心臓
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31 巻, 4 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 四津 良平, 川田 志明
    1999 年 31 巻 4 号 p. 225-230
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 益岡 弘司, 亀井 滋, 我山 秀孝, 尾崎 守宏, 川崎 敦, 北村 政美, 加藤 重毅, 新谷 宇一郎, 三崎 盛治, 須川 正宏, 中 ...
    1999 年 31 巻 4 号 p. 231-237
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    冠動脈造影を施行した208例で,LDL-コレステロール(LDL-C),HDL-コレステロール(HDL-C),トリグリセライド,レムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP-C),リポ蛋白-(a),尿酸,血糖,t-PA,PAI-1,antithrombin III, proteinCを測定した.総コレステロール値が220mg/dl以上の高コレステロール血症群(高コ血症群:57例)とそれ未満の正コレステロール血症群(正コ血症群:151例)に分け,有意狭窄の有無に対する各因子の予測値としての意義が異なるかを検討した.HDL-Cは高コ血症群(p=0.0025),正コ血症群(p=0.0003)ともに,狭窄群において低値であった.RLP-Cと尿酸が,それぞれ高コ血症群では有意狭窄の有無に関係しなかったが,正コ血症群では有意に狭窄群において高値であった(p=0.0006とp=0.0060).しかし,尿酸は多変量解析では有意な因子でなくなった.多変量解析にて全患者ではLDL-Cが最も強い寄与因子であったが,高コ血症患者だけではHDL-Cが強い寄与因子であり,正コ血症患者ではRLP-CとHDLCが同等の強い寄与因子であった.コレステロール正常例での冠動脈疾患の発現には,レムナントが寄与する割合が大きい可能性が考えられる.
  • 中村 治雄
    1999 年 31 巻 4 号 p. 238-239
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 畑 弘志, 丸岡 雄二, 山田 賢典, 浜中 保男
    1999 年 31 巻 4 号 p. 241-247
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性ウイルス性心膜心筋炎を発症し,回復期に一過性の好酸球増多を認め,良好な経過をたどった症例を経験した.過去の好酸球性心筋炎の症例と比較して考察を加え報告する.
    症例は20歳,男性.咽頭痛,鼻水等の上気道炎症状に続き,胸腹部痛,起坐呼吸を主訴に入院した.身体所見では圧痛を伴う著明な肝腫大を認めた.胸腹部CTにて肝脾腫,胸腹水を認めた.胸写所見上軽度の肺うっ血を,心電図所見上低電位・ST上昇・異常Q波を,心エコー図所見上心筋のび漫性壁運動低下と心嚢液貯留を認め,急性心膜心筋炎による両心不全と診断した.フロセミド,ドーパミン,ドブタミンの投与により,心不全は徐々に軽快した.入院初日,軽度の好酸球増多を認め,第2病日目には軽快したが,その後著明な好酸球増多が出現し,第5病日目に最高値(6681/mm3)となった.骨髄像で異型性はなく,各種血清学的寄生虫抗体価はすべて陰性であり,好酸球増多の原因は不明であった.好酸球増多および心エコー図,心電図の異常所見は約4週間後に自然軽快した.一過性の好酸球増多をきたし良好な経過をたどった急性心膜心筋炎症例は比較的まれで,我々が調べた限り過去に7例しか報告されていない.本症例は他症例と異なり,血清ウイルス抗体価の有意な変動を認めた.急性心膜心筋炎の原因としてウイルス感染が示唆され,心筋炎が好酸球増多に先行してみられたことより,心筋でのウイルス感染に反応性に好酸球増多が生じたことが推定された.
  • 吉澤 直人, 川口 竹男, 福井 和樹, 大野 安実, 安野 憲一, 田中 英穂, 長谷川 章雄, 清水 完悦, 和泉 徹
    1999 年 31 巻 4 号 p. 248-254
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は69歳男性,平成2年から約5年間化学物質による粉塵暴露の既往がある.平成7年4月より咳嗽と労作時呼吸困難が出現,その後胸膜炎や自然気胸を起こし,身のまわりの生活でも呼吸困難を訴えるようになり入院してきた.心エコーや胸部X線CT検査で肺動脈本幹から左右肺動脈にかけ巨大な腫瘤を認め,本幹狭窄および左肺動脈の完全閉塞,それに著しい右室拡大がみられた.肺動脈造影でも肺動脈本幹から右肺動脈にかけた腫瘤による狭窄と左肺動脈の完全閉塞が示された.右室の収縮期圧は96mmHgと高値であった.その後浮腫や尿量減少など右心不全症状が進行したため,腫瘤摘出術を行った.迅速病理診断で肺動脈原発肉腫(primary intimal sarcoma)と診断した.術後,右心不全症状は著明に改善し,右室の収縮期圧も32mmHgに低下した.文献的には本邦における肺動脈原発肉腫は21例報告されている.その中で,生前に診断がされ摘出術が行われたのは6例と極めて少なく,かつ自覚症状から診断まで3年以上を有しているのは本例のみである.
  • 高木 和明, 安川 竜也, 垣花 将史, 服部 博高, 水谷 嘉孝, 脇田 康志, 水谷 浩也, 小林 正, 米津 益人
    1999 年 31 巻 4 号 p. 255-259
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    多発性嚢胞症に合併した解離性大動脈瘤を経験したので報告する.症例は47歳,男性.主訴は背部痛.既往歴は平成2年に腎結石,平成8年に高血圧を指摘された.家族歴で父親が腹部大動脈瘤と陳旧性心筋梗塞のため手術を受け,同時に多発性嚢胞症も指摘されている.
    平成9年2月22日,背部から腰部へ移動する痛みを自覚し近医を受診.胸部X線写真で異常を指摘され胸腹部CTを施行したところ,解離性大動脈瘤(IIIb)と多発性嚢胞症を認め精査目的に当院入院となった.入院時,血圧は124/70mmHg.四肢血圧差は認めず,胸部聴診でも血管雑音など異常はなかった.胸腹部CT,MRIではDeBakey IIIbの解離性大動脈瘤と肝臓,両側腎臓に多発性嚢胞を認めた.多発性嚢胞性疾患は,肝臓,腎臓,膵臓などに嚢胞が多発する常染色体優性遺伝性疾患で,合併症として脳動脈瘤,心弁膜症はよく知られている.原因としてMarfan症候群などで考えられている結合組織の代謝異常によって大動脈壁の脆弱化が生じる可能性や,細胞外基質の異常に伴う血管壁の変性・脆弱性によって生じる可能性が示唆されているが,いずれにしても現時点では明らかな原因は不明とされている.本例の解離性大動脈瘤合併例については,我々が検索した範囲では本邦での報告はなく,欧米での報告例を認めるのみでまれな症例と思われ,本例の如き病態を念頭に置き治療にあたることが肝要であると考えられた.
  • 仁禮 隆, 篠田 尚克, 笠貫 宏
    1999 年 31 巻 4 号 p. 261-269
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    QTc dispersionは,簡便な再分極過程増大評価法として多用されている.急性心筋梗塞ではQTc dispersionは急性期に延長し,その後漸減する.急性期に冠動脈が再疎通すると延長は抑えられる.重症心室性不整脈との関連については議論があり,評価は定まっていない.陳旧性心筋梗塞においてはQTc dispersionと重症心室性不整脈との間に関連があるとする報告が多く,臨床的有用性が期待される.
    ただし,QTc dispersionには再現性,誘導法,同時記録および心拍数補正などの問題があるため,これらを十分認識した上で評価・検討することが望まれる.
    Recovery time dispersionは体表面電位図記録装置を必要とする検査法であるが,再現性が高く精緻な再分極過程の検討が可能である.陳旧性心筋梗塞では持続性心室頻拍との関連が認められており,今後の研究の進展が期待される.
  • 西崎 光弘, 鈴木 誠, 足利 貴志, 山分 規義, 渡辺 孝之, 有田 匡孝, 沼野 藤夫, 平岡 昌和
    1999 年 31 巻 4 号 p. 270-277
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    冠攣縮性狭心症において,12誘導心電図上のQTc dispersion(QTcd)を用い,再分極過程の不均一性の程度と心室性不整脈との関係,さらにはその機序について検討した.対象は冠攣縮性狭心症群(VSA)50例および非典型的胸痛群(冠攣縮非誘発例)50例とし,両群にて冠攣縮誘発前の無症候時(baseline)および冠攣縮誘発・ISDN投与による解除30分後のQTcdを求めた.Baselille QTcdはVSA群が胸痛群に比し有意に増大していた.Baseline QTcdはISDN後に,VSA群で有意に短縮したが,胸痛群では有意な変化は認められなかった.VSA群において,冠攣縮誘発時,50例中24例に心室性不整脈を認め(陽性群),残り26例には認められなかった(陰性群).両群間において,冠攣縮枝数および程度に明らかな差を示さなかったが,baseline QTcdは陽性群が陰性群に比し有意に増大していた.ISDN後では両群ともにQTcdは短縮し,両群間の差は消失した.以上,冠攣縮性狭心症では臨床的に狭心症発作のない無症候状態において,すでに再分極過程の不均一性は増大しており,それが冠攣縮時心室性不整脈の成因につながっていることが示唆された.本疾患におけるQTcdの増大はISDNによる冠攣縮解除後に消失していることから,その機序の一つとしてsubclinical ischemiaの存在が疑われた.また,近年hyperinsulinemiaとQTcd増大の関係が明らかとされており,VSAの病態の一つであるinsulin抵抗性もQTcd増大の一因になっている可能性が考えられた.
  • 中沢 潔, 戸兵 雄子, 高木 明彦, 村山 正博
    1999 年 31 巻 4 号 p. 278-287
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    目的:特発性心室細動(I-Vf)における多形性心室頻拍(PVT)の誘因としての自律神経緊張の関与の有無を知るために,自律神経緊張と補正QT間隔のdispersion(QTcd)との関連を検討した.
    対象と方法:Brugada症候群,r'/ST型I-Vf,分類不能型I-Vfの計26例を対象とし,自律神経緊張の変化とQTcdの変化との関係を検討した.
    結果と考察:(1)PVT発現と関連し,一過性QTcd増加を見た.(2)Brugada症候群では,交感・迷走両神経刺激ともにQTcdを増加させた.(3)r'/ST型では,迷走神経刺激による局所の伝導遅延と不応期の不均一性を見た.(4)分類不能型では,交感神経刺激によりQTcdが増加した例と迷走神経緊張亢進時にPVT閾値が低下した例があった.
    結語:I-Vf例では自律神経緊張亢進により,QTcdは増加し,PVT発現性と関連した所見と考えられた.
  • 早野 元信, 平田 正信, 平田 哲也, 小宮 憲洋, 中尾 功二郎, 植山 千秋, 矢野 捷介
    1999 年 31 巻 4 号 p. 288-293
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    遺伝性QT延長症候群(1例特発性を含む)におけるQTc dispersionの臨床的な意義や背景について検討した.長期(平均11.1年)の経過観察症例のQTc dispersionの経時的変化を検討したところ,性差に興味ある結果が認められた. QTc dispersは男性では20歳以下で大きな値であったが,20歳を過ぎるとQTc時間の短縮とT波の形態の正常化とともに100ms以下に縮小した.このような変化は臨床的な所見(若年者に発症と心事故が多い)との関連があることを示唆している.女性ではこのような関係が認められなかったことから,年齢に関係なく十分な観察が必要である.さらに,現在複数の原因遺伝子が明らかにされつつあり,遺伝子解析により得られたLQTの分類,すなわち再分極相に作用するチャネルの異常を特定した上でQTc dispersion, QT時間と臨床所見との関係を検討することが今後必要と思われた.
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