本研究の目的は,動脈管塞栓術後のプラチナコイルの収縮の程度と,遺残短絡について検討することである.
対象:0.038inch径のトルネード型プラチナコイルを用いて,動脈管塞栓術を施行した症例7例である.動脈管の最小径は0.5-2.4mmで,使用コイル数は5例で1個,2例で2個であった.塞栓術翌日,1カ月後,3カ月後,6カ月後,1年後,2年後に胸部X線写真の正面像と側面像を撮影し,コイルの前後径と上下径を測定した.コイルの径は塞栓術翌日の値を100%として,パーセント表示した.同時に心エコー図を施行し,遺残短絡の有無を検討した.
結果:胸部X線写真側面像では,プラチナコイルは有意に収縮した.収縮の程度は,1カ月後で92±9%,3カ月後で82±11%,6カ月後で76±10%,1年後で76±9%であり,3カ月でほぼ停止した.一方,胸部X線写真正面像では,プラチナコイルは回転によりその径の増大するものもあり,1年後で105±16%と有意に収縮しなかった.心エコー図の経過観察では,術直後は全例で完全閉塞していた.しかし,コイルの急速な収縮を認めた1例では,術後1カ月から6カ月の間,一時的な再開通を認めた.
結語:動脈管塞栓術後,主に3カ月後までプラチナコイルは収縮する.この収縮に伴い動脈管の再開通を認める例もあり,心エコー図による経時的フォローを必要とする.
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