心臓
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30 巻, 4 号
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  • 倉智 嘉久
    1998 年 30 巻 4 号 p. 213-219
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 急性および慢性効果
    田中 茂博, 岡 由紀子, 俵 穆子, 定 利勝, 吉良 有二
    1998 年 30 巻 4 号 p. 220-226
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    (目的)喫煙は冠危険因子の一つであるが,冠予備能への影響については十分な検討はなされていない.今回我々は,ドプラーガイドワイヤーを用いて,喫煙前後の冠予備能の変化(急性効果),および喫煙総量と冠予備能の関係(慢性効果)を検討した.
    (対象と方法,および結果)冠動脈造影上,冠動脈に有意狭窄を認めず,喫煙以外に冠危険因子を有さない喫煙者を対象とした.左前下行枝に留置したドプラーガイドワイヤーで冠血流速を連続記録し,冠予備能を測定した.
    1)喫煙の急性効果:ニコチン含有量1.3mgの煙草1本の喫煙前,喫煙5分後に冠予備能を,また採血にてアドレナリン,ノルアドレナリン,エンドセリンを測定した(Sm群).対照として5分の間隔をおき2回の冠予備能測定,採血を行った(Cont群).Sm群では喫煙後有意に冠予備能が低下し(2.7±0.9vs2.2±0.9,p<0.05),ノルアドレナリンは有意に増加した(257±184vs324±224pg/ml,p<0.05).Cont群ではいずれも変化を認めなかった.
    2)喫煙の慢性効果:喫煙数年×1日喫煙本数を喫煙総量とし,400以上のH群と400未満のL群に分けた.また,冠危険因子を有しない16例を対照(C群)とした.各群における冠予備能はH群;2.6±0.78,L群;3.0±0.95,C群;3.2±0.72で,C群に比べH群で有意に冠予備能が低値であった(p<0.05).
    (結語)喫煙総量が多い症例では冠予備能が低下しており,喫煙によって冠予備能がさらに低下した.以上より,喫煙総量が多い虚血性心疾患症例では,喫煙により虚血閾値が低下する可能性が示唆された.
  • 毛利 正博, 竹下 彰
    1998 年 30 巻 4 号 p. 227-228
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 木山 宏, 大島 永久, 今関 隆雄, 山田 崇之
    1998 年 30 巻 4 号 p. 229-233
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    左冠状動脈主幹部閉塞による急性心筋梗塞に対して早期再灌流後,緊急冠状動脈バイパス術(CABG)を施行し救命した2症例を経験した.症例1は発症5時間後にPTCAで再灌流したが,急性再閉塞のためperfusion catheterを挿入したまま緊急CABGを施行した.症例2は発症2時間後の冠状動脈造影の時に自然再開通したが,99%狭窄が残存したため緊急CABGを施行した.2例とも人工心肺からの離脱は可能であったが,術後ポンプ失調によるIABP依存状態が続き,長期聞の呼吸,循環動態管理を必要とした.症例1は第6病日,早期再灌流に成功した症例2は第4病日にIABPを抜去し,第40病日に無事退院した. 左冠状動脈主幹部急性閉塞による急性心筋梗塞にはcatheter interventionによる早期再灌流後緊急CABGによる確実な血行再建が必要と考えられた.
  • 西村 恵理, 山佐 稔彦, 川原 英資, 児島 正純, 福井 純, 宮原 嘉之, 河野 茂
    1998 年 30 巻 4 号 p. 234-239
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞後に心不全および感染症によらない肺水腫,胸膜炎を合併した1例を経験した.症例は58歳男性で,生来健康であったが,急性心筋梗塞(下壁梗塞)を発症し,緊急冠動脈造影を施行した.右冠動脈segment-1が完全閉塞しており,再疎通療法を試みるも再疎通できなかった.第5病日より肺野に浸潤影が出現し,第6病日には両肺に大量の胸水貯留が認められた.心機能は,Forrester分類でsubset Iを示し,心不全の所見は認められず,この時点での右室梗塞の関与は考えにくかった.胸水の性状は浸出液であったが,感染症を示す所見は得られなかった.胸水排液とウリナスタチンおよびメチル・プレドニゾロンの投与にて徐々に改善した.
    胸水が著明に貯留した時点と,改善後の血中顆粒球エラスターゼ,サイトカインを測定したところ,顆粒球エラスターゼの著明な上昇とサイトカインの変動を認め,CRPも著明に上昇していた.肺水腫,胸膜炎の合併に顆粒球エラスターゼ,サイトカインの関与が推察された症例であった.
  • 嵯峨 孝, 平井 淳一, 青山 隆彦, 千間 純二, 原城 達夫, 藤野 晋, 山村 修, 羽場 利博, 山崎 義亀與, 山本 信一郎, 高 ...
    1998 年 30 巻 4 号 p. 240-244
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,女性.高血圧と心拡大を指摘され来院した.心エコー図検査では,心室中隔に茎を有して左室腔に突出し,心拍動に合わせ振り子運動をする, 直径約3.0cm大の塊状エコー像を認めた.MRI所見では,腫瘤はT1強調画像で心筋に比し等信号ないしわずかに高信号強度,T2強調画像で心筋よりわずかに高信号強度を呈し,内部構造は比較的不均一であった.そして,その腫瘤はGd造影で著明に増強されたが,周囲心筋はGd造影増強効果を認めなかった.冠動脈造影検査では,左前下行枝中隔枝より2本の栄養血管と1個の腫瘍濃染像を認めた.CT検査やGaスキャンなどで全身を検索したが,心臓以外には病巣が見出せず,左室原発性腫瘍と診断した.そして,CT,MRIおよぶ冠動脈造影検査より,本例の腫瘤は単発で,下部心室中隔より短い茎を持って左室腔に突出し,さらに周囲心筋への浸潤はないと推測し,経大動脈アプローチ,内視鏡下で茎付着部より腫瘤を切除した.組織学的所見は悪性線維性組織球腫( 以下, M F H と略す) , stor-iform-pleomorphic typeであった.
    心臓MFHの報告例は少ない.しかも,左室に原発した例は著者が調べえた範囲で初めての報告と思われる.
    心臓MFHの予後は不良であるが,本例は無症状期に腫瘍の存在を確認し,完全に切除することができた.
  • 木村 靖和, 大島 俊克, 高田 恵一, 上嶋 健治, 平盛 勝彦
    1998 年 30 巻 4 号 p. 245-250
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    腔内の血液が凝固し,凝血異常(local DIC)をきたす大動脈解離例があることが知られている.このたび,local DICを合併した大動脈解離例に,抗線溶療法が有効であった症例を経験したので報告する.症例は67歳,男性.寛解と増悪を繰り返す紫斑を主訴に,平成8年5月15日に入院した.大動脈CTおよび経食道エコー図検査でDe Bakey IIIbの大動脈解離を認めた.最大径が58×38mmであった.また左鎖骨下動脈分岐下で解離腔が盲端になっており,一部は血栓化されていた.凝血系検査で,血小板とフィブリノーゲンが低値で,FDPとTATおよびPICが高値であった.DICスコアが8であり,偽腔での凝固因子消費によるlocal DICと診断した.本症例には抗凝固療法が奏功せず,抗線溶療法としてトラネキサム酸を投与したところ,投与19日目にはDICスコアが1になり,またCTで偽腔の血栓化が進んでいた.投与61日目のCTでは胸部腹部ともに偽腔のほぼ全体が血栓で満たされ,かつ大動脈径の拡大も認められなかった.
    Local DICを合併した大動脈解離例への抗線溶療法がDICの治療と解離腔の血栓化の両面で有効であったと考えられた.
  • 斎藤 文雄, 上松瀬 勝男
    1998 年 30 巻 4 号 p. 251-252
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 抗線溶剤による局所性DICの治療
    丸山 征郎
    1998 年 30 巻 4 号 p. 253-254
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 実験的ならびに臨床的検討
    奥村 謙, 岩佐 篤, 田渕 利文
    1998 年 30 巻 4 号 p. 255-262
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    迷走神経刺激afモデルを用い,心房細動(af)の機序とIc群薬の効果を検討した.α-クロラロース麻酔犬の両側迷走神経刺激により,有効不応期と興奮波長(WL)は刺激頻度の増加とともに短縮し,これと相関して誘発afの平均周期も短縮した.10Hz刺激下の安定したaf中にピルジカイニド(PIL)とプロパフェノン(PRO)を投与したが,両剤ともaf周期を延長させ,PILは90%,PROは30%にてafを停止した(p<0.01,PIL vs PRO).PILの伝導速度抑制効果はPROより大で,一方,PROのWL延長効果はPILより大であった.薬剤投与前のafはtype II/III(Koningsら)であったが,af停止直前にはtype Iに変化した.本モデルにおいて,WLの短縮がaf発症の基質となることが示唆された.また,PILの伝導抑制作用によるaf停止効果が示唆された.
    通常型心房粗動(AF)の機序と高周波カテーテル焼灼術(CA)の効果を臨床例にて検討した.AF中の右房内マッピングにより,三尖弁輪を反時計方向に周回する興奮旋回運動が確認された.この興奮旋回路にはAF周期の23±9%に相当する興奮間隙を認めたが,減衰伝導の性質は認めなかった.三尖弁輪一下大静脈間の解剖学的峡部に対する線状CAにより95%の例でAFは消失した.合併症はなく再発率は16%であった.AFのCAに際して,解剖学的峡部におけるブロックラインの確認が重要であった.
  • 新 博次
    1998 年 30 巻 4 号 p. 263-269
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心房細動では,(1)心房細動の停止,(2)再発防止による洞調律の維持,(3)心拍数コントロール,(4)血栓塞栓症の防止を目的とした薬物治療が行われる.これらの目的のうち,心房細動の停止,洞調律の維持には抗不整脈薬が使用される.できるならば使用しないですませたい抗不整脈薬を使用するには,抗不整脈薬のリスクに優る臨床効果が得られる必要がある.心房細動が停止し洞調律が維持されることにより,心内血栓・塞栓症のリスクは低下し,心房容量の減少とともに心機能が改善するなどの利点が見込まれる.また,最近の研究によれば,心房細動の持続は心房筋の電気的リモデリングをきたし,心房不応期を短縮させ,心房細動がより持続しやすい状況となる.この結果,心房細動の心室レートを高め,薬剤に対する反応も悪くなるなど治療をより困難に至らしめる.このような根拠により,抗不整脈薬による心房細動停止,そして洞調律の維持が試みられているのが現状である
  • 小坂井 嘉夫
    1998 年 30 巻 4 号 p. 270-274
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心房細動に対する薬剤治療は無効例が少なくなく,また心房細動は致死的不整脈でないので放置されることが多かった.近年,心房細動の根治が望まれ,手術の非薬物治療が開発されてきた.心房細動の発生機序として,複数のマクロリエントリーと考え,Coxらは心房を迷路状に切断し,マクロリエントリーを起こり得なくするmaze手術を考案した.以後,手術手技に関する種々の改良がなされている.Coxらによるmaze手術はほとんど孤立性心房細動に対し行われ,薬物治療例も含めば95%以上の成功率と述べている.我々のmaze手術は孤立性心房細動に対しては8例中7例は完全成功で,1例が有効であった.僧帽弁膜症に合併する心房細動に対するmaze手術の成績は,抗不整脈薬投与も含め,234例中186例に心房細動が消失した.その他の合併手術例は37例中全例に心房細動は消失している.
    これらの経験から,心房細動に対するmaze手術の適応を決定した.孤立性心房細動では患者に十分説明した上で,根治手術を希望する場合としている.僧帽弁膜症に合併する心房細動は原則的に手術適応であるが,心房細動歴20年以上,f波がない,LADsが70mm以上の場合は,心房細動治癒率が50%以下になるので,慎重に適応を決定している.心房中隔欠損に合併する心房細動,あるいは合併基礎心疾患が心房細動に関与しない場合,maze手術の成績は良好なので,全てを適応としても良いと考えている.
  • 井上 博, 笠貫 宏
    1998 年 30 巻 4 号 p. 275-284
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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