心臓
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30 巻, Supplement6 号
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  • 降旗 章子, 谷川 直, 小沢 友紀雄, 島袋 宏明
    1998 年 30 巻 Supplement6 号 p. 3-10
    発行日: 1998/12/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    LP陽性患者のホルター心電図記録に加算平均処理を行い,Time domai(TD)解析およびSpectral turbulence(ST)解析の各指標の日内変動について検討した.【対象】心室性期外収縮11人,心筋梗塞14人,狭心症12人,高血圧9人,弁膜症4人,拡張型心筋症2人,その他10人の計62人(平均年齢61.7±13.2歳,男性39人,女性23人)である.【方法】3 チャンネルポルター心電計Del Mar Avionics社製459型を用いて直交3誘導でホルター心電図を話録し,563型機にて加算平均処理を行い,その信号を解析した.24時間連続記録テープから午前0時,午前4時,午前8時,午後1時,午後8時の心拍数(HR)とノイズレベル, fQRS, RMS40, LAS40, LSCR, ISCM, ISCSD, SEについて検討した.【結果】1.HR,ノイズレベルは,午前0時を基準とすると8時,13時,2011寺に有意に増加した.2.TD法の各指標(fQRS, RMS40, LAS40)は,午前0時を基準とすると8明,13時,20時にfQRS, LAS40は有意に減少し,RMS40は有意に増加した.3.ST法の各指標については,日内変動を認めなかった。【総括】LP陽性患者のホルター心電図の加算平均法の記録では,HR,ノイズレベル,TD法の各指標は日内変動を認め,ST法の各指標は日内変動を認めなかった.
  • 矢久保 修嗣, 八木 洋, 花川 和也, 中井 俊子, 高世 秀仁, 田中 秀之, 中村 尚, 黒田 常子, 田中 修, 長谷川 桂子, 安 ...
    1998 年 30 巻 Supplement6 号 p. 11-14
    発行日: 1998/12/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    高分解能心電図(Hi-Res ECG)による心室遅延電位の検討は心室頻拍などの致死的不整脈や突然死の予知のため日常の診療のなかで広く用いられるようになってきた.最近では,Hi-Res ECGを記録するためにHi-Res ECGそのためだけの特殊な誘導やアクイジションを用いることなく標準12誘導からHi-Res ECGを記録できるシステムが開発され,標準12誘導心電図記録とHi-Res ECGを誘導を変えることなく記録できるため臨床において広く利用されることが期待されている.今回,私たちはこの標準12誘導心電図記録とHi-Res ECGを誘導を変えSiemens社製Hi-Res ECG(Siemens)と既存のFrank誘導とfast Fourier transformation(FFT)フィルターを用いるシステムMarquette社製Hi-Res ECG(Marquette)のHi-Res ECGのパラメーターの相関および比較について検討した.FQRSD,RMSV,LASDについてはそれぞれ相関がみられた.MarquetteとSiemensのLASD,RMSVには差がみられなかったが,Marquetteに対してSiemensではFQRSDを短く計測した.臨床上,致死的不整脈や突然死の予知の評価のための心室遅延電位の検出には,それぞれのシステムの性質にあわせた心室遅延電位の判定基準の作成が必要と考えられた.
  • Ca過負荷心不全モデルでの検討
    松下 昌之助, 三井 利夫, 佐藤 雅人, 阿部 正一, 重田 治, 厚美 直孝, 軸屋 智昭, 榊原 謙, 寺田 康
    1998 年 30 巻 Supplement6 号 p. 15-20
    発行日: 1998/12/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    開心術後の急性心不全において,体表心電加算平均法を用いてQRS周波数解析を行うと高周波微小電位の低下が特徴的にみられたことをふまえて,急性心不全時のCaoverloadがその原因の一つであるかどうか,Ca過負荷急性心不全モデルを用いて検討した.【方法】rat(n=8)のランゲンドルフ灌流心の心外膜に微小針電極を体表面と同じ方向に設置し,VCM-3000を用いてQRS区間のRMS(roots quare)電位を求めた.0-300HzのRMS電位を低周波教電位とし,80-300Hzの電位を高周波数電位とした.冠灌流液に対し,CaC123mg/minの持続投与を30分間継続した.RMS電位,心機能(左室-dP/dt,LVEDP,rate-pressure-products:RPP),fura-2を用いた心尖部細胞内Ca濃度([Ca2+]i)を3分毎に同時測定した.Ca持続負荷によりLVEDPの上昇が始まった時点を心機能低下開始時とした.【結果】LVEDPの上昇開始とほぼ同時期から,左室-dP/dt,RPPの低下が始まった.[Ca2+]iはCa負荷開始より漸増を続けた.LVEDP上昇後の測定値n=58(8実験合計)での高周波数電位と[Ca2+]iは有意な負の相関(r=-0.736)を示し,高周波数電位とLVEDPは有意な負の相関(r=-0.673)を示した。低周波数電位はいずれも有意な相関を示さなかった.以上より,急性心不全発現後の高周波数電位の低下は,[Ca2+]iの増加を反映していると考えられた.
  • 濱本 邦洋, 奥 郁美, 山戸 康司
    1998 年 30 巻 Supplement6 号 p. 21-27
    発行日: 1998/12/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    川崎病の急性期には心筋病変により心筋伝導遅延が起こる可能性がある.加算平均心電図により川崎病の急性期から回復期にかけて経時的にfQRSの変化とLate potential(LP)について検討した.正常小児コントロール100例と川崎病患児35例を対象とした.
    方法はART社製のLVP101 PCを用い,XYZの3誘導の電位を300~500心拍加算し,Simsonらの方法に従い45~250Hzの帯域フィルターを用いTime-domain分析を行った.正常コントロールよりfQRS,LAS,RMS 40の3項目の正常値を決定した.川崎病患児は急性期から回復期にかけて2回以上測定を行い,LPの判定とfQRSの経時的変化を検討した.3例においてLPsが一過性の陽性を示した.8例で経過中にfQRSの値に10%以上の変化を認めた.その多くは10-20病日にかけて起こっており,川崎病の急性期に起こると言われている心筋炎,心外膜炎,心内膜炎等の心筋病変の時期に一致する.
    川崎病の急性期には心筋炎を含む何らかの病変が心室伝導遅延を起こしていると考えられる.
  • 濱田 敬史, 大賀 雅信, 久原 伊知郎, 吉田 輝久, 松本 朗, 平木 達朗, 池田 久雄, 今泉 勉
    1998 年 30 巻 Supplement6 号 p. 28-31
    発行日: 1998/12/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    【目的】負荷心筋シンチで一過性心筋虚血(TD)を示す労作狭心症(EA)患者の加算平均心電図(SAE)を検討した.【方法】対象は心筋梗塞の既往のない冠動脈に有意狭窄病変を有するEA患者53例で,脚ブロックなどの心電図異常のないものとした.抗不整脈薬非投与下にSAE記録を行い,フィルター化QRS持続時間(fQRSd)を計測した.また201T1-運動負荷心筋シンチを行いTDを認める群(TD(+)群)と認めない群(TD(-)群)に分類し比較検討した.【結果】両群間の患者背景,心機能,冠動脈病変数には差を認めなかった.fQRSdはTD(+)群でTD(-)群に比し有意に延長していた(TD(+)群:117±10ms,TD(-)群:110±9ms;p<0.05).【結語】負荷心筋シンチにてTDを認めるEA患者は,fQRSdが延長していた.EA患者において,SAEにより無症状安静時に非侵襲的に負荷心筋シンチにてTDを認める患者を検出し得る可能性が示唆された.
  • 手島 保, 桜田 春水, 高橋 玉奈, 森本 理, 岡崎 英隆, 徳安 良紀, 野村 周三, 柳瀬 治, 本宮 武司, 平岡 昌和
    1998 年 30 巻 Supplement6 号 p. 32-35
    発行日: 1998/12/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    ペースメーカー患者は正常な刺激伝導でないため,加算平均心電図の検討の対象から除外されることが多い.今回我々はペースメーカー植え込み後に心室頻拍(VT)をおこした症例の加算平均心電図を記録する機会を得た.症例は78歳,女性.昭和59年6月,完全房室ブロックに対しペースメーカー(DDD)の植え込み術を受ける.平成5年12月7日,平成9年3月25日,VTにて直流通電をうける.心内電位図にはfragmentationを認めた.加算平均心電図ではQRS終末部に著しく遷延した電位を認め,f-QRS 254 msec,LAS 40 111.5msec,RMS 40 3.32μVでLP陽性と考えられた.他のペースメーカー患者には同様な所見を認めないため,ペースメーカー患者であっても加算平均心電図の検討の対象となりうる可能性が示唆された.
  • 高山 英男, 小原 俊彦, 加藤 貴雄, 早川 弘一
    1998 年 30 巻 Supplement6 号 p. 36-41
    発行日: 1998/12/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心電信号には多くの微小成分が含まれ,刻一刻と変化している可能性が示唆されるが,その変化を的確に捉える方法はない.そこで1拍毎に極めて良好な再現性をもつ解析結果の得られるウェーブレット変換を用い,心室性期外収縮(VPC)発生前後における心電図高周波微小成分の変化につき検討した.健常成人(N)5名および基礎疾患のないVPC患者(V)5名の体表心電図の洞調律心拍の,Nでは連続する3心拍,VではVPCの直前2拍と直後の1拍を選び,そのQRS波形をウェーブレット変換,各周波数毎にスペクトラム解析し,50Hzと200Hzにおける持続時間(HPD)および不連続点の数(NDP)を計測した.その結果,VPC直前の1拍のみに,50HzにおいてHPDの延長を認めた.今回の検討により,VPCの直前においてのみ心電図QRS波内高周波微小成分の一過性変化が認められたことから,その変化がVPC発生の一因になっている可能性が示唆された.
  • 坂田 隆夫, 池田 隆徳, 杉 薫, 高見 光央, 手塚 尚紀, 中江 武志, 野呂 眞人, 円城寺 由久, 安部 良治, 山口 徹
    1998 年 30 巻 Supplement6 号 p. 42-46
    発行日: 1998/12/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    ST上昇時に肉眼的識別可能なT Wave Alternans(TWA)を呈することが知られている.本研究では,虚血を反映するST低下の程度とmicrovolt-1eve1でのTWA(m-TWA)との相関性について検討した.【方法】対象は,冠動脈造影で75%以上の狭窄病変を有し,心筋に器質的障害がなく,運動負荷(4.7±0.8Mets)中に1mm以上の水平型のST低下を認めた純狭心症患者12例(60±8.8歳)である.運動負荷は背臥位の自転車エルゴメーターで行った.フランク誘導X,Y,Zと標準12誘導V4でm-TWAの指標であるA1ternans Voltage(Valt)とST低下の程度との関連性を評価した.【結果】負荷中の最大ST低下は1.8±0.7(1~3.5mm)であり,最大Valt値の平均値はLO±1.1μVであった.ST低下の程度とValt値との間には相関性は認められなかった(r=0.033,p=NS).【総括】m-TWAとST低下の程度とは相関性がなく,m-TWAは(心内膜側の)心筋虚血の程度を反映するものではないと考えられた.
  • 橋本 賢一, 小牧 宏一, 笠巻 祐二, 正木 理子, 近藤 一彦, 小島 利明, 渡辺 一郎, 谷川 直, 斎藤 穎, 小沢 友紀雄, 上 ...
    1998 年 30 巻 Supplement6 号 p. 47-50
    発行日: 1998/12/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    T波オルタナンス(TWA)の生理的重要性は必ずしも十分に研究されていない.本研究ではペースメーカー植え込み患者(PM)のペーシングモード別TWAについて,また再現性を中心に報告する.対象はPM17症例で,完全房室ブロック10例,洞機能不全症候群(SSS)7例.ペーシング基本調律の60-70bpmで安静時の成績を得た後,1分毎に10bpmペーシング頻度を増加し,110bpmまで心拍数を上げ,さらに5分間記録を行い,検査を終了した.同一のペーシングモードで再現性を検討した後,可能な症例ではさらに異なるモードのTWAを検討した.TWA陽性基準はValt 1.9μV以上かつRatio3.0以上とした.装置はCambridge Heart社製,CH2000を用いた.1.TWA陽性例はモード別にVVI-70%,DDD-42%,AAI-42%であった.2.誘導部位毎のTWA陽性率は,eX誘導で最も高かった.3.TWA判定と心機能に差はなかった.4.TWA陽性の心室性不整脈に対する鋭敏度は80%であり,特異度は58%であった.5.再現性についてValt値では相関を認めたが,Ratioについては相関を認めなかった.TWAの臨床的意義についてはさらに検討が必要と思われた.
  • 2つのタイプが存在する
    渡辺 一郎, 神田 章弘, 斎藤 穎, 小沢 友紀雄, 上松瀬 勝男, Leonard S.Gettes
    1998 年 30 巻 Supplement6 号 p. 51-53
    発行日: 1998/12/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    【目的】急性心筋虚血時にみられるST-T波交互脈(STTA)の発生機序について針電極を用い,貫壁性に心電図を記録して検討した.【方法】豚を用い左室心筋に多極針電極を刺入し,単極直流電位および近接双極電位を記録,心筋中層にK+電極を刺入し細胞外K+(Ke+)を測定.【結果】虚血中,STTAには2つの時相が存在,第1相は平均4分12秒で生じ主に心内膜側でみられた.STTAの発生時のKe+は7.1±0.3mM,局所伝導遅延は28±4msecであり,STTAと伝導遅延とは関係がなかった.第2相は5分以降に生じ,心外膜側で顕著であった.STTAは常に局所双極電位の心拍毎の形の変化あるいは2:1伝導途絶を伴った.【総括】第1相のSTTAは再分極のalternans,第2相のSTTAは伝導のalternansに由来するものと考えられる.
  • 池田 隆徳, 杉 薫, 坂田 隆夫, 安部 良治, 山口 徹
    1998 年 30 巻 Supplement6 号 p. 54-58
    発行日: 1998/12/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    虚血性心疾患(IHD)患者におけるmicrovoltレベルでのT Wave Alternans(TWA)検出に影響を及ぼす因子について検討した.冠動脈造影でIHDと診断された114症例を対象とし,CH2000を用いて運動負荷中にTWAを検出した.ノイズ軽減のため,負荷を鉛絶縁の検査室で背臥位の自転車エルゴメーターを使用し行った.TWAの陽性基準は,alternans voltage>1.9μVかつalternans ratio>3.0が1分以上持続する場合とし,その陽性率を1)年齢,2)性別,3)心拍数の違い,4)運動負荷量,5)壁運動異常の有無,6)異常Q波の有無,7)負荷中のST変化の有無,8)T波陰転の有無で評価した.年齢,性別,運動負荷量,ST変化の有無で有意差は認められなかった.しかし,壁運動異常の有無(p=0.0008)と,異常Q波の有無(p=0.0008),T波陰転の有無(p=0.014)の比較では有意差が認められ,壁運動異常を有するか,異常Q波あるいはT波陰転を認める例で有意にTWA陽性率は高かった.また,TWA陽性率は心拍数を上昇させることで高率となり,その検出に個々の症例で心拍数閾値が存在した.
    IHD患者における微小レベルでのTWAは,高度の壁運動異常や異常Q波を有する例で陽性となり易く,心筋障害の程度を反映している可能性があることが示された.
  • 大西 祥男, 島 尚司, 山城 荒平, 武居 明日美, 足立 和正, 田村 奈巳, 岡本 良之, 横山 光宏
    1998 年 30 巻 Supplement6 号 p. 59-62
    発行日: 1998/12/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    【目的】拡張型心筋症における心室性不整脈とT-wave alternans(TWA)の関連,ならびにTWAに影響を及ぼす因子につき検討した.【方法】拡張型心筋症51例を対象にCambridge Heart社製CH2000を用いて,安静時と運動時心電図からalternans解析を行った.Cohenらの基準に従い陽性,陰性,判定不能とし,心機能,遅延電位,QT dispersionおよび心室頻拍の有無につき陽性,陰性群で比較した.また,TWAに影響を及ぼす因子についてロジスティック回帰分析を用いて検討した.【結果】陽性20例,陰性22例,判定不能9例であった.陽性群において左室拡張末期径は有意に大,心室頻拍は高率に認められた.遅延電位,QT dispersionについては2群間に有意差を認めなかった.ロジスティック回帰分析では,TWAの独立決定因子は心室頻拍であった.【総括】拡張型心筋症において心室頻拍とTWAに密接な関連が認められ,心室頻拍の存在在はTWAの独立決定因子と考えられた.
  • 丹野 郁, 小林 洋一, 安達 太郎, 河村 光晴, 劉 俊昌, 浅野 拓, 品川 丈太郎, 小原 千明, 宮田 彰, 菊嶋 修示, 馬場 ...
    1998 年 30 巻 Supplement6 号 p. 63-69
    発行日: 1998/12/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    1994年にRosenbaumらは,肉眼では判別できないmicrovolt levelのT波の交互変化(T wavealtemans:以下TWA)とEPSにおけるVT/Vfの誘発率,および20カ月間の経過観察による心室性頻脈性不整脈の出現とは有意な関連があることを報告した.我々は同様のシステムを使い,心室頻拍が確認されている症例を対象として,TWAの臨床的有用性を検討した.対象は心室頻拍を有する患者15を含む66人の患者で,70-120/分の心房ペーシングによるTWAを測定した.TWA陽性25例(38%),陰性36例(54%),判定不能5例(8%),陽性25例中心室頻拍は12例(41%)で,TWAはVTの予測因子として感度86%,特異度72%,陽性適中率48%であった.VT群ではTWAが出現し始める心拍数,およびその心拍数の目標心拍数に対する割合がVT(-)群に比し有意に低値であった.
  • 清水 宏紀, 峰 隆直, 稲角 貴則, 岩崎 忠昭
    1998 年 30 巻 Supplement6 号 p. 70-74
    発行日: 1998/12/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    【目的】陳旧性心筋梗塞患者におけるTwave alternallsの有用性と体表面recovery timeの関係を検討すること.【対象】陳旧性心筋梗塞37例(平均年齢65±10歳,男性33例,女性4例)前壁中隔梗塞28例,下壁梗塞8例,前壁中隔梗塞と下壁梗塞合併1例.電気生理学検査もしくはホルター心電図にて持続性心室性頻拍または心室細動(VT/VF)が誘発もしくは記録された症例は7例である.【方法】Cam-社製CH2000 systemを用いbicycle ergometer gometerでの運動負荷中にTWAを測定した.TWAの陽性基準は安静時alternans voltageが1.OμV以上を示すか,運動時にalternans ratioが3以上を示す誘導でalternans voltageが1.9μV以上を示す場合とした. Recovery timeはフクダ電子社製VCM3000を用い87点体表面電位図からQRS波開始点からT波微分最大点までの時間を計測しRTとしBazett式で補正したRTcを求めた.87点の中で最大値max RT(max RTc),最小値min RT(min RTc),最大値と最小値の差RT dispersion(RTc dispersion)を計測した.【結果】37例中16例がTWA陰性で,21例が陽性であった.VT/VFに対するTWAのsensitivityは100%,specificity 53%,positive predictive value 33%,negative predictive value 100%,predictive accuracy 62%であった.次にTWA陽性, 陰性群の2群に分けrecoverytimeの各指標を検討した. min RT,min RTcは両群間に差はなくmax RT,max RTcも両群間に有意差はなかった.RT dispersionはTWA陰性群で150±17ms,TWA陽性群で176±37msで,RTc dispersionはTWA陰性群で153±13ms,TWA陽性群で181±43msでTWA陽性群でRTdispersion,RTcdispersionは有意に増大していた.【結語】1)陳旧性心筋梗塞患者においてTWAはVT/VFの検出に関して感受性は高いが特異性は低かった.2)心室再分極時間のばらつきがTWAに関与している可能性が考えられた.
  • 伝導か再分極か?
    緒方 憲一, 斎藤 寛和, 岩崎 雄樹, 清水 秀一, 松本 真, 高山 英男, 小原 俊彦, 野村 敦宣, 平山 悦之, 小林 義典, 新 ...
    1998 年 30 巻 Supplement6 号 p. 75-81
    発行日: 1998/12/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    マイクロボルトレベルT wave alternans(TWA)と心室性不整脈の関連が注目されているがTWAの成因は未だ明らかではない.一般的にT波形態の変化の原因として(1)心筋活動電位再分極相の変化(一時的変化),(2)伝導様式の変化(二次的変化),および(3)心臓収縮の機械的変動の影響が考えられている.我々の犬生体位心単相性活動電位(MAP)を用いた実験データでは,TWA出現時にはMAP alternansを伴っていたが,TWAに反映されないMAP alternansも認められた.一方,臨床例においてT wave alternans出現時に1拍ごとのQRS波時間周波数解析を行ったところ,QRS波内微小電位のalternansを認めた.これは,伝導様式の1 拍ごとの変動がT wave alternansを惹起しうることを示唆する所見と考えられた.これらの所見を通してT wave alternansの成因を考察する.
  • Irina Savelieva, Marek Malik
    1998 年 30 巻 Supplement6 号 p. 83-99
    発行日: 1998/12/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Experimental and clinical studies performed over the past years have confirmed that electrocardiographic patterns of myocardial repolarisation are closely linked to arrhythmogenesis and may represent a potential tool for arrhythmogenic risk stratification. Recently introduced comprehensive automatic algorithms permit quick and easy assessment of ventricular repolarisation and measurement of its inhomogeneity. However, there continues to be a methodological uncertainty regarding ventricular repolarisation assessment from body surface electrocardiogram. Multiple approaches are currently being investigated for this purpose, indicating that no fully satisfactory method has yet been found. Recently proposed evaluation of QT interval variability during 24-hour Holter recording (QT/RR dynamicity) and beat-to-beat changes in the repolarisation patterns (T wave alternans) based on automatic algorithms may provide a promising tool for better identification of patients at high risk of arrhythmic events. Simultaneous assessment of spatial and dynamic aspects of myocardial repolarisation has become the focus of multiple studies. This complex approach allows not only to identify patients at high risk of arrhythmic events but also to investigate spontaneous or triggered changes in ventricular repolarisation leading to arrhythmias. Recent studies of T wave alternans have documented that repolarisation patterns are closely related to arrhythmic and pro-arrhythmic complications suggesting that an analysis of T and TU wave morphology may play an important role in risk stratification. However, none of the currently available methods fully corresponds to growing clinical demands and advances in experimental electrophysiology, thus indicating that further development of practical approaches to quantitative assessment of ventricular repolarisation is urgently needed.
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