心臓
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35 巻, 10 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 石澤 瞭
    2003 年 35 巻 10 号 p. 669-678
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 鎌田 政博, 木口 久子, 木村 健秀, 高田 啓介
    2003 年 35 巻 10 号 p. 679-682
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    動脈管の最小径がコイル径に対して十分小さければ(コイル直径5mmの1/3:1.7mm前後),非着脱式の0.035'Gianturco coil(GC)を使用しても,コイルの脱落は起こり難いと仮定,小さな動脈管に対する同コイルの安全性,問題点に関して検討した.
    対象:過去3年間に動脈管のコイル塞栓術を試みた53例(56回)中,非着脱式のGCを用いた17例である.
    結果:最小径1.7mm未満の症例では,コイルの脱落・流出をみることなく,安全に塞栓術を終えることができた.一方,それ以上の最小径を有した4例中2例では,コイルが設定より1巻余分に肺動脈側に抜け出てきた.動脈管最小径が2mm近くになると,コイルループのすべてが形を整える前にコイルの一部が流出,肺動脈側に突出してしまう可能性が示唆された.
    結論:動脈管塞栓術に際し,全例に着脱式コイルを使用する必要はなく,1.7mm未満の小さな動脈管では,よりシンプルかつ経済的な非着脱式のコイルでも安全に塞栓術を行えるものと考えられた.
  • 赤木 禎治
    2003 年 35 巻 10 号 p. 683-684
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 須田 憲治, 松村 正彦
    2003 年 35 巻 10 号 p. 685-689
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,動脈管塞栓術後のプラチナコイルの収縮の程度と,遺残短絡について検討することである.
    対象:0.038inch径のトルネード型プラチナコイルを用いて,動脈管塞栓術を施行した症例7例である.動脈管の最小径は0.5-2.4mmで,使用コイル数は5例で1個,2例で2個であった.塞栓術翌日,1カ月後,3カ月後,6カ月後,1年後,2年後に胸部X線写真の正面像と側面像を撮影し,コイルの前後径と上下径を測定した.コイルの径は塞栓術翌日の値を100%として,パーセント表示した.同時に心エコー図を施行し,遺残短絡の有無を検討した.
    結果:胸部X線写真側面像では,プラチナコイルは有意に収縮した.収縮の程度は,1カ月後で92±9%,3カ月後で82±11%,6カ月後で76±10%,1年後で76±9%であり,3カ月でほぼ停止した.一方,胸部X線写真正面像では,プラチナコイルは回転によりその径の増大するものもあり,1年後で105±16%と有意に収縮しなかった.心エコー図の経過観察では,術直後は全例で完全閉塞していた.しかし,コイルの急速な収縮を認めた1例では,術後1カ月から6カ月の間,一時的な再開通を認めた.
    結語:動脈管塞栓術後,主に3カ月後までプラチナコイルは収縮する.この収縮に伴い動脈管の再開通を認める例もあり,心エコー図による経時的フォローを必要とする.
  • 椎名 祥隆, 片岡 剛, 鴻巣 正史, 金子 兼喜, 川副 浩平
    2003 年 35 巻 10 号 p. 691-695
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    弁膜症に起因した難治性腹水を伴う心臓性肝硬変に対し,弁置換術と腹水ドレナージを施行し,良好な結果を得たので報告する.
    症例は69歳・女性で,1975年に他院で僧帽弁狭窄症のため,直視下交連切開術を受けた.1998年から心不全症状が再発.2001年当院循環器科で精査し,僧帽弁再狭窄症および三尖弁閉鎖不全によるうっ血性心不全と診断された.NYHA旧分類III度で,腹水による著明な腹満があり,肝は2横指触知した.ICG 15分値12%,血清総蛋白7.7g/dl,アルブミン3.6g/dl,CHE 121 IU.GOT,GPT,総ビリルビン値は正常であった.CT上脾腫を認めたが,上部消化管内視鏡で食道静脈瘤は認めなかった.心電図は心房細動であった.心エコー検査上,三尖弁輪は拡大し逆流IV度で,両心房と下大静脈の拡大を認めた.僧帽弁口面積は1.1cm2で再狭窄を認めた.手術は僧帽弁置換術と三尖弁置換術を施行した.術中に腹水を採取し生化学検査の結果は総蛋白5.1g/dl,アルブミン2.6g/dlで,「肝腫大を伴う右心不全」と「難治性腹水の存在」の所見を併せて心臓性肝硬変と診断した.体外循環中に腹水を11,890ml排液した.術後経過は順調,心不全は改善し術後57日目に退院した.
  • 清水 雅俊, 辰巳 和宏, 河田 正仁, 岡田 敏男, 前川 貴代, 尾崎 喜就, 大北 裕
    2003 年 35 巻 10 号 p. 697-702
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,女性.自宅で転倒し座椅子で前胸部を強打した.その2~3日後より,労作時呼吸困難を自覚するようになり次第に増悪した.身体所見では,心尖部にLevineIV/VI度の汎収縮期雑音,両下肺野に湿性ラ音を聴取した.検査成績で炎症反応は認めず.血液ガス所見は,PaO2 59mmHgと低下.胸部写真上,心胸郭比57.3%で左3・4弓の心陰影突出と肺血管影の増強を認めた.心エコー図所見;左室壁運動は良好.拡張および収縮末期径は51mm,30mm(内径短縮率38%)で左房径は42mm.僧帽弁後尖medial scallopは左房内ヘループ状に逸脱し,腱索の断端が描出された.カラードプラ法でIV度の僧帽弁逆流が観察された.本例は高度の僧帽弁逆流に比して左房・左室径の拡大が軽度であったため,急性僧帽弁閉鎖不全症と診断したが,病歴より外傷性と考えられた.利尿薬,ジゴキシン,ACE阻害薬で心不全は軽快し,約1カ月後に僧帽弁輪縫縮術を施行した.術中所見において,後尖medial scallopは腱索が2本断裂して左房内へ逸脱していた.逸脱弁尖とともに後交連の弁輪縫合・縫縮およびCarpentier-Edwardsリングを用いて弁輪形成術によって僧幅弁逆流は消失した.外傷性僧帽弁閉鎖不全症は,交通事故などによる前胸部への強い衝撃が原因となる.本例は,自宅での転倒で発症した点が異例であった.また,早期に手術を行い,自己弁温存が可能であった.
  • 福長 直也, 大家 長彦, 高橋 尚彦, 秋岡 秀文, 重松 作治, 原 政英, 井上 恵, 中川 幹子, 犀川 哲典, 吉松 博信, 迫 ...
    2003 年 35 巻 10 号 p. 703-709
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は54歳の男性.28歳時に拡張型心筋症と診断された.平成14年1月よりうっ血性心不全が増悪し近医に入院したが,薬物治療で改善しないため3月に当科入院となった(NYHAIV度).心電図は頻脈性心房細動,左脚ブロック(QRS=130msec)であった.薬剤抵抗性の心不全であり,頻脈性心房細動が心不全増悪をきたしていると考えられたため,完全房室ブロック作成と左室後側壁と右室心尖部からの両室ペーシングを施行した.術後速やかに循環動態は改善し,カテコールアミンから離脱できた.血液検査でANP(197.2→33.6pg/ml)およびBNP(546→88.2pg/ml)は低下し,心臓超音波検査上左室駆出率は11.3%から22.3%に改善した.退院後3カ月以上NYHA II度で経過している.頻脈性心房細動合併薬剤抵抗性うっ血性心不全に対する非薬物治療として,本治療法が有効である可能性が示唆された.
  • 沖重 薫
    2003 年 35 巻 10 号 p. 710-711
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 野崎 みほ, 白井 徹郎, 浅野 毅弘, 天谷 和貴, 土田 健治, 笠尾 昌史, 井上 清
    2003 年 35 巻 10 号 p. 713-718
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性,1957年に結核性胸膜炎罹患後に収縮性心膜炎を続発し,他院にて心膜切開術を施行,良好な結果を得た.しかし,術後36年目の1993年より徐々に労作時の息切れが強くなり,精査加療を目的として1997年2月当院入院.理学所見では頸静脈怒張と心膜ノック音,両肺野のcoarsecrackle,右肺野の呼吸音の減弱,腹水および浮腫を認めた.胸部X線,CTでは著明な石灰化を伴う心膜の肥厚,および胸水,右胸膜肥厚,心エコーでは両房の拡大,両室の狭小化,三尖弁閉鎖不全,心嚢液貯留,下大静脈の拡大を認めた.心臓カテーテル検査では右室圧曲線にてdip and plateauを認め,諸所見より収縮性心膜炎の再燃による心不全と診断された.利尿薬,硝酸薬などにて症状の改善を得て一時退院したが,2002年1月全身状態悪化のため再度入院となった.5年前と比較し心エコー所見上収縮性心膜炎に関する諸指標に有意な変化は認めなかったが,腎不全をはじめとする全身合併症の増悪により2月12日死亡した.収縮性心膜炎に対する唯一の有効な治療法は心膜切開術であるが,多数例の術後成績にあるように長期予後は予測されたほど良好ではない.予後不良とする要因についてはいくつか考えられるが,本例の長期術後経過および剖検所見からは収縮性心膜炎の病態再燃がその主要因と考えられた.したがって,術後経過が良好な場合でも長期にわたる観察が必要であり,病態の再燃時には再手術についても検討すべきであると考えられた.
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