心臓
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32 巻, 7 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 林 孝浩, 池田 章子, 谷和 孝昭, 北山 耕司, 薮下 博史, 宮高 昌, 木村 彰男, 片山 克彦, 猪木 達, 竹中 俊彦, 金政 ...
    2000 年 32 巻 7 号 p. 547-556
    発行日: 2000/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    我が国におけるACE阻害薬の心筋梗塞後の心事故発生予防効果を知る目的で,1991年1月から1996年12月までの当科で登録した心筋梗塞患者連続950例につき,心筋梗塞後の心事故(致死性および非致死性再梗塞,突然死,心不全死)発生率を調査した.心事故発生はACE阻害薬服用群306例中5例(1.6%,15.6/1000人年),非服用群644例中21例(3.3%,23.7/1000人年)に認め,有意ではないがodds比が1以下であった(odds比0.53,95%信頼限界0.21-1.36).また,心エコーで求めたwa11motion indexが8未満の左室壁運動異常の少ない症例の心事故発生はACE阻害薬服用群で2例(1.6%)で,非服用群の2例(0.7%)と比べ有用性を認めなかったが,左室壁運動異常が強いwall motionindexが8以上の重篤な症例では,ACE阻害薬服用群の心事故発生が2例(2.0%)であったのに対し,非服用群では10例(6.5%)で,有意ではないがACE阻害薬服用により心事故発生が減少し,有用である可能性が示された.この結果は欧米での大規模無作為臨床試験とほぼ同様の結果を示唆するものであった.
  • 五十嵐 宣明, 河田 正仁, 小林 征一, 下川 泰史, 高田 幸浩, 清水 雅俊, 宮武 博明, 岡田 敏男, 水谷 哲郎, 山口 雅人, ...
    2000 年 32 巻 7 号 p. 557-562
    発行日: 2000/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,男性.既往歴として43歳時に褐色細胞腫の手術を受けていた.腹部CT上褐色細胞腫の再発と肺野の陰影を認め,入院となった.入院後,肺野の陰影増強と呼吸困難をきたし人工呼吸を行った.カルペリチド(hANP)の短期間投与により利尿を図り一旦抜管したが,再度の呼吸困難と高度な胸水貯留をきたし再挿管.血中ノルアドレナリンの著明な高値と心エコー上び漫性壁運動低下を認め,カテコールアミン心筋症が考えられた.急性増悪期に,hANP,ミルリノンの投与を行い,慢性期にはピモベンダンとカルベジロールを漸増させ併用した.胸水は長期貯留したが,心機能の改善とともに次第に減少し,人工呼吸器からも離脱した.
    褐色細胞腫に合併した難治性心不全を救命し,その際αβブロッカーの漸増療法が有効であった.
  • 山本 一博, 堀 正二
    2000 年 32 巻 7 号 p. 563-564
    発行日: 2000/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 片山 博視, 清水 達雄, 河上 千尋, 田中 啓子, 玉井 浩
    2000 年 32 巻 7 号 p. 565-572
    発行日: 2000/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    βブロッカー療法により,心不全症状が著明に改善した特発性拡張型心筋症の1例を経験した.症例は11歳時に発症した13歳の男児で,入院後カテコールアミンの投与などで心不全症状は改善したが,その離脱には難渋し,ドカルパミンの内服を必要とした.利尿薬,強心薬,ACE阻害薬(エナラプリル)などに加え,βブロッカー(ビソプロロール)も開始した.ビソプロロールは0.15mgときわめて少量から開始したが,導入時および増量直後に一過性の血圧低下を認めた.しかし,その後症状は安定し退院後も元気に通学している.MIBG心筋シンチグラフィーでも治療後にH/M比の低下,ウォッシュアウトレートの亢進などの異常所見が改善された.また,βブロッカー治療前のANP,BNPは異常高値を認めていたが,治療後,臨床症状の改善とともにすみやかに低下した.
    βブロッカー療法は小児の拡張型心筋症においても有効な治療法であると考えられた.しかし,βブロッカー療法に際しては緩徐な導入,増量が重要である.
  • 笠井 英裕, 池主 雅臣, 種田 宏治, 田川 実, 藤田 聡, 鷲塚 隆, 相澤 義房
    2000 年 32 巻 7 号 p. 573-579
    発行日: 2000/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    洞調律時にQRS波とT波の二重感知のために植え込み型除細動器(ICD)の不適切作動を生じた心サルコイドーシスの1例を報告する.症例は65歳女性.1995年肺サルコイドーシスと診断された.1996年完全房室ブロックを生じ,プレドニゾロン(PSL)50mg/日が開始された.PSLで房室伝導は回復したが,減量後に心室細動を生じ,1998年4月,ICDの植え込みを行った.手術時リード固定部位の心内電位と刺激閾値は正常で,心室細動は20Jで洞調律に復した.心室細動中の心内電位も感度1.2mVで良好に感知された.しかし,術後35日目に洞調律時のQRS波とT波の二重感知によるICD不適切作動が頻回に生じた.T波のオーバーセンスは心内R波の減高とT波の増高によった.電位感度を順次0.9mVまで下げることで二重感知の頻度は減少したが,ICD不適切作動を完全に回避することはできなかった.術後4カ月目よりT波が減高し,以後ICD不適切作動はみられなくなった.リード固定部位の局所電位の変化はICD不適切作動の原因となる可能性があり,術後の経過観察が重要である.
  • 泉山 修, 田畑 哲寿, 柳 堅徳, 山下 昭雄, 馬場 雅人, 長谷川 正
    2000 年 32 巻 7 号 p. 581-584
    発行日: 2000/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    左心室血管腫は極めてまれな原発性良性心臓腫瘍である.今回,この腫瘍に対して手術を施行し,良好な結果が得られたので報告する.
    症例は56歳の男性で,胸部圧迫感を主訴に狭心症を疑い,精査のため入院した.心エコーにて左心室中隔後壁寄りに可動性の球状腫瘤を認め,冠動脈造影では右冠動脈造影で後下行枝の中隔枝より造影剤のプーリングを認めた.原発性心臓腫瘍の診断下に,体外循環下経僧帽弁的に腫瘍を摘出した.摘出した腫瘍は大きさ2.5×2cmで,重さ4.1gであり,病理組織学的検査により混合型血管腫と診断された.術後2年の現在,元気に日常生活を送っている.我々の調べ得た範囲では,左心室原発性血管腫に対する手術報告例は自験例が本邦第2例目である.
  • 宇都宮 俊徳, 宮園 素明, 龍 俊宏, 吉田 和代, 尾形 徹, 辻 信介, 徳島 卓, 松尾 修三, 夏秋 正文, 伊藤 翼, 井上 純 ...
    2000 年 32 巻 7 号 p. 585-589
    発行日: 2000/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心房中隔欠損症は,ほとんどの症例が孤発例である.しかし,家族性心房中隔欠損症(familial atrialseptal defect)の報告もまれに見られる.我々は,50歳男性を発端にして経験した,房室伝導障害を伴う二次孔欠損型の家族性心房中隔欠損症の4症例を経験したので報告する.
    症例は50歳男性.1991年に不完全右脚ブロックを指摘され,心エコー検査などで心房中隔欠損症が疑われて,精査のため当科に入院した.心臓カテーテル検査で左右短絡率59.5%の二次孔型心房中隔欠損症と診断され,手術を施行して経過良好である.家族歴で,発端者の兄1人と息子2人が心房中隔欠損症で手術を施行していた.全例に,不完全右脚ブロックと1度房室ブロックを認め,伝導障害を伴う家族性心房中隔欠損症の1家系と考えられた.
    本邦での家族性心房中隔欠損症の報告は少ない.心房中隔欠損症患者の2.3%に家族内発生が見られたという報告もある.本症には,(1)心房中隔欠損症単独家系,(2)房室ブロックを伴う心房中隔欠損症の家系,(3)他の疾患や奇形を伴う家系があり,本例は(2)と考えられる.家族性心房中隔欠損症の発生原因として,常染色体優性遺伝,劣性遺伝の報告や遺伝的因子に環境的因子が関連するという報告がある.
  • 池田 祐一, 小室 一成
    2000 年 32 巻 7 号 p. 590-591
    発行日: 2000/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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