心臓
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31 巻, 2 号
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  • 北村 惣一郎
    1999 年 31 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 1999/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • Diltiazem全身投与との比較
    朝野 晴彦, 許 俊鋭, 島村 由紀夫, 石川 雅透, 鈴木 義隆, 阿達 竜介, 田邊 大明, 上田 恵介, 横手 祐二, 尾本 良三
    1999 年 31 巻 2 号 p. 75-79
    発行日: 1999/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    冠動脈バイパス手術における術中,術後のスパズムは手術近接期の心筋梗塞を発症し,手術死亡にまで至る重要な合併症である.冠動脈スパズムに対するCa2+拮抗薬(特にdiltiazem )の有効性は広く知られているが,その刺激伝導系の抑制作用や,心筋収縮力抑制に問題があることも指摘されている.Nicorandil はK+ channel opener として選択的冠動脈拡張作用を有し,臨床使用されているが,そのスパズム予防効果,心筋保護効果,刺激伝導系の影響を冠動脈バイパス手術近接期に全身投与することにより検討し, diltiazem の効果と比較した.
    Nicorandil は, diltiazem と同等なスパズム予防効果をもたらし,心筋保護効果の検討でもCPK,CPK-MB値の検討で, diltiazem より低値であることが確認された. Nicorandil は術後の徐脈に対するペースメーカー使用率は低いが,頻脈性不整脈の発生率はdiltiazem より高かった.
    Nicorandil は冠動脈バイパス手術の近接期にスパズムを抑制し,その有効な冠動脈拡張作用により,心筋保護効果を有し,安全に使用可能であった.
  • 岸 宏一, 日浅 芳一, 原田 慎史, 細川 忍, 高橋 健文, 加藤 聡, 谷本 雅人, 大谷 龍治
    1999 年 31 巻 2 号 p. 80-89
    発行日: 1999/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    労作性狭心症患者に対するPTCA前後のQOLの変化について検討した.対象はPTCA施行後,追跡冠動脈造影で再狭窄を認めなかった労作性狭心症の65歳以下の男性87例(平均57±6歳)である.QOLの評価にはStraussらの身体および心理スコアーの2尺度で構成された質問表を用いた.PTCA前と追跡造影時のQOLスコアーを比較した.また,QOLの変化より改善群41例と非改善群46例に分類し,PTCA回数や残存狭窄枝などについて比較した.PTCAの平均施行回数は1.9±1.0回であった.平均QOLスコアーは89±15から102±16に有意に改善していた(p<0.01).身体および心理スコアーもそれぞれ25±5から28±3(p<0.01),64±13から74±15(p<0.01)へ改善していた.非改善群では改善群に比べて,多枝病変例(41%vsl5%;p<0.0l),再狭窄例(70%vs24%;p<0.01)が多く,PTCA施行回数が有意に多かった(2.3±1.0vs1.6±0.9;p<0.0l).改善群は身体,心理スコアーとも有意に改善していたが,非改善群は身体スコアーは改善していたものの,心理スコアーの改善が認められなかった.
    以上より,労作性狭心症患者に対するPTCAはQOLを改善するが,PTCAの施行回数が多くなれば再狭窄に対する不安のため心理面での改善は期待できず,QOLも改善されないと考えられた.
  • 荒川 浩久, 松崎 明廣, 千葉 一博, 望月 衛, 相羽 英彦, 嶽山 陽一, 片桐 敬
    1999 年 31 巻 2 号 p. 91-97
    発行日: 1999/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,男性.意識消失発作を主訴に入院.現病歴は53歳で発作性心房細動,脳梗塞,鉄欠乏性貧血.家族歴は父が右胸心,姉が59歳で突然死,弟が53歳で心尖部肥大型心筋症.既往歴は,特にない.心エコー図で,非対称性心室中隔肥大,僧帽弁の収縮期前方運動,大動脈弁収縮中期半閉鎖を認め,閉塞性肥大型心筋症と診断した.心MRIで前壁から中隔の心筋肥大と心室中隔狭窄(MVO)の所見を,左室造影ではMVOを認め,心室中部における150mmHg以上の心室内圧較差を認めた.β遮断薬,体外式ペーシングは無効であったが,ジソピラミド(100mg)の静脈内投与により心室内圧較差は90mmHgから30mmHg以下まで著明に減少した.退院後ジソピラミドの経口投与で,労作時息切れやふらつきなどの自覚症状が改善している.本症例は,心室内圧較差を認めた心室中部狭窄型の肥大型心筋症でジソピラミドが心室内圧較差を減少させるとともに症状の改善に有効であった.
  • 鴛海 元博, 成味 純, 宮澤 総介, 宮田 晴夫, 鈴木 厚子, 杉浦 徹, 西川 俊郎
    1999 年 31 巻 2 号 p. 98-103
    発行日: 1999/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は49歳,男性.15年前,健診でタンパク尿を指摘され,他院にて入院精査.皮膚,神経生検は異常なく,角膜混濁,心電図異常を認めず.腎生検にて特徴的所見を有し,血漿α-galactosidaseの活性値の低下を認めたため,腎病変のみを呈する非典型的Fabry病として経過観察されていた.今回,胸部不快感を主訴に当科受診.心電図では胸部誘導でR波の増高と陰性T波の出現を認め,断層心エコー図にて左室肥大を認めた.精査のため心臓カテーテル検査を施行.心筋生検にて典型的Fabry病の所見を認めた.初期に腎病変のみを認めた非典型的Fabry病で,15年後に新たに心病変の出現をみた1例を経験した.Fabry病では長期間にわたる経過観察が重要と考えられた.
  • 平崎 智士, 水谷 智, 河 哲吉, 河野 泰之, 菅野 達也, 石橋 一哉, 山原 康裕, 盛田 篤応
    1999 年 31 巻 2 号 p. 104-108
    発行日: 1999/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は16歳,男性.抜歯,手術の既往歴はない.生来健康であったが,平成9年6月9日から38度台の発熱があり,近医にて抗生剤の投与を受けたが軽快せず,精査のため当院に入院した.第5肋間胸骨右縁で汎収縮期雑音を聴取し,心エコー図で三尖弁に径17mmの疣贅を認めたため,感染性心内膜炎と診断した.なお,他の弁には異常なく,明らかな先天性心疾患もなかった.経過中,二度の胸痛が出現し,胸部X線は右中肺野の腫瘤状陰影と左下肺野の浸潤影および胸水を示し,肺血流シンチグラフィでは同部位に灌流欠損が認められたため,肺塞栓症が疑われた.動静脈血液培養では起炎菌は検出されなかった.Penici11in G2000万単位/日を投与したが効果なく,imipenem・cilastatin sodium 2g/日に変更したところ,順調に解熱し炎症所見も陰性化した.退院後levofloxacin 300mg/日を3週間投与し,9月24日現在無投薬であるが,再燃せず順調に経過している.右心系の感染性心内膜炎の多くは先天性心疾患患者に発症し,本例のような健常者の罹患は極めてまれである.その診断も必ずしも容易でなく,本例ではその診断における断層心エコー図が重要であった.
  • 吉川 純一
    1999 年 31 巻 2 号 p. 109-110
    発行日: 1999/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 斉藤 聖子, 神田 順二, 橋本 亨, 田中 計, 徐 基源, 中村 朗, 鈴木 勝, 竹内 信輝, 中村 和之, 古川 恵一
    1999 年 31 巻 2 号 p. 111-116
    発行日: 1999/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,男性.既往に覚醒剤の注射歴と10年来の慢性C型肝炎,2年前の出血性胃潰瘍がある.食肉センターに勤務し,ウシ,ブタなどの生肉,生レバーを常食していた.1996年7月,抜歯約2カ月後より悪寒戦慄,頭痛を自覚した.その後6カ月で約5kgの体重減少もあり,当院紹介受診した.心雑音は聴取されなかったが,炎症反応もみられ,病歴より感染性心内膜炎の可能性を考え,心エコー検査を施行した.三尖弁に疣贅がみられ,感染性心内膜炎の診断で1997年1月入院となった.血液培養よりCampylobacter fetusが検出された.抗生剤IPM/CSを4週間投与し,臨床症状,炎症所見は改善した.心エコー図,心臓カテーテル検査において,三尖弁を含め器質的心疾患は認められなかった.起因菌の特殊性から,本例は生肉常食が発症と関連するものと考えられた.
    本邦においてCampylobacter fetusによる感染性心内膜炎は11例とまれであり,加えて本例のような先天性心疾患や麻薬常習を合併しない三尖弁心内膜炎は興味深い症例と考えられた.
  • 佐藤 恭子, 西 猛, 平本 啓, 大庭 治
    1999 年 31 巻 2 号 p. 117-122
    発行日: 1999/02/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    右室流入路に筋性憩室を合併した心室中隔欠損症の乳児例を報告する.
    右室の先天性筋性心室憩室はまれな疾患である.今までに14例の報告があるが,ほとんどは流出路に存在し,流入路に存在した例は1例しか報告されていない.
    症例は3カ月の女児で,心電図で不完全右脚部ブロックを認め,胸部X線で心拡大を認めた.心エコー検査と心血管造影で,右室流入路に開口する憩室を認めた.憩室は,右室と同期性に少し遅れて収縮していた.5カ月時,憩室の切除と縫縮術,および心室中隔欠損閉鎖術が施行された.
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