欧米では,急性心筋梗塞の死亡率が治療戦略の向上により,最近著しく低下していることが示されている.当施設でも同様の現象が認められるか否かを明らかにする.昭和50年より平成11年まで,約26年間を5期に分け,発症24時間以内の急性心筋梗塞1107例の治療法の変遷と院内死亡率の推移を調査した.
CCUが設立される以前の昭和57年5月までの全死亡率は19.5%,心臓死は17.1%,昭和62年まではそれぞれ18.0%,15.6%,平成4年までは14.5%,12.5%,平成9年までは14.3%,11.8%,平成11年9月までは7.5%,5.7%と全死亡率(trend:p<0.05),心臓死(trend:p<0.01),いずれも最近になるにつれ有意に減少していた.性別,年齢,梗塞既往,梗塞部位,Forrester・Killip分類,CK最高値,責任冠動脈,罹患血管数に,年次推移はなかった.心臓死の内訳をみると,心破裂(心室中隔穿孔を含む)の発生率は昭和62年までが4.5%,以降は2.9%と減少傾向があり,生存率は前者0%に対し, 後者3 1 . 8 % と増加していた(p<0.05) . 血栓溶解療法,PTCA・ステント使用群での心臓死は有意に低下していた.Forrester I型の全死亡率,II,III,IV型の全死亡率と心臓死はいずれも有意に減少傾向を示した.再灌流療法やCCUにおける管理が特に心破裂の発生を抑制し,早期診断と手術成績の向上を生み,最近の心臓死減少をもたらしている.一方,非心臓死は減少傾向がみられず,全身管理の重要性が指摘された.
抄録全体を表示