心臓
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29 巻, 9 号
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  • 世古 義規
    1997 年 29 巻 9 号 p. 741-748
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 危険因子からみた梗塞発症までの足跡
    市原 義雄, 川村 孝, 服部 律夫, 安野 尚史, 杉野 幹夫, 横井 正史, 水野 嘉子, 岩塚 徹
    1997 年 29 巻 9 号 p. 749-755
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    愛知県総合保健センターの総合健診の受診者の中から,後に心筋梗塞を発症した男性54名と,年齢,性をマッチングした正常対照108名について,発症8年前に遡って総合健診データ中の冠危険因子について比較し,検討を加えた。
    危険因子は,梗塞群において心筋梗塞発症前の8年間を通じて,正常群より高かった.その推移をみると,血糖,喫煙率以外では,両群間の差異はむしろ小さくなる傾向にあった.
    発症8年前のデータによれば,オッズ比はBMI(3.4),喫煙(2.8)の2因子が高く,危険因子の3因子以上の合併例ではオッズ比は10.0に上り,危険因子の相乗的な影響が推定された.
    一方,梗塞例54名中,10名(18.5%)は観察期間中危険因子数は1つ以下のまま経過していた.梗塞群で,発症直近でのマスター負荷心電図陽性を示した者は3名(5.6%)にすぎなかった.危険因子の変動や,負荷心電図検査によって梗塞の近い将来の発症を予測することは困難だが,心筋梗塞の高危険群は,かなり早い時期においてスクリーニングすることが可能であると考えられた.
  • 心内膜心筋生検による検討
    植村 晃久, 森本 紳一郎, 平光 伸也, 久保 奈津子, 木村 勝智, 寺澤 正恭, 清水 恵輔, 加藤 靖周, 加藤 茂, 伊藤 昭男, ...
    1997 年 29 巻 9 号 p. 756-760
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心臓サルコイドーシス(心サ症)は予後不良例が多く,ステロイド治療を考える上でも,より早期の生前診断が重要となる.しかしながら,心サ症の多数例について,生検診断率を検討した報告はみられない.そこで今回,本症の心生検による組織診断率を検討した.
    『サルコイドーシスの診断基準』に基づき,本症と診断され,心電図異常,心臓核医学検査異常,左室壁運動異常などを示し,心サ症が強く疑われた26例を対象に,右室心内膜心筋生検を施行した.1例あたりの採取個数は平均4.0個で,各症例毎に,組織学的に心サ症と確定診断されるか否か検討した.26例のうち,乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が認められ,心サ症と組織診断されたのは5例(19.2%)のみであった.なお,拡張型心筋症様病像を呈した11例では,4例(36.4%)が組織診断されたのに対し,刺激伝導障害が主体で左室駆出率が正常範囲内の15例では,1例(6.7%)が組織診断されたのみであった.
  • 河合 祥雄
    1997 年 29 巻 9 号 p. 761-763
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 五十嵐 美穂子, 椎名 豊, 森本 浩司, 五十嵐 宗喜, 青木 直人, 阿部 純久, 田川 隆介, 友田 春夫, 半田 俊之介, 田辺 享 ...
    1997 年 29 巻 9 号 p. 764-769
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は57歳男性.39歳時にウェルナー症候群と診断され外来通院していた。3カ月前より労作時に胸部絞扼感を自覚,頻回となり,不安定狭心症と診断され緊急入院した.安静と薬物療法にて自他覚症候は改善した.入院後,CPKと白血球の上昇を認め,非Q波心筋梗塞と考えられた.発症7日目の冠動脈造影では,右冠動脈起始部に石灰化を伴う90%の狭窄を認めた.発症12日目に,再び狭心症発作出現,V4~6のST低下と徐脈,ショック状態となり,右冠動脈起始部病変に対し緊急ステント挿入術を施行した.狭窄部の良好な拡張が得られ,胸痛,不整脈は消失した.術後はワーファリンによる抗凝固療法を行い,6カ月後の冠動脈造影でも50%の残存狭窄を認めるが,経過は良好である.
    ウェルナー症候群は早老症の代表的な疾患で,その主な死因は動脈硬化に基づく合併症である.今回我々は重度の冠動脈起始部病変にステントを挿入し,救命し得たウェルナー症候群の1例を経験した.文献上ウェルナー症候群に対して冠動脈バイパス術を行った症例は数例にすぎない.さらに,我々の調べ得た限りでは冠動脈狭窄に対しステント治療を行った症例はなく,治療手段の選択について興味ある症例と考え報告した.
  • 河合 裕子, 阿部 秀樹, 青木 健郎, 太田 茂樹, 大島 寛史, 木住 野皓, 野崎 洋一, 南 勝晴, 小河原 滋子, 青沼 和隆, ...
    1997 年 29 巻 9 号 p. 770-774
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は62歳の男性例で,54歳時,心房細動を伴う大動脈弁閉鎖不全症と診断された.左室駆出率24%と著明に低下し,左室拡張末期容量235ml/m2と拡大していたため,弁置換術施行には時機を逸したと判断し,内科的治療が行われた.59歳時,感冒に罹患後,NYHA IV度の心不全をきたし,以後同様にうっ血性心不全を繰り返していた.61歳時,左心機能低下,頻拍性心房細動と非持続性心室頻拍に対して,amiodarone(初期投与量400mg,維持量100mg)が投与され,1カ月後には,自覚症状はNYHA II度に軽快し,胸水も完全に消失した.投与14カ月後の現在まで洞調律には回復しなかったが,脈拍は投与前平均120/分から投与後平均90/分に低下し,左室駆出率は10%から24%にまで改善した.著明な左室機能低下を伴う難治性心不全に対して低用量amiodaroneを投与した結果,心不全の症状と兆候が著明な改善を呈した根治手術不能の大動脈弁閉鎖不全症の1例を経験したので報告する.
  • 河内 寛治
    1997 年 29 巻 9 号 p. 775-776
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 入江 直子, 岡川 浩人, 近藤 雅典, 奥野 昌彦, 中川 雅生, 高松 哲郎
    1997 年 29 巻 9 号 p. 777-782
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    学校心電図検診を契機に発見され,9年後に右室異形成症と診断し得た症例を経験した.
    症例は15歳の男子.小学1年生の心電図検診で軽度の右室肥大を指摘された.当科での心エコーでは右室拡大と心室中隔運動の低下を認めたが,その原因は不明のまま非観血的な検査で経過観察されていた.9年後の15歳蒔に心エコーで右室拡大の増悪を認めた為,精査を行った.この間無症状であった.201Tl心筋シンチグラフィーでは,心尖部と心室中隔以外の部位で取り込みの低下を認めた.心臓カテーテル検査では,右室の著明な拡大と左室の変形および運動低下があり,心筋生検で著明な心筋細胞の脱落,線維化と脂肪浸潤を認めたことから,右室異形成症と診断した.本症例は無症状のうちに発見され,長期間観察し得た点と,右室のみならず左室にも病変が及んでいる点が特徴的であった.今後,不整脈の出現やそれに伴う突然死の可能性があり,早期発見と生活管理は非常に重要である.この点で学校心電図検診の果たした役割は大きいと考え,報告した.
  • 高安動脈炎における心筋障害の考察
    新村 健, 中村 芳郎, 菅沼 由佳子, 高山 美智代, 長谷川 浩, 海老原 良典, 本間 聡起, 谷 正人
    1997 年 29 巻 9 号 p. 783-788
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    高安動脈炎に一次的な心筋障害が合併しうるとの報告が散見されるが,本邦における左心不全例の大部分は,高血圧や大動脈弁逆流による二次的変化か,冠動脈病変が原因と考えられていた.我々は,明らかな進行のない大動脈弁閉鎖不全を合併する高安動脈炎の33年にわたる臨床経過において,高血圧症によるとは考えられない進行性の心筋収縮不全から左心不全をきたした症例を経験した.症例は51歳,女性で,18歳時高安動脈炎と診断され,約1年間prednisolone治療を受けた.以後種々の降圧薬投与で血圧は管理されていたが,45歳時左心不全に陥った.入院中,大動脈狭窄による後負荷増大の軽減のためaxillo-femoral bypass graftが造設され,以後,血圧,腎機能,下肢血流は良好に維持されていたが,49歳以後左心不全で入退院を繰り返している.1994年(49歳)入院時の心エコー図では,中等度の大動脈弁逆流,左室の拡張とび漫性左室壁運動低下を認め,心臓カテーテル検査では,axillo-femoralbypass graft造設前と比べ,右心圧の上昇と左心機能の低下が認められた.最近の心臓核医学検査では,左心室での血流代謝不均衡の存在が示唆され,HLAtypingではBw52陽性であった.Axillo-femoralbypass graftにより後負荷増大の軽滅を図ったにもかかわらず進行した左心不全の原因として,高安動脈炎による一次的心筋障害も考慮されるべきであると
  • 榎 真佐史, 塚田 真子, 菅野 聡, 浅原 敏之, 武田 二郎, 當間 三弘, 境 敏秀, 杉 薫, 増山 善明
    1997 年 29 巻 9 号 p. 789-794
    発行日: 1997/09/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は81歳,女性.急性心筋梗塞に対してPTCAを施行した.その10日後から38度の高熱と心不全症状を認めた.血液培養から3回Pseudomonascepaciaが陽性となり,心エコー検査上,僧帽弁後尖に約2cmの疣贅を認めたため,感染性心内膜炎と診断した.ピペラシリン8gとセフタジジム6gの大量併用療法開始後10日目に炎症所見は改善したが,BUN77mg/dl,Cr.4.9mg/dlと上昇し,抗生剤によると思われる急性腎不全と意識障害を認めた.抗生剤中止と透析療法の結果,意識障害と腎機能障害は改善した。しかし,抗生剤中止後から炎症所見は再増悪し,血液培養によりMRSAが陽性となったため,バンコマイシン,ホスホマイシン,フロモキセフを長期投与したところ,4カ月後には血液培養が陰性化し,炎症所見は消失した.外科的手段を選択することができない感染性心内膜炎においては,抗生剤の投与を長期に続けざるを得ない場合がある.高齢者では,心筋梗塞急性期の冠動脈再灌流に成功しても種々の併症を生じる例が散見されるが,合併症に対する治療を継続することが重要であると考えられた.
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