心臓
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31 巻, 12 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 西田 博, 遠藤 真弘, 小柳 仁
    1999 年 31 巻 12 号 p. 817-826
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 中治 美有紀, 大西 祥男, 岡嶋 克則, 足立 和正, 黒田 奈己, 武居 明日美, 山城 荒平, 高岡 秀幸, 原田 尚, 大久保 英明 ...
    1999 年 31 巻 12 号 p. 827-832
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は19歳の男性.心電図異常と意識消失発作を主訴に1996年6月25日来院.心胸郭比53%,心電図上II,V4~6においてST上昇,ホルター心電図にて左脚ブロック型心室頻拍(VT)を認め,遅延電位は陽性であった. 心エコー, 心筋シンチ, M R ICT,心カテーテル検査にて右房,右室の著明な拡大,び漫性の壁運動低下を認めた.電気生理学的検査にてVTの誘発はみられなかったが,心筋生検にて線維化,脂肪浸潤を認め,ARVDと診断した.退院後アプリンジン40mgにて外来経過観察していたが,1年4カ月後心エコー上心尖部の壁運動異常は以前に比し増悪し,同部位に径2.1×2.Ocmの新鮮な球状血栓を認めたため1998年1月8日入院した.肺換気血流シンチで異常はなかった.入院後ワーファリンによる抗凝固療法を開始し,1カ月半後には血栓の消失を認めた.ARVDに伴う血栓症の報告は極めてまれであり,心エコーおよび他の画像診断により右心室壁運動の評価も含めた慎重な経過観察が重要と考えられた.
  • 沼田 哲也, 大江 春人, 坂井 秀章, 原田 敬, 室屋 隆浩
    1999 年 31 巻 12 号 p. 833-838
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心肺停止をきたした院内発症の急性肺血栓塞栓症に対し,カテーテルによる血栓吸引を試み救命し得た症例を経験した.症例は44歳,女性.転落事故による外傷性クモ膜下出血,大腿骨骨折治療のため約1カ月臥床していたが,下肢リハビリテーション開始直後に突然呼吸苦を訴え心肺停止となった.心肺蘇生下に緊急心臓カテーテル検査施行,冠動脈造影,左室造影では異常なく,肺動脈造影にて右肺動脈主幹部に広範囲な陰影欠損を認め,急性肺血栓塞栓症と診断した.直ちに経皮的冠動脈形成術(percutaneous transluminal coronary angioplasty;以下PTCA)用8Fガイディングカテーテルを用いた血栓吸引を繰り返し行い,さらにナサルプラーゼ(nasaruplase=pro-urokinase;以下pro-UK)の肺動脈内投与を追加し血栓除去に成功した.後療法としてウロキナーゼ(urokinase;以下UK),ヘパリン,ワーファリンによる抗血栓・抗凝固療法を行い,後日施行した肺動脈造影では明らかな血栓像は認めず,その後も再発はない.
    近年,急性肺血栓塞栓症に対する治療法としてカテーテルを用いたインターベンション治療が導入されつつあるが,本邦での報告はまだ少ない.我々は,心肺停止で発症した急性肺血栓塞栓症に,心肺蘇生下にカテーテルによる血栓吸引を試み,救命し得た症例を経験したので,その概要および本治療法の有用性を報告した.
  • 川崎 達也, 加藤 周司, 岡野 晃, 永田 一洋, 岡本 昭夫, 米山 聡嗣, 伊藤 一貴
    1999 年 31 巻 12 号 p. 839-843
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は74歳男性.既往歴にアルコール性肝硬変症,糖尿病がある。近医にて心電図異常を指摘され,精査目的にて当院紹介となった.断層心エコー図で壁運動異常を認めたため,虚血性心疾患を疑い心臓カテーテル検査を施行した.左室造影検査でiomepro1を注入後,全身掻痒感が出現した.ステロイドを静注するも心肺停止となった.心マッサージ,人工呼吸管理,昇圧剤投与などの心肺蘇生を続けたところ,約40分後に自己心拍は回復した.発症10時聞は昏睡状態であったが,経時的に意識レベルの改善を認め,後遺症なく第10病日に退院となった.Iomeprolに対するリンパ球刺激試験は陽性で,同薬の副作用によるものと診断した.腹部血管造影を含む過去5回のiomeprolの使用時には特に問題を認めなかった.造影剤使用時は,重篤な合併症があることを常に念頭に置き,緊急時の対応がとれる体制を整備しておく必要があると考えられた.
  • 岡田 泰伸
    1999 年 31 巻 12 号 p. 847-853
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    細胞膜においてイオンを多量に輸送し,それに伴って電気的信号を発生する(ので情報伝達にも関与する)膜貫通性蛋白であるイオンチャネルには,いくつかの種類がある.
    最近それらの多くの遺伝子がクローニングされ,これによってチャネルの重要な機能がどのような構造的基盤にもとづくのか明らかになるとともに,その遺伝子の突然変異がいくつかの先天性疾患の原因となっていることが明らかになった.更に最近,イオンチャネルは,他のチャネルやトランスポータに対するレギュレータとして働いたり,物理化学的環境因子に対する膜センサーとしても働く事例が多く見出され,多機能性蛋白としても注目されはじめている.
  • 平岡 昌和
    1999 年 31 巻 12 号 p. 854-862
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    分子生物学の進歩により,遺伝性QT延長症候群の病因としてチャネル遺伝子の異常が明らかにされてきた.その異常は単一因子だけでなく,2種類のKチャネルとその調節因子,1種類のNaチャネル遺伝子の異常がこれまでのところ認められている.そして,各々のチャネル遺伝子についても個々の家系や症例により分子構造の異常は多岐にわたり,その機能低下の様式・発現も複雑で多様性に富んでいる.電気生理学的方法との併用により,これら異なる遺伝子異常が,異なるイオン機序を介してその表現形としては共通の心筋細胞の再分極遅延一心電図上のQT延長一,さらには致死性不整脈発生をもたらす基盤を形成する機構が明らかにされてきている.
  • 佐々木 成
    1999 年 31 巻 12 号 p. 863-869
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    細胞膜に存在し,水を選択的に通過させる蛋白がクローニングされ,アクアポリン(AQP)と名付けられている.生物界に広く存在し,哺乳類にも10種の仲間の存在が認められ,全身の殆どの臓器に分布している.水輸送が盛んな臓器には多種類のアクアポリンが共存し,協調して働いていることが予想される.機能は水の通過であるが,一部のメンバーは水以外にも中性の小物質を通過させることが明らかにされている.生理的役割については,AQP2の遺伝子異常がヒトの腎性尿崩症を起こすことが明らかにされ,集合管の水チャネルであることが証明された.他のアクアポリンについてもノックアウトマウスにより,解析が進んでおり,今後の展開が楽しみである.
  • 心筋型CFTRを含んで
    堀江 稔
    1999 年 31 巻 12 号 p. 870-876
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    嚢胞性線維症(cystic fibrosis,以下CF)は,現在判明しているヒト遺伝病の中で最も発生頻度の高い遺伝病で常染色体劣性を示す.しかしながら,本邦ではCF因子を有するキャリアが極端に少ないためまれな疾患である.主に上皮細胞のクロライド・イオン分泌が障害される.1989年にCF原因遺伝子が同定され,クロライド・チャネルをコードすることがわかった.イオン・チャネル病としてのCFの病態生理,臨床像,さらに治療戦略について概説する.
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