心臓
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34 巻, 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 田嶋 明彦, 伊東 春樹, 小池 朗, 長田 尚彦, 大宮 一人, 加藤 理, 前田 知子, 相澤 忠範, 飯沼 宏之, 傅 隆泰, 渡辺 ...
    2002 年 34 巻 5 号 p. 393-399
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    通常のトレッドミル運動負荷試験において,1mm以上の有意なST低下を認めた37例について,心電図上のST変化と酸素摂取量(VO2)動態との関係について検討した.全例において自転車エルゴメータを用いた10watts/minのrampプロトコールでの症候限界性運動負荷試験を施行した.運動負荷中呼気ガス分析を行い,peakVO2およびATを決定するとともに,運動中のST低下1mmが出現した前と後の2分間の仕事率増加に対するVO2増加量(△VO2/△WR)を決定,さらにその比を算出した.その後冠動脈造影を行い,冠動脈造影所見より,有意狭窄を認めない群(0VD群;8例),有意狭窄が1枝の群(SVD群;7例),有意狭窄が多枝の群(MVD群;8例)の3群に分類した.
    PeakVO2はMVD群(19.6±3.1ml/min/kg)とSVD群(19.62.9ml/min/kg)が0VD群(25.3±5.4ml/min/kg)に比べ低値であり,一方,嫌気性代謝閾値は3群間に差はなかった.また,△VO2/△WRのST低下前に対する後2分間の比はMVD群(0.75±0.17)とSVD群(0,93±0.09)が0VD群(1.21±0.09)に比べ有意に低値であった.以上より,ST1mm低下前後の△VO2/△WRの変化は運動負荷試験での偽陽性の鑑別や冠動脈疾患の重症度を予測するためのパラメータとして有用と考えられた.
  • 泉山 修, 高橋 一泰, 柳 堅徳, 山下 昭雄, 馬場 雅人, 長谷川 正
    2002 年 34 巻 5 号 p. 401-404
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞後の左室自由壁破裂は重篤な合併症であり, しばしば致命的である. 今回, 我々はblow out型1例,oozing型3例の左室自由壁破裂計4例を経験し,外科的治療にて全例救命し得たので報告する.
    Blow out型1例に対してはPCPSにより循環を維持し,手術室に搬送して通常の体外循環に移行し,梗塞心筋を切除してパッチ左室形成術を施行した.PCPSは急激な循環不全に対して極めて有効な補助手段であり,また,パッチ左室形成術は左室狭小化の防止により左室機能を温存し,出血のコントロールに有用であった.
    Oozing型3例に対してはIABPおよび部分体外循環により循環補助を行いつつ,開胸心拍動下にオキシセルロース綿フィブリン糊被覆法を施行した.
    左室自由壁破裂は早期診断早期治療が唯一の治療法であり,内科外科の連携が重要である.
  • 許 俊鋭
    2002 年 34 巻 5 号 p. 405-406
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 横内 浩, 五十嵐 慶一, 武田 智子, 秋野 正敏, 櫻木 均, 井上 仁喜, 竹中 孝, 高井 重紀, 堀本 和志
    2002 年 34 巻 5 号 p. 407-422
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は68歳女性.労作時胸痛を主訴に入院.心電図上,I,II,aVL,aVF,V2からV6誘導で陰性T波と左室肥大所見を認め,心エコー図では左室中部中隔の肥厚と心尖部の収縮期外方運動を認めた.非対称性中隔肥大(ASH)や,僧帽弁の収縮期前方運動(SAM)は認めなかった.運動負荷タリウム心筋シンチグラムでは,心尖部の一過性灌流欠損を認めた.冠動脈造影では有意な器質的狭窄を認めず,左室造影にて収縮末期の左室中部閉塞と心尖部の外方運動を認め,左室流出路と心尖部の最小圧較差は111mmHgであった.右室中隔からの心筋生検にて肥大心筋細胞と心筋細胞の錯綜配列が認められた.以上より,心室中部閉塞性肥大型心筋症と診断した.後日,カテーテル検査にて,圧ワイヤーおよびドプラワイヤーを用いた薬剤投与前後の圧較差,および冠血流の変化を検討した.その結果,β遮断薬とジソピラミドの併用が左室内圧較差の減少に有効であり,2薬剤併用内服によるトレッドミル運動負荷検査では運動耐容能の向上が認められた.壁肥厚のない心尖部心筋虚血は,心尖部での著明な収縮期血圧の上昇による後負荷増大が関与している可能性が考えられた.
  • 市田 蕗子
    2002 年 34 巻 5 号 p. 423-425
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 田邉 卓爾, 伊藤 一貴, 全 完, 彦坂 高徹, 足立 芳彦, 加藤 周司, 東 秋弘, 杉原 洋樹, 中川 雅夫
    2002 年 34 巻 5 号 p. 427-434
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    患者は57歳の男性で,下垂体腫瘍の摘出目的にて当院の脳外科に入院した.下垂体腫瘍摘出(開頭術)後の心電図では,広範な誘導で陰性T波が認められた.急性期の断層心エコーでは心尖部を中心に高度な壁運動低下を示し,たこつぼ型左室壁運動異常と考えらた.99mTctetrofosmin心筋SPECT(TF)では,心尖部を中心に前壁および側壁に集積低下所見が認められた.同時期の123I-BMIPP心筋SPECT(BMIPP)では心尖部を中心に広範囲な集積低下が認められたが,TFより広範囲であった.123I-MIBG心筋SPECT(MIBG)では同様に心尖部中心に広範軽度高値が認められた.第21病日の冠動脈造影では有意狭窄は認められず,冠攣縮は誘発されなかった.左室造影では,前壁および側壁に低収縮から無収縮が認められた.1カ月後のTFでは集積低下所見は改善しが,BMIPP,MIBGでは急性期と比較して変化は認められなかった.第50病日の左室造影は正常化した.経時的な核医学検査の所見は早期再灌流に成功した急性心筋梗塞や不安定狭心症におけるstunned myocardiumの経過に類似していた.本症例では心外膜血管に狭窄病変はなく,攣縮も誘発されなかったことより,冠微小循環の障害が考えられた.本症例では急性期にたこつぼ型左室壁運動異常が認められたが,その機序として冠微小循環障害が考えられた.
  • 金田 朋也, 堀田 祐紀, 内山 勝晴, 尾崎 一晶, 渕崎 宇一郎, 宮森 弘年
    2002 年 34 巻 5 号 p. 435-440
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    冠動脈ステント留置後のチクロピジンの内服により,回盲部vascular ectasiaからの出血を認めた,まれな狭心症の1例を経験した.症例は69歳,女性.右冠動脈seg.3に>75%狭窄を認め,PTCAにてcoronary stentを留置した.翌日よりチクロピジン200mg/dayの内服を開始したが,内服11日後多量の鮮血便を認め緊急入院となった.入院時Hb7.9g/dlと高度の貧血を認め,直ちに大腸内視鏡検査を施行し,回盲部に大量の凝血塊を認めた.また,出血シンチグラムでも,回盲部に間欠的な出血所見および異常集積を認めた.一旦保存的に経過観察となり,翌日再び大腸内視鏡検査を行った.回盲部に径3mm程度のvascular ectasiaを認め,同部位からの出血と診断した.Clipping,輸血および止血剤投与にてvascular ectasiaは消失し,貧血は軽快した.アスピリンの投与を再開し,その後Hb値は12.0g/dlへと改善した.
    冠動脈ステント留置後に下血を認めた際には,大腸からのvascular ectasiaからの出血も考慮する必要があると考えられた.
  • 渡部 良夫
    2002 年 34 巻 5 号 p. 441-446
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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