001).
  • 山田 信博
    1997 年 29 巻 11 号 p. 876-877
    発行日: 1997/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 直, 林 和秀, 冨岡 秀行, 山西 秀樹, 南 勝晴, 阿部 秀樹, 青木 健郎, 野崎 洋一, 大島 寛史, 河合 裕子, 木住野 ...
    1997 年 29 巻 11 号 p. 879-890
    発行日: 1997/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    [目的および対象]低左心機能の冠動脈バイパス術(CABG)の安全性および術後遠隔期の心機能の様態につき調べるため,1990年6月~1995年5月までに当院にて施行した単独CABG 284例中,左室駆出率(LVEF)≦35%であった38例(男女比29:9;47~82(平均63.9)歳;LVEF16.6-35.0(30.4±5.3)%)を対象としてretrospectiveに検討した.病変枝数2.6±0.6,NYHA 2.5±0.6度,Canadian class 2.6±0.5度,バイパス枝数は2.1±0.7本であった.[結果]全例で10μg/kg/min以上のcatecholamlneを必要とし,予防的使用も含めて30例(78.9%)でIABPを使用した.手術死亡は低心拍出量症候群による1例(2.6%)であり,病院死亡は脳幹梗塞と肺炎の2例(5.3%)であった.12~68(31.8±18.1)カ月の経過観察中,心筋梗塞発症による死亡1,突然死1,心不金死1,脳出血死1,肺癌死1を認め,Kaplan-Meier法によって算出された実測生存率(1,3,5年目)はそれぞれ81.6%,76.1%,76.1%であり,心臓死回避率はそれぞれ89.3% ,83.4%,83.4% であった. 術後NYHA1.7±0.8度(P<0.0001),Canadian class1.O±0.2度(P<0.0001)と術前に比較し有意に改善した.術後3~20(12.7±4.3)カ月目に施行した心カテーテル検査データではLVEFが17.8~642(39.7±10.8)%と有意(p<0.0001)に改善,術後LVEFと術前左室容積係数との間に有意(p<0.001)の明瞭な相関が得られた.術後遠隔心臓死に有意に関連する術前因子としても術前左室容積係数が選定された.[結果](1) 低左心機能症例に対してもacceptableなリスクでCABGを行い得た.(2) 5年までの遠隔期経過観察でNYHA,Canadian classともに良好であった.(3) 術後遠隔期心臓死および術後心機能の改善と関連する術前因子として左室容積が挙げられた.収縮末期容積係数11Oml/m2,拡張末期容積係数140ml/m2以上では左室収縮性の有意の改善が得られなかった.
  • 榊原 哲夫
    1997 年 29 巻 11 号 p. 892-894
    発行日: 1997/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 久保田 豊, 小杉 義和, 大槻 克一, 寺前 直樹, 福井 進, 西本 洋一, 出口 武司, 香川 恵造, 沢田 尚久
    1997 年 29 巻 11 号 p. 895-900
    発行日: 1997/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は,79歳女性.平成3年頃より安静時および労作時に約5分間持続する胸痛発作を自覚していた.平成7年12月より発作が頻発するようになり,平成8年2月16日精査目的にて入院した.99mTc-Tetrofosmin心筋シンチグラフィー運動負荷時像で下後壁に集積低下を認め,安静時像で同領域にfill- nがみられた.運動負荷中には胸痛が出現し,心電図上II,III,aVF誘導でのST低下所見が認められた.冠動脈造影では器質的狭窄を認めなかったが,右冠動脈が左バルサルバ洞より起始する所見がみられ,右冠動脈バルサルバ洞起始症と診断した.MRIでは,右冠動脈が左バルサルバ洞から鋭角的に分岐し,大動脈と肺動脈の間を走行するのが確認された.本症での心筋虚血の機序として,右冠動脈が大動脈に対して鋭角的に分岐するためバルサルバ洞での圧上昇に伴い開口部が閉塞する,いわゆるflap-like ostium closure説,右冠動脈が心拍出量増加時に大動脈と肺動脈の拡大により機械的圧迫を受け冠血流が制限されるとする説などが挙げられているが,本例においても,MRIより右冠動脈起始部が鋭角的に分岐し,両大血管の間を走行するのを確認した.また本例では,エネルギーが高く下壁領域の虚血の検出に優れる99mTc-Tetrofosmin心筋シンチグラフィーを使用し明瞭な虚血を検出した.今後,個々の症例で対応を考える上で,こうした新しい検査法が活用されるものと考えられた.
  • 橋詰 清江, 三須 一彦, 中山 大, 南家 俊彦, 三宅 良彦, 村山 正博, 武井 裕, 山手 昇, 高桑 俊文, 打越 敏之
    1997 年 29 巻 11 号 p. 901-905
    発行日: 1997/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は51歳男性で,幼少期に僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症を指摘され,昭和34年に交連切開術,昭和62年に人工弁置換術を受けている.平成6年7月に特に誘因なく高熱と悪寒が出現し当院入院となる.手指にOsler結節が認められ,血液培養検査で黄色ブドウ球菌を検出し,感染性心内膜炎と診断した.入院後に施行した心臓超音波検査では人工弁の機能不全は確認されなかった.抗生物質投与で症状は経快したが,第10病日より右前腕に自発痛を伴う拍動性腫瘤(50×35mm)を認めた.摘出術を施行し,感染性動脈瘤と診断した.本例は僧帽弁置換後に機能不全を伴わず感染性心内膜炎が発症し,経過中尺骨動脈に巨大感染性動脈瘤を合併したまれな症例と考えられた.
  • 森下 篤, 原田 昌範, 渡辺 学
    1997 年 29 巻 11 号 p. 906-908
    発行日: 1997/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は,60歳女性.心雑音および上下肢の血圧差のため入院精査を行い,心臓カテーテル検査を施行したところ,圧較差20mmHgの大動脈弁狭窄症と圧較差70mmHgの左鎖骨下動脈遠位側の大動脈離断を認めた.易疲労感を認めるのみであったが,大動脈弁狭窄症の進行と心不全の増悪,感染性心内膜炎,高血圧,脳血管障害などの合併の危険が考えられるため手術適応と判断し,左開胸下に鎖骨下動脈下行大動脈間バイパス術を施行した.術後は圧較差が消失したが,高血圧は残存したため降圧剤にて血圧管理を行っている.本症例は,大動脈弁狭窄症を合併した単独型に近い大動脈弓離断症で,文献上本邦最高齢者の大動脈弓離断症手術例と思われたので報告する.
  • 原 陽一, 黒田 弘明, 石黒 真吾, 浜崎 尚文, 芦田 泰之, 殿本 詠久, 宮坂 成人, 森 透
    1997 年 29 巻 11 号 p. 909-913
    発行日: 1997/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    収縮性心膜炎の原因として開心術とともに放射線照射が注目されているが,報告例のほとんどが欧米であり本邦では少ない.今回われわれは,食道癌に対する放射線治療後約2年で外科治療を行った収縮性心膜炎を経験したので報告する.症例は48歳,男性.早期食道癌の診断で60Gyの放射線治療を受けた.照射後12カ月で急性心膜炎を発症したが,自然軽快した.照射後18カ月で収縮性心膜炎となり内科治療を受けたが軽快せず,NYHA IV度の状態となり照射後25カ月で心膜切除術を施行した.心嚢膜および心外膜の切除を行ったが心膜切除後の右室の拡張は不十分であり,血行動態の回復も満足するものではなかった.しかしながら,自覚症状は著明に改善し術後第29日に独歩退院した.
    一般に放射線治療後の収縮性心膜炎の予後は悪く,手術成績は極めて不良であるとされている.本症例においても心膜切除術は一応有効であったと考えるが,術後の血行動態の改善度を考慮すると,遠隔における心機能には注意深い観察が必要であると考えられた.
  • 山手 昇
    1997 年 29 巻 11 号 p. 914-915
    発行日: 1997/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 湯山 令輔, 北川 元昭, 永井 邦彦, 藤原 喜代子, 上垣内 敬, 松田 光雄, 三和 千里, 松本 雅彦, 小西 裕
    1997 年 29 巻 11 号 p. 916-919
    発行日: 1997/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は,24歳男性.平成7年11月より全身倦怠感,発熱が出現.近医で内服治療開始するも症状軽快せず,平成8年1月9日当院呼吸器科受診.精査のため,1月30日入院となる.入院時,上肢血圧の左右差が認められ当科転科となった.入院時CRPが高値を示し血液培養でα-Streptococcusが検出された.心エコー法では僧帽弁前尖に疣贅が認められ,感染性心内膜炎が疑われ,抗生剤治療を開始した.血圧の左右差は塞栓症によるものと考えられ,レノグラムでは右腎梗塞像が確認された.その後,炎症反応および発熱は軽快傾向を示したが,第10病日に冠動脈塞栓によると思われる急性心筋梗塞を発症した. 緊急冠動脈造影にて左前下行枝#7の完全閉塞が認められ,direct PTCAで再疎通後,緊急僧帽弁置換術を行った.感染性心内膜炎に併発した急性心筋梗塞に対してPTCAを施行した1症例を報告した.
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