BMIPPについては,基礎的検討が乏しく,臨床的応用に際して,その理論的根拠の必要性に迫られている.今回,動物実験的根拠の検討を行い,いくつかの知見を得ることができた.すなわち,BMIPPは,心筋への取り込みが良く,retentionの率も高い.また細胞内のα-β oxidationを経て,full metaboliteまで代謝される部分がその10%ある.しかし,大部分はtriglyceride poolに入り,これは少なくとも急性虚血時にはATPに依存性であることが示された.また血流とBMIPPの心筋内取り込みはlogarithticな関係を示し,その相関は極めて良いことが判った. これはglucoseが, 血流の低下には敏感に反応するものの相関がないのと対照的であった.食事との関係では,血中脂質あるいは糖質に影響を受けるが,特に脂質上昇で強い取り込みの抑制を受ける. 虚血性心疾患の虚血再灌流の心筋の評価に良く,短時間虚血でback diffusionはlactate production(LP)と正の相関を,またfull metaboliteとLPとは負の相関をなす,BMIPPは虚血心筋の評価には有用であることが示され,臨床的に有効なtracerであることが強く示唆される結果であった.
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